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SN2置換が起こるsp3炭素が不斉炭素であるような求電子剤は、反応が起こるときに立体配置の反転が見られる。例として、(R)-2-ブロモオクタンと硫化水素イオンとのSN2反応を上に示した。置換が起こる不斉炭素は、あたかも傘が反転しておちょこになるように、SN2反応の過程で立体配置の反転を起こす。この反転の現象はWalden(ヴァルデン、あるいはワルデン)反転と呼ばれる。
化学IA①取り組み方実を言うと…化学IAは、思うように進まず…あまり思い出したくないです😭残念ながら私自身、あまりいい出来だとは思ってないので、反省からお伝えします新しいことを発見する実験ではなく…隙間を埋める実験🧪自分で考えて実験する!というと…研究者みたいに新しいことを発見するイメージを持ちがちですが、実験の多くは、隙間を埋めるもの!IAもその1つ~!酸化還元で新たなことを🙌🏻🤍ではなく…ある実験を利用する🙌🏻🎀私のIA元になる実験をうまく見つけられな
下の例のように、4つの炭素原子と結合している中心の炭素原子のことを「第四級炭素原子」という。ところでこの「第四級」を声に出して読むとき、どのように読むか。ほとんどの化学者(私も含めて)はおそらく「だいよんきゅう」と言っていると思う。多くの教科書の索引を見ても、五十音順に並んだ用語の順番から、「だいよんきゅう」と判断しているということがわかる。しかし、たまたま見つけて驚いたが、以下の化学用語集では「だいしきゅう」となっていた。文部省学術用語集化学編(増訂第2版)日本化学会、
Friedel-Craftsアシル化反応は芳香族求電子置換反応の一種である。Lewis酸は通常、1当量以上必要。Lewis酸による試薬(塩化アシル)の活性化段階では、カルボニル酸素にLewis酸がついてBになっても、それは平衡でまた元に戻るだけ。塩素原子の方にLewis酸がついてAになると、さらに反応が進んで、真の活性種であるアシリウムイオンになる。生成物Cは、塩化アシルよりもLewis塩基性が高いので、優先してLewis酸と結合してしまう(Dとなる)。そのため、生じた生成物が次々にL
Diels-Alder反応は「立体特異的」に進行する。立体特異的であるとは、出発物質の立体異性体の種類によって、生成物の立体化学が決まる、ということである。上の(a)(b)の例のように、アルケンの(E)体からは、2つの置換基がtransとなるシクロヘキセンが生成する。逆に、アルケンの(Z)体からは、2つの置換基がcisとなるシクロヘキセンが生成する。(c)(d)のように、ジエンの立体化学も、生成物の立体化学に反映される。ジエンの2つの二重結合の立体化学が(E,E)なら、生成物の2つの
本日私は予定通り、持ち家一戸建ての方に帰ってきているので、そらの勉強の様子はわかりませんが、さっき電話した時は寝てなかった取り敢えずは良かったです。次元低い話ですみません。今日そらは昼ごはんを食べた後、鉄緑の自習室に行って四時まで勉強したそう。もう少し長くいたらいいのに、、と思いますが、まぁ自習室に行くだけでそらにしたら凄く成長したので良しとします。次元低い話ですみません。来週、学校で有機化学のテストがあるそうです。そらは「こんなけ化学やってるから、ここでは結果を残したい!」と意気
1週間授業を受けてみて、結局そのままの時間割で本登録しました一番心配なのは、やはり数学だそうで…。微分積分(←力学の授業だけど)と線形代数を、嫌がってます線形代数は、早速小テストがあったようです。あまりできなかったそうですが、周りの皆も同じぐらいしか書けていなかったらしく少し安心していました(^_^;)有機化学の授業が、一番ラクだったそうです。高校の化学の先生が話していた内容ばかりだったらしく、まだ新しい内容には入ってないのかも??ほとんどの科目で課題が出ていて、毎
