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ヒジェは、10日程を我が家で過ごすと、ひとり安州へ戻って行った。別れ際のヒジェら家族の様子——人目を憚らず泣き崩れたソニを、ヒジェが娘を抱えながら抱き寄せ、その娘…ソヨンも幼いながらに感じ取っていたのだろう…父親の胸に、ぎゅ、としがみついて、なかなか離れようとせず……その光景はあまりにも——皆(みな)承知の上ではあったが、見守る事すら切なくて……イムジャなどは堪えきれず、俺の背に隠れて泣いていた。我が家の子ども達…タムはさすがに理解していたようだったが、ミスとオンは元気よく「ヒジェアジ
恵妃様の胸の内を聞いてから、私は出仕する度に、恵妃様の居所へ寄らせてもらう事が増えた。もちろん、坤成殿(コンソンデン)の王妃様の所へ行くのが、メインではあるけど……ご懐妊以降は王妃様の悪阻もあって、坤成殿での女子会は無く、診察するだけで、王妃様とゆっくりお喋りする事も減っていた。王妃様の体調が思わしくないせいで、叔母様達、王妃様付きの女官は、常にピリピリしていて……あらゆるものを疑い、遠ざける傾向にあったから——「叔母様のお立場もお気持ちも分かります。でも、周りの人間がそんな怖い顔をして
私とソヨンをチェ家に預けて、ひとりで安州へ帰る——夫から突然そう言われた。安州へ嫁いで、ソヨンが生まれて、母•スンオクが亡くなって……あっという間の4年だった。その間、チェ家の旦那様や奥様をはじめ、マンボさんたちや、双城のイ将軍様まで……たくさんの方々に気遣っていただいて。何のご恩返しも出来ずにいたのが、やっと都を訪ねて、直接お礼をと思っていたのに——来て早々に、夫と喧嘩になってしまった。その上、勢いでチェ家を飛び出してしまい……でも、行く当てといったらここしかなくて。「姐さぁん
無事に南国の衣装も選べた。ウンスはご機嫌でヨンに腕をからませて歩く。一度ホテルに戻ると日焼け止めクリームを塗り水着に着替えてその上にパーカーを身に着けて出発。「船にのって・・クジラを見にいこう」「わかっているとおもうけど」あくまでも運が良ければみられるし運がなければみられない。「わかっているわ」それが自然というものでしょう。いいのよ。クジラが見られないとしてもあなたと船の旅ができるれば。風を感じて海を感じて目閉じる。「ヨンァと旅ができることが嬉しいの」「そうか」ヨンはさ
高麗の王太子であるモニノ王子の、トルチャンチ(満1歳の誕生日のお祝い)が盛大に執り行われた。赤子が無事に育ち、年を重ねていく事は簡単ではない…それ故に、王様王妃様はもちろんの事、王太后様の喜びようはとりわけ大きく……祝いの品が、内官女官、下働きの者にまで、くまなく下賜された。王妃様も産後のお身体を厭われ、日々健やかに過ごされていて、イムジャ達、典医寺の面々も、ほっと胸を撫で下ろしているところ。……刻が経つのは早いものだ。昨年は、興王寺の変でアン内官が亡くなり、王子様のご誕生、その間にヒ