『仙境異聞』は平田篤胤が、ある山中の幽界に住むとされる杉山僧正(そうしょう)の従者である「仙童」寅吉と親しく起居を共にして、山人界(さんじんかい)及びその他の幽界の実相や、多岐にわたる霊的な消息について問答し、それを筆録されたもので、同じように仙境に出入した島田幸安との問答を記された参澤宗哲明(みさわむねのりあきら)先生の『幸安仙界物語』と共に、江戸時代末期における幽界研究の二大資料といえるでしょう。(山人界とは、神武天皇の御世に創設された人間界に最も近い一幽界で、地上霊異の人物(いわゆる縄文人