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こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第62回試験・専門知識(a)まず、図Aの月平均500hPa高度・平年偏差図から見てみます。平年偏差とは、等圧面高度が平年値からどれくらいズレているか、ということで、図の下にスケールが示されており、暖色が濃いほど正偏差が大きい、つまり平年値よりも等圧面高度が高く高温傾向を表し、逆に寒色が濃いほど負偏差が大きい、つまり平年値よりも等圧面高度が低く低温傾向であると読み取ることができます。本文に述べられている通り、アリューシャン列島の東と
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・専門知識(a)まず初めに、「北極振動(AO:ArcticOscillation)」とは、北緯60°を境にしてその南北の領域において、高気圧と低気圧とで逆の関係になる現象のことをいいます。図Aですと、北緯60°以北の北極域で高気圧が見られる場合、逆に北緯60°以南の中緯度域で低気圧が見られるという関係となり、この場合を「負の北極振動(AOマイナス)」、またこの逆で北緯60°以北の北極域で低気圧が見られる場合、
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・一般知識今回は、大気における放射から、地球のエネルギー収支を基に地球大気の温室効果の原理について述べた文章の下線部(a)~(d)の正誤を判断する内容の問題です。早速、問題の冒頭の下に挙げられている4つの条件を念頭に、本文を読み進めてみることにします。「地球に大気がないときの、地表面が受け取る太陽放射量と放射平衡状態にある地表面温度の絶対温度をT0とする。」とあります。この大気のないときの放射平衡は上の図
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第53回試験・一般知識風が吹くことにより、ある地点での温度が高くなったり、低くなったりする変化を「温度移流」といいます。温度が高くなる変化は「暖気移流」、低くなる変化は「寒気移流」とよんでます。今回の問題は、模式図をもとに、水平温度移流量を計算で求めようとするものです。式は、水平温度移流量=温度傾度×等温線に直交する風速成分で求めることができますが、設問の模式図では、等温線は北東‐南西の走向、一方の風向・風
こんばんは。早速ですが考えてみたいと思います。(a)「空気塊の水平加速度(U2/L)の大きさを、単位質量あたりのコリオリの力の大きさで割った」とあることに着目しますと、まずコリオリの力がどう表現されるかという、大気の力学の基本的な知識が、解答を求めるために必要です。代表的な風速をU、コリオリパラメータをf0と与えられていますので、コリオリの力は、コリオリパラメータ×風速、すなわち、f0Uで表現されます。あとは、問題文の通り、(U2/L)をf0Uで割りますと、(U2/L
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第63回試験・一般知識(a)(ドナルド・アーレン最新気象百科p5、表1.1を基に作成)対流圏の大気組成は表を見ますと、窒素と酸素とアルゴンの3種類の気体の体積比を合わせて約99%以上を占めていることがわかります。したがって、本文の内容は正しいとなります。(b)乾燥空気の平均分子量について、どこの高さまで均質に存在しているのか、「一般気象学」p23、表2.1、「諸物理量の各高度における値(米国標準大気モデル.1
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第63回試験・一般知識まず、今回の問題の表題である「フェーン現象」とは何かについて、簡単に触れておきたいと思います。フェーン現象とは、気流が山を越えることによって風下側の気温が上昇する現象のことをいいます、強風を伴って、湿度が低下して乾燥するため、火災が発生する原因になることがあります。また、フェーン現象には2種類あり、水蒸気の凝結によって降水が伴うもの、つまり空気塊が移動中、飽和した状態時に湿潤断熱減率に沿って温度が変化するもの
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第62回試験・専門知識(a)(気象庁HP:令和5年度数値予報解説資料集p34より)上の2つの図を見ながら考えてみます。数値予報では、前回の予報値を第一推定値に利用してデータ同化(客観解析)を行うことで解析値を作成し、さらに初期値化を行なって初期値から予報計算を実行して次のデータ同化の第一推定値として利用するということを繰り返して解析精度が保たれています。この繰り返しのことを「解析予報サイクル」とよんでいます。観測点
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第62回試験・専門知識今回は、本文を読みながら、下線部の正誤について考えてみます。(第1段落)まず、「数値予報には、数値予報モデルやその初期値が完全でないことなどに起因する誤差が含まれる。地球大気を扱う数値予報モデルでは、格子間隔より小さなスケールの現象によって生じる効果を、(a)格子点における物理量を用いて近似的に評価しているので、実際の現象とは厳密に一致せず、誤差が生じる要因の一つとなっている。」とあります。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・実技試験2(解答図)今回は、図1の地上天気図における気圧分布の特徴が分かりやすくなるように、問題文の下表にある地点A~Fの気圧値に留意しながら1010hPaの補助等圧線を記入せよ、という内容です。まず、地上天気図に描かれる等圧線についてですが、地上天気図では、4hPaごとに細実線の等圧線、20hPaごとに太実線の等圧線が描かれているのが基本的な形です。問題文にもあります通り、気圧分布の特徴をわかりやすくす