エンド則その2下に示したDiels-Alder反応では、エンド体が優先して生成する。エンド体が優先して生成する理由は、二次軌道相互作用にある、と考えられている。二次軌道相互作用とは、結合生成はしないが、遷移状態の安定化には寄与する、軌道間の相互作用のことである。下図のように、エンド体を与える遷移状態では、ジエンの2番目の炭素のπ軌道と、アルデヒドのカルボニル炭素の位置のπ軌道との間に二次軌道相互作用がある。その二次軌道相互作用のため、遷移状態が若干安定化され、反応が速くなる。一方、エ
SN1反応とSN2反応における反応座標・エネルギー相関図を上に示した。(a)SN1反応は、カルボカチオン中間体を経由する。中間体は、ある程度の寿命を持ち、エネルギー極小(エネルギー「最小」ではない)の状態である。(b)SN2反応は、図に示したような遷移状態を経由して、一段階で進行する。「遷移状態」と「中間体」とを混同しないように。遷移状態とは、反応の途中に現れるエネルギー極大の状態であり、直接観察はできないほど短寿命である。参考:SN1反応SN2反応
高校の同級生(国立理系コース)の中に、ポッターと同じ最寄り駅の男子が2人います。先週は横国の子に、今日は電通の子に偶然会ったみたい横国の子は朝だったから電車で少ししか話せなかったけど、電通の子は帰りだったので駅で30分くらい話し込んだらしい(^^)どちらの大学も、忙しくて大変そうです。やっぱり理系はどこも、課題が多いんですね電通は、物理の授業が多いみたい。数学の授業も多く、内容も難しくて聞いててもよくわからないと言ってたらしい。やっぱり、高校とは全然違いますね~ポッタ
PPh3などのホスフィンによって酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)などのPd(II)が還元されて、Pd(0)になる。反応機構:palladiumacetatephosphine関連文献Buchwald,S.L.etal.Org.Lett.2008,10,3505.
regio選択性その3Diels-Alder反応の基礎9で述べた下式のようなregio選択性は、フロンティア軌道相互作用を使っても説明できる。この反応で重要な役割を果たしているフロンティア軌道は、ジエンのHOMOとアルケンのLUMOである。それぞれの分子軌道を作っている元の原子軌道部分(蝶ネクタイのような部分)を分子軌道のローブと呼ぶ。ジエンのHOMOやアルケンのLUMOの各ローブの大きさは、すべてが同じ大きさ(下図A)になっているわけではない。実際には、BやCに示したように、異なる
高校3年の化学、化学演習、大体中間試験の問題が完成した。化学は有機化学の芳香族のアミン、アミド、分離、化学演習は無機化学の典型元素。あとは解答作成及び問題量の調整。きちんと得点してほしいけどな。
Diels-Alder反応はLewis酸による触媒作用を受けるDiels-Alder反応は、Lewis酸の存在によって加速されることがある。たとえば下の反応は、Lewis酸である塩化アルミニウム(AlCl3)によって反応が速くなる。このLewis酸による加速効果は、Lewis酸がアルケンの置換基であるカルボニル基に配位することによって引き起こされる(上図のカッコ内)。カルボニル基のような電子求引基を持つアルケンのDiels-Alder反応では、ジエンのHOMOとアルケンのLUMOが重
本日は機嫌よく起きたそら。(いつもより1時間くらい遅かったが)良かった昨日の夜は疲れと眠たさで今日の予定が立てられなかったので、起きてすぐ立てていました。相変わらず不完全んな予定表ですが、取り敢えず立てる心意気だけはヨシとします。さて、化学が思ったより進んでいない様子。河野ISMの無機化学講座は取り敢えずインプットにのみ活用しているので、次はアウトプットするのにもう一度見直す予定だけど(講座内で問題をとく時間があります。)一回目の視聴すらまだまだ終わらず、、9/32しか終わってないよ
