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こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第59回試験・一般知識まず、問題を読んで着目すべき大事なところは「各地点の地上気圧が等しいとき」及び「いずれの地点でも大気は静力学平衡の状態」というところで、地上(高度0m)の気圧はAもBもCも同じ、つまり「地上から大気上端にかけての気柱の重さのトータルはAもBもCも同じである。」ということが一つ、もう一つは、それでは何の大小関係を求めるのか、というところで高度1000hPaにおける地点A・B・Cの3つの気圧の大小関係、つまり
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第61回試験・一般知識(a)今回の問題は、「地表面付近の未飽和の水蒸気を含む空気塊」とあることから、湿潤空気塊を持ち上げたときの温位および水蒸気の混合比の変化を考えるわけですが、その前に乾燥空気塊を地表面から持ち上げる際の温位の変化を「一般気象学」p72図3.14「自由対流高度の説明図」を見ながら考えてみます。乾燥空気塊を断熱的に持ち上げるときは水蒸気の凝結は考えなくていいわけですから飽和に達することもありません。すなわち、空
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第20回試験・一般知識まず、問題文を読みますと、「水蒸気を含まない空気塊」とあります。これはすなわち、乾燥空気塊のことを指しています。この問題は主に熱力学第一法則(エネルギー保存の法則)について問われている内容になります。熱力学第一法則(エネルギー保存の法則)は、⊿Q=⊿U+⊿Wと表わされます。⊿Qは気体に加えられた熱量、⊿Uは気体の温度上昇(内部エネルギーの増加)、⊿Wは外部にする仕事で、気体は熱を加
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第57回試験・一般知識(a)ある空気塊があって、その空気塊の高度を上下させたときの温度を考えます。空気塊は断熱的に上昇させますと、気圧が下がって断熱膨張することによって気温が下降しますし、断熱的に下降させますと気圧が上がり断熱圧縮することによって気温が上昇します。すなわち気圧の変化によって空気塊の温度も変化してしまうことを意味しています。(受験時代のノートより)天気の移り変わりを考える上でこのままですと不便なこと
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・一般知識今回は、大気の熱力学から、ある空気塊の飽和水蒸気圧と飽和混合比を基準として、(a)、(b)、(c)の気温や気圧の異なる空気塊との大小関係を問う内容の問題です。早速(a)から見ていきたいと思います。(a)水蒸気圧とは、空気中に含まれている「水蒸気の分圧」のことをいいます。すなわち、気圧=乾燥空気の分圧+水蒸気圧、と考えることができます。この空気中に含まれる水蒸気なんですが、実は上限があり、上限まで空
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第57回試験・一般知識今回も本文を読んでいきながら選択肢のどれが当てはまるか考えてみます。「この大気において、高度500mで気温が20℃とすると、高度1.5kmにおける気温Tの範囲は(a)である。」とあります。この文について、「一般気象学」p71の図3.13「湿潤大気の静的安定性」を見ながら考えますと、問題文の冒頭で、「乾燥断熱減率は10℃/km、湿潤断熱減率は5℃/km」という条件から、高度500m(0.5km)の
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第53回試験・一般知識ある空気塊があって、その空気塊の高度を上下させたときの温度を考えます。空気塊は断熱的に上昇させますと、気圧が下がって断熱膨張することによって気温が下降しますし、断熱的に下降させますと気圧が上がり断熱圧縮することによって気温が上昇します。すなわち気圧の変化によって空気塊の温度も変化してしまうことを意味しています。(受験時代のノートより)天気の移り変わりを考える上でこのままですと不便なことが多
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第58回試験・一般知識まず、本文にある、「理想気体における一般気体定数と乾燥空気及び水蒸気の気体定数の関係」について考えてみます。一般気体定数とは、「同じ数の分子を含む気体は同じ圧力・同じ温度のもとでは同じ容積を占める」というアボガドロの法則から、1キロモルの気体について、pV/T(p:圧力、V:容積、T:温度)の量は、気体の種類に関係なく一定であり、それを示す一定の値のことで、R*で表されます。なお、「キロモル数(n)」は物質の
