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早見和真さんの『ザ・ロイヤルファミリー』のレビューになります。ドラマ版との違いをお楽しみください。さっそくですが、あらすじ・概要・感想をどうぞ!あらすじ(解説つき)▼あらすじ主人公の栗須栄治(以下クリス)は、男手一つで兄と自分を育ててくれた最愛の父を亡くし、酷い罪悪感に駆られています。なぜなら父から亡くなる少し前に、「そろそろ家に帰って来て、一緒に税理士事務所を手伝ってくれないか?」と、頼まれていたのを断っていたからです。今思えば、あれは多忙で体力に限界を感じていた父から
結城真一郎さんの『#真相をお話しします』のレビュー(小説版)です。こちらは全5篇収録のミステリー短編集で、漫画化もされています。実は過去に、第74回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した『#拡散希望』だけは読んだのですが、それ以外の短篇は読んでいませんでした。しかし、のちに本書の映画化が決定し、私の大好きなMrs.GREENAPPLEの大森元貴さんが出演されると知り、ようやく全部読んでみる気になった次第でございます。記憶によると『#拡散希望』は面白かったはずなので、他もイケ
遠藤かたるさんの『推しの殺人』のレビューになります。今回は原作とドラマの内容を比較しつつ、ご紹介していきます。さっそくですが、あらすじ・解説・感想・評価をどうぞ。あらすじ:原作とドラマの違い<概要>関西を拠点とする三人組の地下アイドル「ベイビー★スターライト」(通称べビスタ)は、人気が伸び悩み危機的状況にあった。以下はグループの問題点についてまとめたもの。べビスタの問題点①頻繁に入れ替わるメンバー現在べビスタの初期メンバーは最年長のルイだけ。しかし彼女はグループ1
※ネタバレを含みますが、一部を省略したザックリめのレビューになります内田英治さんの『ナイトフラワー』のレビューになります。こちらは北川景子さん主演の映画『ナイトフラワー』の原作(文庫書き下ろし)で、さくっと読めるところがオススメ。時間を取らずに読めるので、映画と一緒にご覧ください。※ナイトフラワーとは‥月下美人のこと。一年に一夜しか咲かない。(しかし環境によっては年に数回咲くらしい)花言葉によると「ただ一度だけ会いたくて」「儚い恋」などの意味を持つ。一方で「厳しい環境でも生き抜く
朝倉かすみさんの『平場の月』のあらすじ・感想になります。<あらすじ>須藤が死んだと聞かされたのは、小学校中学校と同窓の安西からだ。須藤と同じパート先だったウミちゃんから聞いたのだという。青砥は離婚して戻った地元で、再会したときのことを思い出す。検査で行った病院の売店に彼女はいた。中学時代、「太い」感じのする女子だった。50年生き、二人は再会し、これからの人生にお互いが存在することを感じていた。第32回山本周五郎賞受賞の大人のリアルな恋愛小説。ジャンルは大人の恋愛小説。主人公は5
フリーダ・マクファデンさんの『ハウスメイド』のあらすじ&感想になります。もう、読んで損なしの面白さ!これは全米で大人気になったのも頷けます。未読の方にはぜひとも今すぐに読んでいただきたい!個人的には今年最高の一冊です。詳細なあらすじ▼はじめに本書は日本語訳(高橋知子さん)がとても読みやすく、変な話、文章のリズムが合わない国内小説よりもスラスラ読めちゃうので、気軽に手に取ってみてください。また、登場人物が少ない+内容がサスペンスというのもあり、そのわかりやすさが評判を呼んでいる一冊で
湊かなえさんの『落日』のネタバレ感想になります。あらすじ脚本家の甲斐千尋は、新進気鋭の映画監督・長谷部香から、新作の脚本を書いてほしいとオファーを受ける。現時点で考えているのは、「笹塚町一家殺害事件」を題材にしたもので、ぜひ笹塚町出身の千尋に事件についての詳細を教えてほしいと言う。決して自分の仕事が評価されたわけではなく、ただ地元の人間というだけで声をかけられた千尋は、最初オファーを断ってしまう。しかし、師匠の大畠に香との仕事を奪われそうになるや否や、悔しさのあまり勢いで「自分