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第62回試験・実技試験2・問3今回も、本文を読みながら、空欄に入る適切な語句、あるいは数値を考えてみます。まず、「13時のレーダーエコーによると、西郷付近に楕円形の渦Aが見られ、西郷の西約(①)kmにも渦Bが見られる。」とあります。13時の図において、渦Aの中心付近と見られる西郷の位置から、その西にある渦Bの中心との図上の距離を測りますと42mm、一方の緯度1°の図上の距離は23mmとなりますので、42÷23
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・専門知識今回は、北半球の偏西風帯におけるジェット気流について、亜熱帯ジェット気流と寒帯前線ジェット気流の2種類のジェット気流の特徴や前線帯との対応などに関する問題です。早速、(a)から見ていきます。(a)まず初めは、ジェット気流の風速が下流ほど強くなっている領域、すなわち、ジェット気流が加速している領域と、ジェット気流の風速が下流ほど弱くなっている領域、すなわち、ジェット気流の風速が風下ほど減速している領
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第58回試験・実技試験2・問2今回は、図6、図8および図1、図5を用い、「」図6(下)の枠を抜き出した解答用紙に前線を記号を付して記入せよ、という内容の作図問題を考えていきます。まず、「図1、図5を用い」というところで、初期時刻の17日21時で図5の850hPa面の気温分布に図1の地上低気圧の中心とその低気圧に伴う前線を重ねたものが上図になります。これによりますと、地上低気圧の中心から延びる寒冷前線は、6℃~12℃
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第58回試験・実技試験1今回は、府県気象情報の文を読んでいきながら空欄を考えてみます。(気象庁HP:知識・解説>天気予報等で用いる用語>1日の時間細分図より)まず、「釧路・根室地方では、発達する低気圧の影響により、15日夜遅くから16日夕方にかけて(①)のち南西の風が非常に強くなり、」とあります。この中の「15日夜遅く」や「16日夕方」とは、1日の時間細分で何時から何時までの時間帯かを初めに知っている必要があります。「15
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第52回試験・実技1・問3問題文によりますと、「河川Kの水位が上昇したことにより、河川Kの氾濫以外にも、洪水災害として注意警戒すべき事項があり、注意報・警報基準にもなっている。」とあります。特に「河川Kの氾濫以外」とありますので、洪水注意報・洪水警報以外で、「河川Kの水位が上昇したことにより、洪水災害として注意警戒すべき事項があり、注意報・警報基準にもなっている。」のは何かを考えることになります。次に、「短時間の雨
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・実技試験2今回の問題は、図10の「内之浦を通る東西鉛直断面の相当温位・風・湿数」の12時間および24時間の各予想図について、内之浦のすぐ西の東経131°における大気の鉛直構造において、950hPaから700hPaまでの間で温度移流が弱いのは30日9時・30日21時のどちらかという内容です。まず、わかりやすくするため、問題文の内容を基に、950hPaと700hPaを青い線、東経131°を赤い線で引いてみました。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第62回試験・実技試験1(気象庁HP:知識・解説>防災気象情報と警戒レベルとの対応についてより)上図は段階的に発表される防災気象情報と対応する行動についてまとめた図になっています。この図と図14とを見ながら問題を考えてみます。まず志摩市から見ますと、市の全域が黄色で示されており、キキクルでは注意【警戒レベル2相当】となっています。これに対応する警報・注意報は「大雨警報に切り替える可能性が高い注意報」ということで下枠からエ
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第53回試験・実技2・問4今回は、前問の問4(2)の海老名における18日の気象経過について述べた文章の下線部、「気温の急変が起こり、」の要因を述べよ、という設問です。まず、この要因を考えるにあたり、この文章で最も重要な手掛かりとなる部分があります。それは、「14時頃、瞬間風速が一時的に強まるとともに風向が大きく変化した。これに伴ってしゅう雨が観測され、10分間降水量の最大値は⑥11.5mmに達した。」という部分です。さらに、図8で
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第40回試験・実技試験2今回は、館野の状態曲線より、(1)の問いで実際にエマグラムを自分で操作してSSIを求め、(2)の問いでその結果を基に大気の成層状態と想定される大気現象について述べよ、という内容の問題です。(1)エマグラムによる作図の過程を上図に示してみました。前回の繰り返しになりますが、SSI(ショワルターの安定指数)とは、一般的に850hPaの高度にある空気塊を断熱的に500hPaの高度まで持ち上げとときに、
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第50回試験・実技1通常、前線解析では、850hPaの等相当温位集中帯の暖気側の縁や風向シアーに着目したのち、前線面が高度とともに寒気側に傾いていることを考慮に入れて温暖前線では緯度2度程度、寒冷前線では緯度1度程度、暖気側にずらして解析を行うのですが、今回の問題では「地上前線は850hPa前線とほぼ同じ位置とする。」という指示を見落とさないようにして解析を行います。温暖前線は。閉塞点から等相当温位線集中帯の暖気側、
