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読書日記2024-71見つけたいのは、光。飛鳥井千紗(著)[幻冬舎2022年7月発行]あらすじ亜希と茗子の唯一の共通点は育児ブログを覗くこと。一人は、親しみを持って。一人は、憎しみを抱えて。ある日、ブログ執筆者が失踪したことをきっかけに、二人の人生は交わり、思いがけない地平へと向かう。亜希(35)妊娠を告げた派遣先で雇い止めにあい、現在育休中で求職中。一歳の息子の保育園を探しているが、無職のためハードルは高い。茗子(37)過去、後輩にマタハラで訴えられてから「若
読書日記2024-701(ONE)加納朋子(著)[創元クライム・クラブ2024年1月発行]あらすじ謎に彩られた日々の中で、あなたは私の一番になった『ななつのこ』から始まる〈駒子〉シリーズ、20年ぶりの最新作!大学生の玲奈は、全てを忘れて打ち込めるようなことも、抜きんでて得意なことも、友達さえも持っていないことを寂しく思っていた。そんな折、仔犬を飼い始めたことで憂鬱な日常が一変する。ゼロと名付けた仔犬を溺愛するあまり、ゼロを主人公にした短編を小説投稿サイトにアップしたところ、読
北川悦吏子『生きとし生けるもの』です。私の好きさレベル5段階評価の『5』です。テレビ東京でドラマ放送決定!主演:妻夫木聡渡辺謙独り身の作家・成瀬翔は転移性肝臓がんによる余命宣告を受ける。オペに抗がん剤、つらいだけの治療……。一方、ある事情で外科から内科に移り、妻子とも別れた主治医の佐倉陸は、成瀬の苦しみを丸ごと受けとめる。人は生きて死んで最後に何が残るのか。二人の人生をかけた最後の旅が始まる。誰しもの胸を熱くする感動傑作。
前回から少し変わった。本当は「DUNE/砂の惑星」も入れたい。前回は2008年…「無理やりなマイベストSF」と言う事でyahoo時代に記事にして、それから13年。今回は気分一新、アメーバ編で色々探してみた。今回のテーマは、ズバリ!<号泣編>と言ってもいい。全部が全部そうではないけれど、私が涙なくして読めなかった作品を集めてみた。勿論、断腸の思いで選外にしたものが多く、10作品に絞り込むのに結構日数がかかったし、いずれも順位は便宜上のもので全部1位でいいと思っている。
今日、精神神経科通院日。先生と夏目漱石「明暗」の話で投合する。当方、柄谷行人さんの著作をまとめてよみだしたことを語る。帰途、さいきんの習性である、だれとだれが同年代か、考え始めた…千葉真一=1939年1月22日生まれ唐十郎=1940年2月11日生まれ→紀元節とは皮肉なり原田芳雄=1940年2月29日生まれ→閏年生まれか柄谷行人=1941年8月6日生まれ→原爆投下の日と重なる…意外なような符合するようなメンバーである。しかし同年代の一般人たちより、いうまでもなく、若若しかった。千
作家・伊集院静氏逝去73歳。立教大学文学部日本文学科卒業で、完全左翼の小田切進さんのゼミにいた。卒論は、戦後派作家第一号の梅崎春生。梅崎さんは、戦後派作家という呼称だが、梅崎春生の本質は私小説型のマイナーポエットだった。私小説型といってもタイプはいろいろあり、梅崎春生は明らかに梶井本次郎の影響が濃かった。伊集院さんもそうで、視覚の良さから滲んでくる叙情は梶井基次郎と同類項、このあたりのデッサン力に、画家志望の一面がよく発揮されていた。とくに初期の短篇においてである。一方で檀一雄を連
風貌も考えかたも、亡父そっくりになってきた。さいきんこのブログは、わたしなりの「私小説」だとおもっているから、わたしはブログを書き続けることによって父と和解し、また父を尊敬するに至ったと考えている。母との和解はないが、母がいなければわたしも不在という点で折り合いをつけている。そういう意味においてのわたしは、家父長制だろう。亡父は東大経済学部でマルクスを専攻し、日本の作家では夏目漱石を敬愛していた。だからなのか、柄谷行人さんのいう、「マルクスと漱石を等価で読む」という発言は私小説的に
