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ウンスはヨンがいないことに気が付く。「どこへ」いってしまったの。不安に感じる。それほどに頼りにしていたと気がついた。「ヨンさん」呼んでみるが返事もない。タンも顔をあげる。抱っこをされていた。甘えるようにすりすりしてる。「アッパ・・いないの」さがすことにした。「そうね‥探しにいこうか?」いくいくという。家の庭・まずは近くを探すが姿がない。そういえば釣りが好きだと聞いたことがあった。「タン・・海にいこうか?」「うみ」いくいくというようにこくこくした。海が見える
タンが昼寝からおきる。目を開いていく。あれ?いない。あちこち顔を動かす。どこにもいない。母も父も。いつもそこにいてくれたのに。とたんに涙があふれてくる。「アッパ・オンマ」大きい声をあげた。それでも来てくれない。ついに泣き出した。あーん・あーん。おきたよと合図するように。すると父がかけつけてきた。「すまない・おきたか?」父が抱き上げてくれた。「おお‥泣いていたか?」頬に伝う雫を払ってくれる。「オンマは?」雫を払われながらも母を探す。優しい声で抱き上げてくれるのに。「今は一人
康安殿(カンアンデン)——取り次ぎの内官が、王様へ俺の来訪を告げた。少し待たされたが、無事に中へ通される。康安殿の中庭。その中程へ据えられた大岩に、主君がこちらへ背中を向けて静かに座っていた。肩は力なく落ち、背中は緩んで丸みを帯び……俺の目に映るその姿に覇気は無く、常より一回りも二回りも小さく見えた。王様をお慰めする……果たして、俺にそんな気遣いが出来るとは思えないが——王様が気落ちされている理由はもちろん、どんなご気性なのかも、分かっているつもりだ。だから何を言っても…どんな言
男はいう。逢いたいが逢えないのだと。それがまた悲しい。その時ウンスが目を覚ましてしまう。信じられないというように目を見開いていく。「ヨンァ」小さな声でその人を呼ぶ。ウンスが呼ぶ人はただ一人だった。隣に立つ男ではない。ここにいない人。二度と逢えない人がそこにいた。「俺が見えているのか」切なく顔をゆがませていう。「みえるわ・・あなたが」でもどうしてここにいるの?ここは現代でもない。高麗と呼ばれる数百年前の時代。振り返った人は仕方なさげに笑う。「ずっと見守っていた。タンも大きく
——駄目よ。このまま落ち込んでても、何も変わらないわ……小一時間ほど悶々と悩んだ挙句、当たり前の答えに辿り着いた私は、掻きむしってボサボサの頭のまま、机の前に座った。今、私に出来る事は——紙を広げ筆を取り、がむしゃらに書いていく。下手くそでもいい。忘れないうちに。覚えてる事を全部。年号も時系列もだいぶあやしい……それでも、とにかく書いて書いて——私はもう一度、秘密の天の書ノートを作った。いつのまにか、辺りはすっかり陽が落ちていた。はた、と気づく。あれ、オンは?ミスは?タム
ヨンは驚いて動こうとした。本能で。しかし膝には疲れた顔をして寝ているウンスがいると動きを止める。「ウンスにはあえない・・そのまま寝かせておいてくれ」頼まれてしまう。ひと時の間。内攻つかいだからかまさか・・この世にいないものまで見えるとは思いもしない。それはいう。自分はウンスの夫だと。話がしたい。「話しとはなんだ?」俺に話しをしてどうするのか。どうせならウンスとあえばいいものを。「ウンスには見えないのだ」それがなぜか。あなたには見えている。それも不思議なことに。だからウンスには内
私への配慮と優しさしか伝わってこない。「どうして」いつだってささえてくれる。すがりたくなってしまう。あの人ではない。頼ってはいけないと急いではなれていく。「どうして・・そこまでしてくれるの?」「テジャンの指示だ」それだけいい手を動かしていく。この人自身は何を考えているのか知りたくなる。聞いてみたがそっけなく答えがきた。うつむく。大きな背中だ。みているうちに寝てしまった。その気配にヨンは戸惑う。重さと温もり。「ここで寝るのか」無防備な奴だな。身動き取れずにかたまる。「おれ
