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逃げる新八。その後ろへ回り込もうとする左之助。二人を追う歳三。そして総司だけは逃げるでもなく、柱にもたれて、実に楽しそうにその様子を眺めている。「おやおや」奥から声がした。近藤勇が姿を現した。何事かと出てきたらしいが、庭の有様を見るなり事情を察したのだろう。太い眉を少し下げて、困ったように笑った。「歳、まあその辺にしておけ」「近藤さんは黙っててくれ!」「ははは。こりゃ駄目だ」縁側では、井上源三郎が座ったまま苦笑していた。止める気はないらしい。いや――止めても無駄だと、長
試衛館の門をくぐった頃には、日はすでに西へ傾き始めていた。昼間にはまだ夏の名残を感じさせる暑さが残っているものの、夕暮れ時ともなれば、吹き抜ける風にはわずかに秋の気配が混じっている。庭の木々がさらさらと葉を揺らす中、歳三は防具袋を肩に掛けたまま、試衛館の門をくぐった。「お帰りなさい、土方さん」沖田総司だった。妙に愛想がいい。歳三は足を止めた。総司は柱のそばに立って、いつもの人懐こい笑みを浮かべている。その少し向こうには永倉新八と原田左之助。二人とも、何も言わない。ただし――顔
ふと――。歳三の脳裏に、あの夏の朝が蘇った。佐藤家を発つ途中。戸塚村で、お琴へ掛けた言葉。――いつか又……三味線を聴かせてくれないか。そして、少し恥ずかしそうに微笑んだお琴。――ええ……喜んで。歳三はぼんやりと庭を眺めた。そういえば――。お琴の弾く三味線を、しばらく聴いてねえな。今日は三味線を抱えて来ていたことさえ、歳三は知らない。「どうしたんだい?」不意に、のぶの声がした。「おまえが物思いにふけるなんて、珍しいねえ」からかうようでいて、どこか優しい声だった。歳三は
歳三は気づかない。面の向こうで、ただひたすら目の前の相手と向き合っている。声を掛けようか――。ほんの一瞬、そう思った。けれど、お琴はやめた。今は邪魔をしてはいけない。そう思ったのだ。お琴は傍らにいたのぶへ、静かに頭を下げた。「のぶ様」「ん?」「歳三様に……よろしくお伝えください」のぶは一瞬、お琴の顔を見つめた。それから、優しく微笑んだ。「ああ。ちゃんと伝えておくよ」「ありがとうございます」もう一度、道場へ目を向ける。歳三の姿を、ほんの少しだけ目に留めて――。お琴
夏の名残をとどめていた風にも、いつしか微かな秋の気配が混じり始めていた。あの祭りの夜から、少しばかり時が過ぎた頃のことである。試衛館の朝は早い。まだ朝餉には少し間のある刻、歳三は庭先で出稽古へ向かう支度を整えていた。近頃では剣の腕もめきめきと上がり、こうして近在の道場へ出向き、門人たちの稽古を任されることも増えている。その朝、歳三が向かう先は日野―佐藤彦五郎の道場であった。防具袋を確かめていると、井戸端へ人影が現れた。総司である。眠たげな様子で井戸へ向かっていた総司は、歳三の姿を
合気道S.A.越谷の少年少女クラスでは、有名大学や難関中学を受験して合格する子が多いです。保護者の方の熱意やその子の努力が実を結んだ結果です。そういう子達が合格の報告に来ますが、毎回、感じるのは、しっかり体軸が出来ていることです。今年、偏差値が高い中学に合格した子も、体軸がしっかり出来ています。受験という<人生の重要な合戦>の勝利を支えた体軸です。もし、あなたが物を収める時に、入らなければ、一回り大きな箱を用意して入れるはずです。次々と知識を押しこんでも、それを受け止める身体がらなけ
小沢茂弘監督による日本の時代劇映画。出演は市川右太衛門、加藤武、品川隆二。<あらすじ>幕末風雲急を告げる元治元年六月、守護職松平容保の配下にあって京の治安を一手に委ねられていた新選組は、隊長近藤勇以下倒幕派の志士が結集する池田屋に凄絶な斬り込みをかけた。江戸深川、北辰一刀流の伊東甲子太郎が篠原泰之進他門弟を引き連れて新選組に投じたのはその年の暮だった。伊東は新選組を倒幕派に引き込もうとする下心を秘め、篠原は女と酒にひかれての京入りだった。慶応元年、新選組は総勢百五十名
