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㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。考えた。成均館にいることを許されている、それは個人の力でできる可能性は少ない。考えないようにしていたが、そういう事だ、と納得させられるしかなかった、あの茶碗を見たから。落第者を淡々と出す博士たちのことを考えたって分かるはずだ。あの人は、成均館に守られている。守って彼をここで生きさせるよう、誰かが決めて実行した。それができる人など数えるほどしかいない。「名前も知らないんだった・・・。」薬を胸に抱
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。体が温まるのは本当で、ユニはその生薬を頂いた晩は布団にもぐるなりぐっすりと眠れた。睡眠時間はいつもより短くなっているはずなのに、いつもより調子よく目が覚めるほどぐっすりと。しかしある日、その生薬の味が濃い日があった。そして茶碗の香りを嗅いで口を付けるのをためらっているユニに、男は申し訳なさそうにほほ笑んだ。「すまないね、少し配合を変えられたのだよ。体を毒するものではないけれど味は変わるからね。一口試し
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。落第者が三度出る頃には、『呪い』が確定のものとなって、ユニは今までとは逆の意味で遠巻きにされていた。儒生たちも大きな声では何も言えないのだ。落第した者の落ち度でしかないから。理由がはっきりしているのに文句は言えない。けれど今までこんなに立て続けに起こることでもなかった。そのうちの二つは、博士への内通があった事も噂に拍車をかけていた。テムルに恨まれたら、テムルにその名をつぶやかれただけで成均館の亡霊が動く
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。また一人、落第者が出た。というより追放された。下斎生という名で呼ばれる、本来は成均館に入れない頭の悪い者たちの内の一人だった。ソンジュンやユニと同じように、上斎生と呼ばれる正規の成均館儒生は、小科と呼ばれる初球の科挙に合格しておらねばならず、成均館にはそのうちの上位の者が入れる。成均館で学べる人数は当然ん有限で、その基準を成績に求めるのは当たり前の話ではあるが、金や権力の力で子弟をねじ込んでくるものは後を絶た
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「あの・・・体の調子はいかがですか?」ユニはおずおずと聞いてみた。三人の儒生について冷たく語るその目の力は強いが、なぜか顔色は悪く思えたのだ。もし彼を幽鬼と見間違えた人がいるなら、それも頷けるぐらいに、男の顔色に血の気は少なかった。「ははは・・・心配してくれるのかな。気持ちの優しい人だね、君は。」男は冷徹な視線を納めて、穏やかな微笑みをユニに向けた。「そう言えば、テムル様はお優しい、西
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。呪い、成均館に居つく儒生の亡霊が呪った、という噂が走った。博士たちは、何を馬鹿なことを、と取り付く島もないが、儒生たちは半分は真剣に、半分は面白がって噂した。当事者となった三人の儒生とユニは、じろじろと見られる羽目になったが、ユニがいつも忙しそうに講義に臨み、課題のために書物をもって歩き、筆写の仕事で家族の生活のための金を稼ぐ暮らしの中に、呪いなどという行為をする暇がないことなどまるわかりだった。大体呪いの知識だって
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。月末、成均館では試験が行われる。必ずだ。高度な講義、元から持っていなければならない基礎知識の上に行われるものだから、試験内容も高度だ。イ・ソンジュンは小科壮元の何恥じず、今までの講義で一位を譲った事はない。ユニは成績自体は上位で、二位を取ったこともあるが、ソンジュンのように毎回の好成績を保っていられるわけはない。成均館は優秀な儒生の集団なのだ。言葉選びひとつ、回答文の構成一つの違いで点数が変わる。ジェ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「・・・そうか、盲点だったね。」また次の5のつく日の夜更け、ユニは迷いはしたものの、行かないという考えは起こさなかった。迷ったのは着ていく服だ。ただ、夜中にきっちりした儒生服でうろつくのもヘンだし、誰かに見とがめられたときに、寝付けないから散歩をしている体で、寝床から出てきただけ、という格好が一番安全ではある。ただユニは、他の儒生のように肌着だけで寝ているわけではない。ソンジュンとジェシンという男二人と一緒に
