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最近、続けて雪景色を描いているので、透明水彩絵の具の特性を考察したうえで、雪景色と夜景の比較をしてみた。水彩画のモチーフとしてよく描かれる風景にはある傾向があるように思う。それは、“白”が美しく見える風景。例えば、パラソルのある風景、白い壁の街並み、ヨットや漁船…等々。そういう意味で、“雪景色”は最も水彩画に合っているモチーフだと思う。なぜ白が水彩画にとって重要で、白が効いていると水彩画が映えるのだろう。透明水彩は、暗い色の上に
2020年2月以来、パンデミックの影響で休止していた広尾アートアカデミーのワークショップを4年半ぶりに(7月20日から)再開し、今回は2回目。季節柄、午前の部は紅葉、午後の部は黄葉の秋らしい臨場感のある風景をファーストウォッシュを活かして描いてみよう。午前の部デモンストレーション作品午後の部デモンストレーション作品《午前の部》紅葉の季節にはまだ早いが、今から予習しておこうということで、当塾や出張ワークショ
毎月第2金曜日の午後は、NHK文化センター青山教室でデモンストレーション講座。今回は、青森・奥入瀬近隣の蔦沼の黄葉をモチーフに、秋深まる雰囲気のある風景を”演出”を入れながら描いてみよう。Googleストリートビューではこの辺り。私が現地で撮った写真。赤枠で切り取ってみた。《StepbyStep》鉛筆下描きは最小限度。フォーカルポイント(焦点)を中心に構図と塗り残しの確認。ファーストウォッシュは暗い
毎月第1・第3火曜日(午前)、第1・第3水曜日(午後)、及び第2・第4水曜日(午前・午後)はデモンストレーションデー。釧路の漁港の横にある造船所の写真を下に、修理中の船の雄姿を描いてみよう。Googleストリートビューではこの造船所には入れないようだ。以前調べた時は中まで行けたのだが…。現地で撮った写真。どんより曇った日曜日で誰もいない沈黙の造船所はとても魅力的な素材だと感じた。《StepbyStep》形の複雑な
私は、ペインズグレイやニュートラルチントを影の色としては絶対に使わない。ペインズグレーやニュートラルチントを毛嫌いしているわけではない。それぞれの色自体はとてもきれいで品があると思う。陰(影)はそんなに単純な色ではないということ。同様に木々の緑を何でもかんでも“サップグリーン”や“オリーブグリーン”をベースに決めつけることも同じ。木の種類、季節、天候、地域…、そして描き手の気分によってすべて違うはずの葉の色を同じ色に決めつけるなんて信じられない。大事なのは
毎月第1・第3火曜日(午前)、第1・第3水曜日(午後)、及び第2・第4水曜日(午前・午後)はデモンストレーションデー。朝日に照らされた逆光のセーヌ川とオー・シャンジュ橋を、バルールと影の色を意識して描いてみよう。Googleストリートビューではこの辺り。ポンヌフから右にシテ島をみて、サン=ルイ島方面を向いて見下ろしている。私が現地で撮った写真。朝日がセーヌ川に反射して眩しい。《StepbyStep》鉛筆下描きはフォーカル
今、世界中の水彩画家の間で、『アルシュに代わる紙』として話題になっている中国の水彩紙BAOHONG(バオホン)をいただいたので試しに描いてみた。実は以前、友人の永山裕子さんから「アルシュに近くて使えるかも」という情報をいただいていた。一度試し塗り程度に塗ってみて感覚は分かっていたが、今回、一応絵として1点描いてみて不思議な感覚を味わい、ちょっと考えが変わった。それは、絵に没頭して描き進むにつれ、BOAHONGという紙のことを忘れ、いつものようにアルシュで描いている時と同