【信州でも高原の夏らしさが戻ってきました。】昔読んだ、司馬遼太郎氏の街道をゆくシリーズの甲州街道の記事に、日野市での逸話が残っていたのを覚えています。土方歳三の生家は何処か?と聞くと、近隣の方々は『あぁ、トシさんの家ならあっちです……』等と、今でも親しみを込めて土方歳三の話をしてくれるようだ……、といった内容でした。「燃えよ剣」などは中学生の頃に読んだ覚えがあるけれども、内容は覚えておりません。新選組に関しては、その負の部分というか、池田屋騒動では長州の若い才能達の多くを、言語道断として切
前回のクイズの答えは東京都調布市ですコメント下さった方々ありがとうございましたやはり正解者はいらっしゃいました🤗切り絵にするには簡単ですやり易い文字から貼っていく『誠』を入れたら完成です過去1文字を綺麗に力強く切り上げる事が出来た『近藤勇』さんデザインにもあるように上石原生まれの江戸末期の武士で刀剣が得意でカリスマ性があり誠実で仲間思いの熱血漢であったそうですど真ん中に『誠』の文字は『新撰組』の隊旗に『誠』の文字が使われてたからです『新撰組の局長』『池田屋事件
滝沢英輔監督による日本の時代劇映画。出演は三國連太郎、新珠三千代、瑳峨三智子。<あらすじ>攘夷派の青木彌太郎は、押し入り強盗で作った金を持参して新徴組へと駆け込んだ。組員となった彼はさらに強盗に押し入ったがその家の娘に惚れてしまう。すったもんだあって彼らは江戸の取り締まりを拝命することになったが、時代は開国へと向かい、最後は決死の戦いを強いられ、死んでいった。<雑感>新徴組の話を始めて観たかもしれない。でもこれは史実というわけじゃないのだろう。ひねくれものの江戸っ子の心意気とかそうい
明日は「新選組史再考第54回松本良順&新入局隊士」の対面講座ですご参加の皆さま、よろしくお願いしますオンラインは今月は、22日(土)と、30日(日)に開催します定期受講の皆さま、よろしくお願いいたします。お試し受講したいという方は、ご連絡下さいませm(__)mさて「婦人恋冊」付きの土方歳三書簡の日付についての、その31回目の記事はこちら『ラブレター付土方書簡の日付1』明日は「新選組史再考第53回征長始動&土方書簡」のオンライン講座
初夏は過ぎ、日野宿にも本格的な夏が訪れていた。八坂神社の祭礼の宵。宿場町には朝から人々の笑い声が響き、軒先には色とりどりの提灯が揺れている。祭囃子が風に乗って流れ、町全体がどこか浮き立つような賑わいに包まれていた。名主である佐藤彦五郎の屋敷でも、祭りに合わせてささやかな酒席が設けられ、多くの客人を迎える支度が整えられていた。彦五郎は客人たちを笑顔で迎え、忙しく座敷を行き来している。やがて門の外から足音が聞こえた。「近藤先生、歳。よく来てくれた。」彦五郎の声に応え、近藤勇と歳三が屋
試衛館を後にすると、二人は戸塚村への道を静かに歩き始めた。西の空は茜色に染まり、吹き渡る夕風が木々をやさしく揺らしている。若葉を渡る初夏の風は心地よく、どこからか鳥のさえずりが聞こえてくる。日中のぬくもりを残した夕暮れは、どこか穏やかな空気に包まれていた。歳三は前を歩き、お琴は少しだけ後ろからその背中を追う。お琴は、そっと歳三の後ろ姿を見つめた。試衛館で、毎日欠かさず剣を振るい続けている歳三。その背中は、以前よりもずっと逞しく、肩幅も広く見える。武士になるという夢だけを胸に歩み続
歳三は何事もなかったような顔で座っていた。だが、その横顔には、誰よりも深く、お琴の音色に心を奪われた者だけが見せる静かな余韻が残っていた。やがて、お琴は静かに三味線を膝へ抱き寄せる。丁寧に撥を拭い、一つひとつの所作を大切にするように、三味線を長袋へ納めていく。その姿を、歳三は黙って見つめていた。まるで、その一つひとつの仕草までも胸へ刻むかのように。その様子を見ていた永倉新八は、ふっと笑みを浮かべる。「土方さん。」歳三は顔を上げる。「お琴さんとは、どういうお知り合いなんです?」
畳の上へ三味線がそっと置かれる。お琴は静かに正座し、撥を手に取る。部屋には自然と静寂が訪れた。その静けさの中、お琴はそっと糸を調え始める。澄んだ調べが、静かな座敷に小さく響く。やがて、お琴は静かに目を伏せると、一度だけ深く息をついた。そして、撥がゆるやかに下ろされる。最初の一音が、夏の風を運ぶように、座敷いっぱいへと広がった。夏を思わせる涼やかな長唄。三味線の調べは、庭を渡る風と溶け合うように流れてゆく…やがて、お琴の澄みきった歌声が重なった。やわらかく、それでいて凛とした
