ブログ記事10,336件
読書日記2024-63隠居おてだま西條奈加(著)[角川書店2023年5月発行]あらすじ優雅な余生を送るはずの隠居家は、今日も子供たちで大にぎわい。老舗糸問屋・嶋屋元当主の徳兵衛は、還暦を機に隠居暮らしを始めた。風雅な余生を送るはずが、巣鴨の隠居家は孫の千代太が連れてきた子供たちで大にぎわい。子供たちとその親の面倒にまで首を突っ込むうち、新たに組紐商いも始めることとなった。商いに夢中の徳兵衛は、自分の家族に芽吹いた悶着の種に気が付かない。やがて訪れた親子と夫婦の危機に、嶋屋
今週のカミさんは多忙である。月曜日は千葉県までタケノコ掘りに行った。一昨日は、大学時代の仲間と鎌倉めぐり。明日は、満開の藤を北関東まで観にゆく。当方引きこもりであるが、孫の迎えくらいには行く。いちばん下の保育園児。それで明日は、習い事にも連れてゆく。そのくらいのことはいたします。わたしは、家族を大切にすることも柴犬さんのごとき、であり、孫たちにあれこれちょっかい出されても唸ったり、吠えたり、ましてや噛みついたりはしない。じっと大人しくしているだけだ。妻が飼い主さんだと見立てる
もう1本、阿部さんについてかく。阿部さんとよく吉祥寺の喫茶店で喋ったのは、彼の話が無類におもしろかったからである。いまの世のひとたちはじぶんに関心がありすぎるなんてのが、そのひとつ。この指摘は、メンタル面の不安定さと表裏一体を成す承認欲求過剰傾向を冷めた眼で見ていたということだ。いまだにわたしが鮮烈に憶えているのは麻生太郎政権末期。「まあこんどの選挙じゃ民主党が勝つんだろう。でもすぐに潰れるんだろうな…だからそのあとが怖いよ」当時当方のまわりでここまで予見していたひとはいない。内外
いやーこれ。ものすごく読書に苦戦した本でした。やっと読み終えました。というのは、とっても退屈なんです・・・(スマン)登場人物が多くて覚えられないのと(ラストシーンですら、この人誰だったっけ?と思い出すのに苦労した)、ちょっと話が進むと別の人の話になって感情移入する前に場面が切り替わるのと、全体的に単調で平和なシーンが多いのと。あと色々。そういうわけで、何度も寝落ちし、前回どこまで進んだっけーと見直しながら読んでたらまた寝て、の繰り返し。それでももう止めようと
いまは夏目漱石の絶筆「明暗」をよみかえしているさなか。「明暗」は失敗作だとおもうが、柄谷行人さんが指摘しているように、それまでの漱石作品とは面目を新たにしていることはたしかである。それは、フェミニズムと格差社会の到来から発生してくる社会主義に漱石が敏感に反応している点に伺える。柄谷行人さんは、「マルクスと漱石を等価で読む」と語っているのだが、その意味が了解される一篇である。「明暗」の連載が始まったのは、大正5年=1916年。森鷗外は、同年、史伝「渋江抽斎」を連載。が、山縣有朋政権のブ
読書日記2024-62にんげんぎらい大西智子(著)[光文社2018年3月発行]あらすじ来る日も来る日も、工場のラインで鉄板を曲げ続けるまり江。どうでもいい話題で盛り上がるパート達にも、煩わしい関係のママ友にも、怒りにも似た苛立ちを感じていた。そんなまり江の唯一の宝物は5歳の娘・咲季だけだ。この子を産んだことだけが、くだらない自分の人生の、たったひとつの功績に思える。夫は数ヵ月前、家を出て行った。理由はわからない。感想お邪魔したブログで知った作家さん。図書館の棚で
読書日記2024-60アンと幸福坂木司(著)[光文社2023年10月発行]あらすじ「みつ屋」以外にも目が届くようになってきた今日このごろ。別れと出会いと「なんで?」を乗り越えて、アンちゃんも新しい扉を開きます。東京デパートの食品売り場から、たくさんのはじめての場所へ……。甘酸っぱい謎と和菓子の世界が、あなたをお待ちしています。——人の転機は十人十色。甘いお菓子で一息いれて、さあ進みましょう。感想シリーズ4弾にして気付いたこと…登場人物の名字が"花が咲く木"だ