このブログでも、「“上手い絵”と“良い絵”は必ずしも一致しない」と再三言ってきたし、「技術は後からついてくる」とも言ってきた。【関連記事】「“ヘタクソ”について」「技術は後から」ポール・セザンヌ“リンゴとオレンジのある静物”1895-1900年私は、セザンヌの絵について「いいなぁ」と思ったことはあるが、「上手い!」と思ったことはない。また、村山槐多や岸田劉生は「目が腐る」とさえ思う。美術史的に、あるいは作品価値的に高い評価の作品であっても、嫌いな
コロナ(パンデミック)がひと段落着いて久しい。2019年末からほぼ5年の月日がながれ、世界は急激に様変わりしてしまった。経済環境も世界的インフレ、一人負けの円安、政情不安、航空業界の変貌…旅行にも行けず、人と会うことさえ制限されるような事態が本当に(簡単に)起こることに驚くとともに恐怖さえ感じているうちに、あっという間に5年もたってしまった。昨年、ベトナムのハノイ、ハロン湾のツアーを敢行し、とても快適で楽しい旅になったので、次はヨーロッパと計画を立てていただいて募集までし、人数
コロナ禍で中断していた写真家ソール・ライターの展覧会がアンコール開催されている!アンコール開催ニューヨークが生んだ伝説の写真家永遠のソール・ライターBUNKAMURAザ・ミュージアム私が窓越しの雨(驟雨シリーズ)を描き始めたのは、ニューヨークに一人スケッチに行った時、空港に向かうタクシーから見た土砂降りのマンハッタンがきっかけだった。"驟雨""SUDDENDOWNPOUR"50cm×65cm3年ほど前(前回ソール・ライター展が開催されていた時)
昔、“水彩画”というと鉛筆やペンでしっかりスケッチして薄い絵具を重ねてアッサリ仕上げる“淡彩画”をイメージしたものだ。最近は水を多用し、にじみ、ぼかし、グラデーションなどを生かした“雰囲気のある”水彩画が世界的に人気があるようだ。昔の水彩画の延長線上でこれをやろうとしてもうまくいかないだろう。なぜなら、根本的に考え方が違うので。透明水彩画で最初に塗る下地のことを“ファーストウォッシュ”という。必ずファーストウォッシュをしなければいけないということ
以前、『絵も“ボーッと”したところが必要だ』と書いた。では、どういう方法で“ボーッと”させるのか…。本題の前に、基本的な知識として、●紙が濡れていれば絵の具が動き筆跡が消える。(曖昧・ボケボケ)●紙が乾いていれば絵の具は動けず筆跡が残る。(明快・クッキリ)これを利用して筆跡を際立たせたり無くしたり…。紙が濡れている状態というと、●紙全体に水を含ませた状態●水を塗った状態●絵の具を塗って乾く前の状態●後から水や絵の具で広げた
毎月第1・第3火曜日(午前)、第1・第3水曜日(午後)、及び第2・第4水曜日(午前・午後)はデモンストレーションデー。※現在、第2・第4水曜日(午前)に1名空きがあります。ご興味のある方はお問合せください。045-942-7331午前の部デモンストレーション作品午後の部デモンストレーション作品《午前の部》Googleストリートビューではここが最も近い。実際はもっと右より。私が現地で撮った写真。逆光で真っ暗に
紅葉シーズン真っ只中、今年は例年ほど寒くないのでスケッチには恵まれたコンディションになっている。最近描いた紅葉シリーズこれらの紅葉にはベースとして次の3つの絵の具を使っている。※もちろん他にも使っているがベースはこの3色1.トランスペアレントイエロー(顔料PY150)2.トランスペアレントオレンジ(顔料PO71)3.キナクリドンゴールド(顔料PO48)※いずれも有機系単一顔料なので、透明度が高く発色もいい。※キナクリドンとは、
紅葉を描くにあたって、いつも頭に浮かぶエピソードがある。心から納得し、私の脳みその深いところに刻まれた鮮烈な話。かつて、京都嵐山に“嵐峡館”という老舗旅館があった。聞くところによると、昔から歌舞伎役者の隠れ家的宿として有名だったらしい。2007年に休業状態となり、今は星野リゾート運営の“星のや”として復活している。“星のや”のオープン前、星野リゾートさんから「完成イメージを水彩画で」というオファーをいただき、リノベーション前の“嵐峡館”
