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元の首都•大都——紅巾の乱以降、荒れに荒れた国内は、現皇帝•順帝の力も弱まり、いつ何時、何が起こるか分からぬ状況にあった。とは言え、元は大国。そもそも、高麗ごとき小国が、刃向かっていいはずがないのだ。現高麗王(恭愍王)は、順帝とキ皇后の後押しを得て玉座についた。それなのに、即位した途端、ここぞとばかりに反元政策を推し進め……恩を仇で返すとは、まさにあの王のことを言うのだ。その愚かさの為に、府院君(キ•チョル)をはじめ、キ皇后のお身内は粛正され、この私…チェ•ユも同様、高麗を追われ、元
北方で元軍とおぼしき軍勢!その数およそ1万!鴨緑江を越え義州へ侵入、防衛軍が応戦——!!その一報が開京に届いたのは、年も明けた真冬の寒さ厳しい折。大臣達をはじめ、招集された護軍達により軍議がもたれ、王宮内は慌ただしく——「ただちに援軍を!義州が突破されるようなことがあってはなりません!私が参ります!」俺は直ちに王様へ進言した。ところが、朝廷の腰抜けどもは、「相手は元国だぞ!都の護りはどうする?!」「上護軍には都に居てもらわねば」「向こうの将は誰だ?!」「闇雲に援軍だけ送って
タンとヨンとウンスは眠りにつくとき同じ部屋を使っていた。寝室が一つしかないという理由もあった。まだ幼いタンのためでもあった。タンはいつもそこにいてくれる人が父だと信じていたから。幼すぎるタンにはまだ話せずにいた。本当の父はすでにいないのだと。ふと目を覚ましてしまった。いつもなら朝まで起きることがない。むくりと体をおこした。きょとりとあたりをみて回す。母はそこにいた。父はどこ?「アッパ」小さく呼んでみるがやはり返事がない。ここにいないと知る。ではどこへいってしまったのか
賑やかな客間を後にした私は、子ども達が寝入っているのを確認してから、ひとり寝室へ入った。ベッドにとすん、と腰を下ろして、大きく溜め息を吐く。チョン先生を初めてお招きした時もそうだったけど——今夜もとんでもない集まりだった……歴史に名を残す名将チェ•ヨンと、李氏朝鮮の開祖イ•ソンゲ。教科書に載ってる偉人チョン•モンジュ。そこへ今夜は、チョン•ドジョンまで加わって——モンジュの友達なんて、絶対有名人だろうとは思ってたけど、やっぱり教科書に載ってる人だった!モンジュと同じく、詳しくは覚え
恵妃様の胸の内を聞いてから、私は出仕する度に、恵妃様の居所へ寄らせてもらう事が増えた。もちろん、坤成殿(コンソンデン)の王妃様の所へ行くのが、メインではあるけど……ご懐妊以降は王妃様の悪阻もあって、坤成殿での女子会は無く、診察するだけで、王妃様とゆっくりお喋りする事も減っていた。王妃様の体調が思わしくないせいで、叔母様達、王妃様付きの女官は、常にピリピリしていて……あらゆるものを疑い、遠ざける傾向にあったから——「叔母様のお立場もお気持ちも分かります。でも、周りの人間がそんな怖い顔をして