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㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ただユニは、普段と同じように見えて少し違うとジェシンとソンジュンはすぐに気づいた。ぼうっとしているのだ。普通に立っているし歩ける。返事もするし、ソンジュンが見つけた時に泣いても取り乱してもいなかった。服も何度も見直したが、汚れても乱れてもいない。それに時間的には四半刻ぐらいだったろうから、長い時間閉じ込められていたわけでもないだろうに。「気が付いたらあそこに立ってた。」とばかり言うのだ。勿論、ユニを無
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「得体のしれないものは怖いもんだ!仕方がない!」ドヒャンは笑いながらも慰めてはくれた。けれどユニはすっかり拗ねてしまった。その顔を見て、ユニに甘い親父儒生のドヒャンは、「いいか、テムル。皆隠しているが、それぞれに怖いものはあるんだぜ。」とさらに言葉を継いだ「じゃあ、兄上の怖いものって何なの?」ふくれっ面のままのユニが聞くと、ドヒャンは顔を真面目なものに戻し、腕を組んで天を仰いだ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「・・・おい、シクと一緒じゃなかったのか?」「俺は・・・コロ先輩と一緒にいると思っていました・・・。」夕餉の後、もう一度尊経閣に行くことにしていたソンジュンにくっついて、キム・ユンシク・・・ユニも一緒に参考文献を探しに行った。腹ごなしだ、とジェシンも二人の後からゆらゆらと散歩がてら一緒に行ったのだ。勿論ともに中二坊に戻るはずだった。ソンジュンは自分が探していたものを見つけ、ジェシンは奥の方で詩集を漁り
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。その建物は、おそらく清斎の部屋が足らなくなった時があって作られたものなのだと言われている。あくまで臨時のものだから、オンドルも通っていないし、狭い部屋が二部屋あるだけの小さなものだ。いずれ取り壊すからと東斎を取り囲む低い塀の際に建てられたが、案外しっかりした者だったので、その後、大科に向けて一人の時間が欲しい儒生などの勉強部屋のように使われた時期があった。その時に、この部屋を使った儒生が死んだのだという。学問に狂った
㊟フォロワー様500名記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「ううサヨンのあわてんぼう・・・。」「お前が転びかけたのがまず間違いの元だ。」「うう・・・。」薬房にたどり着く途中で、抱え上げられた肩の上で必死に説明をし、足を痛めたのではないとようやく納得してもらって、ユニは地上に降りることができた。紛らわしいことすんな、というジェシンの小言に、一応反論してみたものの、見事に言い返されてユニはうなるしかなかった。
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「イ・ソンジュン君、君、先日妓生のチョソンを見ただろう?」話しかけてきたのは、ハ・インスという二つ年上の少年だった。父親は近年目覚ましく出世した人で、本人も壮元を取るほどではないにしても成績は上位で、人をなんとなく従わせる目力の強い少年だ。インスの父はソンジュンの父との関わりを非常に大事にしているらしく、インスもソンジュンに対しては君付けで呼ぶ。取り巻きのような他の少年たちに対しては、かなり偉そうな態度をとる
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。二日後から出仕を再開したジェシンは、ユニとの婚儀をあちこちで祝われ、挨拶に疲れて不機嫌だった。贅沢だよなあ、とヨンハが笑い、ソンジュンも苦笑する。ユンシクは実姉の嫁入り故当事者だ。こちらも祝われているが、ジェシンよりはだいぶ少ない。南人の官吏が少ないからでもあるし、新人官吏故知り合いも少ない。だから半分は他人ごとのようで、ソンジュンと並んで苦笑していた。「うるせえよ・・・どうせ親父に伝えてほしいだけだ。」
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ユニも目を見開いてチョソンの笑顔を眺め、そして唇を綻ばせた。「まあ・・・なんてお可愛らしい・・・まるで桃の花がほころんだようね・・・。」その言葉はチョソンの耳にも届き、チョソンは驚いたようにユニを見ると、頬をさあっと、それこそ桃色に染めた。まるで少女のように。唇は言葉を発したユニと違い濃い紅に染め、しかしその色に負けないほどの強い目力と美貌に恵まれたチョソンは、年齢はジェシンやヨンハと
おはようございます。鑑賞休止の際は、オススメドラマを教えて下さりありがとうございましたオススメして貰う直前に、韓国時代劇ドラマを見始めていたので、まずは手をつけたドラマから鑑賞し終えました~♪今回は完走できたことに安堵です(笑)そのドラマとは…ちょうど休止した「キム秘書はいったい、なぜ?」に出演してたパク・ミニョンさんがヒロインの「トキメキ☆成均館スキャンダル」最初は「花ざかりの君たちへ」のようなラブコメ全開かなと思ってたけど、政治に身分問題にミステリーにと色々絡み合ってて面白かっ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ジェシンが一口に口に放り込んだ餅を、王様は流石に上品に小さめにかじった。少しだけ伸びてから噛み千切られ、王様の口が咀嚼に動く。円形に平たい餅は軽くあぶってあり、醒めていても香ばしかったから、王様の口にも合わない事はないだろう、とジェシンは腹をくくった。王様の召し上がりものは、水刺間という王族の食事を用意する部署がある。そこのものだって、王様の御前に到着するまでに毒見が入るのに、とはジェシンだって知っているのだ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「でも正直・・・ユニお姉様はお年頃だよねえ。どうしてだい?」「僕が・・・僕がキム家のきちんとした当主になるまでは、色々なことが気がかりで他家に嫁いでもその家に尽くせるようにはならない、のだそうです。」「お前がきちんとした当主になるってのは何が基準だ?」ジェシンが聴いた。うつらうつらとまどろんでいたとは思えないほど鋭い目つきをしていた。「まず小科に受かる。そして己の実力を測り、できうるな
