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『13日の金曜日3』えっと『それはない』ってどういう意味?いつのまにか草の上に寝転んでいたおとうさんは、眉間にしわを寄せぎゅっと目を閉じている「あいつとはもうすぐ別れるんだから、そんなこと絶対にありえないんだよ。」あああたしをちゃんと、おかあさんの娘だって認識してくれたんだだから、おとうさんは未来の自分におかあさんによく似た娘なんているわけないって思っちゃったのか「ねぇ、ほんとにおかあさんと別れちゃうの?種族が違うからってだけで、なんでダメだ
『lovegame8』彼女の誕生日当日「おはよう」呼び鈴を鳴らすこともなく時間ぴったりに家の中から彼女が現れた「ああ、おはよう」淡いピンクのワンピースに真っ白なレースのカーディガンを羽織った彼女の姿の可愛いらしさに、しばらく言葉が出ずに見とれていると「あの、今日って…」彼女が遠慮がちに下から覗き込むように尋ねてきた「誕生日、だろ?」「う、うん。」「一日一緒に過ごすっていうのはプレゼントとしてあり?」答える代わりに両手で顔を覆って
※今回のお話はいつもの高校時代ではなくプロポーズから後のお話になります。『midnight1』聞いてもいいかなこんな時ダメかな彼からプロポーズをされて早いもので1ヵ月が過ぎと言うことはつまりその…わたしたちがそういう関係になってからもそれだけの時間が経ちあの日から、主にわたしが翌日仕事じゃない時は彼のアパートに泊めてもらうようになり今夜もバイトから帰って来た彼と一緒に夕食を取り、お風呂に入って休もうとし
『addict』「珍しいね、図書室に来るなんて。」背の高い本棚の森の中で彼を見つけて声をかけると「…っくりした、いたのかよ。」思ったよりずっと驚いた顔で振り向かれ、わたしの方がびっくりした「担任に授業で使った資料返して来いって頼まれたんだよ。俺が一番力があるって理由で。」たしかに、彼は両手に歴史だか地理だかの重たそうな本をたくさん抱えている「にしても、俺がいるの良く分かったな。」持って来た本をおそらく適当に棚に戻しながら不思議そうに彼が
※えっと、先月末発売の『クッキー3月号』を読んで思うところがあっていつもとちょっと趣向の違うお話になってしまいましたいつにもまして何の話?って感じでわかりづらいかもしれませんが興味があったら読んでやってください『advice』「意外と大胆なんだね。」「…っくりした!なにやってんだよ、こんなとこで。」夜の繁華街で後ろから声をかけられ振り向くと、彼女の弟が意味ありげな表情で立っていた「それはこっちのセリフなんだけど。まさか義兄さんに限って浮気
『rain』「今日はバイトは無いから。」お昼休みにそう聞いていたから急に降り出した夕立の中、彼をジムまで迎えに行くことにした途中で何人もの可愛らしい小学生とすれ違い、思わず見とれしまう色とりどりの傘に大きなランドセル雨降りでも子供たちは元気にはしゃぎながら下校している「迎えに来てくれたのか。」ぼんやりしていたらいつのまにか彼がジムから出て来ていた「お疲れ様、傘持ってないんじゃないかと思って。」家から持って来たお父さんの傘を彼に手渡
『longroad6』結婚式を明日に控えた夜なかなか寝つけずに来てしまった、通い慣れた洋館の前で桜を散らす夜風に吹かれながら佇んでいると平和な家族から引き離したくなくて、何度も突き放しては泣かせてしまったことを思い出したあのころとは全く事情が異なっているとはいえ明日になれば、今まで大切に育ててきた両親から彼女を奪ってしまうことになるそれでも裸足のまま腕の中に飛び込んできた、この世にたったひとつの温もりを手放すことなんて出来ない俺は「朝