「今のところ嫌いなものはなさそうね」苦いものやあまいもの。沢山食べて食べれるものを増やしていきたい。挑戦するものが沢山ある。もぐもぐ自分で食べる。あちことこぼしていく。「子供用に小さいスプーンが欲しいわ」「なんだって?」こういうものよ教えていく。ヨンはすでに食べ終わっている。木の枝を見つけてきた。庭先で小さな刀で削っていく。しあげにやすりもかけた。汚れた顔や手は布でふいた。綺麗になった。呼ぶとはいはいでヨンの元へ行く。「どうだ?」小さな手に握らせてみる。握りやすい。ぶんぶんと
ふいにヨンが山の斜面を登っていく。タケノコを片手に戻ってきた。「すごい」土の中にうもれているのでなかなかみつけにくい。「足の裏で探すんだよ」わずかな盛り上がりがある。すぐにわかる。教えてもっらった。山のめぐみをいただき家に戻っていった。タンが目の前を飛んでいる生き物にに気が付く。「あれ」なにと聞いてくる。ばたばたしていた。下ろしてというように。立てないだろうに。「大人しくしていろよ」ヨンがしかる。あれあれと指で示している。ぶーんと飛んでいく小さなはち。「蜂だわ」き
外に出てみた。畑に植える種が必要。スリバンに頼みもってきてもらった。「何の種?」「今から植えるのだ」夏に食べれる野菜だろう。なるほど。まずは畑をたがやし種を植えていく。水をまいていく。タンも興味津々。土とにらめっこ。「おい・・土が顔にとぶぞ」父に言われて慌てて顔をはなす。母は父を手伝いながら種を植えていく。次に山に行くことにした。山登りとなる。舗装もされてない道。息を弾ませてヨンのあとについていく。なれたようにどんどん先に進む。ヨンの肩にタンはかつがれて運ばれていく。それ
開いている部屋に二人で入っていく。扉は寒いので閉めることにした。その隣ではタンが爆睡していた。寝息も届く。その雰囲気に癒されていた。「何か飲む?」白湯しかないけどといいウンスが器に入れた。黙ってそれを飲む。「それで・・話とは?」手持ち無沙汰はお互いにだった。二人で向き合うことなどなかった。「明日のことでも話すか?」それとも。ウンスは自分の身体を抱くようにしてしていた。「ヨンさん・・隣を使って・・タンのためにもその方がいいと思って」あくまでもタンのためにという。こんなふうにしか言
戸締りや火の始末をしてくるとヨンが腰をあげた。「ヨンさんはお風呂に入らないの?」入らなくてもいいのだがというがウンスは言う。「疲れた体を癒すためでもあるの」入ってきて。湯につかるだけでも違う。ヨンは家の様子を見に行き湯に入る事にした。いつも戦乱の真っただ中にいた。このようにのんびりと過ごした日もなかった。扉をあける。ふんわりと香る花の匂い。「石鹸とやらの香りか」くんと鼻先を動かす。何も考えず湯をかぶり体を清めていく。舌打ちをした。俺とて考えているんだ。女に興味がないわけがな
布で体をごしごし洗っていくのだが泡まみれ。ヨンが自分が湯で濡れてもタンを捕獲したまま耐えた。無事に終り髪を洗う。「いいか・・目を閉じていろ」ヨンが言うのであいといい言うとおりにした。頭から湯をかけていく。ざばーと豪快にかけていく。ぶるぶると頭を振る。「頭を振るな」きゃぁと母の楽しげな声を聴いた。実に久しぶりに聞いて嬉しくなる。大きな手でわしゃっわしゃ洗っていく。「おい・・目を開けるな」眼に泡が入り大変なことになる。「やぁ」暴れる。目が痛いと大騒ぎ。いそいで湯で顔をぬぐっ
ご飯をすませてかたすことにした。「ここってお風呂もあるの?」「そうだな」ヨンとウンスは食器をかたしながら話していた。タンはというといいこで待っていた。温泉もあると聞いた。温泉ときいてウンスの目が輝く。「だとしても今宵はむりだな」「そうよね」温泉は無理でもお風呂には入りたい。「私たちはいいとしてタンは綺麗にしないと」小さな子はすぐに身体を壊す。この時代・・何が理由で病になるかわからないので怖い。清潔にしないと。「風呂もついていた」「本当」ウンスの声がはずむ。口に出さずに
興王寺での…キム上護軍による、王様を狙った謀反は未遂に終わった。危惧していた通り、寺は怪しい輩の巣窟になっていて、キムの息がかかった者が大勢……僧や下男はもちろん、僧もどきの連中まで——捕えた者達を取り調べたところ、首謀者はキムで、強力な後ろ盾がいたようだ、という事までしか出なかった。そのキムの…首をはねられた遺体は、寺の裏手の山中で見つかった。頭は、倒れている胴から離れた、茂みの向こうに転がっていたそうだ。曲がりなりにも上護軍だったキムを、一太刀で……斬った奴が相当に腕が立つのは間違