こんばんは。早速ですが考えてみたいと思います。はじめに、図の凡例に着目しますと、細い実線は乾燥断熱線、点線が湿潤断熱線であることに注意します。その上で大気の静的安定度について確認してみることにします。「一般気象学」のp71にも載っていますが、簡単な図にしてみました。エマグラムを学習されている方はすぐにお分かりかと思いますが、傾きが大きい(寝ている)方が乾燥断熱線、傾きが小さい(立っている)方が湿潤断熱線です。実はこの知識だけで選択肢は絞られてしまいます。したがって
こんばんは。早速ですが考えてみたいと思います。まずは、相対湿度・水蒸気密度・比湿のそれぞれの意味を確認してみましょう。☆相対湿度その空気塊の水蒸気の分圧(水蒸気圧)とそのときの気温における飽和水蒸気圧との比を百分率で表したものをいいます。飽和水蒸気圧は温度のみで決定する値、つまり温度によってその空気塊が限界まで含むことのできる水蒸気圧の値のことです。相対湿度=空気塊の水蒸気圧/そのときの温度における飽和水蒸気圧×100(%)(小倉義光「一般気象学」
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問2(1)まず、逆転層の種類として、問題文の下枠の「接地逆転層」、「沈降性逆転層」、「前線性逆転層」について、一般知識のおさらいとして簡単に振り返ってみたいと思います。《接地逆転層》夜間の放射冷却によって地表に接する空気が冷やされて、その上にある空気より気温が下がる場合に、形成される逆転層です。特に冷気が溜まりやすい山地に囲まれた盆地で発達しやすいのが特徴です。《沈降性逆転層》高気
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・一般知識(b)一般気象学p145の図を見ながら考えていきます。前回の(a)の考察で静力学平衡について触れました。静力学平衡は、⊿p=-ρg⊿z…①で表されます。ここで気圧差⊿pを一定として考えてみますと、気層の厚さ⊿zは空気密度ρによって変動すると考えることができます。空気密度ρは気層内の平均温度によって変動し、気温が高いほどρが小さくなって⊿zが大きくなり、気層が厚くなります。逆に気温が低い
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第53回試験・一般知識(a)登山などで標高の高いところへ行くことを想像するとわかりやすいかと思いますが、高度が高くなるにつれて空気は薄くなっていきます。これは言い換えますと、対流圏内における空気密度は高度が高くなるにつれて小さくなっていくことを意味します。したがって、「ほぼ一定」とする下線部の内容は誤りということになります。(b)「一般気象学」p251の図で、500hPa面の高度を対流圏中層のおよそ5000mと考え
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第59回試験・一般知識(小倉義光「一般気象学第2版補訂版」2016東京大学出版会p69図3.11を基に作成)まず、温度T(問題文ではT0)未飽和の空気の混合比が飽和して飽和混合比とイコールになるということは、図にありますようにある地点の気温Tと同じ気圧pのときの等飽和混合比線との交点T1の温度、つまり「露点温度」ということであり、この部分で誤りということになります。一方で「湿球を通過した空気」とあります
こんばんは。今回の一般知識は、大気の熱力学から、ある空気塊の飽和水蒸気圧と飽和混合比を基準として、(a)、(b)、(c)の気温や気圧の異なる空気塊との大小関係を問う内容の問題です。飽和水蒸気圧は何によって決まるのか、飽和混合比はエマグラムがイメージできていれば正解できたのではないかと思います。(a)、(b)、(c)の内容の正誤について次回一緒に考えてみたいと思います。第56回試験・一般知識※記事中の問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第24回試験・一般知識(a)ある乾燥空気の空気塊について考えます。熱力学第一法則は式で書きますと、⊿Q=⊿U+⊿W・・・①式すなわち、外から加えられた熱量(⊿Q)は、内部エネルギーの増加(⊿U)と、外に対する仕事(⊿W)を足し合わせた値であると書くことができます。このうち、外に対する仕事とは空気塊が外へ向かってどれだけの力で押しのけるかという働きで、一定の圧力の下で膨張していく働きとして現れます。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第62回試験・一般知識初めに問題に入る前に、混合比、温位、相当温位について触れておきたいと思います。まず、混合比は混合比(q)=水蒸気の質量/乾燥空気の質量で表されます。これを湿潤空気の気圧(p)、水蒸気圧(e)、乾燥空気の分圧(p-e)で表す場合の混合比(q)は、q=0.622×(e/p-e)ふつうe/pは0.04を越えることはなく、つまり水蒸気圧は湿潤空気の気圧より2桁小さく、分母のeは省略することができ、q=0.