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。そのことに気づいたのはヨンハだった。何しろ、まだ静まり返っている早朝の成均館に朝帰りしてきて、ふらりふらりと自分の部屋ではなく中二坊に突撃して来るのだ。その時間には、ソンジュンは日課の読書を片隅で姿勢よく行っている。ジェシンは寝起きが悪いので勿論寝ているし、ユニも起寝の鐘が鳴らされて起床の合図があるまでぐっすりだ。楽し気に扉を開けるヨンハを、静かに見上げたソンジュンに、唇に指を立てたヨンハは、あはは、と笑いながら一番
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。男とユニはあの晩、短い時間だが少し話をした。学堂に行っておらず今まで独学だったため、博士から学ぶことのできる環境がうれしい。厳しいけれど楽しい。機会を下さった王様に感謝してここにいることを頑張っている、と。そう言うと、男は暗い中でも分かるぐらい優しくほほ笑んだ。「素晴らしい儒生だ、君は。そうだね。君にはご褒美が必要だ。どうだろう。私はね、儒学に関しては・・・特にこの成均館での学びに関しては一家言あるのだよ・・
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。東斎の門を出て、取り囲む低い塀沿いにゆっくりと歩く。砂利の部分もあるし、草取りが間に合わず、少し伸びた青々とした場所もある。頓着なく塀沿いに行くと、通路として整備されている敷地内の小道を行くよりも思ったより近く、霊廟と呼ばれる建物に行きつく。そこは成均館に貢献した王宮の関係者や博士の魂が祀られているのだ。勿論お骨があり墓になっているわけではない。名や階級が祀られ、生前の功績が認められたものが供えられている。めったに入
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。その後、ユニは朝まで眠り続けた。三人の儒生はジェシンの手によってボロボロのまま中二坊から放り出され、這う這うの体で二人は同じ部屋に、一人は自分の部屋に戻った。頭はぶつけ合って痛い、顔は床を引きずられたときに擦れてしまいこれも痛い、帯で締めあげられた腹には青く赤く筋が走り、その前に殴られた頭は更に痛んだ。けれど恐ろしいのは、キム・ユンシクが眠り込む前に呟いた言葉だ。キム・ユンシクは俺たちの名を、あの建物でキム・ユンシク
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ただユニは、普段と同じように見えて少し違うとジェシンとソンジュンはすぐに気づいた。ぼうっとしているのだ。普通に立っているし歩ける。返事もするし、ソンジュンが見つけた時に泣いても取り乱してもいなかった。服も何度も見直したが、汚れても乱れてもいない。それに時間的には四半刻ぐらいだったろうから、長い時間閉じ込められていたわけでもないだろうに。「気が付いたらあそこに立ってた。」とばかり言うのだ。勿論、ユニを無
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「・・・おい、シクと一緒じゃなかったのか?」「俺は・・・コロ先輩と一緒にいると思っていました・・・。」夕餉の後、もう一度尊経閣に行くことにしていたソンジュンにくっついて、キム・ユンシク・・・ユニも一緒に参考文献を探しに行った。腹ごなしだ、とジェシンも二人の後からゆらゆらと散歩がてら一緒に行ったのだ。勿論ともに中二坊に戻るはずだった。ソンジュンは自分が探していたものを見つけ、ジェシンは奥の方で詩集を漁り