『chocolate3』中学の頃は幼馴染くらいしかいなかった恋のライバルも、高校に入ると女の子のファンがたくさん出来て彼の周囲は賑やかになってしまったからバレンタインデーにチョコレートをもらうくらいは、想定の範囲内で特に驚きはしなかったけど「時計…直ったの?」彼の手首につけられた、見覚えのある腕時計には思わず声をあげられずにはいられなかった「あぁ、安物だけどわりと気に入ってたから修理に出してちょうど今日戻ってきたんだ。」あまりのタイミン
※やっぱり日本語のタイトルって難し過ぎるかと言って、英語のタイトルもネタ切れですところで真壁くんっていつ、お部屋に電話引いたんですかね?『〜事情』でジムの公衆電話から蘭世にかけてたからアパートにはなかったのかと思いきや『〜悶々』では部屋から電話してたからびっくり!どのタイミングで!?もしかしたら高校在学中とか?わからない…わからないから勝手に想像(妄想)して書きました『call2』「いいかげん、泣きやめよ。」「だって…」卒業式を終えての帰
『mistake』「あらっ、早かったのね。」「ただい…えっ?」夕方、バイトを終えまだ明るいうちにアパートに帰ると「なんでここに…」彼女ではなく、おふくろがいた「まぁ、ご挨拶ねー。久しぶりに母親と顔を合わせたって言うのに。」「いや、だからなんでこんなところにいるのかって聞いてるんだけど?」「なんでって、可愛い息子にたまにはご飯でも作ってあげようと思って。」可愛い…はこの際無視するとして言われてみれば久しぶりに会うおふくろは魔界でのドレス姿ではなく、二人で暮らしていた時のような
※今回は高校1年が終わった春🌸の設定で(←どうでもいい)『cherryblossom』「いい天気だな」まるで台風のような強風が吹き荒ぶ公園で、大きく伸びをしながら彼が言った「えっと…どこが?」もうすぐ4月だと言うのに、冬物のコートを着てくれば良かったと思うほど寒いうえに「まぁ、こんなに気温が低けりゃ桜も咲かねぇだろ。」お花見に来たというのに、肝心の桜が全然咲いていないなんて「おかしいなぁ、テレビの開花予想じゃ今日くらいには咲くって言って
※このお話は「chocolate3」から20年後の設定になっていますので苦手な方はご注意を私個人の勝手な妄想で原作とは一切関係ありません『chocolateおまけ』「…ったく、なんで俺が隠れなきゃいけないんだよ。」日が暮れ始めた頃、トレーナーの仕事が終わって家の前までたどり着くとおそらく、デートの帰りなんだろう庭を囲っている柵の外で中学生の娘とそのボーイフレンドが話し込んでいるのが目に入った邪魔をしたくない…というより、どんな顔でふたりの横を通
※このお話は愛良ちゃん目線になっています🧡『request3』「500円⁉︎」日曜日の夕方大学生のカレが働いているお花屋さんに、頼んでおいた父の日のプレゼントを受け取りに行くと「わぁ!」あたしがリクエストしていた青だけではなく、白や緑の薔薇も散りばめられたとっても豪華な花束を手渡されて「こんな感じで良かったか?」ちょっと照れくさそうに頭の後ろを掻いているカレのセンスに感動してしまった「すっごく綺麗、ありがとう。」だけど料金を支払
※今回はプロポーズ後の秋のお話です。(いつものことですが)原作とは一切関係ありません『marriedcouple』「ただいま。」「えっ?」アパートの彼の部屋で夕飯のポトフを煮込んでいると、思っていたよりもずっと早い時間にバイトから帰って来たのでちょっと驚いてしまった「遅くなるんじゃなかったの?ごめんなさい、お夕飯まだ出来てないの。」「あぁ、いいよ…まだ腹減ってないし。」コートを脱ぎながらそう言った彼の表情が少し沈んで見えたのは、気のせい…かな?
