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王様から暇(いとま)をいただいてから10日程。俺は運気調息を終えた後も、すぐに皇宮へは戻らず市井で過ごしていた。手裏房の面々と、手筈を整えたいことがまだまだある。そこへ、天門に張り付いていたはずのシウルとジホが戻ってきた。「交代に他の子を行かせたんだよ。こいつらも、こっちでいろいろ仕事があるからさ」何事かあったか、と立ち上がった俺に、マンボ姐が、心配しなさんな、と、2人に飯を出してやりながら言った。「天門はあのままだ。ウンともスンとも言わねぇ」ジホが、出されたクッパを熱っ、と言い
激しく熱い一晩だった。はぁはぁと息を乱してウンスはその場に倒れていく。抱き寄せるとヨンは腕の中にウンスを入れた。「ねぇ・・手はふるえてない?」「イムジャはそればかりだな」手を見せてくる。ぎゅと指と指をからませる。「震えていません」「よかったわ」しかし・・一度でもこうして触れてしまえば手を離せなくなるのに。イムジャはこの先・・どうするつもりなのか。そこを聞いてみたい。一つも解決などしてはいないのだ。「天界に・・会いたい人がおられましょう」「そうね・・」むき出しの背中にヨン
「待たれよ、護軍」振り返るとイ・セクが、小走りでやって来るのが目に入った。「先程の、もう少し、詳しく、聞かせてくれぬか」文官故に、普段駆ける事などないのだろう。二の句を繋ぐのに、随分と息を整える時が要るらしかった。「医仙は、今どちらに?」「……探しております。元に行かれたのか、高麗内に身を隠しておいでなのか、まだわかっておりませぬ」イ・セクが、俺の言葉に訝し気な目を向けた。互いが視線を外さずに沈黙する。しばらく睨み合った後、イ・セクが声を落として「……護軍」「はい」「某の
手裏房やチェヨンテマンに囲まれて賑やかに夕餉を食べ楽しそうに談笑しているウンスウンスの様子を窺いながら隊員らと夕餉をとっていたサンユンだがそこで隊員たちから思いがけない話を聞く「組頭見ましたか?魚の骨や海老の殻を取ったり医員様が咽せたら水まで飲ませてずっと大護軍が甲斐甲斐しく食事の世話を焼いていましたよそれに大護軍は常に医員様から目を離しません怪しいと思いませんか?」一人の隊員が話すと別の隊員も言い出した
1355年…はぁーっ。王がなにゆえ来るのだ?スリバンからの伝言で、間もなく王がこちらに着くと聞いた。その時、兵営の自室が光った。中からゾロゾロと人影が見えた。鬼剣に手をやった。何奴だ!!いいから、黙って話を聞け!ちょっと、ヨン!考えてみたら、貴方より年上じゃないの?現代ヨンさんは、いくつ?あ…33です。ウンスさんは?30です。マジ?年下に生まれ変わったの?は?二組の自分とイムジャ?ほら?ちゃんと話せよ!こっちは、まだ怒ってるんだ!はい…俺は、貴方の生ま
その美しい二人の光景に見惚れてしまう程の後を付けてたパパラッチは、シャッターを押すのも暫く忘れていた。パシャっと言う音に気づき、唇を放した二人。ヨンは、その男の所へ行くと、俺の婚約者だ!記事にしても、構わないが、今撮った写真を送ってくれ!俺も欲しいからな!ニヤッと笑った。は、はい。あのどこのご令嬢ですか?ウンスの方を見るとコクンと頷いた。俺達は、長い間、お互いを大切にしてきた!彼女は、高麗国際大学病院のDoctorジェニーと言えば、わかるか?えっ?あの名
俺とイムジャが腰掛ける真向かいに、意思の強い目をしてスンオクが座っている。その脇には、困ったような笑っているような顔で、娘のソニが立っていた。「あの……お風呂を沸かしてくれてたって?ス…スンオク」スンオクの無言の圧に耐えかねたのか、イムジャが笑みを含んで口を開く。「——はい、奥様。今日にでもお戻りになるだろうと、ウォンスク様からお知らせいただきましたので」ウォンスク……?小さく呟くイムジャの耳元に、コモの名です、と、俺は顔を寄せて囁いた。それを見て、コホン、と咳払いを寄越したスン