早見和真『アルプス席の母』です。私の好きさレベル5段階評価の『5』です。まったく新しい高校野球小説が、開幕する。秋山菜々子は、神奈川で看護師をしながら一人息子の航太郎を育てていた。湘南のシニアリーグで活躍する航太郎には関東一円からスカウトが来ていたが、選び取ったのはとある大阪の新興校だった。声のかからなかった甲子園常連校を倒すことを夢見て。息子とともに、菜々子もまた大阪に拠点を移すことを決意する。不慣れな土地での暮らし、厳しい父母会の掟、激痩せし
さて、A子振り返り短歌解説ですが、本をアマゾンではなく、書店で買ったとしても、彼氏彼女に繋がる出会いがあるとはわからない。結婚相手が、同じ本を選ぶとも限らない。アマゾンでポチるよりは、可能性はある、、それはさておき、本をネットで買うと失敗することもある。本レビューは、主観だ。それも含めての予想も面白いけど。
No.1502022.11.20(日)猫を棄てる父親について語るとき/村上春樹/文春文庫/2022.11.10第1刷660+10%文庫本で購入した訳は、表題にある。気分的なもので笑い事なのも理解するが、どうしても刊行時「猫を棄てる」という題名に反発する部分が【思ったより】多くて購入することが出来なかった。何故、文庫本なら良いのかと問われても正確に答えることなど不可能なのだが、それが【読み手の気分次第】という事なのだろうとウヤムヤにする。読み初めのいきなり飛び込んでくる「猫を
「あんたはじぶんの好みに忠実だから」とは、阿部珠樹さんによく言われたことだ。なるべく本気で惚れこまないように自制しているのは、そうしないと、亡父のような、メンタル面での本物のマニアになりかねないからである。したがって抑圧傾向にあり、ツンデレで犬なのに猫みたいな性格を有すると言われる柴犬みたいな気質を自覚している。植木等さん、柳家小三治さん、戸田恵子さんをリピートして観るのも、好みに忠実だからだろう。そこに、野茂英雄さんが加わってくる。野茂英雄投手が、二度目にドジャースに入ったとき、ロ
池波正太郎の「剣客商売」をたしなむ~仁三郎の顔の巻~みなさん、こんにちは。管理人の佐藤有です。さて、今回紹介する「仁三郎の顔」は、お上も恐れる凶悪な盗賊でありながら、大治郎から受けた恩を忘れない情の深さを兼ね備えた、一風変わった盗人の復讐と逮捕劇を描いた短編です。剣客商売・仁三郎の顔のあらすじネタバレあらすじ1)内藤新宿の下町で傘屋を営む徳次郎は、昨夜から熱を出して寝込んでいたものの、岩戸の繁蔵からある盗賊が江戸に入ったことを聞かされます。その盗賊は、4年前に四谷木
背筋『近畿地方のある場所について』です。私の好きさレベル5段階評価の『4』です。情報をお持ちの方はご連絡ください近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めるうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってきました。怖かったです。なんせ、怖かったです~~~(TT)明るい内には読めない作品。何が怖いのか、よく分からないんですが、ジワジワ・・・トリハダが・・・朝から夕方に掛けて、なんとか読了。この<了>って字を使うのも縁起が悪く感じてしまう(;'∀')
阿津川辰海『午後のチャイムが鳴るまでは』です。私の好きさレベル5段階評価の『5』です。こいつら、最高すぎる……!昼休みの“完全犯罪”にご用心!?本格ミステリ大賞受賞作家の最高到達点!九十九ヶ丘高校のある日の昼休み、2年の男子ふたりが体育館裏のフェンスに空いた穴から密かに学校を脱け出した。タイムリミットは65分、奴らのミッションは達成なるか(第1話「RUN!ラーメンRUN!」)。文化祭で販売する部誌の校了に追いつめられた文芸部員たち。肝心の表紙
原田ひ香『定食屋「雑」』です。私の好きさレベル5段階評価の『4』です。真面目でしっかり者の沙也加は、丁寧な暮らしで生活を彩り、健康的な手料理で夫を支えていたある日、突然夫から離婚を切り出される。理由を隠す夫の浮気を疑い、頻繁に夫が立ち寄る定食屋「雑」を偵察することに。大雑把で濃い味付けの料理を出すその店には、愛想のない接客で一人店を切り盛りする老女〝ぞうさん〟がいた。沙也加はひょんなことから、この定食屋「雑」でアルバイトをすることになり——。個性も年齢も