友人の永山裕子氏のリクエストで開発されたシュミンケ社の新色“ラグーンブルー”を手に入れ、さっそく使ってみた。シュミンケホラダム永山裕子特別バージョンラグーンブルー(#989LagoonBlue)ラグーンブルーは、私の持っているヘリオターコイズとフタログリーンのちょうど間くらいかな。2色(ヘリオターコイズとフタログリーン)を混色してみたが、似た色は出来るものの乾いた時点でラグーンブルーの発色と透明感には到底及ばなかった。濡れている間にト
毎月第1・第3火曜日(午前)、第1・第3水曜日(午後)、及び第2・第4水曜日(午前・午後)はデモンストレーションデー。※現在、第2・第4水曜日(午前)に1名空きがあります。ご興味のある方はお問合せください。045-942-7331午前の部デモンストレーション作品午後の部デモンストレーション作品《午後の部》画塾のでモンストレーションコース、渋谷ファッション&アート専門学校、NHK青山教室のワークショップで紅葉・黄葉は一通り済ん
毎月第1・第3火曜日(午前)、第1・第3水曜日(午後)、及び第2・第4水曜日(午前・午後)はデモンストレーションデー。※現在、第2・第4水曜日(午前/午後)にそれぞれ1名の空きがあります。ご興味のある方はお問合せください。045-942-7331午前の部デモンストレーション作品午後の部デモンストレーション作品《午前の部》Googleストリートビューではこの辺り。もう少し右だが、ここからしか見る
グリザイユという手法が水彩画にも蔓延して久しい。一見、経験の浅い人には、明暗・バルールでとらえるのに便利な方法のように思えるかもしれないが…。本来のグリザイユは、フレスコや油彩のモノクローム(セピアなど)で簡素に描いたもののことを言っていたようだ。要するにデッサンの絵具版と言えるかもしれない。でもちょっと考えればわかるだろう?鉛筆でしっかりデッサンをして明暗を作っておいて、その上に淡彩で色を置いていくとそれなりに“サマ”になるとは思うが、いつでも鉛っぽい同じ
年に4回のペースでやっている広尾アートアカデミーの一日ワークショップを行った。テーマは、①新緑の森(10:00~13:00)と②煌めく海(14:00~17:00)の二講座。①新緑の森ファーストウォッシュは、鮮やかな黄緑を下地として敷いておく。乾いたら次に暗いところ(中間トーン)を入れていく。この時明るい幹は塗り残しながら…。細部、暗部を入れて完成。"ForestBathing"51cm×36cm
"神々の島"バリ島のブームは過去に何度かあった。1985年ごろから、戦後の第1次バリブームとなり、バブルの勢いもあって1990年代前半頃までが最大のブームだったかもしれない。私は、1980年代前半にバリ島に憧れ、5年連続で行った。当時はまだ静かだったレギャンに泊まり、レンタルバイクでウブドに行ったり、レゴンダンスやケチャを満喫したなぁ。。。ブームのピークだった1990年代よりさらに10年も前なので、クタは砂埃の舞う田舎道、お店もクタの交差点からレギャン方向に50mほど行く
『風景スケッチは好きなんだけど、建物があると急に子供の絵(子供に失礼?)になっちゃう…。』という声を、しばしば耳にする。建築関係者のように日頃“建物”を観ている人は別として、パースペクティヴ(透視図法)的な見方や考え方がなくても生活には一切影響はないので、いきなり“目の高さを意識する”といわれてもとまどうばかりだろう。私は、パースが苦手な人が一生懸命勉強して建築物をしっかり描けるようになることは素晴らしいことだと思う。反面、建築にあまり興味がわかない