『greedierおまけ』「ちょっと、聞いてる?」甘い香りがするパジャマの胸元に顔を埋めたようとした瞬間、肩を両手で押し返されてムッとした「なんだよ?」彼女は彼女で眉間にしわを寄せて怒ったような表情でこちらを見ている「だから、この前から言ってるじゃない!今度の日曜日におば様、じゃなくってお義母さんをうちに招待して食事をするから魔界までお迎えに行って欲しいって。」母の日…ってやつか「べつに迎えになんか行かなくたって、呼べば勝手に来るだろう。」家
※今回はもう何度目か分からない『あれっ?この話、前にも読んだよ!?シリーズ』ですだいぶ前に消しちゃったけど一昨年の七夕にやったネタをバレンタインバージョンでリメイクです(そんなのばっかりですみません)『chocolate1』「チョコレートを売る?食うんじゃなくて?」登校途中に大きなあくびをしながら、彼が不思議そうに聞き返してきた「うん、もうすぐバレンタインでしょ?デパートの催事コーナーでアルバイトするの。」2月に入って学年末試験も終わり学校もほぼ
『junebride』日曜の午後バイトに行く途中に教会の前を通りかかって結婚式に遭遇したライスシャワーというのだろうかあいにくの曇り空にもかかわらず賑やかな歓声があがり新郎新婦が多くの人に祝福されていた「なんで雨ばっかの6月に結婚式が多いんだろうな?」素朴な疑問を翌日の昼休みに彼女に聞いてみると。「ジューンブライドのこと?詳しくは知らないけどヨーロッパのギリシャ神話か何かが起源だったはず。結婚や出産を司る女神様が6月の守り神とか何とか…だ
『fear』誰かに、見られてる気がする彼のアパートに差し入れを持って行く途中気のせいだって分かってるけど、何度も何度も後ろを振り返りながら歩いていると「きゃっ!」曲がり角で誰かにぶつかってしまった「何やってんだ、ちゃんと前を見て歩け。」「あっ!」わたしの肩を抱くようにして体を支えてくれたのは他ならぬバイト帰りの彼だった「いったい何であんなに後ろを気にしてたんだよ。」「えっと…」彼の部屋に着いてすぐに聞かれた質問にわたしは口籠った
『lovegame6』「見つかったんですか?飼ってくれる人。」あの日から数日間、子猫のことが気になってジムへ行く前に様子を見に行くのが日課のようになってしまいさすがに動物に詳しい人に世話をしてもらっているだけあって、数日で見違えるように元気になり引き取り手も見つかったと聞いてほっとした「良かったな、住むところが見つかって。」そっと抱き上げて頭を撫でると気持ち良さそうに目を閉じた子猫に思わず話しかけてしまう「あの、これ少しだけどこいつの餌代に
『request2』結局「薬なんかいらねぇよ。」そう言い残してお風呂に行ってしまった彼を寝室で待っていると不機嫌そうな顔をしたままやって来て、無言で隣のベッドに倒れ込んでしまった「ねぇ、大丈夫?」そこまで酔っ払ってる感じはしなかったから、これはきっと「気にいらなかったの?青い薔薇。」「べつに…」娘がボーイフレンドにお願いして特別に作ってもらったという薔薇の花束のせいなんだろうけど「あなたにはちょっとロマンチック過ぎる贈り物だったか
※タイトルは違いますが、またもや以前に書いたやつの焼き増しですみません『君が怖いもの1』暖かい春の光が差し込む学校の中庭で「ねぇ…って、あれ?」お弁当を食べながら話しかけると、隣にいたはずの彼の姿が見えなくて「えっーと」辺りを見回すと、すぐ傍にある大きな木にもたれかかって目を閉じていた「寝ちゃったの?」昨夜もバイトで遅かったって言ってたもんねうー、どうしよう「なんだよ?」静かに目を開けてこっちを向いた表情は、やっぱり少し疲れてるみたいだ
『shootingstar』「あっ!」彼のアパートからの帰り道ふたり並んで歩きながらわたしのおしゃべりに彼が相槌を打っていたのだけれど、沈黙が訪れた瞬間に流れ星が夜空に光って落ちた「残念、願い事を言う時間が無かったね。」「どんな願い事があるんだよ?」ちょっとあきれたような口調で彼に聞かれて「それは、いろいろと…」彼が長年の夢であるプロボクサーになれますように、とか「でも流れ星が消える前に3回も願い事を唱えるなんて難しいよね?」「俺は…
