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こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第63回試験・一般知識まず、今回の問題の表題である「フェーン現象」とは何かについて、簡単に触れておきたいと思います。フェーン現象とは、気流が山を越えることによって風下側の気温が上昇する現象のことをいいます、強風を伴って、湿度が低下して乾燥するため、火災が発生する原因になることがあります。また、フェーン現象には2種類あり、水蒸気の凝結によって降水が伴うもの、つまり空気塊が移動中、飽和した状態時に湿潤断熱減率に沿って温度が変化するもの
こんばんは。2021年1月31日に行われる第55回気象予報士試験の受験申請が始まりました。12月4日までとなっていますが、受験される方は早めに申請を済ませておきましょう。それでは問題を考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問2(1)空気塊が地上から乾燥断熱線に沿って持ち上げ凝結高度に達し凝結が始まりますと、今度は湿潤断熱線に沿って上昇することになります。今回の名瀬のケースでは、空気塊が960hPaで持ち上げ凝結高度に達して湿潤断熱線に沿って上昇するときに、
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問2今回は図5(下)の館野の状態曲線について、地上から700hPaまでの高度にみられる2つの逆転層のうち、高度の高い方にある逆転層の上端の高度とその逆転層の種類について、問題文の下枠の中から解答せよ、という問題です。まず、「高度の高い方の逆転層」とは、下端が830hPaで上端が800hPaのことを指していますので、解答はその上端の高度、800hPaとなります。なお、気象業務支援センター解答例では790h
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第60回試験・専門知識問題文では、地表近くの空気塊があり、気圧が1000hPa、温度26℃、水蒸気の混合比が12.4g/kgで与えられています。一方、水蒸気の混合比についての式が、水蒸気の混合比[g/kg]=620×水蒸気分圧[hPa]/気圧[hPa]と与えられていますので、まず初めにまだわかっていない地表近くの空気塊の水蒸気分圧eとして、eを求めてみますと、12.4=620×e/1000両辺を620で割って0
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。初めに、「仮温度」という考え方を理解するための要点は2つあると僕は考えています。☆一つは乾燥空気と湿潤空気とを同温・同圧・同体積の条件で比較すると、乾燥空気の方が重く、湿潤空気が軽いということです。水蒸気を含んでいる湿潤空気の方が重いのでは?というイメージを持たれている方がいらっしゃるかもしれませんが、実は逆です。乾燥空気の分子量は窒素と酸素の割合が4:1と仮定しますと、(28×4)+(32×1)÷(4+1)≒29と
こんばんは。今回は、図5(下)の館野の状態曲線についての問題です。問題では、地上から700hPaの高度の間に2つの逆転層があり、このうちの高度が高いところにある方の逆転層の上端の高度と、逆転層の種類を問題の下枠から選択する、という内容です。前問が「沈降性逆転層」だったのでそれとの比較ではないか。また「図3を参考にして」とあるのが大きなヒントになりそうですが、今回はどうでしょうか、次回一緒に考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問2※記事中の問題文及び図表は一般財
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第62回試験・一般知識初めに問題に入る前に、混合比、温位、相当温位について触れておきたいと思います。まず、混合比は混合比(q)=水蒸気の質量/乾燥空気の質量で表されます。これを湿潤空気の気圧(p)、水蒸気圧(e)、乾燥空気の分圧(p-e)で表す場合の混合比(q)は、q=0.622×(e/p-e)ふつうe/pは0.04を越えることはなく、つまり水蒸気圧は湿潤空気の気圧より2桁小さく、分母のeは省略することができ、q=0.