ネガティブペインティング(※)は、水彩画の重要基本技法のひとつだ。※輪郭の中を塗っていくのではなく、周りを塗って形を塗り残すこと。そして、これは、色の“鮮度”を保つのに最も有効な技法のひとつでもある。子供のころからの習慣として、鉛筆で下書き(線画)を描いてから色を塗る癖が付いている方がほとんどだと思う。この呪縛は思った以上に強力なので、抜け出すのは容易ではない。明るいものを浮き上がらせるためには、その後ろにあるものを上手に使って前にあるものを塗り
毎月第1・第3火曜日(午前)、第1・第3水曜日(午後)、及び第2・第4水曜日(午前・午後)はデモンストレーションデー。※現在、第2・第4水曜日(午前)に1名の空きがあります。ご興味のある方はお問合せください。045-942-7331今日は、夕暮れ迫る薄暮のベネチア・サルーテ教会と運河の映り込みを描いてみよう。Googleストリートビューではここまでしか行けない。実際はこの少し前の角の当たり。私が現地で撮った写真。赤枠で切り取ってみた。
JapaninAcquarello水彩画公募展のお知らせ本年もファブリアーノ水彩画展の公募が始まります。今年は私も審査員の一員として参加させていただくことになりました。一昨年も審査をさせていただきましたが、年々レベルが上がっているように感じているので、今回はさらに気を引き締めて厳正に公正にミッションを完遂させるつもりです。公募告知ポスター応募要項たくさんの方のご応募お待ちしています。多
最近、世界中の作家が使い始めている(らしい)BAOHONG(バオホン)という水彩紙を、これまた最近話題を呼んでいるTemuという通販サイトで買ってみた。簡単に破れる薄いビニール袋の梱包で、中華人民共和国広東省肇慶市から発注から約1週間で届いた。注文した商品に間違いはなさそうだ。傷もなく無事受け取ることができた。BAOHONG芸術家級(20枚ブロック)水彩紙4K(四つ切=51cm×36cm)荒目¥8,614.-今使っているアルシュの同
昨日の錯視効果つながりで、色の錯視について。よく、私の絵に使われている色やパレットの色を聞く方がいる。私自身、どの色をどれだけ混ぜたかあまりはっきり覚えていいないし、同じ色でも周りの色によって違って見えるから、たとえ同じ絵の具を揃えても同じ色にはならないと思うのだが・・・。因みに私のパレットの絵の具リストはこちら。【関連記事】絵の具の紹介それにはいろいろな理由がある。一つはこのように残像効果によって隣接した色同士が影響を与えることによって起こ
毎年、イタリアの都市ファブリアーノとボローニャで開催される国際水彩画イベント"FabrianoinAcquarello2025"に、日本から出品される作品選定の重責を担うこととなり、昨日全作品のレビューを終え提出した。スペイン在住の水彩画家星野敬子さんとカリスマ永山裕子さんと共に(個別に)審査させていただいた。送信されてきた相当数の作品データ(もちろん名前は伏せてあります)を、原画のタッチや絵の具の重なりまでもチェックできるよう、一点一点拡大したりプリントしたりしながら
約10数年前に書いたブログ記事を下に、改訂版としてアップしようと思う。ずいぶん以前、“日本美術界にもやっとインディーズ時代到来”ということで権威主義の失墜について書いた。もともと美術の世界に権威なんて入り込む余地はないはず。なぜなら“創造”とは“破壊”の上に成り立っていると思うから。既存の概念を否定して新たな価値観を作り出すことが創造という活動だと思う。※断わっておくが、私は暴力も、戦争も嫌いだ。(笑)では、なぜ“権威”という対極的な概念が美術にすり
主役⇔脇役描く⇔描かない光⇔影(陰)近い⇔遠い私がよく画塾の講習の中で“対比”について話す時、このあたりを中心に生徒さんに確認してる。「主役は何(どれ)?」と聞くと、「なんとなく…」「強いて言えば…」「だいたい…」「この辺と、この辺と…」という方が大半だ。要は、まだハッキリ決まっていないで見切り発車しているということだろう。水彩画は、基本的に後戻りできない(修正ができない)から、描き始める前に描く絵のテーマや構成、色調