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高麗軍勝利の知らせに湧く都に、ヨン達討伐隊が凱旋する——ヨンは総大将として真っ先に帰京、ヒジェさんとドンジュは後から一緒に戻ってくると、我が家にも知らせがあった。心配しながら過ごしていた私達も、ほっと胸を撫で下ろしていたところ…今回のチェ•ユの乱。高麗軍の大勝利、ヨンも無事に戻ってくるって……無敗の将軍だって、信じてはいたけど、良かった……今日にも都入りすると聞き、私は凱旋を出迎えたくて、タムと2人で沿道へやって来た。(一緒に行く、と騒ぐミスとオンはソニ達に預けてきた。すごい人混みだ
——義禁府の獄。暗く湿った、陽の届かぬ息苦しい地下牢…再びここに入る事になるとは思わなかった。以前は、元の断事官によって、直ぐに放免されたがな……此度はそうはいかぬ。私を助けようとする者はいない。私はここで、己が命の終わりと向き合わねばならぬのだ。己れはもはや助からぬ……それなのに、自身でも驚く程、胸の内は凪いでいる。何故だ……?逃げるように高麗を出た後、元でキ皇后の庇護を受け、その時を待っていた。長い刻、息を殺して。ようやく巡ってきた彼奴らへ…私を捨てた高麗への復讐の時。
恵妃様の胸の内を聞いてから、私は出仕する度に、恵妃様の居所へ寄らせてもらう事が増えた。もちろん、坤成殿(コンソンデン)の王妃様の所へ行くのが、メインではあるけど……ご懐妊以降は王妃様の悪阻もあって、坤成殿での女子会は無く、診察するだけで、王妃様とゆっくりお喋りする事も減っていた。王妃様の体調が思わしくないせいで、叔母様達、王妃様付きの女官は、常にピリピリしていて……あらゆるものを疑い、遠ざける傾向にあったから——「叔母様のお立場もお気持ちも分かります。でも、周りの人間がそんな怖い顔をして
元(げん)の都・大都の屋敷。読み終えた密書を、奥歯を噛み締めながら握りつぶし、燭台の炎に翳す。赤々と燃え縮み、灰になっていくのを見ながら、己れの腹の底は、沸々と煮え立っていく。——王妃が懐妊しただと?しかも流れもせず、経過も良いという……もともと虚弱な女子(おなご)だ。以前、眠り薬を飲ませてやったのは、運良くあれが孕んだ折であった。…いや、軽く毒だったというべきだな。当然流れて、その後も、安に懐妊出来る身体ではなかったはずだ。それを——医仙…ユ•ウンス。戻ってきたあの女が、天
昨夜、イムジャの胸のつかえを聞いた。解決出来ないにしても、何かしらイムジャの心を軽く出来るものなら……と思って聞いてみたが——あれは、おそらく王様と恵妃様の事だろうな。恵妃様を診察をした折に、何か聞いたのか、気づく事でもあったのか。イムジャの語りから察するに……恵妃様はまこと、王様をお慕いなのだな。かたや王様は、王妃様一筋……最近は恵妃様へのお通いが無いという事まで、聞こえてくる。(トッキの戯言と思っていたが、今までも夫婦の営みは無かったのやも…)恵妃様はそれら全てを容認され、それ
「——チェ大護軍」その日の午後。迂達赤(ウダルチ)の兵舎に居た俺は、突如現れた王の側近に驚きつつも、想定内であった事に思い至り——「アン内官…」「王様がお呼びです、大護軍。お手隙でしたら、すぐにも」「承知しました」何事かと騒つく隊士達を無言で鎮めると、俺はアン・ドチの後を付いて兵舎を出た。「実は先程、侍医の回診がありまして。今日は医仙様もご一緒でした。その折、人払いをされて、王様と医仙様お2人でお話を……それで、大護軍をお呼びなのでしょう。詳しい事は分かりませんが、お怒りではないよ