国安仙人が浄嶽の行会に出席したときに、少し暇があったので野原を散歩していると半身の人間で半身が獣のようなものとばったりと会った。そしてその者が仙人に向かって哀願して言うには、「自分は人間であるが、妻子縁者ともにともらいをするものがありません。聞くところによると人間で志のある者は、あるいは再び人間界に生まれて、あるいは神界に生まれるといいます。私は生前に志がなかったために幾年も濁界にあって他の界に転生することができません。」というので、仙人は不憫に思いながらも「人間に生まれても世の中には人情のない