横関大さんの『再会』のレビューになります。こちらはドラマ『再会〜SilentTruth〜』の原作で、第56回江戸川乱歩賞受賞作でもあります。あらすじ小学校卒業の直前、悲しい記憶とともに拳銃をタイムカプセルに封じ込めた幼なじみ四人組。23年後、各々の道を歩んでいた彼らはある殺人事件をきっかけに再会する。わかっていることは一つだけ。四人の中に、拳銃を掘り出した人間がいる。繋がった過去と現在の事件の真相とは。登場人物まずは主な登場人物をご紹介します。登場人物岩本万季子仲
雨穴さんの『変な家』シリーズ第二弾のまとめ(考察のためネタバレあり)になります。シリーズを読んだことのない方は、先に一作目の概要をご覧ください↓『「変な家」雨穴【不動産ミステリー】レビュー』今回ご紹介するのは、雨穴さんの「変な家」です。こちらは現在話題のネットを中心に活動するホラー作家、雨穴さんの不動産ミステリーになります。雨穴さんはユー…ameblo.jpそんなの面倒だ!という方にざっくりと説明しますと、とにかく変な間取り図の家の謎に迫る本だと思ってください。さっそく
住野よるさんのか「」く「」し「」ご「」と「のレビューになります。ちなみに、こちらは映画ではなく、原作のほうのレビューになりますのでお間違えなく!それでは、さっそく簡単なあらすじ紹介から入ります。特殊能力を持つ5人のクラスメイト登場人物は同じクラスの仲良し五人組の高校生。しかし彼らには互いに隠している特殊能力があります。以下にそれぞれの秘密をまとめてみました。京(大塚京)・・人の頭上に、。!?といった記号が見える。しかし自分の記号を見ることはできない。ミッキー(三
香坂鮪さんの『どうせそろそろ死ぬんだし』のレビューになります。本書は、2025年第23回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作ということで、話題の一冊でもあるのですが、SNSの反応を見ると、どうも評価が低い。それはなぜ?と、気になって読んでみたら・・・なるほど。ざっくりなあらすじは以下のとおり山奥のある館で、余命宣告を受けた人たちが集まる二泊三日の交流会が開催されている⇒参加者の一人が突然死するが、その死因が病死なのか、殺人によるものなのか、はっきりしない⇒
前々からSNSで面白いと話題になっていた小説、原浩さんの『火喰鳥を、喰う』を読んでみました。さっそくですが、感想・考察・評価を交えた簡単なレビューをどうぞ!あらすじ舞台は信州の旧家。主人公の久喜雄司は幼い頃に自動車事故で父を亡くしている。現在は妻の夕里子と、母・伸子、そして祖父の保と三人で暮らしている。そんなある日、久喜家の墓が何者かによって破壊される事件が発生する。なんと棹石の側面に刻まれていた大伯父・久喜貞市の名前が削り取られていたのだ。貞市は太平洋戦争で戦死した保の兄で、そこに
永井紗耶子さんの『木挽町のあだ討ち』のレビューになります。さっそくですが、あらすじと感想をどうぞ!木挽町の仇討睦月晦日の戌の刻。辺りが暗くなった頃、木挽町芝居小屋の裏手にて一件の仇討あり。雪の降る中、赤い振袖を被き、傘を差した一人の若衆。そこに大柄な博徒が歩み寄り、女と見間違え声を掛けた。すると、若衆、被いた振袖を投げつけて白装束となる。「我こそは伊納清左衛門が一子、菊之助。その方、作兵衛こそ我が父の仇。いざ尋常に勝負」朗々と名乗りをあげて大刀を構えた。対する博徒作兵衛も長脇差を抜き
二十七日目。ここに憩い、南に移動す。すべて順調。ケランズSFというものをひと通り読みたくて、まだ手にしていなかった破滅三部作の最初にあたる本作を✨いつかの古書店巡りの際に手にしていたんだなぁ👀この時代の文庫本の巻末にある解説は当時の空気感が滲み出ていて(*1)、それがひとつの読み物にもなっているのが中々に面白い👍*1:I.アシモフの論調が特に✨探偵小説でいえば、本格かそうでないか、あくまでも本格を読みたいっていうその感覚はわかるなぁ、、でも変格も嫌いじゃないけどね
背筋さんの『穢れた聖地巡礼について』のレビューと考察になります。考察といっても、ほとんど自信がないので「~かも?」くらいに思ってください。穢れた聖地巡礼についてAmazon(アマゾン)評価3.5/5会話文が多いためオーディオで読むことをすすめる人が多いが、終盤にかけて物語が複雑化してくることを考えると活字向き。評価が低めなのは、単に私が理解しきれていないから。一言で表すなら、謎だらけの一冊。あらすじフリー編集者の小林が出版社に持ち込んだのは、心霊スポット突撃系