木を自由に飛んでいく少年は素早い。ヨンが迷いなくついていく。たどり着いた先に一つの空き家がある。「すごい」寝ていたタンも目を覚ます。「おー」母の声に目をぱちぱちさせている。案内をしてくれたスリバンに合図をした。指笛を鳴らす。少年はいなくなった。「中に入るぞ」荷物を入口に置いた。タンが不思議そうに顔を動かしている。まずは家の中をみてみることにした。「さて・・」ヨンはというと一人で道具などを見に行ってしまった。空き家にしては必要なものは用意がされていた。スリバンがやって
ここより第二幕。移動するときに馬を使うことになった。ウンスはこれほど近く馬など見たことがない。圧倒されてしまう。タンはおむつをかえてお乳を飲み準備は整う。よしいくぞという。「まって」どうやって乗るのよ。私は馬にのれないわという。「わかっている」背中にタンをくくりつけてウンスを自分の前に乗せる。「しっかり捕まっていろ」落ちるぞ。そのまま駆け出していく。「どこへむかっているの」「話すと舌を噛むぞ」というので慌てて口を閉じる。確かに馬というものは激しく揺れる。途中
興王寺の奥の……僧が暮らす庫裡(くり)だろうか。オレ達はそこで、刻が過ぎるのを待っていた。ここからだと、剣戟の様子はかなり遠くに聞こえる。例の謎の僧と一緒に、畏れ多くも玉体を左右から抱え込み、逃げ込んだ小部屋。小さな机と行李に布団。灯りは机の上の燭台のみ。書棚には、いくつかの書物と硯などが置かれている。飾り気のないその質素な部屋で、僧とオレは膝をついて俯き、ただ黙って控えていた。王様はオレ達の目の前を、狭い部屋の中、行ったり来たり…忙しなくされていて。「ドチは…ドチは、無事に逃げおお
しばらくしてチェ尚宮が王宮で耳にしたことを話す。「どこでもれた?」「俺たちではない」スリバンでもない。他の密偵がいるのかもしれない。「お嬢さんと子は別の場所に逃がす」チフが言う。「なるほど」副隊長も同意した。あれほど目立つのだ一人では危険だ。スリバンの師淑がうなる。「うちが引き受けたことだ」護衛をつける。「あらぬ誤解も受けよう」困ったことに女人は頑固だった。伴侶をえればいいのだが。「甥に頼むしかありません」きっぱりいう。仮の伴侶としてタンもなついている。ウンスもなんだか
無事に挨拶を済ませた。実家に泊まる。ヨンはかつて自分がしたかったことだった。子供を見せたいと思っていた。タンという息子ができたこと。両親にとっては孫になる。天門をもう一度潜ることはできないとウンスに言われてあきらめた。「そういえば」といい母が思いだした。ユ家に伝わるものがあったのよと言いだす。「そんなものうちにあったの?」ウンスも知らないことだった。母が大切にしまっていた箱を持ってきた。「ものすごく古いものなんだ」父が言う。ユ家の宝だ。いくえにも重なる布の中にそれはあった。
ヨンが挨拶をすると母がにこやかにいう。「知っているわ」雑誌やCMそれにドラマにも出ているでしょう。「あなたも・・頑張っているみたいね」お父さんもかかさずみているのよ。いま何か飲み物を用意するわね。いちど席を立つ。「緊張している?」「当然だ」母が戻ってきた。「コーヒーでよかった?」「はい」「いいわよ」母が腰を下ろした時父が畑から戻る。「きたか?」「もう・・アッパ‥約束していたでしょう」「ああ」手袋を外してきていた作業着を脱ぎにいく。「どこまで話をしたんだ
ヨンから聞いた話を小説にかきあげていく。原稿用紙をヘナさんへ届けた。仕事はとりあえず終わる。「私とヨンがみている夢の話しだから・・なかなか先に進めていないけど」ちょうどドラマで流れていた。ウンスも協力している。それを見ながら私がテレビに出ている人とつきあっているだけでもすごいことよね。ヨンは忙しいようでそのあとは何度も電話をくれたりメッセージをくれたりしていた。本気だというように。結婚も考えているんだと。それからしばらくしてヨンに連絡をした。「もう・・降参するわ」挨拶
