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エンド則その3Diels-Alder反応において、エンド則による立体選択性が見られるのは、シクロペンタジエンの反応だけではない。他のジエンを使ったときでも、同様な選択性がみられる。言葉の使い方として混乱を招くかもしれないが、シクロペンタジエン以外の反応の場合、必ずしも主生成物のことを「エンド体」と呼ぶことが正しいわけではない。しかし、これらの反応で見られる立体選択性は、「エンド則にもとづく」と言ってもよい。次へendorule
第3問有機化学です。知識がないとどうにもならない設問もあります。駿台標準,標準,やや難,標準,やや難河合塾標準,やや易,標準,やや易,標準代ゼミ標準東進標準,標準,標準,やや易,標準の評価です.15カ不斉炭素原をつくる→カ不斉炭素原子をつくる
regio選択性(位置選択性)その1Diels-Alder反応においてジエンとアルケンが反応する際の「向き」に関する選択性は、regio選択性(regioselectivity)と呼ばれる選択性の一種である。たとえば、一番上の反応式のようにジエンとアルケンは反応し、2番目の式のような反応は不利である。regioselectivityの日本語訳は、1986年の「文部省学術用語集(南光堂)」によれば、「レギオ選択性」である。丸善の「第2版標準化学用語辞典(2005年)」でも「レギオ選択性
こんにちは!元暗記が嫌いなひろです。今回はあなたの暗記スピードを4倍にもしてしまう暗記の秘密兵器『悪魔のメモ帳』についてお話しします。※ノートではなくメモ帳です。ここは何気に大事です。笑この勉強法は浪人時、恩師との出会いにより生み出されたものなのですが、悪魔のメモ帳が誕生するまでのエピソードがあるのでぜひお聞き下さい。恩師の地理の授業を受けていたとき、ふと革命的勉強法を解き放ったのです。「覚えにくいところはその都度メモ帳に書き込みなさいオリジナルの暗記帳を作りなさ
2023年九州大学の問題で以下のようなものがあった。『イソプレンとエチレンを反応させ、六員環化合物ができる』おいおい、これってDiels-Alder反応か?それとも共重合系統で、環状になる問題か?高校の問題ではベンゼン環を除き、環状の化合物はエステル化などで作っていく感じなのですが。私自身九大の問題を解いてみて、難しく感じ、果たして及第点を取れるのか不安になったほどです。私より数年年配の先生に聞いたら、「もうこの問題は解けない。昔はこんな問題出なかった。しかも、うちの生徒にもこ
こんにちは!6時40分起きのシトシンです!東北大学の点数開示が来たので載せようかと思います!ひどすぎて載せるのやめようかとおもったのですが、成長率で1位を狙うにはこれは乗り越えるべき試練なのだ、と思い立った次第です。ご覧のとおり、余裕で、余裕で落ちましたとさ!めでたしめでたしーってのんきなわけではないです。これ見た直後、さすがに1年宅浪したら受かるとか、そんなに甘いものじゃないって
第3問です.構造決定は見慣れない構造のものです.11~15の評価は河合塾:標準、標準,やや易,標準,やや難駿台:標準,やや易,やや易,やや難,やや難代ゼミ:(標準)東進:標準,標準,やや易,標準,やや難です.
αとβはいろいろな意味で使われている。1官能基から数えて1番目の炭素から順に、α、βと名付ける。α,β-不飽和ケトンという言い方や、α-アミノ酸、β-アミノ酸という使い方ができる。2環状分子の構造が書かれている紙面の下側をα、上側をβと呼ぶこともある。環の上に出ている結合(つまりくさび型結合で書かれている結合)をβ結合、環の下に出ている結合(破線結合で書かれている結合)をα結合と呼ぶ。また、環の下側から反応剤が攻撃した反応では、「反応剤がα面から攻撃した」などと言うこと
化学反応に用いる試薬を、触媒量ではなく、1当量以上用いる場合、その反応を化学量論的と言い、「化学量論量の試薬を用いる」などの表現をする。化学量論的の英語はstoichiometricである。この化学量論量という言葉の代わりに、当量という言葉が使われている例をしばしば目にする。例えば「この反応では当量の酸化剤を用いた」などの言い方である。当量という言葉はもちろん通常は「1当量」とか「2.5当量」というように、量の単位として使用されているし、実際の使用例を見ても、数字の後ろに置かれる形で頻繁に使用
reductionofpropargylalcoholwithRed-AltogiveallylalcoholRed-Al=SMEAH=sodiumbis(2-methoxyethoxy)aluminumhydride=Vitride