翌日は朝からニュースでウダルチの活躍の報道だらけだった。新聞には「最強のイケメン軍団」「大統領が頭を下げる男」「SPよりウダルチ」「イケメンすぎる男チェ・ヨン氏」等ウダルチを称賛する記事が書かれていたが、ヨンは子供達のオムツを替えていた。ジンから電話がかかってきた。師匠!新聞やTVで大騒ぎですね?観ましたか?いや、オムツを替えてた。はあ?オムツも替えるのですか?当たり前だ!あの?結婚式の事ですが、出席して頂けますよね?わからぬ!取り敢えずあとでうちに来てくれ
シンイを観てて、ずっと気になることがあります。それは、ウンスがいつからチェ・ヨンに惹かれたのかということ。前回のブログでもちょろっと触れたんだけど、チェ・ヨンの心の動きはドラマの中でわかるんだけどウンスの心の動きが私にはなかなかわかりにくくて…ウンスにとってチェ・ヨンは自分を攫った憎い男のはずなんですよ。最初は。それがいつから惹かれ始めて、愛するようになっていったのか?チェ・ヨンはいつ頃ウンスへの気持ちを自覚したのか?等々、気になって気になって夜も眠れなくて(笑)なので
迂達赤に稽古をつけた後、自室で身形を整えた俺は康安殿へと向かった。王様に暇を終えた報告と、北へ行く許しをいただく。王様のご様子といえば、このところ御前会議が長引いているらしい。それもそうだろう。元との関わりを今後どうしていくのか、キ皇后はどう出てくるのか……問題は山積みだ。いかさま、王様は宣仁殿(ソニンデン)からまだお戻りではなかった。出直そうと踵を返した俺に、「護軍が来たら会議の場に来るように、とのお言伝でございます」と、内官がうやうやしく言う。俺は己れにしかわからない程度に溜
天界から降りてきた天女が獣を従えていると噂になってしまう。チャン侍医も困った顔をする。「今はまだ・・小さいゆえ・・いいのですが・・トラともなれば大変になりますよ」「それはわかっているんですけど」トラはウンスに甘えるようにすりすりしているのだ。ミルクのかわりとなるものをもらいウンスが飲ませている。ごくごくと。顔をあげた。「あらまぁ」といいウンスが汚れた顔を手拭いでふきふきしている。「にゃん」猫のように鳴く。白い虎の子。どうすればいいのか。チェヨンが様子を見にやってきた。
「大護軍ーーー‼︎」イムジャと件(くだん)の飯屋へ向かう途中で、テマンが俺の姿を認めて走り寄ってきた。「た、大変です!すぐ幕舎へ戻ってくださ……」大慌てでやって来たのが、俺に寄り添うイムジャに気づいて、瞬時に固まる。「——うっ、医仙⁉︎」「——テマンくんっ!」イムジャが、腕を広げて駆け寄ろうとするのを阻止し、俺は手短かに聞いた。「テマナ、見ての通り医仙が戻られた。詳しい話は後だ。チュンソクが来てるのか?何があった?」口を開けたまま、声も出せずに俺とイムジャの顔を交互に見ていたテマ
ウンスは王妃様の元へ行き相談した。「それでしたら・・おねえさま」こちらを・・黒い・それは腕や胸元もすけるようなレースでスカートのようにすそはひろがった。「すみません‥叔母様・・誰にも邪魔をされず・・二人で話ができる場所を教えってください」といいうと叔母さまは驚き目を見開き口を開け閉めしていた。それでもある密室をかりる。そこはうちも・外も鍵がかけられて音ももれない場所だった。「おい」叔母上が俺を呼び出すのはいつものこと。落ち着きない。そわそわしている。「なんだ・・なにか・・
誕生日の前日はあれこれと忙しくしていた。時折、お腹が張るがこの時期には頻繁に起こる事だ。ウンスは使用人のサヨとソミンとガーデンパーティーの用意をしていた。バイキング形式とバーベキューと両方楽しめるようにと。こんな嬉しい誕生日は初めてだと喜んでいた。誕生日なんてずっとやってなかったわヨンと同じ日だなんて不思議よね?ああ、俺も驚いた。あの日、ウンスを追って来なければこんな幸せはなかっただろうな?ウンスはプレゼントにネットでプラチナで細工が綺麗だったお揃いのブレスレッ
あっ…どうしよ?覚えてないわ…でも…パジャマが脱ぎ捨ててあるわ…。私…欲求不満でチェ・ヨンを襲ったの?でも…私の身体は大丈夫だわ。チェ・ヨンの初めてって…?はっ!もしかして、私がイカせてしまったの?どうしよう…朝ご飯の支度をしながら考えた。サッパリとしたイケメンが着替えて出て来た。け、今朝は、厚焼き卵と野菜のピリ辛炒めと鮭を焼いたものと、お豆腐とシイタケのみそ汁よ!それでね、考えたんだけど…責任をとるわ!は?貴方を襲った責任よ!どうやって取るのですか?結婚し