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ハ・ウジュが父からその日の指揮を取り上げることができたのは、庁の長官である当時の大監と同じ派閥、老論だったからだ。賄賂とおべっかで、彼は少しずつ大監に目をかけられていった。そして一気に自分の名を派閥で響かせようと、大手柄を目論んだのだ。捕縛対象が、老論ではあるが皆から爪弾きされていた嫌われ者だったという理由もあった。何の遠慮もいらなかった。自分の地位にとってかわられるかもしれないと大監が用心していたジェシンの父を蹴落
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「姉上様はとても働き者だね・・・。」ソンジュンはユニの弟ユンシクが、ユニの知らない筆写の仕事のやり取りの日に貸本屋の近くで待った。彼は遠くまで帰らねばならないから、どこかでゆっくり座って、などという時間はない。だから落ち合ってすぐ、ユンシクと足並みをそろえて、都から続く街道の入り口まで歩きながら話をした。最初はユニの話をするつもりはなかった。ユニによく似たこの少年に、人嫌いのソンジュンが興味をもったの
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。昼餉を終え、ジェシンとソンジュンは連れ立って職場に向かった。男の食事の時間などあっという間だ。喋っているとはいえ、食い、少し話をすれば、休息の時間など特に決められていないが、仕事に戻らねばならない気になる。その辺りがやはり新人ではあるのだ。二人は研修がてら配属されている職場が近い。ヨンハとユンシクは昼餉を食べた庭の隅からはジェシン達と反対方向の建物に向かう。ヨンハはこういう風に皆が大体集まりやすい場所も見つけ
㊟一周年記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作ですご注意ください。ジェシンが帰って数日後。ソンジュンは早朝から屋敷を出た。薄暗い都を駆け抜け、家もまばらな街道を通り、ユニが静養しているヨンハの別邸へ着いたのは、まだ世間が動き出した頃。馬を下り、とりあえず門の側にくくりつけ門を潜ったソンジュンは、思い立ったように庭へと向かった。母屋と思われる家屋を回り込むと中庭がしつらえられている優雅な作り。そこに
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。鐘は今夜も鳴る。誰の耳にも、同じように聞こえるはずだ、鐘は一つしかないのだから。けれど、とジェシンは床の中で温かなユニの体を抱きしめながら聞く。あんなに何の感動もなく聞いていたただの時を知らせるだけの音が、今、こんなにも美しく聴こえるものなのか、と思いながら。婚儀を挙げてから時は経ち、間もなくジェシンは王様から指名された仲間たちと共に清に留学する。王様に期待されている若き才能の一人として誉れある指名だ
㊟一周年記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。清から帰ってきたユニたち。知らされていたことだが、ユニとユンシクの母は南山谷にはいなかった。都の片隅の小さな屋敷に移り住んだのだ。ユニが大科に合格した後、あまりにも通うのに遠いので、翼廊洞の屋敷から通ったほど。ユンシクにその生活をさせたくなくて、ヨンハに頼んで、南山谷の家を売った金で、小さな家を都に買おうとしていたのだ。清に行くまでに間に合わ
㊟一周年記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「王様の護衛と落ち合った?」「確かだ。常に王様についている武官だ。間違えるわけがない。」初めてじゃないな、テムルも慣れてた、何の迷いもなく後ろに乗せられていた、とジェシンが言うと、ヨンハはしばらく黙った。「・・・テムルが王様と会っている・・・。そういう事だな。」ジェシンの唸るような声に、ヨンハは頷く。どういうことだ、と横を向くジェシン
㊟一周年記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「夢をね・・・見るんです。」微笑みながらユニはヨンハに言った。その笑顔が美しくて、ヨンハはつい見つめてしまう。「ご視察にお供している夢・・・。王様にお菓子を買って差し上げるの・・・。美味しいってお笑いになるのよ。楽しかったわ・・・。」ヨンハは顔をゆがめた。王様がお亡くなりになってすでに7年目。夢に出てこられたか?王様。テムルはま
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ふうん、と無表情にジェシンはその報告を聞いた。執事というものはその家の問題を自分の采配ひとつで解決して主人を煩わせないという能力も必要だが、それには、必ず主人に報告しなければならない問題が何かを把握できる能力があってのことだ。つまりムン家の執事は、この貸本屋の案件は、主人家族にとっては知る必要があり、自分たちはその指示によって動かなければならないと判断したものであるという事で、それは正しかった。当然、ジェシンにも遣い