暑中お見舞い申し上げます8月に入りました。本当に毎日暑い日が続いていますね~水分・塩分の補給をお忘れなく。さて、土方歳三のラブレター付お手紙が書かれた日のこと、の途中ですが本日は今月講座のお知らせですテーマは「新選組史再考第54回松本良順&新入局隊士」です。江戸に戻っている勇さんと、良順先生との出会いです。良順先生の回想録はあれこれありますが、少し整理してみましょうか。そして新入局の面々。もちろん、あの人の名前もかの人の名前も。そして
それから幾日か過ぎた。とある日の事…。出稽古を終えたお琴は、戸塚村への帰り道、ふと試衛館の前を通りかかった。門の向こうから聞こえる木刀の音に足を止める。その時だった。「どなたです?」門番でもしていたかのように、永倉新八が門の方へ歩いてくる。お琴は少し驚き、丁寧に頭を下げた。「申し訳ございません……通り掛かったものです。」その声に沖田総司も振り返る。「どうしました?」「見慣れないお方でね。」そう話していると、庭で木刀を収めていた歳三が門の方を向いた。「あ……。」歳三の表
それから幾日かが過ぎた。歳三は折を見つけては戸塚村を訪れ、お琴と言葉を交わし、三味線の音色に耳を傾けるようになっていた。その静かな時間だけが、歳三にとって、心を休めることのできるひとときだった。*ある日、近藤勇は出稽古のため佐藤家を訪れていた。道場では佐藤彦五郎も門弟たちとともに木刀を交え、稽古に励んでいる。やがて稽古を終えると、二人は母屋の縁側へ移り、湯呑を手にしながら庭を眺めていた。初夏の風が庭木を揺らし、どこからか鳥の声が聞こえてくる。しばらくは剣術の話に花を咲か
歳三を見送ったあと、お琴はしばらく門の前に立ち尽くしていた。歳三の姿は、やがて夕暮れの道へ溶け込むように小さくなり、ついには見えなくなる。それでもお琴は、その背中が消えた先を、しばらく見つめ続けていた。やがて小さく息をつくと、静かに離れへ戻る。部屋へ入り、縁側へ腰を下ろした。西の空は茜色から群青へと移ろい始め、庭を渡る夕風が若葉をやさしく揺らしている。どこからか聞こえてくる鳥の声も、昼間とは違う静けさを帯びていた。先ほどまで座敷に流れていた三味線の音色は、もう聞こえない。それなの
しばらく穏やかな沈黙が流れる。その沈黙さえも、不思議と心地よかった。やがて、お琴は静かに立ち上がった。「お茶を淹れてまいります。」やわらかな微笑みを浮かべ、お琴は静かに立ち上がった。「お気遣いなく。」歳三はそう言ったものの、お琴は小さく首を横に振る。「どうぞ、ごゆっくりお待ちください。」そう言い残し、お琴は襖を静かに開けて部屋を出ていった。一人になった歳三は、自然と中庭へ目を向ける。春の陽射しを受けた若葉が、風にそよぎ、どこからともなく小鳥のさえずりが聞こえてくる。試衛館で
私がおすすめする歴史ドラマは、・大河ドラマ『新選組!』・大河ドラマ『風林火山』・大河ドラマ『真田丸』・大河ドラマ『鎌倉殿の13人』この4作品です!特に『新選組!』『真田丸』『鎌倉殿の13人』は三谷幸喜さん脚本で、歴史の面白さと人間ドラマ、そしてユーモアのバランスが本当に素晴らしい作品です。個人的には、大河ドラマは毎年三谷幸喜さんに脚本を書いてほしいと思うほど大好きです。『新選組!』では近藤勇や土方歳三たちの熱い生き様に心を打たれ、『真田丸』では真田信繁(幸村)の知略と人間味に魅了
やがて、お琴がやさしく口を開く。「試衛館でのお暮らしはいかがですか。」歳三は少し照れくさそうに微笑んだ。「毎日、剣術の稽古ばかりです。」そう言うと、自分でも可笑しかったのか、小さく笑みを漏らす。「朝から晩まで木刀を振っています。厳しい稽古ですが、不思議と苦にはなりません。」「お好きなのですね。」「ええ。」歳三はゆっくりと頷いた。「武士になれるかどうかは、まだ分かりません。それでも、今は試衛館で近藤さんや仲間たちと共に稽古ができる。それだけで十分と思っています。」その言葉には、
