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こんばんは。数値予報モデルの限界の一つに「分解能による限界」がありますが、この問題ではその知識が問われています。では早速考えてみたいと思います。(a)初めにこの問題文で問われていることは何かといいますと、その限界の中で「CFL条件」というものがあるんですがご存知ですか?ということです。「CFL条件」とは、格子間隔/時間ステップ>大気の流れの速さという式で表される計算安定条件で、CFLはこの条件を説明したクーラン、フリードリヒ、ルーウィーの3人の名前の頭文字から取ったもの
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第59回試験・専門知識(a)本文の通りですが、数値予報の流れにおいて、前回の計算で得られた予報値のことを「第一推定値」とよんでおり、客観解析では、その第一推定値を観測値によって処理を行い、その修正量は観測値と第一推定値のそれぞれが持つ誤差の大きさなどを考慮して解析値を決定しています。したがって、本文の内容は正しいということになります。(b)(気象庁HP:数値予報解説資料集(令和4年度)p37より)客観解析(データ同化
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第53回試験・専門知識数値予報を計算するとき、積分時間間隔(時間ステップ)をより小さくすればするほど予報の精度はよくなるのですが、その一方で計算量が多くなってしまうことで、計算時間が膨大になってしまい、予報作業において実用的でなくなってしまいます。そこで、大気の流れの速さ(波の位相速度)と格子間隔との関係の中で、精度を維持しながら、安定的に計算が行えるだけの積分時間間隔(時間ステップ)を求める必要が出てきます。この安定的
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第63回試験・専門知識(a)数値予報モデルで表現可能な現象は、水平スケールが格子間隔の5倍〜8倍以上になります。例えば格子間隔が13kmの全球数値予報モデル(GSM)なら、表現可能なのは65km〜104km以上の現象であり、格子間隔が5kmのメソ数値予報モデル(MSM)なら、表現可能なのは25km〜40km以上の現象となります。下線部の「数値予報モデルで予測可能な現象の水平スケールの下限は、水平格子間隔が小さいほど小さくなる。」とは
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・専門知識今回は、数値予報から、メソモデルおよび局地モデルについて述べた文中の下線部の正誤を判断する内容の問題です。本題に入る前に、数値予報モデルの概要を簡単に触れておきたいと思います。(気象庁HP:気象に関する数値予報モデルの種類より)(気象庁HP:メソモデル・局地モデルの領域(左図)と、メソモデルの地形(右上図)と局地モデルの地形(右下図)より)気象庁では、予報の目的に応じて複数の数
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第60回試験・専門知識前回の問題編でも述べましたが、パラメタリゼーションとは、数値予報モデルの格子スケールより小さい現象が格子点の物理量に影響する効果を見積もって格子点の物理量に反映させることをいい、数値予報において予報精度を高めるための重要な作業になります。(気象庁HP:第4章数値予報モデルp29より)数値予報モデルに使用される基本方程式には、水平方向の運動方程式(南北方向・東西方向)、静力学平衡の式、連続の式(
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第60回試験・専門知識(a)数値予報モデルで表現可能な現象は、水平スケールが格子間隔の5倍〜8倍以上の現象になります。例えば格子間隔が間隔が5kmのメソ数値予報モデルなら、水平スケールが格子間隔の5倍〜8倍ですから25km〜40km以上の現象で精度良く表現しうることになります。したがって、「同程度以上」とする下線部の内容は誤りということになります。(b)前問の問4では、数値予報モデルに使用される7つの基本方程式を
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第58回試験・専門知識(a)パラメタリゼーションとは、本文の通りですが、数値予報モデルの時間・空間分解能以下の小さい現象が格子点の物理量に影響を及ぼす効果を見積もって、格子点の物理量に反映させて予報精度を高める作業のことをいいます。したがって、本文の内容は正しいということになります。(b)(気象庁HP:第4章数値予報モデルp29より)数値予報モデルに使用される基本方程式には、水平方向の運動方程式、非静力学平