さまざまな溶媒のうち、強く水素結合できる官能基(ヒドロキシ基など)をもつものを「プロトン性溶媒」と呼ぶ。プロトン性溶媒の例また、プロトン性溶媒以外の溶媒を「非プロトン性溶媒」と呼ぶ。アセトンは通常、非プロトン性溶媒に含めるが、エノールとの平衡を考慮してプロトン性溶媒として分類されることもある1。参考文献1)標準化学用語辞典第2版、日本化学会編、丸善(2005)proticsolventaproticsolvent
ボロン酸は、脱水しながら3分子が会合し、ボロン酸無水物の3量体であるボロキシンを形成する。ボロキシンは、水存在下では容易にボロン酸へと戻る。ボロキシンは比較的安定な構造である。この安定性の原因は、芳香族性のような軌道相互作用にある。つまり、酸素の非共有電子対とホウ素の空軌道とで、ベンゼンと似たような構造をとることができる(下図)。これが、ボロキシンが比較的安定である要因である。ある種のボロン酸は、水から再結晶してもボロキシンとして結晶化する。boronicacidbor
エンド則その1シクロペンタジエンは、比較的Diels-Alder反応を起こしやすいジエンである。それは、ジエンがs-cis配座に固定されているからである。また、五員環構造であることから、ジエンの1位と4位の距離が通常のジエンよりも短い。そのため、シクロヘキサジエンなどと比べても反応性が高い。さて、シクロペンタジエンをアクロレイン(H2C=CHCHO)のようなアルケンとDiels-Alder反応させると、2種類のジアステレオマー(相対的な立体配置が異なる立体異性体)が生じる。その2種のう
エンド則その3Diels-Alder反応において、エンド則による立体選択性が見られるのは、シクロペンタジエンの反応だけではない。他のジエンを使ったときでも、同様な選択性がみられる。言葉の使い方として混乱を招くかもしれないが、シクロペンタジエン以外の反応の場合、必ずしも主生成物のことを「エンド体」と呼ぶことが正しいわけではない。しかし、これらの反応で見られる立体選択性は、「エンド則にもとづく」と言ってもよい。次へendorule
上の反応式に、電子の流れを表す曲がった矢印(巻矢印)を書き入れるとすると、どのようになるだろうか。多くの人は(ほぼ無意識のうちに)下図の上段のように書くだろう。これは当然正しい。下図の下段のように書いてはいけない。上段と下段で何が違うかと言えば、曲がった矢印の「曲がる向き(カーブが膨らむ向き)」が違っている。つまり正しい上段の方は「右に凸」となっているが、誤った下段の方は「左に凸」になっている。この違いは重要である。この反応では、二重結合のπ(パイ)結合を形成している2つの電子が、新しくでき
分子をひっくり返したときの「実線くさび形」と「破線くさび形」の関係【ルール1】左側の構造式を“裏側”から見たような構造式が、右側のものである。縦方向の軸の回りに180度回転したことになる。このとき置換基AとBの左右関係は当然入れ替わる。さて、CとDはどう変わるか?手前にあった(up、つまり実線くさび形結合の)Cは向こう側に(down、つまり破線に)なり、向こう側にあったDは、手前になる。【ルール2】左側の構造式を上下ひっくり返したような構造式が、右側のものである。横方向の軸の回
求核置換反応は、その反応機構からいくつかの種類に分類できる。その中でも代表的なものが、SN1(エスエヌワン)反応とSN2(エスエヌツー)反応である。(Nは下付き)ここに示した3段階で進行する2-ブロモ-2-メチルプロパンと水との反応は、SN1反応である。反応速度は、2-ブロモ-2-メチルプロパンの濃度に比例する。さらに反応速度は、水の濃度には比例しない。つまり反応速度=k[BrC(CH3)3](kは速度定数)上の例では、1段階目の反応が遅く、1段階目の反応速度が、全体の反応
立体配置が一義的に決まる書き方を以下の構造式は、すべて同一の分子を表している。これらの他にもまだまだいろいろな書き方ができる。重要なことは、どの構造式でも「中心炭素の立体配置が一義的に決まる書き方である」ということである。一方で、下のような構造式の書き方は避けなければならない。このような書き方では中心炭素の立体配置が一義的に決まらない。くさび形結合(その6)へ有機化学勉強会大学生向けの有機化学の基礎です。大学に入って初めて有機化学を学ぶと、イメージしにくいトピ