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「得体のしれないものは怖いもんだ!仕方がない!」ドヒャンは笑いながらも慰めてはくれた。けれどユニはすっかり拗ねてしまった。その顔を見て、ユニに甘い親父儒生のドヒャンは、「いいか、テムル。皆隠しているが、それぞれに怖いものはあるんだぜ。」とさらに言葉を継いだ「じゃあ、兄上の怖いものって何なの?」ふくれっ面のままのユニが聞くと、ドヒャンは顔を真面目なものに戻し、腕を組んで天を仰いだ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。その建物は、おそらく清斎の部屋が足らなくなった時があって作られたものなのだと言われている。あくまで臨時のものだから、オンドルも通っていないし、狭い部屋が二部屋あるだけの小さなものだ。いずれ取り壊すからと東斎を取り囲む低い塀の際に建てられたが、案外しっかりした者だったので、その後、大科に向けて一人の時間が欲しい儒生などの勉強部屋のように使われた時期があった。その時に、この部屋を使った儒生が死んだのだという。学問に狂った
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。こんな歴史ある儒学の学び舎になるとさ、勿論ここにいる間に儚くなってしまった儒生だっているわけ。ん?あからさまな病気だったらさ、勿論親元へ返すだろうよ。だけどさ、大科に向けて猛勉強しすぎて、ちょっと頭がおかしくなってるとかさ、何日も寝てないんじゃないか、って周りが心配していた矢先に冷たくなって部屋で倒れてたりとかさ、あるんだよ。勿論・・・自ら命を絶った奴だっているって聞いたよ・・・。でさ、そのうちのどの人かは知らないん
前から〝ベッドの配置をいつか変えたい❗️〟と思ってた、でも私1人では無理だろうなと、、、。今朝、ふと〝もしかしたら1人でもできるかも〟と〝1人でやってみるか❗️〟とひらめく🤭朝ごはんも食べずに作業開始‼️ベッド周りを片付けてると、なんとお宝発見💡ピンクの箱の中にたくさんの東方神起のCDやDVD。(買ったのは娘だけど、引っ越しを重ねるうちにどこに行ったか?わからなくなっていた)5人の東方神起の数々のシングル達(後でゆっくりと一つずつ鑑賞しよう)その中に懐かしのドラマ、映画が❣️ドラマ「素直に
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。鐘は今夜も鳴る。誰の耳にも、同じように聞こえるはずだ、鐘は一つしかないのだから。けれど、とジェシンは床の中で温かなユニの体を抱きしめながら聞く。あんなに何の感動もなく聞いていたただの時を知らせるだけの音が、今、こんなにも美しく聴こえるものなのか、と思いながら。婚儀を挙げてから時は経ち、間もなくジェシンは王様から指名された仲間たちと共に清に留学する。王様に期待されている若き才能の一人として誉れある指名だ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ジェシンが一口に口に放り込んだ餅を、王様は流石に上品に小さめにかじった。少しだけ伸びてから噛み千切られ、王様の口が咀嚼に動く。円形に平たい餅は軽くあぶってあり、醒めていても香ばしかったから、王様の口にも合わない事はないだろう、とジェシンは腹をくくった。王様の召し上がりものは、水刺間という王族の食事を用意する部署がある。そこのものだって、王様の御前に到着するまでに毒見が入るのに、とはジェシンだって知っているのだ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。甘やかなユニとの夜を思い出さないように、ジェシンは大きく伸びをしてあくびを盛大に声まで上げてやってやった。新婚故、としばらくは免除されていた宿直も、普通に回ってくるようになったのだ。この晩はヨンハと一緒で、けれど交替で仮眠は取るので、今からしばらくはジェシン一人の時間だった。夕餉の弁当を届けに来た下人は、弁当以外にももう一つ小さな包みをジェシンに渡し、おじょ・・・若奥様がお夜食に、と加えられました、と言い置い
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。昼餉を終え、ジェシンとソンジュンは連れ立って職場に向かった。男の食事の時間などあっという間だ。喋っているとはいえ、食い、少し話をすれば、休息の時間など特に決められていないが、仕事に戻らねばならない気になる。その辺りがやはり新人ではあるのだ。二人は研修がてら配属されている職場が近い。ヨンハとユンシクは昼餉を食べた庭の隅からはジェシン達と反対方向の建物に向かう。ヨンハはこういう風に皆が大体集まりやすい場所も見つけ
。㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。その頃、ジェシン達四人は、遅い昼餉の弁当を共にとっていた。ヨンハはマメな男で、勿論四人がいつも同じ時間に休息をとれるとは限らないと分かっていても、いつも誰かを誘うことを厭わない。そして誰がどこで執務しているかをなぜかよく把握していて、四人そろわなくても一人、二人は必ず捕まえて一緒に座っている。おかげで四人は王宮に出仕しても四人ひとくくりで扱われていた。「そう言えばテムル~、お前はコロの義弟になったんだぞ。呼
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。二日後から出仕を再開したジェシンは、ユニとの婚儀をあちこちで祝われ、挨拶に疲れて不機嫌だった。贅沢だよなあ、とヨンハが笑い、ソンジュンも苦笑する。ユンシクは実姉の嫁入り故当事者だ。こちらも祝われているが、ジェシンよりはだいぶ少ない。南人の官吏が少ないからでもあるし、新人官吏故知り合いも少ない。だから半分は他人ごとのようで、ソンジュンと並んで苦笑していた。「うるせえよ・・・どうせ親父に伝えてほしいだけだ。」
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「・・・お前は自分で挨拶のために起きるという事は考えないのか!」「・・・俺が起きるとユニも目が覚めてしまいますから。」「そこはっ!加減しろ!静かに行動すればよいではないか!」「俺にそんなことができるとお思いですか?」「そこをできるようになれ!」部屋の隅で執事は笑いをこらえ、屋敷内の仕事をする下人は庭で笑っている。外まで丸聞こえの父子の会話。内棟には流石に内容までは聞こえなかった
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。おにいさまおにいさま、とそればかりが繰り返し聞こえてくる。その小さなおぼつかない口調にすら興奮する。ユニの中は狭く熱かった。けれどジェシンはただ、奥へ奥へと腰を送った。体が勝手にそう動いた。ユニの小さな声を聞けば、ああ辛いか、とどこかで理解しているのに、ジェシンの体は言うことを聞かなかった。ただ、その代わりのように、しがみつくユニの体を抱きしめてやるしか制御できなかった。すっぽりとジェシンの体に包まれたユニは、背中に
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。白い体が白い練り絹の寝衣の間から顔を出す。初めて唇をあわせた花嫁は、白い肌を徐々に紅に染めていく。インジョンの鐘が鳴った。このまま飲み明かそうか、とヨンハはソンジュンに笑いかけた。「・・・父だってあの時・・・あの時奇禍にあったキム家の娘ごを保護する、という道があったはずです・・・。派閥の者がやらかした失態を救う前に、被害に遭われた一家を救うべきだったのは父のはずです。」ヨンハがソンジュ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ゆらゆらゆらゆら子供をあやすかのように揺れる。気持ちがいいけれど、じっと目を見つめられているのは恥ずかしい。だけどそらすのもいや、とユニは思いながら揺らされる。揺らされながらも止まらないジェシンの口元は、『桃夭』を謳いきった。穏やかな低い声をすべて聞き取って、ユニはほほ笑む。意味はよく知っている。それこそジェシンに教えてもらった。義兄二人が学問を自習している隣に陣取って、一緒に素読を生意気にもしていた幼い日。ジ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ふと意識が浮上した。香りがしたから。そして耳に染み入るように漂ってくる低い声。傍近くにあるのが分かる。ああ、と思う。抱かれている、と。温かな腕を枕に、頬をその人の胸にうずめて、包まれているのだ、と。目は覚めてきた。けれどじっと聞き入った。低い声は吟じていた、詩を。それはユニもよく知っている、詩経の中の一篇『桃夭(とうよう)』桃之夭夭桃の夭夭たる灼灼其華灼灼たりその華之子于帰この子
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。酔いの回ったいい年の大人たちを残して、ジェシンは屋敷内を移動する。我慢して一日緩めずにいた髷など構わずにがっと横鬢をほごした。畏まって着ていた道袍の襟ぐりも、中の単衣ごとぐいぐいと押し下げる。少し酒が回っている気がする。当然だ、祝いを言われるたびに少しずつでも酒を口に含んでいたのだ、宴の間中。酔いつぶれるわけにはいかない、という緊張感が少し緩んだのだ。だから体の中に酒気を感じ、頭にも体にも酔いが影響をお呼びしているの