「おやまあ!久方振りに見る顔だねえ!」「よう、マンボ姐。元気にしてたか」相変わらずの派手な衣裳と化粧、そして更にそれらを上回る姦しい様子が、昔馴染みの店にやってきたのだと実感させてくれる。するとその後ろから師叔ものっそりと赤くなった顔を出し「ゆっくりして行けや」と、飲み掛けの盃をひょいと掲げた。店内は繁忙時を過ぎ、客がちらほらと居るものの、それももう暫くすれば立ち去るだろうという雰囲気を醸している。二人の手が空いていると見た俺は、素早く周囲を見渡し声を潜めた。「師叔、マンボ姐。この度
宣仁殿(ソニンデン)から出ると、コモが、いつもの無愛想に、やや不安を貼り付けた顔で待っていた。「どうであった?無事遣りおおせたか?」俺とイムジャ、そして、先に出て行った左政丞(チャジョンスン)達を、目で追いながらコモが言う。「ああ。無事済んだ」そして、俺が言うのと、イムジャの親指を立てる謎の仕草を見て、はあぁーーー……と、大きく息を吐いた。「良かった。此処に居ても中の様子はわからぬ故……途中、何やらどよめいていたが、何があった?」「あっ…大した事じゃありません。大丈夫です!」「……
シャワーを浴びて出てきたウンスに胸が高鳴るヨン。濡れ髪がなんとも艶っぽい…テジャンもジョンくんと浴びて来て!あっ…はい…その間に服を選ぶ!胸元が大きくあいた、カワイイワンピースがあった!ウンスはずっと胸が大きい事を隠して来たが…結婚した事になったし、まっ、いいか!と着替えた。ヨンの服も選んだ!ジーンズにV字のシャツの上にカッターシャツをボタンを止めずに着たら、似合いそう!と選んだ。勿論二人共、高級ブランドだ!ジョンの服も選んだ。あの子、確か14才よね?そ
「な…ん…ちょちょちょっと待ってください!テホグン!待ってくださいってば!」抜き身の鬼剣の先はヒョンウの首筋に添い、それを見たトクマンが盃を放り投げて止めに入る。その時既に、チュンソクは俺の利き手を両手で固め、テマンは俺の腰を抱き込み後ろへと引き、チョモに至っては捨て身で俺とヒョンウの間に飛び込んでいた。「今お前は、ユ・ウンスと言ったな。それは、見た事のない医術を施す、明るい色の髪を持った女人のことか」「イェ」微動だにせず、辛うじてそう言ったヒョンウのこめかみから冷や汗が流れるのを見て
無言のまま、兵舎に戻ったウダルチ。トクマン!なにゆえ余計な事を言った!だって…あの子、いい子だったから。ムガクシとしても腕が良かったし、極稀に兵舎にテジャンに会いに来た時は、テジャンも嬉しそうだったじゃないですか?あの許嫁だった娘は、テジャンとは別の男と会っていたそうだ。俺達が王様を迎えに行っているひと月程の間で、その男か、別の男の子供を身ごもり、そのまま婚儀を挙げるつもりだったようだ。チェ尚宮さんに聞いたので、本当の話だ!えっ?テジャンは、騙されていたと言う事で
ヨンは叔母さんに怒られた。「この・・ばかたれ」後先考えずに行動するからだ。「だから・・ウンスにも責任はとると」「そのことはもういい・・仕事をしろ」ふぬけ。「ふぬけ・・・」「同居人に思いをよせているんだろう」「想いを?」そんなことは考えたことがなかったという。叔母さんがヨンの背中をばしと叩く。「しゃきとしないか」それは執着というものだ。と言われて驚きその場に固まっている。あきれてやれやれと頭をふっていた。はめられたハッカーも手をかしていた。犯人探しに本気になっている。
テホグン!テホグン!王様がお見えになりました!私達は、あの衝立の陰に隠れてるわ!ヨンは、出迎えに行って、王と二人、自室に入った。何事ですか?其方が婚姻を断っておると聞き、良き縁を持ってきた。形だけの婚儀を挙げてくれまいか?どれ程良き縁ですか?王妃の従姉妹と婚姻せよ!お断りします。王命じゃ!チェ尚宮を王宮から、追放しても良いのか?なる程、そう言う事ですか。俺は、流刑にするとでも、叔母に言ったのですか?なっ…。では、謀反を起こしましょうか?民は、我々の味方です!