王谷晶さんの『ババヤガの夜』のレビューになります。こちらは、柚木麻子さんの『BUTTER』と共に、ダガー賞翻訳小説部門にノミネートされている作品でもあるのですが、そのジャンルはバイオレンスアクションなので、少々読者を選ぶことになるかもしれません。『柚木麻子の『BUTTER』が海外で人気の理由』今海外で人気があるという柚木麻子さんの『BUTTER』。特にイギリスでは高い評価を得ており、2024年には日本人初の「WaterstonesBookof…ameblo.jp↑こちらは
真梨幸子さんの「殺人鬼フジコ」シリーズの最新作『フジコの十ヶ条』を読む前に、おさらい用として、シリーズ一作目『殺人鬼フジコの衝動』のレビューをしていこうと思います。ちなみに読む順番は、『殺人鬼フジコの衝動』⇒『私は、フジコ』⇒『インタビュー・イン・セル殺人鬼フジコの真実』⇒『フジコの十ヶ条』になります。まず、本書の冒頭には「はしがき」として、この小説はある女性が死の直前に書き上げたものだということが説明されています。小説の主人公は、フジコという少なくとも十五人を惨殺した殺人鬼であ
真梨幸子さんの小説『坂の上の赤い屋根』の解説レビューになります。ネタバレ要素を含みますが、全体の詳細を知るには本書を読んでください。坂の上の赤い屋根(徳間文庫)Amazon(アマゾン)評価4.6/5相変わらず複雑な構成ですが、比較的真梨作品の中では理解しやすく、読みやすいほうです。また、筆者が得意とするリンク読みも現在で、詳しくは『フジコの十ヶ条(殺人鬼フジコシリーズ)』と『6月31日の同窓会』で確認できます(本書との共通点は、「轟書房」と「松川凜子弁護士」)。これから真梨
このところ、あるものが欲しくなって…頭がいっぱいです(笑)(検索もしちゃったり)また…仕事して読書してそこで目の疲れが飽和点に達してしまいブログ訪問出来ていません。週末にお邪魔します~(^-^;早くこの子にも会いたい…(2024/12クロジの背中)作品紹介・あらすじより<上>古豪・明誠学院大学陸上競技部。箱根駅伝で連覇したこともある名門の名も、今は昔。主将・青葉隼斗にとって、10月の予選会が箱根へのラストチャンスだ。隼斗は、明誠学院大学は、箱
背筋さんの『近畿地方のある場所について』のレビューになります。あれ?前にしなかった?と、いうアナタ。そうなんです。既に単行本のレビューをしているのですよ。しかし、今回は文庫版のレビューをしたいと思っています。なぜなら、こちらの物語は、単行本と文庫本とでは内容が異なると筆者が宣伝していたからです。え~!そんなことってあるんだ~(驚)さっそくですが、この二冊の違いについて説明していきます。あらすじまず、真っ先に文庫を読まれた方の感想を読むと、「単行本と全然違う話になっているじゃない
カズオ・イシグロさんのデビュー作『遠い山なみの光』のレビューになります。もうすぐ広瀬すずさんを主演に映画化されるそうで、とてもワクワクしています。さっそくですが、あらすじと解説(というか考察)をどうぞ!作品紹介(ネタバレあり)<あらすじ>故国を去り英国に住む悦子は、娘の自殺に直面し、喪失感の中で自らの来し方に想いを馳せる。戦後まもない長崎で、悦子はある母娘に出会った。あてにならぬ男に未来を託そうとする母親と、不気味な幻影に怯える娘は、悦子の不安をかきたてた。だが、あの頃は誰も
森バジルさんの『探偵小石は恋しない』のレビューになります。こちらは今年流行った本格ミステリということで読んでみることにしました。かなり話題になっているのと、各SNSでも絶賛コメントで溢れているのを見て気になっていたんですよね〜。ざっくりとしたあらすじはこんな感じ・ミステリ小説オタクの小石は、自らがスカウトしてきた蓮杖と探偵事務所をしている。しかし実際の依頼の9割9分は色恋調査ばかりでやる気が出ない。・プロローグ+第四章からは、照屋、春風、一吾、ニ斗、藍沢姉弟、雪村先生という謎のメ