暑い。近年は、ゴールデン・ウィークから夏にして同時に雨季である、と、皮膚感覚がそのように訴えかけてくるようだ。さきほど1972年のことをかいた。マクドナルド1号店とカップヌードル発売が、前年の1971年(昭和46年)。地味な住宅街だった生家の近所にセブン・イレブンがオープンしたのが、1974年。地下鉄有楽町線が開通した時期とリンクしており、このころからビジネス街へのシフトがはじまったのだろう。吉野家の牛丼が流行り出した背景は、オイルショック後の不況にまちがいない。つまり、73年後半から
読書日記2022-183笑うマトリョーシカ早見和真(著)[文藝春秋2021年11月発行]✩✩✩あらすじ親しい人だけでなく、この国さえも操ろうとした、愚か者がいた。四国・松山の名門高校に通う二人の青年の「友情と裏切り」の物語。27歳の若さで代議士となった男は、周囲を魅了する輝きを放っていた。秘書となったもう一人の男は、彼を若き官房長官へと押し上げた。総理への階段を駆け上がるカリスマ政治家。「この男が、もしも誰かの操り人形だったら?」最初のインタビューでそう感じた女性記者は
1972年(昭和47年)札幌オリンピック、スキージャンプ70メートル級ジャンプの金メダリスト、笠谷幸生さん逝去。80歳。80歳なら天寿まっとうとおもいたい。70メートル級というのは、いまのノーマル・ヒルのことだ。笠谷・金野・青地がワンツースリー・フィニッシュで「日の丸飛行隊」と呼ばれ、この呼称は、半世紀後の今日も使われている。笠谷選手は、90メートル級=ラージヒルでも1本め100メートル以上飛んで2位につけた。二冠獲得に期待が集まったが、2本め、空中に飛び出したところで横風に煽られ、
消滅可能性自治体一覧が発表された。この10年くらい国内をあちこち回っている感想からいえば、なにをいまさらという気がする。地方都市で栄えていると感じたのは仙台駅と金沢駅周辺くらいである。とくに金沢は高級ブランド店が入った高層ビルが並び、米国の都市みたいだった。これも森喜朗センセイのおかげなのだろうが、かつての繁華街香林坊は古色が目に立ってきていた。少子高齢化は80年代から指摘されていたことだ。以前もかいたが、私立中学・高校の校長たちは、そのころから危機感を抱いていた。くにはどうしてい
時代小説文庫(ハルキ文庫)2012年11月第1刷発行2013年10月第5刷発行259頁着物の染み抜き、洗いや染めと何でもこなす着物の始末屋・余一は職人としても腕は良いし、若くて男前なのですが不愛想で人と深く関わろうとしません難ありの客ばかり連れてくる余一の古い馴染で柳原土手の古着屋・六助余一の腕を認めながら敵対心を燃やす呉服太物問屋の若旦那・綾太郎余一に片想いをしている一膳飯屋の看板娘・お糸など市井の人々が抱える悩みを着物にまつわる思いと共に余一が綺麗に始末します
やあどーもどーもヤボ用などありまして、しばらく浮上しておりませんでした。ログインすらしておらず放ったらかしのアカウントだったのですが、意外にもブログ訪問してくださる方がいらっしゃいまして、ありがとうございましたいくつか読んだ本はたまっていたのですが、ちょうど新刊を読んだので、これなど。秋吉理香子さん作品は『婚活中毒』などで、イヤミスの人だーというイメージがありましたので、こちらもそんな感じかなと思い読みました。歴史あるミスコン「ミューズ・オブ・ジャパン」の二次審査を突
この4月からNHKのドラマ10で、警察署の交通課を舞台にしたヒューマンミステリー「天使の耳~交通警察の夜」(東野圭吾原作)のドラマが放映されたので、遅ればせながら30年以上前に刊行された「天使の耳」を読んでみました。1989年から91年にかけて「週刊小説」に掲載された短編小説集で、92年に実業之日本社が「交通警察の夜」という題名で刊行した本を改題して95年に講談社から文庫版で出版された作品。「天使の耳」「分離帯」「危険な若葉」「通りゃんせ」「捨てないで」「鏡の中で」の全6話が収