読書日記2024-69一線の湖砥上裕將(著)[講談社2023年12月発行]あらすじ小説の向こうに絵が見える!美しき水墨画の世界を描いた物語。水墨画とは、筆先から生み出される「線」の芸術。描くのは「命」主人公・青山霜介が、ライバル・千瑛と湖山賞を競い合った展覧会から2年が経った。大学3年生になった霜介は水墨画家として成長を遂げる一方、進路に悩んでいた。卒業後、水墨の世界で生きるのか、それとも別の生き方を見つけるのか。そんな折、体調不良の兄弟子・西濱湖峰に代わり、霜介が小
中央公論新社2019年5月初版発行395頁文芸誌「小説BOC」の創刊にあたり、8組の作家によって紡がれた「螺旋プロジェクト」の一作ある“ルール”のもと、古代から未来までの日本を舞台に、ふたつの一族が対立する歴史を描きます時代は19世紀後半から20世紀初頭、明治時代ですかつて幼馴染だった黒い瞳の新太郎、青い瞳の灯、新太郎の妹で耳が大きい鈴成長した三人は、それぞれの道を歩んでいました新太郎は呉鎮守府の軍人に、灯は瀬戸内海を根城にする海賊に、そして鈴は思いを寄せる
大谷翔平選手4打数4安打2ホームラン。大谷ハラスメントかもしれないが、彼が朝から大活躍すると眼の前が明るくなる。彼のようなプレイヤーは前代未聞、いや空前絶後かな。それがメジャーでも…というのが、本来の意味での異次元といった感を深める。野球ファンで、つくづく良かったとおもう。およそ60年観ている。金田・中西・稲尾・杉浦・南海時代のノムさんを憶えている。阪神タイガースの村山投手がプレイング・マネージャーで年間防御率0・98を達成、ON砲でもなかなか攻略出来なかった、なんてことも…1
波風【藤岡陽子】<読んだきっかけ>もう少し読んでみたいと思っている藤岡さん図書館のHPで何か無いかなぁ~と探していたら「悩める人たちの活路を開く全7話を収録」とあったので、これだ!と思い借りてみた。<あらすじ>短編を7話。「悩める人たちの活路を開く」内容らしいです。<ネタバレ&感想>ダメだ。こりゃダメだ・・・表題作の「波風」34歳・独身・看護師の美樹。妻子持ちの医師と不倫している。相手の妻は、もう何年も前から気付いていて・・・。不倫相手の家庭が破綻してるのか?不倫
朝日新聞出版上巻・青春篇2018年9月第1刷発行351頁下巻・花道篇2018年9月第1刷発行353頁戦後の長崎から大阪、オリンピック後の東京へ任侠、立花組組長の息子、立花喜久雄が父親の死をきっかけに大阪の花井半次郎家にお世話になり、日本一の女形歌舞伎役者として人間国宝に認定されるまでの一代記切磋琢磨する喜久雄と半次郎の一人息子・俊介長崎時代から喜久雄を坊ちゃんと呼び、影日向に支えてくれる徳次色々な場面で彼らと出会いその後長い付き合いとなる人々魅力的なキ
読書日記2024-31マリスアングル誉田哲也(著)[光文社2023年10月発行]あらすじ塞がれた窓、防音壁、追加錠……監禁目的の改築が施された民家で男性死体が発見された。警視庁捜査一課殺人班十一係主任、姫川玲子が特捜に入るも、現場は証拠が隠滅されていて糸口はない。犯人はなんの目的で死体を放置したのか?玲子の天性の勘と閃き、そして久江の心に寄り添う聞き込みで捜査が進展すると、思いもよらない人物が浮かび上がってきて——。魚住久江が合流し、姫川班が鮮烈な進化を遂げるシリーズ第10
植木等さんの遺作は映画「舞妓haaaan!」。脚本、宮藤官九郎さん。主演、阿部サダヲさん。吉祥寺の映画館で観た。伊東四朗さんも出ていて、とにかく笑える映画である。作中、阿部サダヲさんのミュージカルシーンがあり、その踊りが素晴らしい。野球シーンもあって高校時代、野球部だった阿部さんは柔らかいフォームでヒットを放ち、塁間を全力疾走する。やはり運動神経が優れている。植木さんの登場シーンは1シーン、3カット。西陣織を営む大旦那の役で白足袋を穿き、小唄を口ずさみながら現れる。阿部さんと
