ブログ記事48件
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ジグザグ(15)エレベーターから出るとヨンはウンスの身体を支えたまま自分の部屋に向かった。ふらつく自分が恥ずかしいのか顔を伏せてしまったウンスをチラリと見てヨンもニヤついてしまう。玄関の鍵を開けウンスを中に招き入れると、ウンスは前回に来た時もだが少し戸惑っている様に見えた。「どうしたんだ?」「・・・あ、いえ、随分大きなアパートを買ったのね」4年前にいたアパートはアメリカに行く前に契約を解約してしまっていた。そもそも帰って来たらもっと大きなアパートを契約しようと思
※二人の出会いが少し違いますのでわからない方は前話の“君に降る華”を先にお読みする事をおすすめ致します◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇君に降る華◆⑴「・・・イムジャ」「・・・・・」「イムジャ」「え?私の事?」「コホン、そうです」典医寺内にあるウンスの部屋に入って来たヨンは机に座り、花瓶の花の水を換えているウンスを見ていたがふと声を掛けて来た。違う呼び方に気付かなかったウンスだったが、どうやら自分を呼んでいたのだと顔を向けると、ヨンは再び小さく咳をしウンスを見た。
※ここからは、原作とは少し違う展開になります。原作が好きという方は、違和感を感じてしまうかもしれません。それでも良いよという方はお進み下さいませ(*´`)△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△君に降る華(13)これは最初から仕組まれた事だとわかっていた。だが、刺客が王妃の目の前に立った時皆がまさかと頭を過ったのも事実だ。狙うなら高麗の王の方だろう、なのに魏王の娘を狙うとは――。この刺客達は元の者では無いのか?高麗だとして自国を滅ぼす様な事をするなどとは――。刺客が斜めに振り下
心、境界線⑤「お食事ありがとうございました。久しぶりに沢山飲めて楽しかったです!」「いえいえ、こちらこそありがとうございます」お互い礼を言い合い思わず笑ってしまったウンスとヤン医師は、レストラン入口で会話をしていた。「・・・私はユ先生はもっと大きな病院の方が良いと思ったのですが、貴女の考えを聞いて良かったです」「そんなっ、・・・ヤン先生に気を使わせて本当に申し訳ありません」「私はユ先生の為にお手伝いしますよ。あ、今回のお返しに」「えー、別に良いのに、おっと―・・」足元がふらつきよ
※こちらも短編という、他とはクロスしないお話です。契約恋人⑨レストランに入り2人が店内を見渡すと、窓側のテーブル席にヨンの両親が座っていた。「俺も2人に会うのは2年ぶりなんだが・・・」「貴方、祝日に帰らなかったの?」「親のどちらかが必ず急用が入って2人が揃わなかった」「ご両親が役員なのも大変ね・・・」話しながら席に近付くと父親が2人に気付き、一緒に来たウンスを不思議そうに見つめていたが、あ、と口を開け、「君は・・・、もしかして大邱市のユさんのお嬢さんかい?」「はい、お久しぶりで
※少し原作やドラマに被る部分がありますが、あくまでもこの話は“蝶が舞う~の中の二人”ですので、そのつもりで読んで頂けるとありがたいです。蝶が舞う頃に㉓ヨンはゆっくりと目を閉じた。丹田には何時でも表に出せる様に内功を溜めている。俺はあの時、極度の空腹と怪我で死んでいたのだろうと思う。あのまま動く事も出来ず暗闇の中で野犬に食われていたかもしれない。では助かったとしたら?目や身体に弊害が残っただろうか。そうなったら、永遠に後ろを振り返っていた。俺はお前に命を救われた。だが。――それ
2周目は幸せになります⑧さて、私が今いる状況を把握するべく自分の中に1つの秤を想像してみた。横には数年前に私を裏切り幸せな人生を歩んでいる男。何故か、この男の会社からやって来た弁護士に連れ回され気付けば何時の間にか憎い男の行動を共にするはめになっている。そして。自分の右手にはその数年間私の傍にいて、医者として、人として尊重し支えてくれた人からの着信音を響かせた携帯電話。ギリシャ神話の天秤を持つ女神の如く、中心に立つウンスは一瞬張り詰めた空気を車内で感じ、チラリと横に座る男の表