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・一般知識(b)一般気象学p145の図を見ながら考えていきます。前回の(a)の考察で静力学平衡について触れました。静力学平衡は、⊿p=-ρg⊿z…①で表されます。ここで気圧差⊿pを一定として考えてみますと、気層の厚さ⊿zは空気密度ρによって変動すると考えることができます。空気密度ρは気層内の平均温度によって変動し、気温が高いほどρが小さくなって⊿zが大きくなり、気層が厚くなります。逆に気温が低い
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第61回試験・一般知識(a)今回の問題は、「地表面付近の未飽和の水蒸気を含む空気塊」とあることから、湿潤空気塊を持ち上げたときの温位および水蒸気の混合比の変化を考えるわけですが、その前に乾燥空気塊を地表面から持ち上げる際の温位の変化を「一般気象学」p72図3.14「自由対流高度の説明図」を見ながら考えてみます。乾燥空気塊を断熱的に持ち上げるときは水蒸気の凝結は考えなくていいわけですから飽和に達することもありません。すなわち、空
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・一般知識はじめに今回の問題について、(a)、(b)それぞれにあてはまるのは何か、その解答に導くまでのプロセスが長くなりそうですので、(a)と(b)で考察編を2回に分けたいと思います。できるだけ平易に考察できるように努めますのでよろしくお願いします。(a)初めに熱力学第一法則について、ある空気塊を加熱することを考えます。この空気塊の加熱する熱量を⊿Qとしますと、この⊿Qは空気塊を構成する気体の分子の運動をより活発化
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問2(1)まず、逆転層の種類として、問題文の下枠の「接地逆転層」、「沈降性逆転層」、「前線性逆転層」について、一般知識のおさらいとして簡単に振り返ってみたいと思います。《接地逆転層》夜間の放射冷却によって地表に接する空気が冷やされて、その上にある空気より気温が下がる場合に、形成される逆転層です。特に冷気が溜まりやすい山地に囲まれた盆地で発達しやすいのが特徴です。《沈降性逆転層》高気
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第58回試験・一般知識今回の問題は、「混合比」の理解が問われている内容になります。ある空気塊があるとき、その空気塊の中に含まれている水蒸気と乾燥空気との質量比のことを「混合比」とよんでいます。すなわち、混合比(g/kg)=水蒸気の質量(g)/乾燥空気の質量(kg)…(1)と表わされます。今回の問題は水蒸気の質量を求める内容であることから、(1)式より、水蒸気の質量=乾燥空気の質量×混合比…(2)の関係が
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第61回試験・一般知識まず、本文を読んで、この問題で最終的に何の値を求めるのかを明確にしましょう。「空気塊が山脈の最高点にあった時の空気の相対湿度」であるということで考えてみます。相対湿度とは、「一般気象学」p60にありますように、「単位容積(1㎥)内の水蒸気の量とその時点の温度に対応する飽和水蒸気密度の比である。」ますが、当問では、本文の下の表で、温度と飽和水蒸気圧の関係が示されていることから、ある空気塊がもつ水蒸気圧の飽和水蒸気
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第59回試験・一般知識(小倉義光「一般気象学第2版補訂版」2016東京大学出版会p69図3.11を基に作成)まず、温度T(問題文ではT0)未飽和の空気の混合比が飽和して飽和混合比とイコールになるということは、図にありますようにある地点の気温Tと同じ気圧pのときの等飽和混合比線との交点T1の温度、つまり「露点温度」ということであり、この部分で誤りということになります。一方で「湿球を通過した空気」とあります
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第63回試験・一般知識Aまず、比湿の定義について確認しましょう。大気の熱力学におきましては用語がたくさん出てきますのでそこが結構難しいところなんですが、比湿とは、水蒸気と水蒸気を含んだ状態の空気との質量比、言い換えますと、水蒸気と空気全体との質量比のことをいいます。すなわち、比湿=水蒸気の質量(g)/空気全体の質量(kg)ということです。以上を踏まえて比湿の定義に代入して求めますと、10/(990
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第57回試験・一般知識今回も本文を読んでいきながら選択肢のどれが当てはまるか考えてみます。「この大気において、高度500mで気温が20℃とすると、高度1.5kmにおける気温Tの範囲は(a)である。」とあります。この文について、「一般気象学」p71の図3.13「湿潤大気の静的安定性」を見ながら考えますと、問題文の冒頭で、「乾燥断熱減率は10℃/km、湿潤断熱減率は5℃/km」という条件から、高度500m(0.5km)の
こんばんは。今回から、第50回試験の直前にかけて、学科の過去問題からいくつかを採りあげてみたいと思います。今回は、大気の熱力学から、第21回試験・一般・問5について(a)の「湿潤断熱過程」と「偽断熱過程」の内容を中心に一緒に考えてみたいと思います。第21回試験(平成15年度第2回)※記事中の問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの許可を頂いて使用しています。考察編は24日23時更新予定です。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第58回試験・一般知識まず、本文にある、「理想気体における一般気体定数と乾燥空気及び水蒸気の気体定数の関係」について考えてみます。一般気体定数とは、「同じ数の分子を含む気体は同じ圧力・同じ温度のもとでは同じ容積を占める」というアボガドロの法則から、1キロモルの気体について、pV/T(p:圧力、V:容積、T:温度)の量は、気体の種類に関係なく一定であり、それを示す一定の値のことで、R*で表されます。なお、「キロモル数(n)」は物質の