乃南アサ著『雫の街家裁調査官・庵原かのん』。シリーズ第2弾。北九州から川崎に異動となった庵原かのんは、少年事件ではなく家事事件を担当する事になった。離婚や相続など、問題は多種多様だ。プライベートでは、関東に戻れたことで、遠距離恋愛だったクリリンとついに結婚。夫婦の暮らしは順調だが、姑がなかなかクセ強し。「キツネ」「はなむけ」の2つの家事事件に涙が出そうになった。子を思う親の気持ち。決してそれは血の繋がりだけではない。このシリーズ、すごく良いです。どんどん書いてほしい。
誰にでもわかりやすくすぐ実践出来るだから続けられる!からだとこころを整える魔法のバランスレッスンAmazon(アマゾン)だから永露江未子先生の著書をCOCOemi永露江未子オフィシャルブログ「カラダとココロの魔法」PoweredbyAmebaCOCOemi永露江未子さんのブログです。最近の記事は「今時分やりがち!嚙んじゃった!(画像あり)」です。ameblo.jpあらためてご紹介したい満月は心と身体が不調だよ〜雨の日は体調いまいちだよ〜ここのところそんなご相談が多い。
読書日記2024-61うたう小野寺史宜(著)[祥伝社2024年2月発行]あらすじわたしは母を傷つけた。たった一人の肉親を、言葉のナイフで――。あれから13年、後悔ばかりで大人になった。でも、孤独に負けずにいられたのは、母の、仲間の、「うた」があったから――。かつての仲間が、次の一歩を踏み出そうとする物語。感想大学でバンドを組んだ若者達のその後を描いた連作短編集。私は小野寺作品は29冊目。そこで感じたのは、小野寺さんの独特の文体だ!…今更?必ずや人の名前
小学館文庫2007年4月初版第1刷発行解説・西加奈子501頁父親が転勤族のため転校ばかりで友人のできない智史そんな彼の生涯で初めて出来た友人が、13歳の夏に出会った佑司と花梨、そして犬のトラッシュでした素晴らしき友人たちとの出来事と同時に語られるのは、現代の智史の生活です13歳の頃の夢を実現させ、小さなアクアプランツのショップ「トラッシュ」を経営し、結婚紹介システムで出会った女性と、遠慮がちなデートを重ねていますそんなある夜、店のドアに貼ってあったアルバイト募集のチ
50年近く前の小説なのでネタバレあり。記憶だけで長文書くので、大雑把なところもあり。明日のリメイク映画を前に、こんな話だったよ…と言う事で。さて、私はめったにネタバレ書きませんが、見たくない人はこれを読まないように。■DUNEの世界観遠未来の物語「DUNE/砂の惑星」には知っておけば理解しやすい世界観がある。この物語の歴史的前提に「人類とAIの戦い」があった。自我に目覚めたAIが人類に反旗を翻し壮絶な殲滅戦があったことを「ブトレリアン・ジハド」と呼び、これ以後人類は一
西條奈加『因果の刀~金春屋ゴメス~』です。私の好きさレベル5段階評価の『5』です。ゴメス、人を殺して逮捕!開国以来の危機に瀕する江戸国の行方は?江戸国からの阿片流出事件について、日本から査察が入った。団長は大御所議員の印西茂樹。江戸城で評定が開かれる中、印西は秘密裡にゴメスに接触し、江戸国の開国と明け渡しを迫る。印西の目的は江戸国深くに眠る白緑石で、この資源を元にロケット燃料を開発し暴利を貪る算段だ。拒絶すれば江戸国は消滅――。開国以来の危機に襲
秋吉理香子『殺める女神の島』です。私の好きさレベル5段階評価の『4』です。全員、悪女。この中で最も嘘つきな殺人犯は誰?リゾートアイランドに集められた、外見と内面の美を競い合うコンテストの最終候補者。メンバーは女子高生モデル、経営者、小説家、医師、シェフ、インフルエンサー、大学院生の七人。これから二週間、互いを知りながら、高め合いながら、助け合いながら、最終選考の準備を行う。その日々を見守ってグランプリを決めるはずだった主催者が、二日目の朝、瀕死で見つかっ
打ちましたな、大谷翔平選手。松井秀喜さん超えの176号。スポーツジャーナリストだった阿部珠樹さんに見せてやりたかったな。今日は彼の命日である。生前の阿部珠樹さんは、二刀流で大活躍する大谷翔平選手の取材を心待ちにしていたのだ…