真保裕一『魂の歌が聞こえるか』です。私の好きさレベル5段階評価の『4.5』です。「素晴らしい音楽を世に送り出せ!」新人バンドのデビューに奔走するレコード会社。契約を勝ち取り、狙うはアニメの主題歌。次々と難題がふりかかり、予想外の事態に。え……?彼らは何かを隠してる!迫真の音楽業界ミステリ「我々はアーティストを裏から支える役回りだ」「耳ってのは脳と直結してる。音を聴くんじゃない。脳で読み取れ」「才能はあっても、芽の出なかった者が死屍累
50年近く前の小説なのでネタバレあり。記憶だけで長文書くので、大雑把なところもあり。明日のリメイク映画を前に、こんな話だったよ…と言う事で。さて、私はめったにネタバレ書きませんが、見たくない人はこれを読まないように。■DUNEの世界観遠未来の物語「DUNE/砂の惑星」には知っておけば理解しやすい世界観がある。この物語の歴史的前提に「人類とAIの戦い」があった。自我に目覚めたAIが人類に反旗を翻し壮絶な殲滅戦があったことを「ブトレリアン・ジハド」と呼び、これ以後人類は一
読書日記2024-66鴨川ホルモー万城目学(著)[角川文庫2009年2月発行]あらすじこのごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祗園祭の宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。京都の街に巻き起こる、疾風怒濤の狂乱
読書日記2024-67希望が死んだ夜に天祢涼(著)[文藝春秋2017年9月発行]あらすじ神奈川県川崎市で、14歳の女子中学生の冬野ネガが、同級生の春日井のぞみを殺害した容疑で逮捕された。少女は犯行を認めたものの、「あんたたちにはわかんない」と動機は全く語らない。なぜ、美少女ののぞみは殺されたのか。二人の刑事が捜査を開始すると、意外な事実が浮かび上がってくる。まわりに頼れる大人や友人がいないネガだったが、あるとき、運命的な出会いをした……。感想ブロ友さんに教えて貰っ
エドガー・アランポー(著),EdgarAllanPoe(原名),巽孝之(翻訳)新潮文庫2009年新潮社サイトhttps://www.shinchosha.co.jp/book/202804/『アッシャー家の崩壊』が読みたくてこの本を借りてきましたが、他のお話で先にブログを書いてしまいました。初めに前回取り上げた『ライジーア』について補足。移住しても後妻を迎えても死んだ妻を忘れられない男の話と思っていましたが、少し考えてみると語り手の男はライジーアの死を受け入
読書日記2024-68アミュレットホテル方丈貴恵(著)[光文社2023年7月発行]あらすじ警察の介入が一切なく、偽造パスポートでもグレネードランチャーでもルームサービスでお届け可能な犯罪者御用達ホテル。そこでは守るべき2つのルールが存在する。①ホテルに損害を与えない。②ホテルの敷地内で障害・殺人事件を起こさない。そんな絶対的なルールが破られる時、ホテル探偵が独自の捜査で犯人を追い詰める。感想犯罪者御用達なんていう凄いホテルで起こる事件を解決するホテル探偵の話。久々にこれ
読書日記2024-5猫弁と狼少女大山淳子(著)[講談社2023年9月発行]✩✩✩✩✩あらすじ冴えない容貌、天才的な頭脳……自分のことは後回しで人の幸せを第一に考える稀代のお人好し弁護士、百瀬太郎。婚約者である大福亜子と同居中で、幸せをかみしめている。猫がらみの脅迫事件の依頼を受けて調査中、未成年者略取の疑いをかけられて留置場に!当番弁護士の、「透明人間」こと沢村透明以外との面会を断り、事件については黙秘を貫く百瀬。警察から連絡ももらえず蚊帳の外に置かれた亜子は、百瀬を信じ
読書日記2022-183笑うマトリョーシカ早見和真(著)[文藝春秋2021年11月発行]✩✩✩あらすじ親しい人だけでなく、この国さえも操ろうとした、愚か者がいた。四国・松山の名門高校に通う二人の青年の「友情と裏切り」の物語。27歳の若さで代議士となった男は、周囲を魅了する輝きを放っていた。秘書となったもう一人の男は、彼を若き官房長官へと押し上げた。総理への階段を駆け上がるカリスマ政治家。「この男が、もしも誰かの操り人形だったら?」最初のインタビューでそう感じた女性記者は