8月中旬、水田の隅っこで生育するキクモ。繊細な沈水葉が美しい。キクモ(Limnophilasessiliflora)は日本各地の水田、水路、ため池などに生えている水草で、とても美しい水中葉を持つ(尚、アクアリウムで流通する所謂アンブリアはキクモとは別種である)。自然界では冬でも温暖な湧水河川や一部の地域などを除き、基本的に初夏に芽生え、晩秋には枯れる。逆に言えば、水温が高ければ枯れないはず。ということで、加温した水槽で育ててみることにした。水中化し始めたキクモ。しかし、実際に育て
第1問が有機化学です。Ⅱは,知る人ぞ知る、シクロヘキサンです。Ⅰ、Ⅱの難度は,駿台やや難、やや難河合やや難、やや難代ゼミやや難、やや難東進難、標準の評価です。アやや易,イ標準,ウやや易,エ標準,オやや難カやや易,キやや易,ク標準,ケやや難,コやや難,サやや難有機化学入門で学ぶ内容なので,入試に出すなら出すで,予告するのが親切だと思います。
今、中心となる炭素原子にA~Dの置換基が結合しているとする。中心炭素はこの場合、いわゆる正四面体炭素なので、A~Dの4つが全て同一平面上に位置することはできない。AとBと中心炭素の3つを同一平面上(この平面をここでは平面Xと呼ぶことにする)に位置するように置く。置換基CとDは平面X上には位置せず、平面Xの上側か下側に出る。上側に出てる(つまり平面Xの手前側に出てる)ことを表現する目的で使うのが、実線のくさび(楔)形結合である。置換基Cと中心炭素との間の結合がそれだ。一方、下側に出てる(つまり
一酸化炭素(CO)は、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)等のPd(II)をPd(0)へと還元する。反応機構:palladiumacetatecarbonmonoxide参考文献Willcox,D.;Chappell,B.G.N.;Hogg,K.F.;Calleja,J.;Smalley,A.P.;Gaunt,M.J.Science2016,354,851-857.
PPh3などのホスフィンによって酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)などのPd(II)が還元されて、Pd(0)になる。反応機構:palladiumacetatephosphine関連文献Buchwald,S.L.etal.Org.Lett.2008,10,3505.
エンド則その2下に示したDiels-Alder反応では、エンド体が優先して生成する。エンド体が優先して生成する理由は、二次軌道相互作用にある、と考えられている。二次軌道相互作用とは、結合生成はしないが、遷移状態の安定化には寄与する、軌道間の相互作用のことである。下図のように、エンド体を与える遷移状態では、ジエンの2番目の炭素のπ軌道と、アルデヒドのカルボニル炭素の位置のπ軌道との間に二次軌道相互作用がある。その二次軌道相互作用のため、遷移状態が若干安定化され、反応が速くなる。一方、エ
エンド則その1シクロペンタジエンは、比較的Diels-Alder反応を起こしやすいジエンである。それは、ジエンがs-cis配座に固定されているからである。また、五員環構造であることから、ジエンの1位と4位の距離が通常のジエンよりも短い。そのため、シクロヘキサジエンなどと比べても反応性が高い。さて、シクロペンタジエンをアクロレイン(H2C=CHCHO)のようなアルケンとDiels-Alder反応させると、2種類のジアステレオマー(相対的な立体配置が異なる立体異性体)が生じる。その2種のう
上の反応式に、電子の流れを表す曲がった矢印(巻矢印)を書き入れるとすると、どのようになるだろうか。多くの人は(ほぼ無意識のうちに)下図の上段のように書くだろう。これは当然正しい。下図の下段のように書いてはいけない。上段と下段で何が違うかと言えば、曲がった矢印の「曲がる向き(カーブが膨らむ向き)」が違っている。つまり正しい上段の方は「右に凸」となっているが、誤った下段の方は「左に凸」になっている。この違いは重要である。この反応では、二重結合のπ(パイ)結合を形成している2つの電子が、新しくでき
(1)同じ色の線は平行に描く。(2)アキシアルの3本を平行に描く。(3)下の方のアキシアル3本も平行に描く。(4)エクアトリアルの2本を、赤いC-C結合と平行に描く。(5)同様に、エクアトリアルの2本を、赤いC-C結合と平行に描く。(6)残りのエクアトリアルの2本を、赤いC-C結合と平行に描く。できあがり。chairconformation立体配座有機化学勉強会大学生向けの有機化学の基礎です。大学に入って初めて有機化学を学ぶと、イメージしにくいトピ