アルケンとボラン(BH3)との反応をヒドロホウ素化という。上式の一段階目がヒドロホウ素化。THFが溶媒としてよく使われる。生成したアルキルホウ素化合物を過酸化水素で酸化すると、アルコールが合成できる。つまりアルケンから二段階でアルコールを作れることになる。反応機構は以下の通り。hydroborationofolefinwithborane,andthesubsequentoxidationwithhydrogenperoxide
分子軌道ができるときの位相のこと(p軌道)前回、軌道の位相について解説した。そのときは水素原子の1s軌道を例にとったが、今回は、2p軌道の場合について解説する。2p軌道は、原子の位置を中心にして2つの“でっぱり”(ローブ)がある。2つのローブ部分は軌道の符号(位相)が異なる。ある原子の2p軌道同士が相互作用して分子軌道を作るとき、大きく分けて2つのパターンがある。ひとつ目が、σ結合ができるパターンであり、もうひとつが、π結合ができるパターンである。σ結合ができるパ
今回は化学の選定教材についてのブログ.そもそも高校化学では3つの分野に化学を分けている.それは,理論化学,無機化学,有機化学の3分野だ.まず,理論化学は大学になると物理化学という分野になる.よって,この分野は物理的な思考を多く要すので生物選択者には多少取り組みにくい分野でもある.しかし,物理選択者にとっても物理ほどの体系性を持っていないので,苦手意識を感じる生徒も意外と多い.しかし,化学反応の理論を扱っている分野であるので,この分野のマスターは必須である.次に,無機分野は,無機物の
水素の省略不斉炭素原子に結合している水素原子を省略して構造式を書くこともできる。下に、水素原子を省略した例を示した。水素原子が省略された構造式(それぞれ右側の構造式)を見ても、省略されている水素原子がどの方向(upordown)に結合しているのかを想像できるようになろう。くさび形結合(その7)へ有機化学勉強会大学生向けの有機化学の基礎です。大学に入って初めて有機化学を学ぶと、イメージしにくいトピックにたくさん出会うと思います。そんなときに気軽に見てみてください
求核置換反応は、有機化学において頻繁に見られる反応である。図の反応では、ヨウ化メチルと水酸化物イオンからメタノールとヨウ化物イオンができている。つまり、ヨウ化メチルのヨウ素原子が、反応後は水酸基に置き換わっている。このような、出発物質のある原子(あるいは原子団)が別の原子(原子団)に置き換わる反応のことを置換反応と呼ぶ。ここで、反応性に直接関わる電子対を持つ物質(ここでは水酸化物イオン)を求核剤と呼ぶ。一方、求核剤の電子対と反応する物質(ここではヨウ化メチル)の方は求電子剤と呼ばれる。こ
アルケンの臭素化の機構。ブロモニウムイオン(bromoniumion)中間体を経由する。2つのブロモ基がトランスの立体化学で導入される(アンチ付加)。ブロモニウムイオンへの臭化物イオンの攻撃は、SN2反応と同様に、立体化学の反転を伴って進行する。上の反応機構では、ブロモニウムイオンへの臭化物イオンの攻撃が三員環の上側の炭素で起きている。下側の炭素で起きれば、逆のエナンチオマーが生成する(下式)。どちらのエナンチオマーもトランスのジブロモ体であり、実際は両方のエナンチオマーが同じ量で
◎化学特講Ⅲ担当:増田重治[概要]駿台化学科特講シリーズの一つ。有機化学の芳香族までの範囲を扱う。有機化学は増田先生の十八番なので受講価値は非常に高い。[テキスト]おそらく関西作成のテキスト。要項、EXERCISE、演習問題、自習問題から成る。演習問題は国公立を中心に10題あるが、悪問が入っていることもある。また自習問題は多すぎてやりきるのは困難を極めるので余裕のある人以外は過去問を解くべき。個人的な意見だが、配布プリントの方が説明も詳しく(電子論の話はテキストにあまりない)