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ジグザグ♧(8)「あぁ、久しぶり」「アメリカから帰って来て、ヨンが今回講師になるって会社から聞いて皆で見に来たのよ」「そうか、ありがとう」「ヨン凄いわね、病院でも人気なのも知っているわ」「アメリカよりここはどう?」「やっぱり楽だね」話して来る女性達にヨンは短く、それでも質問にはきちんと答えていたが、大学時代時々ヨンの周りに纏わり付いて来た事をうっすらと思い出しただけで、全ての女性達の顔を思い出した訳では無かった。「ねぇ、近いうちに皆で
2周目は幸せになります⑪ヒールをカツカツと打ち鳴らし歩いて来た女性に誰も声を発しなかった。ワンレンの艶やかな黒髪を腰まで伸ばした彼女は目鼻立ちの綺麗な顔立ちで、生まれた時から大事にされてきたのだろうとわかる程に気品と自信が内側から溢れている。生まれながらのお嬢様と苦労してこの立ち位置に辿り着いた自分。自分がどうしても無理な場所に彼女が立っている。まだ私は片隅に残った敗北感を思い出していた――。別窓⑪へ△△△△△△△△△△🐥🐥🐥🐥🐥🐥🐥🐥🐥🐥🐥皆様お久しぶりです、りまでござい
契約恋人⑰結局ウンスが予約した部屋は使われる事は無く、チェックアウトする際はヨンが2つのキーをフロントに返した。「ありがとう」「あ、ありがとうごさいました」キーを返して来たヨンにフロントスタッフは焦りながら受け取り、支払いは2部屋ともヨンが払うと言う事に正面の2人をスタッフ達は伺ってしまう。何しろ彼の片手はずっと女性の手を握り締めているのだ。「まだ時間があるなら少し寄りたい場所があるんだけど」「今日の夜までに帰れればいいから」「なら、大丈夫そうだね」そんな会話をしながら2人は去
心、境界線〔番外編〕①テーブルの上に置かれた小さな箱に、食事が終わりさてそろそろ席を立とうかとヨンの顔を見たウンスは思わず目線を下ろしそれを凝視した。つい先程まで普通に会話をしていた筈の彼は無表情になりコチラを伺っている。実はそれが緊張している時になる顔だと最近になって知ったウンスとしてはここで何か発するべきだろう。そうわかっている、この箱が何なのか。見て直ぐわかるデザインなのだから直ぐ手に取り蓋を開けるべきなのも・・・。「・・・」「・・・開けて欲しい」黙ってしまったウンスに遂に
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ジグザグ(20)「いって・・」「おい、キム。お前ウンスに何か言っただろう?」病院の廊下でキムの後ろ姿を見つけたヨンはキムの腕を徐に掴んで後ろから低い声を掛けた。ヒィと寒気が背中に走りながらも、首を横に振って無実を訴えた。「俺じゃないです!パク医師です!」「あ?嘘付くなよ?」「本当に、本当にパク先生ですって!」「チッ」舌打ちをしてキムの腕を離し、ヨンは窓側に顔を向けた。同じ身長なのに何故ヨンから喰われそうな威圧感を感じるのか?あの目を見たからだな、うん。
※シンイ現代話です。2周目は幸せになります①突然の来客にベッドから起きたばかりのウンスはもそもそと髪を整え、インターホンのボタンを押した。この独身用ヴィラに住んでもう10年経ち、ある意味ウンスが古株の1人にもなっている。それでも良い、自分の夢を着実に叶えている今この部屋もまた愛着がある。「はい?」だから、この自分だけの世界に余計な事は持ち込みたくない。例えそれが周囲から寂しい女だと言われても。だが、そんな考えもインターホン越しに見えた人物に嫌な予感を覚えていく。「・
契約恋人⑪タン家の2人が約束したホテルのレストランに向かうと、チェ家のヨンの両親だけがテーブルに座って待っていた。「後からヨン氏が来るのかもしれないな」「・・・そうかしら?」自分に断って来たヨンが食事会などしたいと思う筈が無い。来るとすればそれは婚約破棄の為で、もしかしたらあの女性も連れて来るのではないか?とまでメヒは考えていた。テーブルの傍に行くと両親は椅子から立ち上がり、メヒの父親と握手をし、にこやかに話始める。「やぁ、久しぶりだね!」「数ヶ月前にアメリカでお会いしましたが、
2周目は幸せになります⑩「・・・今日は、これで終わりです」少しの静寂の後、彼が再び呟いた。しかし、それは独り言でなくどうやらウンスに向けられたものだった。――・・・・・あーーっ。漸く家に帰れるわ!チャン先生との約束も無くなり、既にウンスの体力ゲージと気力は底に着きかけている。「そうですか」「・・・・・上に彼が待っているかと」イ氏との待ち合わせ場所に移動し、私は自宅まで送って貰う。それで今日の仕事は無事終了。早く帰りたい。シャワーを浴びて、お酒を飲んでさ