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第62回試験・専門知識今回は、本文を読みながら、下線部の正誤について考えてみます。(第1段落)まず、「数値予報には、数値予報モデルやその初期値が完全でないことなどに起因する誤差が含まれる。地球大気を扱う数値予報モデルでは、格子間隔より小さなスケールの現象によって生じる効果を、(a)格子点における物理量を用いて近似的に評価しているので、実際の現象とは厳密に一致せず、誤差が生じる要因の一つとなっている。」とあります。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います・第61回試験・専門知識(a)(気象庁HP:令和5年度数値予報解説資料集p45)より)地球大気において、風向・風速、気圧、水蒸気量などといった物理量は流体をなしており、連続的な分布をしています。しかし、数値予報を行うにあたって、この状態ではコンピュータで取り扱うことが困難です。そこで地球大気をコンピュータでどのようにして表現するのかというところで、「地球大気中において数多くの値が連続的に分布している」と考えて、東西・南北・鉛直の3
こんばんは。早速ですが考えて見たいと思います。(a)気象レーダーは、アンテナを回転させながら電波(マイクロ波)を発射し、半径数百kmの広範囲内に存在する雨や雪を観測するものです。発射した電波が戻ってくる時間から雨や雪までの距離を測り、戻ってきた電波(レーダーエコー)の強さから雨や雪の強さを観測します。また戻ってきた電波の周波数のずれ(ドップラー効果)を利用して雨や雪の動き、すなわち降水域の風を観測することができます。(気象庁HPより)しかし、気象レーダーを利用する際の
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・専門知識今回は、数値予報プロダクト(天気予報ガイダンスに加工される前の格子点値)の利用にあたって留意すべき事項について述べた文の正誤を判断する内容の問題です。天気予報ガイダンスに加工される前の格子点値、すなわち数値予報モデルの計算によって得られた段階で、これから予想天気図などに加工される前の段階における予想値のことを「数値予報プロダクト」といいます。それでは(a)から見ていきます。(a)数値予報プロダクト
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第62回試験・専門知識(a)(気象庁HP:令和5年度数値予報解説資料集p34より)上の2つの図を見ながら考えてみます。数値予報では、前回の予報値を第一推定値に利用してデータ同化(客観解析)を行うことで解析値を作成し、さらに初期値化を行なって初期値から予報計算を実行して次のデータ同化の第一推定値として利用するということを繰り返して解析精度が保たれています。この繰り返しのことを「解析予報サイクル」とよんでいます。観測点
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第63回試験・専門知識(a)数値予報における全体のフローを簡単に示してみました。今回の問題はこの図の上の部分になる客観解析の部分についての内容になります。まず、入電した観測データの取り扱いについてですが、上図に示していますように、入電した観測データは品質管理を受けることになります。観測データの品質を一定期間モニタリングをした結果、第一推定値と比較して定められた基準より誤差が大きい観測値は信頼性の低いデータと判断され客観解析
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第59回試験・専門知識(a)数値予報プロダクトの格子点値は格子の中心に対応する地点の値をピンポイントで表しているのではなく、格子に対応する水平の2次元あるいは水平と鉛直の3次元の格子点周辺の領域を代表する値を表しています。したがって、本文の内容は誤りということになります。(b)全球モデルにおける計算領域は地球全体を対象としていますので、境界がなく、大気の流れを全体的に取り扱うことができるわけですが、メソモデルは日本とその近海の限
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・専門知識今回は、数値予報の誤差について述べた文の下線部の内容が正しいか誤りかを判断する問題です。早速(a)から考えてみます。(a)まず解析値の精度についてですが、観測データは空間的に不規則に分布していることから、豊富に観測データがある場所と乏しい場所とで偏りがあります。観測データが豊富な場所では、個々の観測データにおいて観測機器による誤差や観測値が局地的な気象状態を表わしている場合などがあるものの相対的に
こんばんは。今回は数値予報より、数値予報の改良とその効果についての問題です。数値予報のできること、できないことについてはよく問われます。問題を通じて、一緒に考えてみたいと思います。※記事中の問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの許可を頂いて使用しています。考察編は24日23時更新予定です。