ついに読み終わりました。明日は病院だから、外で泣かないようにと思って雨の日の今日、読みました。船中八策が形になり、ついに大政奉還。じつはその前に竜馬は亡くなるとばかり思っていました。夢が形になってからでよかったです。「われ死する時は命を天にかえし、高き官にのぼると思いさだめて死をおそるるなかれ」自戒の言葉。「役人はいやだ。世界の海援隊でもやる」といっていたらしい。窮屈なことは嫌いなんでしょうね。外国と貿易することが夢だったのでしょう。
あす谷川俊太郎さんの「はる」を高校一年生と学習することになってしまった。二十億光年の孤独(集英社文庫)Amazon(アマゾン)100〜4,830円二十億光年の孤独Amazon(アマゾン)550〜12,600円「はる」は計算されていない訂正をしなかったそのままの詩詩人の口をついてあらわれたもの谷川さんが18頃に書いた詩でほとんど手をいれなかった詩と言っていた。紡いだのではなくあふれでたものなのかな勝手な解釈なのだけれど
こんばんはご訪問いただきありがとうございます本屋大賞を受賞した話題の1冊📖「成瀬は天下を取りにいく」宮島未奈こんなに真っ直ぐで清々しい主人公なかなかいないのでは自分を貫くということ周りの声にぶれないということ目標を見つけてそれに真っ直ぐ向かうということ言葉にするのは簡単ですが行動に移すのは難しいそれが若いときであればあるほど周りの目や声を過剰すぎるほど意識してしまうもの成瀬の行動力に素直に憧れてしまいましたそしてそんな真っ直ぐな成瀬は本人は全く意識していな
浅倉秋成『家族解散まで千キロメートル』です。私の好きさレベル5段階評価の『3』です。〈家族の嘘〉が暴かれる時、本当の人生が始まる。どんでん返し家族ミステリ実家に暮らす29歳の喜佐周(きさ・めぐる)。古びた実家を取り壊して、両親は住みやすいマンションへ転居、姉は結婚し、周は独立することに。引っ越し3日前、いつも通りいない父を除いた家族全員で片づけをしていたところ、不審な箱が見つかる。中にはニュースで流れた【青森の神社から盗まれたご神体】にそっくりのものが。
婚活ランキングにほんブログ村応援クリックぜひ宜しくお願いします【天野桃子の無料エッセイ】まだ子供の頃、父が書斎で私に「この本は今は読むのが難しいかもしれないけれど、将来人生にとって役に立つことが書かれているから、いつか大きくなったら読むといい」と勧めてくれた本。それがラファエル・サバチニの『スカラムーシュ』だった。ロマン文学の不朽の名作なので、読んだことがある方もけっこういらっしゃると思うが、ざっくりあらすじ。舞台はフランス革命期。主人公のアンドレ・ルイ・
作家の西加奈子さんが、カナダのバンクーバーで乳がんの手術を受けた闘病記です。題名の「くも」は雲ではなく蜘蛛なんでしょうね。お祖母様が蜘蛛は弘法大師の使いだと信じていたそうです。だからむやみに殺してはいけないといっていたそうです。蜘蛛といえば芥川龍之介を思い出しますが、それ以前にそういう考えがあったんでしょうか。バンクーバーの医療について書いてありますが、やはり外国で病気になると大変なんだなと思いました。普通のお店での対応もお国柄が見えます
五代才助と出会う。ドラマや映画でディーン・フジオカが演じていたので、好印象。五代は薩摩藩で上士の子として世界地図の模写をしていた。この事が機敏な国際感覚のもちぬしに育てあげていく基礎になったといっていい。竜馬が脱藩だ!といっている頃、藩から選ばれて上海に留学している。幕府に内緒で英国にも留学した。竜馬にも喜んで知恵と知識を提供した。大浦お慶には経済的にも助けられた。亀山社中は海援隊と改称される。岩崎弥太郎は藩史をやめ、材木
寺地はるな『こまどりたちが歌うなら』です。私の好きさレベル5段階評価の『5』です。前職の人間関係や職場環境に疲れ果て退職した茉子は、親戚の伸吾が社長を務める小さな製菓会社「吉成製菓」に転職する。父の跡を継いで社長に就任した頼りない伸吾、誰よりも業務を知っているのに訳あってパートとして働く亀田さん。やたらと声が大きく態度も大きい江島さん、その部下でいつも怒られてばかりの正置さん、畑違いの有名企業から転職してきた千葉さん……。それぞれの人生を歩んできた面々と働き