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ジグザグ(14)車に乗り急く様に漢江から江南区に帰って来たが、ヨンは駐車場からウンスの手を離さなかった。自分の部屋に帰る為に乗ったエレベーターに入った途端、ヨンはくるりとウンスに向き黙って見下ろして来た。じりじりとヨンが近付いて来ていると思っていたが徐に顔を近付けキスをして来ようとし、ウンスは顔を反らせヨンの顔も手で抑えてしまう。「何で?確実に1か月以上はしていないんだけど?」何が?とは言わない。確かにしていない。キスも、その先も。3週間会っていない上に更に病
永久機関と君と①2002年の春。ウンスは大学の長期休みを利用し両親をソウル市に呼び短い都会観光へと繰り出していた。長年農家をしている両親だったが高速バスでソウル市に来た段階で父親は疲れを顔に出している。「もう、これから江華島にも行くのに、大丈夫?」「違うのよ、バスの中で団体客が騒いでて眠れてなくて・・・」「騒いでいるのは、何時もの事よ。やっぱりこの時期になると観光客も多いのね」そう話しながらウンスが両親の旅行バッグをタクシーのトランクに入れ、その際に両親は後部座席へと腰を落としてい
※少し原作やドラマに被る部分がありますが、あくまでもこの話は“蝶が舞う~の中の二人”ですので、そのつもりで読んで頂けるとありがたいです。蝶が舞う頃に㉔――はぁ。気付くと無意識にため息が出てしまう。ウンスは眉間に少しの皺を寄せ、ヨンの左手に布を巻いていた。診療所にある様な綺麗な物でも無く、巻いた傍から薄く血が滲み始めてもいて、それを見て喉まで来る意味の無い言葉を吐き出しそうになり強く口を閉じた。――・・・どうして、私は何時もこうなのかしら。自ら進んで助けたいと思う行動は、こと如く避けら
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ジグザグ♧(9)「ほらね、相変わらずやっぱりプライドが高いのよね」「頭が良いと性格も治らないのね」「お前ら!」女性達の言葉に、流石にヒョンジュが声を荒げた。「いい加減にしろよ、ウンスさんがお前達に何かした訳じゃ無いだろう!そういうのを僻み根性て言うんだよ!」「何ですって?!」「やる事が幼稚すぎて、お笑いにもならないけどな」キーッ!と騒ぎ出した女性達を更に煽る様にヒョンジュも鼻で笑いながら言っていたのたが、「・・・・何か、ウンスにし
2周目は幸せになります11.5「どんな環境でも人間は学ぶ権利がある」アメリカの大学にいた頃、とある教授が言った言葉だった。小さい頃から自分は何事も周囲の目を気にしていた記憶しかなく、それは幼少期に両親から植え付けられた躾が関係しているのだと理解していた。元々代々貿易商を営んでいた家系の影響で張(チャン)家はあまり定住した国が無かったという。まるで流浪の民の様だと内心揶揄った事もあったが、ある時持病を患っていた祖父が倒れてしまいその街の病院に運ばれた。元々心臓が弱い祖父が無理をし、海外
※こちらも短編という、他とはクロスしないお話です。・・・もうさ、〖短編〗取りますよ笑《下に追記有り》0725契約恋人⑩『チェヨン、もしかしてあの話会社で広がり始めたんじゃないの?』「・・・え?」出勤し何時もの如くウンスからのメールを待っていると、何故か電話が掛かって来て喜んだが彼女からの第一声に反応が出来ず固まってしまった。『この間から微妙に男性客も増えて・・・手術では無く何かを買って行くだけだから、尋ねたりはしないけど―』「そっちに―」『来なくていい。とりあえず、聞いておきた
心、境界線⑩数日後、ウンスから連絡を貰ったヤン医師は事情を聞き良かったと言い、この間紹介してくれた男性に伝えるとそのツテの建設会社を教えてくれた。「どうやら2ヶ月で完成出来ると言っています」「ありがとうございます。・・・そういえばヤン先生、ヨンに話したのですね?」「独立の話ですか?話しました。あと、もの凄く彼を罵ってしまったので・・・大丈夫だったかな?」「落ち込んでいたのかは、よくわかりませんが・・・」「私は元々の原因は彼のせいだと思っていましたから。いやぁ、スッキリしたな」ははは