こんにちは!物理に続いて、化学もやっていきましょう!大阪大学化学1、Ⅰ:ハロゲン化水素過去問。問3も論述あるある問題。酸、塩基の反応をきちんと理解していれば簡単な問題。1、Ⅱ:電離平衡電離平衡は阪大でも頻出問題。今回も与えられた条件から、きちんと計算すれば答えは出せる問題。式の意味を考えて論述にする問題があるが、これも論述問題というよりは計算問題。2、気体平衡阪大の2番は難問がくる可能性が高く、年によっては計算が多かったり、考え方
ninhydrinaminoacid
問題下の化合物のうち、塩基性の最も強いものはどれか?また、その理由は?解答塩基性の最も強いものは化合物C。ピリジン環の4位にあるジメチルアミノ基は強力な電子供与基であるため、ピリジン環窒素の塩基性を強める。化合物Bが持つメトキシ基も電子供与基であるが、ジメチルアミノ基ほどではない。また、化合物Dが持つニトロ基は、強力な電子求引基である。また、プロトン化された共役酸の共鳴構造を考えてもよい。下のような共鳴式が書け、このため、プロトン化された状態が安定となる。つまり
複数個の不斉炭素原子等のキラル中心をもつ分子において、そのうちの一つのキラル中心の立体配置だけが逆になっているジアステレオマーを「エピマー」という。ある分子が、そのエピマーに変わる反応を「エピマー化」という。英語がepimerizationであるため、日本語でつい「エピメリ化」と言ってしまうが、「エピマー化」が正しい。有機化学勉強会大学生向けの有機化学の基礎です。大学に入って初めて有機化学を学ぶと、イメージしにくいトピックにたくさん出会うと思います。そんなときに気軽に見てみ
置換基をもつベンゼンなどにおいて、その置換基をもつ炭素の位置を「イプソ位(ipsoposition)」という。イプソ位に反応剤が攻撃することを「ipso-attack」という。イプソ位で置換反応が起こることを「イプソ置換(ipso-substitution)」と呼ぶこともあるが、IUPACによると、ipso-substitutionという用語はsubstitutionと同義語なので使わない、とのことだ。関連:シネ置換、テレ置換有機化学勉強会大学生向けの有機化学の基礎で
アルケンとボラン(BH3)との反応をヒドロホウ素化という。上式の一段階目がヒドロホウ素化。THFが溶媒としてよく使われる。生成したアルキルホウ素化合物を過酸化水素で酸化すると、アルコールが合成できる。つまりアルケンから二段階でアルコールを作れることになる。反応機構は以下の通り。hydroborationofolefinwithborane,andthesubsequentoxidationwithhydrogenperoxide
水素の省略不斉炭素原子に結合している水素原子を省略して構造式を書くこともできる。下に、水素原子を省略した例を示した。水素原子が省略された構造式(それぞれ右側の構造式)を見ても、省略されている水素原子がどの方向(upordown)に結合しているのかを想像できるようになろう。くさび形結合(その7)へ有機化学勉強会大学生向けの有機化学の基礎です。大学に入って初めて有機化学を学ぶと、イメージしにくいトピックにたくさん出会うと思います。そんなときに気軽に見てみてください
電子求引性か電子吸引性か「でんしきゅういんせい」の漢字が「電子求引性」なのか「電子吸引性」なのか、迷うところです。幾つかの有機化学の教科書などの索引を見てみましょう。大学院講義有機化学(東京化学同人)・・・電子求引性ジョーンズ有機化学(東京化学同人)・・・電子求引性パイン有機化学(第5版)(廣川書店)・・・電子求引性ブルース有機化学(第5版)(化学同人)・・・電子求引性マクマリー有機化学(第4版)(東京化学同人)・・・電子求引基ウォーレン有機化学(東京化学同人)・・・電子
Diels-Alder反応はLewis酸による触媒作用を受けるDiels-Alder反応は、Lewis酸の存在によって加速されることがある。たとえば下の反応は、Lewis酸である塩化アルミニウム(AlCl3)によって反応が速くなる。このLewis酸による加速効果は、Lewis酸がアルケンの置換基であるカルボニル基に配位することによって引き起こされる(上図のカッコ内)。カルボニル基のような電子求引基を持つアルケンのDiels-Alder反応では、ジエンのHOMOとアルケンのLUMOが重
o-ニトロベンジル基の光による脱保護の機構。photolysisofo-nitrobenzylgroup(ONB)
結合を波線で書くことがある。(図中、青矢印で示した。)以前は、これは、立体異性体の混合物であることを示していた。つまり、上に示したひとつ目の例では、波線は、「くさび型結合」と「破線結合」の両方を意味している。ふたつ目の例では、波線によって、「トランス」と「シス」の混合物であること示している。ただし、混合比が1:1であるとは限らない。現在も、混合物であることを示している場合が多い。しかしIUPACの2006年の推奨では、波線は「立体が不明」であるときに使う、とある。したがって、混