こんばんは。ちょうどこの記事を書き始めた時間(20時)に雨が降り始め、風が強まってきました。さて今回は、数値予報プロダクトの利用にあたっての留意すべき事項についての問題を一緒に考えてみたいと思います。ところで、気象庁の中にある気象科学館には「数値予報モニター」というものがあるそうですが、土日を中心に説明員の活動をされている予報士の方々は数値予報について一般の方々へどうわかりやすく説明されているんだろう、なんて最近、数値予報の問題を採りあげていますと思ったりします。気象庁には
こんばんは。今回の専門知識は、数値予報からパラメタリゼーションについての問題です。数値予報におけるパラメタリゼーションとはどういう作業なのか、問題を通して、次回一緒に考えてみたいと思います。第58回試験・専門知識問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。19日分の考察編は次回更新の予定です。
こんばんは。今回の専門知識は、天気予報ガイダンスから、数値予報の誤差の低減についての問題です。問題では、気温ガイダンス、降水量ガイダンス、風ガイダンスを採り上げ、各々のケースにおいてガイダンスによる誤差の低減が可能か問われています。特にガイダンスが不得意とすることは何か、その留意点について問題を解きながら次回一緒に考えてみたいと思います。第58回試験・専門知識問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。23日分の考察編は次回更新の予定
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。(a)(気象庁の数値予報モデルが対象とする気象現象の水平及び時間スケール気象庁HPより)気象現象の水平スケールと時間スケールには関連性があります。それを具体的に示しているのが上の図です。縦軸に水平スケール、横軸に時間スケールが取られているのですが、具体的に見てみますと、寒波・高低気圧・梅雨前線のように、現象のスケールが大きくなるほど寿命が長く、数値予報による予測が可能な時間が長くなります。逆に、個々の積乱雲や竜巻のように、
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第61回試験・専門知識(ウィンドプロファイラ美浜観測局2019.02.04「美浜のウィンドプロファイラへゆく」より)(気象庁HP:ウィンドプロファイラ観測網(平成26年4月現在)より)(気象庁HP:ウィンドプロファイラの観測原理の概要より)(気象庁HP:名瀬の気圧の谷の通過をとらえた観測の例より)(a)ウィンドプロファイラの観測原理についてですが、ウィンドプロファイラは、上空に向かって発射された電
こんばんは。今回は、図11に示されている9日9時に実況で観測された解析雨量に示されている3つの領域について、図10の2つのモデルがどれだけ実況に近い予想をしているか、という文の穴埋め問題を次回、一緒に考えてみたいと思います。第52回試験・実技1・問2(3)※記事中の問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。17日分の考察編は次回更新の予定です。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。(a)数値予報の計算の際、初期値における小さな誤差が時間経過とともに拡大する性質を大気は持っているために、遠い将来になるほど大気の状況の予測は困難になってきます。そこで、大気のこのような性質に対応するために考え出されたのが、本文にあるアンサンブル(集団)予報という手法です。客観解析で作成された初期値(コントロールラン)と、そのもともとの初期値に微小な誤差(摂動)を加えた複数の初期値(摂動ラン)をもとに計算を行い、そのうえで計算結
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第58回試験・専門知識今回は、本文を読みながら(a)〜(d)に入る適切な語句・数値を考えていきます。まず、「数値予報モデルを用いてメソスケール現象による強い降水の予測精度を向上させるために、数値予報モデルの格子間隔を(a)とともに、(b)方程式系が用いられている。」とあります。気象庁では、取り扱う現象のスケールに応じて複数の数値予報モデルを使用しています。温帯低気圧や移動性高気圧など、水平スケールが3000km〜5000km、
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第62回試験・専門知識まず初めに、「天気予報ガイダンス」について、簡単に概要を述べておきたいと思います。数値予報において求められた計算結果(予測値)は未来の大気の状態に対応する様々な数値の羅列で、1億以上の格子点が持つビッグデータとなっていますが、天気予報においてはこれらをそのまま発表しているわけではありません。求められた予測値と観測値から統計的な関係(翻訳・修正)を見つけ出し、これを使って予測値から天気予報として発表するの