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蒲原有明・明治9年(1876年)生~昭和27年(1952年)没日のおちぼ蒲原有明日の落穗(おちぼ)、月のしたたり、殘りたる、誰(たれ)か味ひ、こぼれたる、誰かひろひし、かくて世は過ぎてもゆくか。あなあはれ、日の階段(きざはし)を、月の宮――にほひの奧を、かくて將(は)た蹈(ふ)めりといふか、たはやすく誰か答へむ。過ぎ去りて、われ人知らぬ束の間や、そのひまびまは、光をば闇に刻みて音もなく滅えてはゆけど、やしなひのこれやその露、美稻(うましね)のたねにこそあれ、
寂しげに咲く白き花びらのその儚い命に心を重ねるあの遠き思い出の片隅に佇む私の心はあなたを想う季節は春から移り変わり時は流れ去るけれどあなたの影姿は忘れないおぼろげに消えていく足跡に愛しさと共に寂しさが溢れてくる哀しくそして儚く散り逝く花あなたへの思いはここにあるいま時の中に立ちはだかり消えゆく命の響き心に沁みてThewhitepetalsbloomsomberlyTheirfle
優しき雨は降り注ぐとも寂しき心は晴れやかならず春の息吹も寒さは消えぬ独りたたずむ私の胸にその微かな滴は何も慰めはせぬあの日の歓び季節の変わりやすさに消えてゆくように私の日々も消えていくああ春霖よ寂しき私の魂をも潤して暖めてくれよ春霖が運ぶ希望に抱かれたいと願うしかし寒々とした空にただ淋しく降り注ぐばかり『不染の君』冷たい雫が頬を伝う傷つきし心に浮かぶ君の面影変わらずに佇む君の姿誰にも染められぬ清廉さ忘れがたき想いが
石原吉郎・大正4年(1915年)生~昭和52年(1977年)没相対石原吉郎おのおのうなずきあったそれぞれのひだりへ切先を押しあてたおんなの胸は厚くおとこは早く果てたその手を取っておんなは一と刻(とき)あとに刺したがえたひと刻のそのすれちがいがそのままに双つの世界へふたりを向かわせた(「現代詩手帖」昭和52年=1977年8月発表・詩集『足利』昭和52年12月所収)*今回も八木重吉(1898-1927)の詩の再読はいったんお休みして、以前にもご紹介した戦
毎日載せるはずのナ・テジュの詩の翻訳ですが、昨日はセブチのことばかり考えていたために、載せられませんでしたなので、昨日の詩が短かったこともあり、今回は2つまとめて紹介したいと思います!1つ目ちょった좋다ちょあよ좋아요ちょったごはにっかなどちょった좋다고하니까나도좋다.〈日本語訳〉好きだいいね君がいいと言うから僕も好きだ。2つ目さらんえてだプ사랑의대답いぇっぷじ
吉田一穂・明治31年(1898年)8月15日生~昭和48年(1973年)3月1日没母吉田一穂あゝ麗はしい距離(デスタンス)、つねに遠のいてゆく風景……悲しみの彼方、母への捜り打つ夜半の最弱音(ピアニツシモ)。(大正10年=1921年12月作、初出・大正12年=1923年3月「詩と音樂」)白鳥吉田一穂1掌(て)に消える北斗の印(いん)。……然(け)れども開かねばならない、この内部の花は。背後(うしろ)で漏沙(すなどけい)が零れる。2燈(ラムプ)を点ける、
WallaceStevens,1879-1955"Harmonium"FirstEdition,AlfredA.Knopf,1923"TheEmperorofIce-Cream"fromthePoems"Harmonium",firstappearedinthemagazine"Poetry",July1922アイスクリームの皇帝ウォレス・スティーヴンズ大きな葉巻を巻く人を呼べ、筋肉たくましい男を、そして彼に命じろ台所のカップに淫らな練
「あなたの光」目を閉じると光に満ちた世界が見えたすべての人がゆるしあい愛しあう世界が僕は泣きながら空を見上げたすべての命を慈しみ見守っているあの空を生きることが悲しくても生きることがつらくてもどこまでも祈りつづけるあなたの光がすべてに満ちるように光に抱かれて僕らは優しい夢を見るすべての人が認めあい癒しあう夢を僕は泣きながら夢から目覚めたたとえ世界は過酷でもあの光を見つめている生きることが苦しくても生きることが怖く
(詩集『測量船』第一書房・昭和5年=1930年12月刊)鴉三好達治風の早い曇り空に太陽のありかも解らない日の、人けない一すぢの道の上に私は涯しない野原をさまようてゐた。風は四方の地平から私を呼び、私の袖を捉へ裾をめぐり、そしてまたその荒まじい叫び声をどこかへ消してしまふ。その時私はふと枯草の上に捨てられてある一枚の黒い上衣を見つけた。私はまたどこからともなく私に呼びかける声を聞いた。――とまれ!私は立ちどまつて周囲に声のありかを探した。私は恐怖を感じた。――お前の着物を脱