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第60回試験・専門知識問題文では、地表近くの空気塊があり、気圧が1000hPa、温度26℃、水蒸気の混合比が12.4g/kgで与えられています。一方、水蒸気の混合比についての式が、水蒸気の混合比[g/kg]=620×水蒸気分圧[hPa]/気圧[hPa]と与えられていますので、まず初めにまだわかっていない地表近くの空気塊の水蒸気分圧eとして、eを求めてみますと、12.4=620×e/1000両辺を620で割って0
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・一般知識はじめに今回の問題について、(a)、(b)それぞれにあてはまるのは何か、その解答に導くまでのプロセスが長くなりそうですので、(a)と(b)で考察編を2回に分けたいと思います。できるだけ平易に考察できるように努めますのでよろしくお願いします。(a)初めに熱力学第一法則について、ある空気塊を加熱することを考えます。この空気塊の加熱する熱量を⊿Qとしますと、この⊿Qは空気塊を構成する気体の分子の運動をより活発化
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問2今回は図5(下)の館野の状態曲線について、地上から700hPaまでの高度にみられる2つの逆転層のうち、高度の高い方にある逆転層の上端の高度とその逆転層の種類について、問題文の下枠の中から解答せよ、という問題です。まず、「高度の高い方の逆転層」とは、下端が830hPaで上端が800hPaのことを指していますので、解答はその上端の高度、800hPaとなります。なお、気象業務支援センター解答例では790h
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第17回試験・一般知識Δq=CpΔT-αΔp(1)設問の(1)式は他のテキストや問題集によく載っている「熱力学第1法則」の式になります。もしこの式を完全に理解できていなくても、「外から加えられる熱エネルギー」は、「定圧比熱と温度の変化を掛け合わせたもの」から「比容と圧力の変化を掛け合わせたもの」差し引いたもの、と読み取ることができればOKです。(a)「加えられる熱エネルギーが0」とはどういうことでし
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・一般知識今回は、湿潤大気中において、ある空気塊を持ち上げたときの気温変化について書かれた文章内の(a)、(b)にあてはまる適切な数値を答えよ、という内容の問題です。早速考えてみます。簡単のため、「一般気象学」p72の図3.14を参考にしながら今回の問題についての図にしてみました。なお、温度や高度のスケールが正確でないところはご了承ください。地上にある空気塊を持ち上げることを考えます。初めは未飽和ですの
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・一般知識問題の図によりますと、北緯30°という同じ緯度に点Aと点Bがあって、850hPa面では同じ強さの南風が吹いており、500hPa面において点Aで南東の風が吹いているとき、点Bにおける850hPaと500hPaの間の平均気温の温度勾配の大きさが点Aの温度勾配の大きさの半分で、勾配の向きがいずれも同じならば、点Bの500hPa面の風ベクトルは①~⑤のどれか、という問題です。ある2つの等圧面p1とp2があっ
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・一般知識(a)図は横軸に温位、縦軸に気圧をとし、ある未飽和の空気塊を断熱的に持ち上げたときの温位の高度変化を実線で、周囲の大気の温位を破線で示したものです。ある空気塊が断熱的に上昇あるいは下降しますと、その温度は変化しますし、また同じ空気塊であっても気圧によって温度が変化します。そうしますと、高さの異なる複数の空気塊を単純に比較するためにその基準となる物差しが必要になってきます。そこで1000hPaという
こんばんは。2021年1月31日に行われる第55回気象予報士試験の受験申請が始まりました。12月4日までとなっていますが、受験される方は早めに申請を済ませておきましょう。それでは問題を考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問2(1)空気塊が地上から乾燥断熱線に沿って持ち上げ凝結高度に達し凝結が始まりますと、今度は湿潤断熱線に沿って上昇することになります。今回の名瀬のケースでは、空気塊が960hPaで持ち上げ凝結高度に達して湿潤断熱線に沿って上昇するときに、
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問2(1)今回は、前回に引き続き、名瀬の状態曲線(エマグラム)において、今度は地上にある空気塊が凝結するまで断熱的に持ち上げられたときの雲が発生する高度を答えよ、という問題です。地上から空気塊を持ち上げるとき、どこで空気塊の凝結が始まるかを知るためには、まず、問題文に「名瀬の高層気象観測地点の現地気圧は985hPa」とありますので、ちょうど気温と露点温度がスタートするところから、気温は凝結するま
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第63回試験・一般知識(a)「移流霧」は暖かく湿った空気が冷たい地表面や海面に移動したときに空気が下から冷却されることにより、空気内の水蒸気が過飽和になることで凝結して発生する霧のことをいいます。したがって、本文の内容は誤りとなります。(b)「放射霧」は、主に陸上で風が弱いとき、地表面の放射冷却によって地表面に接した気塊の温度が低くなる、すなわち気塊の水蒸気圧はそのままで気温が低下することによって、水蒸気が過飽和に
こんばんは。今日(16日)九州北部で春一番が吹いたとの発表がありました。この先、暖かい日と寒い日が交互になりそうなので体調には気をつけたいところですね。(2月16日12時地上天気図気象庁HPより)さて、今回は大気の熱力学から、水蒸気を含む空気塊が上空に上昇するときの相対湿度・水蒸気密度・比湿のそれぞれの要素がどう変化するかを問う問題です。3つそれぞれの要素の意味をしっかり理解しているかがポイントで、専門知識や実技試験に繋がるけっこう重要な問題と思います。今回も一緒に
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第62回試験・実技試験1・問4まず、問題にある「対流不安定」について簡単に触れておきたいと思います。上空に冷たく乾燥した空気が入り込む、あるいは、下層に暖かく湿った空気が入り込むといった理由で、下層において高温・湿潤な空気、上層で低温・乾燥な空気となって、温位(相当温位)が高度とともに低くなる気層となる場合、その気層は対流不安定な気層となります。そこで、図13(左)に着目して、高度とともに相当温位が低くなる気層はどこか見ます
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1気象予報士試験の勉強のはじめの方で「大気の鉛直構造」を学習したときのことを思い出しますと、対流圏では高度が高くなるほど気温が低くなっていると学習します。一般的にはそうなんですが、実は、対流圏において、ある要因によって高度とともに気温が高くなっていく気層が現れることがあります。このような気層のことを「逆転層」とよんでいます。なお、この「ある要因」につきましては、後日、問2(1)④のところで考えてみたいと思いま