どれくらい経ったのかしら。多分、30分も経ってなかったんだろうけど。落ち着かない、落ち着いてください、を繰り返し、最終立ち上がってウロウロしだした私に、叔母様はもう、心配を通り越して呆れ顔になっていた。と、そこへ部屋の外から声がかかった。「医仙様、王様がお呼びです。宣仁殿(ソニンデン)へお越しください」——やっと呼ばれた!!!!!「はいぃっ!」上擦った声で答えるも……私は急に不安に襲われて、この場で唯一の味方を顧みた。「……呼ばれました。叔母様」「はい。では参りましょう」「ど
イムジャ…俺は、やはりご両親に正面突破したいと思う。でも…許してくれなかったら?まあ、いい大人だから、アッパもオンマも好きにしなさい!って言うと思うけど…。ヨンがそうしたいのなら、貴方の意見を尊重するわ!ただね…アッパは、生真面目で崔瑩将軍の大ファンなのよ!同じ名前だと、不審に思うかも知れないわ。殴られてもいいです!全て、真実を話してみませんか?信じると思う?お父上は、歴史の先生だった?うん。ならば、お父上の知らない話をして、信じて貰いましょう。知らない
『この手で抱きしめた人25』電話番号を見るとさっきと同じだった。ソン・ギだ!ここは、焦らすか!と電話に出なかった。何もできないとなれば、父親のソン・ユに頼むはずだ!では、俺は署に帰って諸…ameblo.jp前回記事は↑です。チェ尚宮…あっ!叔母上が頭を抱えた。大丈夫か?叔母上?ああ、思いだしたよ。何処かで思い出したくないと抑え込んでいたんだと思う。チェ尚宮。すいません。あの時、私も自分の事だけでいっぱいで、王宮を去ったのを後で知りました。いえ、いいんです。あっ?確か
「駄目だ。どこにも隙がない」「どうする?姐さん。あれじゃあ、屋敷に近寄る事すら出来ないよ」ジホとシウルは途方に暮れた様子で、店先の椅子に腰を下ろした。町中に配置している構成員から連絡が入ったのは、今朝早くのことだ。日頃はキム家の敷地内を警備している私兵達が、今日はなぜか鼠一匹通すまじとばかりに、屋敷の周囲一帯をぐるりと取り囲んでいるという。司憲府(サホンブ)の大司憲(テサホン)であるキム・ヒョクという男の怪しげな策動については、かねてより手裏房でも把握しており、行幸啓の間もキム家の屋敷
【至福】ふ、と目が覚めた。燭台の蝋燭はすっかり小さくなっていて、もう少しあと少しと揺らめいている。まだ外は真っ暗ね……吐く息が薄っすら白い。おお、寒い寒い。ここが……布団の中が一番だわ。私は身体を捩って隣りで眠る夫に向き合うと、その愛しい顔をじっ、と見つめた。自然と頬が緩んじゃう。誰よりも強くて誰よりも凛々しくて何処までも果てしなく優しい私の最愛の旦那様。ここは安心。ここに居れば暖かいわ——私は迷わず、その懐に入り込もうとしたのを、はっと思い留まった。目
出産から1週間程経つと寝室にジン殿からだと、立派なベビーベッドが2つ並んでいた。ウンスも順調に回復して行った。そんな時、大統領自らの頼みで、北から要人が来るので、晩餐会での警護の依頼が来た。首相も来ると言う北ですか?かなりの警戒が必要ですが…我々は武器を持てぬ!鍛えたSPが大勢いるはず。そちらで対応できないのか?段々ヨンの言葉が荒くなる。やはり、君は何か違う!他の者なら命懸けで守ります!と言うが、私に平然と意見するのは君くらいだ。仕事の事だ。それが何か
チュホンを走らせながら気付いた事は、確かに見慣れた道だがとても、きれいだと言う事だ。途中から、右に行ったり左に行ったり、入り組んでいた。人々に聞きながら進んだ。とおしゃま…ん?どうした?レン?レンね…またゆめをみました。いっぱいかあしゃまが、崖からおちていって、いっぱいとおしゃまがあとから、チュホンといっしょにとびおりて…いっぱいかあしゃまは、かみがくろくてちょびっとみじかくて、しんじゃうとおもったから、レン、えいっ!てしました。何の夢だと思う?ウンス?う~~
蘇芳色の頭がゆらゆらと揺れている。俺が椅子を寄せて座り直すと、イムジャはこちらに凭れて小さな寝息を立て始めた。そんな俺達の様子を、アン・ジェが頬杖を突きながら、ぼんやりと見ている。「なあ。チェ・ヨン」「何だ」「お前…今、幸せか?」いい年をした幼馴染みの男から掛けられるには、些か面食らう内容の問いだった。「藪から棒に何だ」「良いから。聞かせろよ」付き合い切れぬと軽く往なすつもりが、アン・ジェの口調はいつに無く神妙で。(どう答えたものか…)一瞬思案するも、取り繕った言葉で応じて