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ふと意識が浮上した。香りがしたから。そして耳に染み入るように漂ってくる低い声。傍近くにあるのが分かる。ああ、と思う。抱かれている、と。温かな腕を枕に、頬をその人の胸にうずめて、包まれているのだ、と。目は覚めてきた。けれどじっと聞き入った。低い声は吟じていた、詩を。それはユニもよく知っている、詩経の中の一篇『桃夭(とうよう)』桃之夭夭桃の夭夭たる灼灼其華灼灼たりその華之子于帰この子
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。白い体が白い練り絹の寝衣の間から顔を出す。初めて唇をあわせた花嫁は、白い肌を徐々に紅に染めていく。インジョンの鐘が鳴った。このまま飲み明かそうか、とヨンハはソンジュンに笑いかけた。「・・・父だってあの時・・・あの時奇禍にあったキム家の娘ごを保護する、という道があったはずです・・・。派閥の者がやらかした失態を救う前に、被害に遭われた一家を救うべきだったのは父のはずです。」ヨンハがソンジュ
㊟一周年記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。大科に向けて猛勉強する夫ヒョンジンを気遣いながらも、母ユニとの穏やかな生活をミョンファは喜んだ。悪阻の軽かったユニと違い、ミョンファは辛い時期があった。食欲は失せ、胸焼けが続くミョンファ。ユニはとても心配し、少しずつ食べさせる工夫をしてやったが、それでもやつれたミョンファ。「旦那様と離れていてようございました・・・。旦那様にいらぬお気遣いを
パク・ユチョン主演の「成均館スキャンダル」でも美味しい役を演じていた、女優ハ・ジウォンの弟でもある、チョン・テスが亡くなりました。有名俳優ハ・ジウォンの弟であり俳優であるチョン・テスが亡くなったという、便りが伝えられた。21日ハ・ジウォンの所属会社ヘワダレントテイメントは、"演技に対する情熱が格別だったチョン・テスは美術など多様な分野にも、造詣が深かった純粋なアーティストであった。葬儀は家族、知り合いらと知人たちが参加して最大限静かに払う予定"と明らかにした。
㊟一周年記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「お母様。本当に体の調子はよろしいの?」ご機嫌伺いに来た娘が正面で茶を飲みながら首を傾げた。ユニは26歳の時に、公主となる娘を一人産み落とした。今、ようやく17歳を迎えようという娘。ユニとそっくりの大きな瞳を母の頬に当てている。「ええ。別に外出をするわけでなし。何の変わりもなく生活していますよ。」穏やかに答えるユニを、しばらく
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。こんな歴史ある儒学の学び舎になるとさ、勿論ここにいる間に儚くなってしまった儒生だっているわけ。ん?あからさまな病気だったらさ、勿論親元へ返すだろうよ。だけどさ、大科に向けて猛勉強しすぎて、ちょっと頭がおかしくなってるとかさ、何日も寝てないんじゃないか、って周りが心配していた矢先に冷たくなって部屋で倒れてたりとかさ、あるんだよ。勿論・・・自ら命を絶った奴だっているって聞いたよ・・・。でさ、そのうちのどの人かは知らないん
㊟一周年記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。大科に当たる会試が終わり、キム家当主ヒョンジンは、無事合格した。そして、殿試が行われ、結果を待っているとき、その知らせは静かに流れた。先の王様に可愛がられたキム・ユンシクが、婿の合格を確認して安心したように亡くなった・・・。残念ながら、孫の誕生まで保たなかった。虚弱な身体でここまで保ったのが奇跡のようだ・・・。朝廷の中枢にいた
㊟一周年記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。三人が帰った後の座敷で、ユニは一人月を見上げていた。くすっと笑いが漏れる。王様ったら、おかしかったわ。出仕して王宮で見る王様は威厳に満ちていた。ユニはごまかしも何もなくただ、新人の官吏として頭を下げ、指導係の役人の後ろにいればよかった。無理をしていたのは王様のほう。ちらちらとユニを見ようとする視線を感じて、ユニは冷や汗が出たものだった。
㊟成均館スキャンダルのパラレルです。本筋とは全く関係ありません。ちょうど昼時に降り立ち、見上げた空は快晴だった。混雑する空港ロビーを抜け、旅行会社に頼んでおいたレンタカーの手続きを終えると、側にぴったりとくっついていた新妻にジェシンは微笑んだ。タクシーで乗り付けた金浦空港。早めについたために、ロビー内にあるコーヒーショップで軽い朝食をとり、搭乗手続きをする頃には、ユニは大きな目を見開いたままジェシンから離れなくなった。
㊟成均館スキャンダルの登場人物による現代パラレル。ご注意ください。その後はまた渡月橋を渡り、橋のすぐそばにあるオルゴール専門店で様々なオルゴールのデザインや音色を楽しみ、ユニは自分用に一つ購入していた。小さなジュエリーボックスのような陶器の箱。開けるとビートルズの『LetItBe』がピアノの音のような音色で流れ出る。ユニ曰く、英語の勉強をしていて最初に覚えた歌らしい。「俺さあ・・・本当にユニの学生時代・・・中学生とか高校生の時のユニに出会いたいよ・・・一緒にその歌、