『morningglory』『追試…の追試?』電話の向こうで彼があきれたような口調で聞き返してきた「そうなの、数学の追試でまた赤点取っちゃって…」『今回の数学はそんなに難しくなかっただろう、一体何やってんだよ。』うっ、わたしと変わらない成績のはずの彼にここまで言われるなんて『まぁ、せいぜい頑張るんだな。明日の夜遅くそっちに帰るから明後日の朝、学校でな。』「うん。忙しいのに電話ありがとう、暑いから体に気をつけてね。」暑さを避けて山間部にあるス
『longroad2』「いやー、マジでめでたいよな。」「もうそれくらいにしとけ、2日酔いになるぞ。」「いいから、おまえももっと飲めよ。」「春休み中の大学生と違って暇じゃねぇんだよ、俺は。」めんどくさいヤツに捕まってしまった新居への引っ越しを終え、彼女を送った帰りにばったり出会ったのは「おまえの門出を祝ってやってんのに、野暮なこと言うなよな。」高校時代の部活仲間だった友人で、前祝いと称して勝手に杯を重ね続けている「冗談抜きでやることがたく
※今回は2012年4月13日(金曜日)のお話になります。内容は18歳の真壁くんvs高校3年生の愛良ちゃん(意味不明ですみません)です!!『13日の金曜日1』「なんだろう?」学校から帰るとリビングのテーブルの上に、ずいぶんくたびれたキルト地の巾着袋が置かれていた「おかえりなさい、冷蔵庫にケーキがあるけどまだ食べちゃダメだからね。」キッチンから顔を出したおかあさんの声はいつもの3割増しで弾んでいるそうだった今日は4月13日「はいはい、おとうさんの誕
『farther'sday』土曜の午後バイトに行くまでのわずかな時間に彼女と出かけた近所のショッピングモール二階でTシャツを見ていると、彼女が不自然に視線を逸らしたのに気がついた「えっと、一階にあったドーナッツ屋さんに寄ってもいい?」「いいけど…」彼女が視線を逸らした先をさりげなく見てみるとああ、なるほど衣料品売り場の一角に設けられた『父の日』の特設コーナー父親のいない俺に気を使ったのかまぁ確かにガキの頃は父親がいなくて辛い思いもしたし
『blood2』彼に気付かれてしまったかもしれない別に隠していた訳でも嘘をついていた訳でもないんだけどなぜか、先週の新月の夜から全く眠れなくなってしまったことにとはいえ普通の人間なら一週間以上一睡もしなければ命に関わるんだろうけれど魔界のモンスターであるわたしは特に体調の変化もなく普通に生活出来てしまっている。問題は何故突然眠れなくなってしまったのか、その原因と治し方が全く分からないってことだけ何とか眠ろうと夜中にホットミルクを飲んだ
『holiday』「わぁ、海だあ!」「うみー!」長いトンネルを抜けた途端、目の前に広がった真っ青な水面に歓声を上げた後部座席の子どもたちに「あれは海じゃなくて大きな池だ。山道登って来たのに海があるわけないだろ。」眩しいのかサングラスをかけて運転している彼がルームミラー越しに淡々と話しかけている「えーっ、じゃあ泳げないの?」「やーね、そもそも真冬なんだから外で泳げるわけないでしょう。」「つまんないの。」去年からスイミングスクールに通い始
『catchacold』どうやって誤魔化そうか朝から少しだるい感じはあったが元々の体力があるせいか学校もジムもいつも通りに乗りきったのは良かったが夜になってバイトから帰宅する頃にはどう考えても体調が悪いことを自覚するようになり子供の頃から健康だけが取り柄で風邪なんて片手で数えるほどしか引いたことがないから体温計すら持っていないが、多分そういうことなんだろう体がかなり熱い気がするまずいことにアパートに帰るとこんな日に限って彼女が食事を作って待って
『lovi'nyou』「おかえりなさい。」土曜日の夕方、バイトから帰るとアパートの部屋にウサギがいたいや、正確に言うと「…なんだよ、そのでっかいウサギの耳は?』頭にウサギの耳のカチューシャを付け、白いブラウスに淡いピンクのエプロンというウサギを意識したのであろう格好をした彼女が出迎えてくれて「今日って何の日か知ってる?」男が最も恐怖を感じる質問を天使のように愛らしい笑顔で投げかけてきた「さあ?」9月の半ばに恋人同士で盛り上がるようなイ