※こちらも短編という、他とはクロスしないお話です。契約恋人⑧チェ製薬会社の方が来ていると受付からの呼び出しにチェヨンか?と少なからず警戒して行くとそこには知らない男性が立っていた。「チェ製薬会社のアンと申します」「はい」「こちらにチェ氏から幾つかの商品が納品されているとの報告がありまして」――・・・あ、まさか。業者間での割引適用より少しだけだが更に安くして貰っている事は知っていた。それはチェヨンの特権を使うので構わないと言ってはいたのだが、やはりその報告は会社には伝わる筈で何故こ
※少し原作やドラマに被る部分がありますが、あくまでもこの話は“蝶が舞う~の中の二人”ですので、そのつもりで読んで頂けるとありがたいです。蝶が舞う頃に㉕【最終話】ウンスは自分の中の青年とヨンの姿が重なってしまい、違いを見つけるのが難しい状態になっている。最近になって何処で見た事があったかと微かに過ぎったが、そんな筈は無いと頭の片隅に追いやったのだ。有り得ない、彼は何処かの裏社会の若者だったのではなかったか?こんな大昔の彼では絶対に無い筈だ。でも・・・。だったら、どうしてそれを知ってい
※ここからは、原作と少し違う展開になります。原作が好きという方は違和感を感じるかもしれません。それでも良いよという方はお進み下さいませね(*´`)☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆⑪=愚者意思の強そうな黒い大きな目と長いストレートなヘアスタイルは、細く無駄に脂肪が無い体型の彼女によく似合うと思った。自分の様に細く軽く見えてしまう髪を誤魔化す為に、ヘアカラー等しなくても大丈夫なのだろう。そんな事をぼぅと考えていると、返事をしないウンスにその女性は再び問うて来た。「貴女がユさん
※ここからは、原作と少し違う展開になります。原作が好きという方は違和感を感じるかもしれません。それでも良いよという方はお進み下さいませね(*´`)☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆⑬=皇帝チェヨンは一人自室で考えていた。昔から、君は独特な考えを持っていると、他人から好き嫌いがはっきり別れてしまうとよく言われた。家庭環境では無く自分の個性だと自覚した上で、この30年間の人生を過ごして来たので不満は無い。それに数年前からチェ家の会社の後継者問題で、社内が揉め出している事も知
※ここからは、原作と少し違う展開になります。原作が好きという方は違和感を感じるかもしれません。それでも良いよという方はお進み下さいませね(*´`)☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆⑰=節制あれから数日経ち、病院に毎日送迎に来るヨンの姿に職員達も慣れ始め何時もの生活に戻っていた。しかし、反対にヨンの顔は徐々に何かを考えているのか曇らせていく。――・・・おかしい。ウンスは自分の事を僅かにでも思い出してくれたのではないのか?あの会話の後、ヨンに対して以前の様な外向けの顔を向
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ジグザグ♧(7)・・・・はぁ。ウンスはレストランのテーブルで突っ伏していた。大学での爽やかなヨンしか知らなかったウンスは、彼に惹かれ常に傍にいた事に嬉しさも感じていた。同じ病院になり、自分の気持ちも前向きに彼に向けて告白しようとまでなれたのだ。・・・なのに、実は彼は知らない所では遊んでいたという事だったのだろうか?「・・・何なの?知らなかったのは私だけなの?」彼の私に話してくれた想いは何だったのか?「・・・いや、それはでも、あの時は
※少し原作やドラマに被る部分がありますが、あくまでもこの話は“蝶が舞う~の中の二人”ですので、そのつもりで読んで頂けるとありがたいです。蝶が舞う頃に◆〔1〕宮殿に帰って来た頃にはうっすらと空も明るくなり、少しの寒さに眠気も覚めてしまい、二人は歩きながらキチョルに対して次の対策を話し合っていたのだが――。「わかったわ。もう逃げるのは止めたわ」「はい、良い判断です」「彼奴らとどう対抗出来るかよく考えなくては・・・」「っ、そうでは無く。宮殿内にいて下さいと――」暫くしてヨンとウンス