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第63回試験・一般知識(a)「移流霧」は暖かく湿った空気が冷たい地表面や海面に移動したときに空気が下から冷却されることにより、空気内の水蒸気が過飽和になることで凝結して発生する霧のことをいいます。したがって、本文の内容は誤りとなります。(b)「放射霧」は、主に陸上で風が弱いとき、地表面の放射冷却によって地表面に接した気塊の温度が低くなる、すなわち気塊の水蒸気圧はそのままで気温が低下することによって、水蒸気が過飽和に
こんばんは。今回の一般知識は、大気の熱力学からフェーン現象についての問題です。標高0mの平野にある標高1500mの山があり、大気はどこでも気温減率が6℃/kmで、標高0mの気温は30℃であるとき、山の左側の高度1200mの微小な空気塊を、山を越えて右側の標高0mの麓まで、周囲と混合しないように断熱的に下降させたとし、このときの下降後の空気塊の温度は何℃かという内容の計算問題です。この「フェーン現象」とはどういう現象かについても簡単に触れながら、計算で何℃と求められるのか、次回、一緒に考
こんばんは。今回の一般知識は、大気の熱力学から、水蒸気の混合比、気圧、水蒸気の分圧の関係式を使い、さらに温度と飽和水蒸気圧の関係および高度と気圧の関係を表わした表を使って、持ち上げ凝結高度と飽和水蒸気圧の正しい組み合わせを求める内容の計算問題について次回、一緒に考えてみたいと思います。第60回試験・一般知識問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。11日分の考察編は次回更新の予定です。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・一般知識今回は、大気の熱力学から、ある空気塊の飽和水蒸気圧と飽和混合比を基準として、(a)、(b)、(c)の気温や気圧の異なる空気塊との大小関係を問う内容の問題です。早速(a)から見ていきたいと思います。(a)水蒸気圧とは、空気中に含まれている「水蒸気の分圧」のことをいいます。すなわち、気圧=乾燥空気の分圧+水蒸気圧、と考えることができます。この空気中に含まれる水蒸気なんですが、実は上限があり、上限まで空
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第62回試験・実技試験1・問4まず、問題にある「対流不安定」について簡単に触れておきたいと思います。上空に冷たく乾燥した空気が入り込む、あるいは、下層に暖かく湿った空気が入り込むといった理由で、下層において高温・湿潤な空気、上層で低温・乾燥な空気となって、温位(相当温位)が高度とともに低くなる気層となる場合、その気層は対流不安定な気層となります。そこで、図13(左)に着目して、高度とともに相当温位が低くなる気層はどこか見ます
こんばんは。今回の一般知識は、霧についての問題です。発生の要因によって、主に移流霧、放射霧、上昇霧(滑昇霧)がありますが、(a)、(b)、(c)の文の内容が正しいかどうか考えてみましょう。次回、一緒に考えてみたいと思います。第63回試験・一般知識問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。18日分の考察編は次回更新の予定です。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第52回試験・一般知識(a)は、先に正解を申しますと、「密度」が入ります。つまり、仮温度とは、「ある湿潤空気に対して、同じ圧力、同じ密度をもつ乾燥空気の温度」と定義されることになります。これは、湿潤空気を同じ圧力、同じ密度をもつ乾燥空気にいわば置き換える操作を行うことを意味するのですが、どういう操作を行うのでしょうか。温度と圧力が同じの湿潤空気と乾燥空気の2つの空気塊があるとします。温度と圧力が同じなのですから2つの空気塊を分子量で
こんばんは。今回の一般知識は、大気の熱力学からの問題です。問題では、A、B、Cの3種類の湿潤空気塊があって、これらの空気塊の比湿をそれぞれ求めて大小関係どうなのかを考えるという内容です。次回、一緒に考えてみたいと思います。第63回試験・一般知識問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。10日分の考察編は次回更新の予定です。
こんばんは。今回の一般知識は、大気の熱力学から、大気中を鉛直方向に運動する未飽和の空気塊について、本文中の(a)(b)の空欄に当てはまる適切な語句を選択する内容の問題です。大気中の高度Aにおいて本文中の温度減率のとき、周囲の大気と気圧が等しく周囲より温度が4℃低い空気塊を静かに放出するとどうなるのか、次回、一緒に考えてみたいと思います。第62回試験・一般知識問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。9日分の考察編は次回更新の予
こんばんは。今回も名瀬の状態曲線についての問題です。最後の④は①~③の考察から、①の逆転層の種類は何か、という問いです。問題文の下枠には、接地逆転層・沈降性逆転層・前線性逆転層の3種類の選択肢があり、この中から選ぶ形です。この3種類の逆転層はそれぞれどんな成因で形成されるのかも含めて、次回一緒に考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問2※記事中の問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。18日分の考察編は次回更新の予定です。
こんばんは。今回の一般知識は、大気の熱力学から、シリンダーとピストンでできた容器に未飽和の湿潤空気を封入し、ピストンがA、B、Cの位置にあるときの混合比q、温位θ、相当温位θeそれぞれの関係式(a)(b)(c)の正誤について検討する内容の問題です。大気の熱力学に入りますと、混合比、温位、相当温位といろんな概念が出てきますので、初学者の方が最初につまずきやすいところでもあります。今回の問題を通して、それぞれの概念を整理しておきましょう。次回、一緒に考えてみたいと思います。第62
こんばんは。今回の一般知識は、大気の熱力学から大気中の温度や水蒸気圧などについて述べた文の正誤を判断する問題です。温位とは?、相当温位とは?、飽和水蒸気圧とは?などこの先に学習する専門知識や実技試験への理解につながる知識ですので腰を据えてしっかり学習していきましょう。次回一緒に考えてみたいと思います。第57回試験・一般知識問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。22日分の考察編は次回更新の予定です。