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❖大阿闍梨の道比叡山に取り憑かれた三人の阿闍梨三章酒井雄哉生々流転の行者60一九八〇年(昭和五十五年)三月二十八日、雄哉は、京都大廻りに出峰した。この日、いつものように午前零時に起床し、朝のお勤めをしたあと、浄衣に着替えて明王堂に向かった。そこで先達の光永澄道師、内海俊照師の見守るなかで、不動明王に古式の作法に従って参拝した。山内三十キロを巡拝したあと、いったん宝珠院に帰り、このあとさらに五十四キロを歩くのである。再び無動寺坂を上り、根本中堂を経て、雲母坂から赤山禅院へ駆け下りた。こ
❖大阿闍梨の道比叡山に取り憑かれた三人の阿闍梨三章酒井雄哉生々流転の行者77雄哉は二千日回峰行を満行した後は、なにも考えていなかった。まわりは「どうしますか、今どんなことをお考えですか」って聞くが、「今日で終わったのかなあ」という感覚だった。たとえ『生き仏』と崇められても『大阿闍梨』の称号を授けられても何も変わらないのである。人からすごいと思われたくもない。雄哉のところに来ると、みな力が抜けてしまう。会う前は『なんだかすごい坊さんらしいぞ』なんて思って、ガチガチになってやってくる。気
こんにちは今年8月半ばに日帰りで福井県へ行った続きで、帰り道です。ちょうど寄り道したいところがあり、渋滞も避けたいと思いましたので、鯖街道を通ることにしました鯖街道とは、福井県小浜市と京都を結ぶ「若狭街道」が、若狭湾で獲れたサバを運んだことから名付けられた街道です。画像はありませんが、道中は空いていて、景色も綺麗でした久しぶりに、日本遺産熊川宿も通りました最後にやって来ましたのは、鯖街道の中間地点にある、滋賀県高島市の道の駅「くつき新本陣」です。こちらで、焼き鯖寿司を購入しまし
:❖大阿闍梨の道比叡山に取り憑かれた三人の阿闍梨一章正井観順津軽の覚蔵⑨行の最中に『比叡山の土に』還った観順。大往生を遂げた場所には、杉の木の根が土の上を這うように盛り上がっている。「ひとが横たわるように盛り上がってきたのだから決してふんではならぬ」と小僧のころ師匠から教えられた。今でも修行者は道の真ん中に盛り上がっている杉の根を決して踏まない、合掌して通るのだと。毎日三千仏礼拝行も行った。畳には五つも六つもの穴が開いた。頭と両肘、両膝を地につけ、続いてその場に立って合掌する。これ
第32回松本清張賞受賞作『白鷺(はくろ)立つ』住田祐(すみださち)江戸後期の比叡山延暦寺に、大きな秘密を抱えた仏僧の師弟がいた。命懸けの修行〈千日回峰行〉を成し遂げ、自らの存在を証し立てよ。「死ぬか、名を残すか」命懸けの修行に挑む僧侶たちを描いた松本清張賞受賞作『白鷺立つ』に感情を揺さぶられた!直木賞作家・川越宗一が読む比叡山延暦寺に伝わる、命懸けの仏道修行〈千日回峰行〉に挑む二人の僧侶の姿を描く、第32回松本清張賞受賞作『白鷺(はくろ)立つ』(住田祐(すみださち))が、20