(三好達治<明治33年=1900年生~昭和39年=1964年没>)モダニズム時代の散文詩詩人、菱山修三(1909-1967)は今日ほとんど顧みられず、坂口安吾や逸見猶吉とは交友があったそうですが、当時の詩の流派のどこにも属さなかったために一目置かれこそすれ何となく孤立していた存在だったようです。没後に全4巻の膨大な全詩集が刊行されましたが、それでも再評価の気運は起きませんでした。先ごろ『三好達治全集』を読んでいたら最終巻の第12巻に単行本未収録の雑篇をまとめた部があり、「菱山修三君と僕」とい
島崎藤村・明治5年(1872年)3月25日生~昭和18年(1943年)8月22日没(享年72歳)『若菜集』明治30年(1897年)8月29日・春陽堂刊おえふ處女(をとめ)ぞ經(へ)ぬるおほかたのわれは夢路を越えてけりわが世の坂にふりかへりいく山河(やまかは)をながむれば水靜かなる江戸川のながれの岸にうまれいで岸の櫻の花影(はなかげ)にわれは處女となりにけり都鳥みやこどり浮く大川(おほかは)に流れてそゝぐ川添(かはぞひ)の白菫(しろすみれ)さく若草(わかぐさ)に夢
[高橋新吉(1901-1987)・21歳、第1詩集『ダダイスト新吉の詩』刊行の頃]『ダダイスト新吉の詩』中央美術社・大正12年(1923年)2月25日今回老若男女美男美女・紳士淑女の皆さまにご紹介する愛媛県伊方町生まれの詩人・高橋新吉(明治34年=1901年1月28日生~昭和62年=1987年6月5日没)は長い詩歴を誇った人で、86歳で逝去する最晩年まで新作詩集を発表していましたから、1980年代半ばには高橋新吉や岡崎清一郎(1900-1986)、草野心平(1903-1988)、小野十
寂しさに枯れた心に今も響く君の声涙がこぼれそうにため息が出てしまうあの日の記憶が蘇り忘れられない時が流れる君が笑ってくれた日々がいまは胸を締め付けてくる二人の想い出に浸りながら今も君を思い続けている離れ離れになってから時は流れ去っても僕は君を忘れられない心の奥底で君を愛し続けている再び会えるその日が訪れるまでこの切ない想いは繰り返してゆくInmyheart,witheredbyloneliness,Y
ささよなら、去りゆく冬の寂しさよく紅色に燃え立つ空に咲く桜がら楽園のように咲き誇っているは遥か遠くへ沈む夕陽を目で追いる流浪に身を置く自分が哀しいの野を馳せる疾風が、枝を揺らすとお追いかけるような花びらたちがと遠ざかり、舞い、そして散って行くずずっと昔の追憶を、いま呼び起こしれ玲瓏たる桜花の下を明日へ歩くGoodbye,tothelonelinessofthedepartingwinte
島崎藤村・明治5年(1872年)3月25日生~昭和18年(1943年)8月22日没(享年72歳)胸より胸に其の四吾戀は河邊に生ひて吾戀(わがこひ)は河邊に生ひて根を浸(ひた)す柳の樹なり枝延びて緑なすまで生命(いのち)をぞ君に吸ふなる北のかた水去り歸り晝も夜(よ)も南を知らずあゝわれも君にむかひて草を藉(し)き思(おもひ)を送る其の五吾胸の底のこゝには吾胸(わがむね)の底のこゝには言ひがたき祕密(ひめごと)住めり身をあげて活(い)ける牲(にへ)とは君
・詩人会議2024年2月号に掲載された作品です。※2023年9月の作品です。最後まで読んでいただきありがとうございました。いいね、リプログ、フォロー、コメントしていただけるととても嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします。・自己紹介、SNSなどはこちらから有原野分lit.link(リットリンク)artist、有原悠二から改名しました。小説家、詩人、(△純文学▲絵、▽
詩は廃墟の中から・佐々木幹郎試論佐々木幹郎詩集(現代詩文庫第1期76)Amazon(アマゾン)2,590〜34,900円続・佐々木幹郎詩集(現代詩文庫)Amazon(アマゾン)6,809〜6,903円詩は、書いたのちにいちど消された一行から始まる。その一行が美しければ美しいほど、詩人の憤怒やあらゆる情感と思想とが凝縮されたものであればあるほど、その一行は詩人みずからの意志によって葬り去らなければならない。そして、青いインクの滲みの下に埋
今回もお越しくださいましたたくさんのお客様に感謝申し上げます。このスタッフ含め約60名の方に見守られ無事に終演しました!写真は一階畳エリアから。ピアノソロ中。2019/12/1(日曜日)ピアノと朗読の会2「物語と愛と音楽と」@季楽堂14時開演プログラム第一章「叶わぬ恋」♫シベリウス/樅の木・川崎洋「木」新潮社刊「現代詩文庫33川崎洋詩集」より♫リスト/ペトラルカのソネット第104番・菅原敏「悲しみを食らい、泣きながら笑え」東京新聞刊「かのひと超訳世界