村田沙耶香さんの『世界99(上下巻)』を読みました。相変わらず凄かった。というか衝撃だった。でも、今回は安定のクレイジーな世界観でありつつも「とてもわかる」一冊でした。なんというか、ここに描かれてあるのはディストピア小説なのに、もはやリアルとそうかわらないのではないか?と感じてしまう不安さのようなものがありました。おそらく皆さんも「ついていけない」反面「しっくり」くるはず。さっそくですが、あらすじと感想をどうぞ。上巻のあらすじ主人公の空子には性格がありません。性格がないとはど
背筋さんが推薦していたホラー小説を読んでみました。『入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください』寝舟はやせインパクト大な題名ですよね。さっそくですが以下に、あらすじ・考察・感想を含めたレビューをしていきたいと思います!※最後に私の心霊体験談アリあらすじ母親に金を奪われ、衝動的に家を出たタカヒロは、人生がどうでもよくなってしまいます。そんなとき、一枚の奇妙な張り紙を見つけ・・。「今すぐ人生がどうにかなってもいい人募集中!月給十五万~※住み込み必須(何でも屋)
何年も前から読もう読もうと思っては「長いしなぁ」と見送り、ようやく映画化される直前になって重い腰を上げ、読みました。真藤順丈さんの『宝島』。もう本当に読んでよかった。なぜもっと早く読まなかった?と後悔しましたよ。さっそくですが、この興奮をお伝えしたく、以下に簡単な内容を説明していきたいと思います。沖縄の歴史を描いた大作<概要>・第160回直木賞受賞作・舞台は1952年から1972年の沖縄・テーマは「沖縄戦直後に始まる米軍統治時代から日本復帰までの地元民の戦い」<はじ
本屋大賞2025の3位は、野﨑まどさんの『小説』に決定しました。いやぁ~、こういう小説がトップスリーに入るのは嬉しいですね(ちなみに1位はわたしゴリ押しの『カフネ』でした)。本書は「私たちはなぜ小説を読むのか」というテーマを掲げている壮大な物語になります。さっそくですが、あらすじと感想を書きつつ、内容を整理していこうと思います。作品紹介:小説を読む意味とは?文学少年の内海集司は人生を読書に捧げています。十二歳のとき、小説の魅力をわかち合える生涯の友・外崎真と出会い、二人は小説
遠坂八重さんの『死んだら永遠に休めます』のレビューになります。まず見てほしいのがこちらのあらすじです。死んでほしいと思っていたパワハラ上司が死んだらしい。容疑者は――部下、全員。無能なパワハラ上司に苦しめられながら毎日深夜まで働き詰めの生活を送る28歳の主人公・青瀬。突然失踪したパワハラ上司・前川から届いたメールの件名は「私は殺されました」。本文には容疑者候補として「総務経理本部」全員の名前があった。限界会社員・青瀬と妙に頭の冴える派遣社員・仁菜は二人で真相解明に取り組む
水村美苗“消えてしまった夫婦”という“私”の静かな語りで始まり一挙四年前へ軽井沢追分の小屋に行く途中「蓬生の宿」と名付けたひとが住んでいなかった別荘の工事が始まっていたいつものようにツルヤから運転手の萩原さんに運んでもらいながらのその控えめな会話が日本人より日本人らしい“私”祖父はアイルランド人であり米国に住むシーアン家の一員でありながら家族とは疎遠姉モウリーンとは仲違いは兄キリアンを亡くしてから⁈歳は30歳などなど追々とずいぶん進むまでてっきり女性と決めつけていた“私
※※この本を読んで一言※※若者による群像劇で、5人のキャラクターが立っていてその関係性がとても面白い。そして切ない!普段はミステリ読みの私には新鮮でした。※※※※※※※※※※※※※※※吉田修一さんの作品を読むのは「湖の女たち」に続き2作品目です。この作品は「湖の女たち」とはテイストは違いますが、人間というものを鋭く描いていると思います。良介→琴美→未来→サトル→直輝の順番で視点(主人公)が切り替わり物語が進行していきながら、時間も同時に進行しているので、新たな出来事
大門剛明さんの『シリウスの反証』のレビューになります。◆あらすじ◆冤罪救済チームが難攻不落の再審請求に挑む。迫真の社会派サスペンス。冤罪被害者の救済活動に取り組む、弁護士や学者などのスペシャリストで構成された団体「チーム・ゼロ」のもとに、無実を訴える一通の手紙が届く。それは平成8年に岐阜県郡上郡で起きた一家四人殺害事件の犯人として、死刑判決を受けた死刑囚・宮原からのものだった。理想に燃える若手弁護士・藤嶋翔太は事件について調べ始め、信頼の置けない科学捜査や心理的なバイアスなど、様々な