「「それに王もいう。今はいろいろとある。戦になるということだ。皆がピリピリしている。ストレスだろう。ヨンが見てもわかる。疲労がうかがえる。未来を変えるつもりだ。妊娠中の夫人が。王妃と王を救うために。側室問題もひかえている。このあと歴史の通りならテホグンも戦にいくはずだ。領土を元から取り戻すために。どのくらいかかるのだろう。そしてその間も夫人の腹が膨らんでいく。その時テホグンが顔で語る。とても心配だ。おいていけないと。「大丈夫」ここでは余計なことは言えない。あえてほほ笑んで答えている。き
ヨンの視点の話。「「夢の中のこと。夫人は王妃の元に向かっていたように。一人ではないトギという娘と歩いていた。一緒に。身振り手振りで伝えようとしていた。口がきけないようだ。ヨンはというとさてどうしようか。悩む。「「トギは早くいくよと示す。指で。私は早く戻りたいんだ。忙しいのだろう。夫人は道の途中で何かをみつけてうっとりしている。視線を追いかけてみた。するとテホグンがやってくるのが見えた。なるほど。テホグンがあわててかけつけてくる。「イムジャ」いかがしたと聞いている。「こ
この日ウンスは夢を見た。夢の中では夫婦の二人。「「王宮の桜が散るときチェ家の屋敷。いつもの風景がそこにあった。ココの庭にも緑が目立ち始めていた。ただの見送りかと思った。そうではないらしい。夫人は確か妊娠中。「本当にいくのか」「もちろん」今日は気分がいいとにこやかにいう。「さようか」過保護な夫。「ならば俺も共にいく」夫人はすぐに走るし転ぶのだ。「そうよね」ウンスはテホグンが心配するのがわかる。」」このあと王宮にいくのよね。「「いいの?今日は軍議があるっていわなかった
何故だ…こんなはずでは——チェ•ヨンに斬られた腕の痛みが、夢ではなく現(うつつ)だということを、否が応にも知らしめてくる。わしは流血する腕を押さえながら、闇の中を逃げ、駆けていた。いつからこうなってしまったのか——王様とアン•ドチと……元で共に耐え忍んだ長き日々。耐えて待って…ようやく叶った祖国への帰還。即位された現王の側近として、栄華を極めるはずだったのに。——あの男が。名家に生まれながら、わざわざ赤月隊などという胡散臭い集団に身を投じ、あげくその仲間を見捨てて時の王に擦り寄
一人の女性が現れる。「あん?」皆がその気配に反応した。「あれはお前の叔母ではないのか?」一人が言った。その手にはおもちゃが握られている。「なにしにきたんだ?」タンがすぐに反応する。「知っているのか?」「はい」返事。叔母上はおもちゃをタンに渡す。まりというものだ。中に鈴が入ってて転がすと音が鳴る。ちりりん。手を叩き喜ぶ。「あうあうあー」すると叔母上がタンに視線を合わせて口元を緩ませている。「わかっていると思うが俺の子ではないぞ」タンの耳をふさぎならそういう。「わかってお
「いいよ・・ただし・・交換条件だ」「交換条件?」にんまりしているヨンをみた。寝室のベッドの上に二人はいたのだ。当然・・続きを要求した。「続きって・・きゃ」まってまだ考えてたいことがあるのに。再びウンスをその場に押し倒す。「怪盗はね・・毎回狙う獲物は違うの」「ほほう」無防備な首筋から手を滑り込ませて素肌をなぞっていく。「あ・・だから」息が乱れてくる。服のすきまより中へと入っていく。肩やさらにそのふくらみへと。誘惑していく。ぴくんと体がはなてしまう。「ひゃん」「なれ
オレは結構必死で、キム側の兵士達と交戦しながら先へと進んでいた。オレはどちらかというと、作戦とか根回しとか、頭で勝負するほうだから…皆んなみたいに、武闘派じゃないから……大護軍にはもちろん、足の速いテマンさんやジホ達に大いに遅れをとりながら、オレはようやく薬師堂に辿り着いていた。息を整えつつ目を凝らしてみると——ああ…やっぱり。大護軍と刀を交えるキムの姿——想像はしてだけど、やっぱりそうなのか…と残念にも思ってしまう。キム上護軍…信用出来ないし、人として全く尊敬も出来ない。でも
チェヨンからの提案に一瞬でも心がゆれる。最低な人間だ。彼を夫の代わりにしようだなんて。夫への裏切り以外ない。ウンスは僧侶に愚痴る。チョンセンに文字を習うことにした。頭を抱え込む。せっかく整えてある髪がぐちゃぐちゃに乱れる。嘆くようにうつむく。「さようか」今やるべきことを確実にするしかない。落ち着く声だ。さすがは僧侶。がばっと顔をあげた。僧侶と視線が合う。「今はやることをするしかない」千文字というものからだ。「でははじめよう」意味と共に覚えるといい。「はい」まず手本となる文字を