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(神奈川県横須賀市長沢)【原文】奥羽(おうう)長途(ちょうど)の行脚(あんぎゃ)ただかりそめに思ひ立ちて、呉天(ごてん)に白髪(しらが)の憾(うら)みを重(かさ)ぬといへども、耳に触れていまだ目に見ぬ境、もし生きて帰らばと、定めなき頼みの末をかけ、その日やうやう草加(そうか)といふ宿(しゅく)にたどり着きにけり。【意訳】みちのくへの長旅をかりそめに思い立ち、遥か知らない国の旅空に年を重ね、ただ無駄に白髪を増やしてゆくことになろうが、耳にしながら、まだ見たことのない風景と出会い、も
(新宿駅成田エクスプレス)【原文】~福島県須賀川須賀川の駅に等窮(とうきゅう)といふ者を尋ねて、四五日とどめらる。まづ「白河の関いかに越えつるや」と問ふ。「長途の苦しみ、身心(しんじん)疲れ、かつは風景に魂(たま)奪はれ、懐旧に腸(はらわた)を断ちて、はかばかしう思ひめぐらさず。風流の初めや奥の田植歌むげに越えんもさすがに」と語れば、脇、第三と続けて、三巻(みまき)となしぬ。【意訳】須賀川の宿場の等窮という人を訪ね、ここで四、五日逗留させてもらう。