(黒田三郎<大正8年=1919年生~昭和55年=1980年没>)黒田三郎(大正8年=1919年2月26日生~昭和55年=1980年1月8日没)は広島県呉市に生まれて鹿児島に育ち、戦国詩の詩人グループ「荒地」に拠った詩人です。詩集は『ひとりの女に』(昭森社・昭和29年=1954年6月)、『失はれた墓碑銘』(昭森社・昭和30年=1955年6月)、『渇いた心』(昭森社・昭和32年=1957年6月)、『小さなユリと』(昭森社・昭和35年=1960年5月)、『もっと高く』(思潮社・昭和39年=1964
島崎藤村・明治5年(1872年)3月25日生~昭和18年(1943年)8月22日没(享年72歳)胸より胸に其の一めぐり逢ふ君やいくたびめぐり逢ふ君やいくたびあぢきなき夜を日にかへす吾命(わがいのち)暗(やみ)の谷間も君あれば戀のあけぼの樹の枝に琴は懸けねど朝風の來て彈くごとく面影に君はうつりて吾胸(わがむね)を靜かに渡る雲迷ふ身のわづらひも紅(くれなゐ)の色に微笑み流れつゝ冷(ひ)ゆる涙もいと熱き思(おもひ)を宿す知らざりし道の開けて大空は今光なりもろ
北原白秋・明治18年(1885年)1月25日生~昭和17年(1942年)11月2日没薔薇の木に北原白秋薔薇の木に薔薇の花さく。なにごとの不思議なけれど。(詩集『白金之独楽』より)*北原白秋(1885-1942)のこの短詩は、三日三晩で書かれたという短詩全95篇を収めた第5詩集『白金之独楽』(大正3年=1914年12月・金尾文淵堂刊)では2篇の連作になっていました。その後のアンソロジー類への収録に当たって単独では先に上げた3行詩に改められましたが、『白金之独楽』は全編漢字と
与謝野鉄幹・明治6年(1873年)2月26日生~昭和10年(1935年)3月26日没(享年62歳)与謝野晶子・明治11年(1878年)12月7日生~昭和17年(1942年)5月29日没(享年64歳)人を戀ふる歌(三十年八月京城に於て作る)妻をめどらば才たけて顔うるはしくなさけある友をえらばば書を讀んで六分の俠氣四分の熱戀のいのちをたづぬれば名を惜むかなをとこゆゑ友のなさけをたづぬれば義のあるところ火をも踏むくめやうま酒うたひめにをとめの知らぬ意氣地あり簿記の筆
現代語を基本にした、現代俳句集です。現代語・新仮名・現代的切れ字を基本にして詠んだ句を集めました。よろしければご覧になってみてください。下記の古語や旧仮名・古切れ字を使っていないこともご確認ください。や・かな・けり・たる・たり・なる・なり・あり・をり・ぬ・べし・にて・らむ・けむ・とや・てふ・ゐて・ゐし・し・き・等々また現代語・口語で俳句を詠むと稚拙になるのかについても検証など行ってみてください。※作品はすべて既発表句です※随時更新していきます現代俳句作品集〜700句〜◇春
私は一応短歌も詠むが、現代詩も俳句も読む。小説はゲイ小説しか読まない。フィクションが苦手な特異体質である。高橋睦郎は、ゲイ現代詩から始め、短歌、俳句とゲイらしく、上手く文壇を渡ってきた(なぜゲイは世渡りがうまいのか?)しかし、『頌(ほめうた)』の、ボヘミアンラプソディー感はすごい。初期、実質第一作が最高なのだ。高橋睦郎詩集(現代詩文庫第1期19)Amazon(アマゾン)680〜3,937円高橋睦郎(シリーズ自句自解1ベスト100)Amazon(アマゾン)3,058〜5,
(萩原朔太郎<明治19年=1886年生~昭和17年=1942年没>)日本の現代詩で口語自由詩を始めた詩人として浮かんでくる詩人の第一人者は萩原朔太郎(明治19年=1886年生~昭和17年=1942年没)でしょう。「殺人事件」は第1詩集『月に吠える』(大正6年=1917年刊)のうちでも口語自由詩に着手した初期の1編ですが、すでに独自の発想とスタイルを持つ見事な作品です。殺人事件萩原朔太郎とほい空でぴすとるが鳴る。またぴすとるが鳴る。ああ私の探偵は玻璃の衣裳をきて、こひびとの窓からし
なんかさ、今日ってずっと曇っててムシムシしてて、暑かったり寒かったり、変な悪夢見たり、こんなんじゃさBADBADBADじゃんね。それにね、自分の事もちゃんと守れなかった。それとね、人様に迷惑ばかりでね、さっさと去って死んじゃえばいいのに、大人になったら簡単に死ねなくなった。顔が、肉が、臓物が、全て気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。天気のせいでいいよね?こんなんなったって誰のせいとかじゃなくて自分が悪くても自分のせいじゃないもんね。エゴのせいだって言い聞かせるの。よく分からない。ストレ