互いに笑みを交わしながらも、その瞳は、久しぶりに会えた喜びを静かに映していた。その穏やかな空気を包むように、暖簾の向こうから戸が開く音がした。「ただいま。」その声に、お琴が振り返る。「お父さん、お帰りなさい。」店先へ姿を現したのは、大きな風呂敷包みを肩に掛けた清兵衛だった。預かっていた三味線を届けてきた帰りなのだろう。清兵衛は店内に立つ歳三の姿を認めると、一瞬目を丸くした。「これはこれは、歳三殿ではございませんか。」「ご無沙汰しております。」歳三は姿勢を正し、深く頭を下げる。
安政六年。土方歳三は、試衛館の正式な門弟となった。正式に門弟となってから、幾月かが過ぎていた。朝は誰よりも早く起き、庭で木刀を振るう。門弟たちと剣を交え、近藤勇の教えを受けながら、ひたすら己の腕を磨く日々。武士への道は、まだ始まったばかり。それでも歳三は、その一歩一歩を確かに踏みしめていた。そんな日々の中、ときおり一人の娘の姿が心に浮かぶことがあった。――お琴さんは、どうしているだろう。佐藤家で別れて以来、会う機会はなかった。稽古に励んでいるだろうか。元気に過ごしているだろ
令和8年7月30日(木)16時過ぎから約2時間弱の散歩。南砂のスナモへ。画像は25日の流山散歩、博物館と市内数か所散策16日の二人の孫、2018年7月27日のラグ。もう7月は終わり、8月になるのかぁ・・1~3日は予定なし、4~7日は予定あり、8~13日予定なし14.15.19日は高校時代の仲間等との集い(弘明寺、国立、新橋で)30日から2泊3日で横浜へ。
歳三は庭へ視線を向ける。「武士になりたいと思っています。」「……ですが。」その先の言葉は、少し重かった。「私は百姓の倅です。」「武士になりたいと願ってよいものなのか……。」「今でも、迷うことがあります。」お琴は何も急かさない。ただ静かに、その言葉を受け止めていた。やがて、小さく微笑み、穏やかな声で言う。「歳三様。」「どうか……その夢を諦めないでくださいませ。」歳三はゆっくりと顔を上げた。お琴は真っ直ぐに歳三を見つめている。「歳三様がお望みになられた道を……どうか、お進
稽古を終えた歳三は、木刀を納めると、そのまま佐藤家の母屋へ挨拶に向かった。長屋門をくぐろうとした、その時だった。門の向こうから、一人の娘が歩いてくる。「あ……。」「歳三様。」お琴だった。出稽古を終えたばかりなのだろう。長袋に納めた三味線を抱え、春風に揺れる袖を押さえながら、静かに微笑んでいる。「こんにちは。」「こんにちは。」短い挨拶だけで、二人は自然と並んで歩き出した。長屋門をくぐり、玄関へ向かう。ちょうどそこへ、おのぶが姿を見せた。「まあ、二人共、一緒だったのね。」
先ほど自分のブログを読み返していて、もう一つ思ったことがあります。新選組は幕府側だったため、「時代の流れを読めなかった古い人たち」と言われることがあります。しかし、私はその考え方には違和感があります。確かに、現代を生きる私たちから見れば、幕府を守ろうとしたことは時代遅れに映るかもしれません。ですが、それは私たちが歴史の結末を知っているからです。当時を生きていた人たちは、これから日本がどうなるのか誰にも分かりませんでした。近藤勇の出身は江戸・多摩です。多摩は幕府の直轄領であり、近藤はそ
燃えよ剣【電子書籍】[司馬遼太郎]楽天市場【中古】NHK大河ドラマ新選組!スペシャル[レンタル落ち]全3巻セット[マーケットプレイスDVDセット商品]2zzhgl6楽天市場私は幕末が大好きで、新選組についても昔から本や動画を数多く見てきました。世間では新選組を「人斬り集団」「悪役」のように語る人もいます。しかし、私はそうは思いません。確かに、伊東甲子太郎の遺体を利用して御陵衛士をおびき寄せた件など、賛否が分かれる行動があったことは事実です。ですが、それだけで新選組
2019年に発足した「れいわ新選組」が今月末で一新し大きく変貌を遂げようとしている。幕末の新選組と類似したようにみえる足跡を、山本太郎も出演したNHK大河ドラマ2004年の『新選組!』と照らし合わせてみてみたい。新政府軍と江戸での決戦を主張する新選組局長近藤勇に対して、幕府側の陸軍総裁、勝海舟が、「甲州に行って甲府城を守れ」と下知(げち)する。さらにこれより新選組は、「甲陽鎮撫隊」に改名せよ、と。近藤勇は「大久保大和」、土方歳三は「内藤隼人」と名のれと命ずる。その後の甲州勝沼の戦い(1868