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第52回試験・専門知識(a)本文にあります通り、実際の大気中における総観規模の現象に対しては、コリオリ力と気圧傾度力が釣り合う地衡風平衡近似がよい精度で成り立っているのですが、あくまで近似的であり、完全に釣り合っているわけではありません。実際には、わずかに両者のバランスが崩れているため、大気の移動方向や移動の速さといった大気の流れが生まれているわけです。したがって、コリオリ力や気圧傾度力の変化を予測する必要が出てきます
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・専門知識今回は、数値予報プロダクト(天気予報ガイダンスに加工される前の格子点値)の利用にあたって留意すべき事項について述べた文の正誤を判断する内容の問題です。天気予報ガイダンスに加工される前の格子点値、すなわち数値予報モデルの計算によって得られた段階で、これから予想天気図などに加工される前の段階における予想値のことを「数値予報プロダクト」といいます。それでは(a)から見ていきます。(a)数値予報プロダクト
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第63回試験・実技試験1まず、今回のようなトラフ解析の問題につきましては過去に何度も問われていますので、解析の留意点を整理しておきたいと思います。トラフ(気圧の谷)は周囲と相対的に低圧な領域をいいます。基本的にはその領域は500hPa等高度線では曲率の大きな部分を結んだ線として解析することができます。トラフは低気圧の中心を起点として解析することが多いです。ここから曲率の大きな部分を結んで延ばしていくわけですが、注意すべき点はトラフ
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第62回試験・専門知識(a)表面雨量指数とは、短時間強雨による浸水危険度の高まりを把握するための指標です。降った雨が地中に浸み込みやすい山地や水はけのよい傾斜地では、雨水が溜まりにくいという特徴がある一方、地表面の多くがアスファルトで覆われている都市部では、雨水が地中に浸み込みにくく地表面に溜まりやすいという特徴があります。表面雨量指数は、こうした地面の被覆状況や地質、地形勾配などを考慮して、降った雨が地表面にど
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・一般知識今回の設問では、気温、気圧、相対湿度、さらに水蒸気の気体定数と与えられた気温における飽和水蒸気密度の値が与えられており、これらの値から、ある空気塊における乾燥空気の分圧を求める、というものです。まず、これらの値の中に、気温・気圧・水蒸気の気体定数があることから、問題文を読んだ時点で気体の状態方程式を使うのではないかということが見え透いてきます。気体の状態方程式とは、p=ρRTp:気圧(
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・実技試験2今回は、穴埋め問題ということで、本文を読みながら空欄を埋めていきたいと思います。(第1段落)「この台風が予報円の中心を進む場合、24時間後までの移動距離は約(ⓐ)海里、平均の移動の速さは(ⓑ)ノットと予想される。」とあります。まず、移動距離を求めてみます。初期時刻の台風の中心位置は先島諸島付近(25.5N124.8E)にあり、北東に進んで24時間後の7日9時(070000UTC)には、種
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)気象庁:「気象観測統計の解説」p5、「2.3.7極値」の項目では、ある期間に観測された値の最大値(最高値)または最小値(最低値)を「極値」、最大または最小の値が発現した日(時刻)のことを「起日(起時)」とよんでいます。例えば、8月15日の日最高気温が年最高気温になる場合の起日は「8月15日」、15時30分の気温が日最高気温になる場合の起時は「15時30分」で、用語は初めでは慣れない表現ですが、特に
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第60回試験・専門知識まず初めに、「天気予報ガイダンス」について、簡単に概要を述べておきたいと思います。(気象庁予報部数値予報課:ガイダンスについて〜近年の特性と降⽔量ガイダンスの改良〜p5より)天気予報ガイダンスの目的は大きく2つあり、一つは①「天気翻訳」、もう一つは②「誤差修正」です。①天気翻訳数値予報において数値予報モデルの各格子点の物理量が計算された結果、予測値すなわち数値予報プロダクトが出力されるわけですが
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第61回試験・実技試験2今回は、図10と図11を使って、東経127.5°に沿って描画された点D、E、Fについて、850hPaの相当温位で赤線に沿って見たときの相対的な特徴と、図11の同じ各点における950hPaの相当温位と比較したときの安定性として適切なものをそれぞれ下枠から選んで解答せよ、ということで、点D、E、Fの順に考えてみます。(点D)図10から見ますと、850hPaでは等相当温位線の集中帯、すなわち等相当温位の傾
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)数値予報モデルは、本文にありますように、予報領域に応じたモデルに用いる時間間隔(ステップ:「タイムステップ」・「積分時間間隔」ともいいます。)ごとに大気の状態の計算を繰り返して将来の状態を予測するという構造になっています。気象庁の現業における数値予報モデルの仕様では、全球モデル(格子間隔20km)で400秒(6分40秒)、メソモデル(格子間隔5km)で20秒となっています。したがって、下線部