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しばらく列に並んで、やっと快斗達の順番になったその時だった。「快斗・・・。」青子が不安そうな表情で快斗の手を引いて名前を呼ぶ。「どうした?」「何だか変な感じがするの。とても大事なことを忘れてしまいそうな・・・そんな感じ。うまく言えないんだけど・・・。」快斗は青子の言葉に不安を感じながらまわりを見渡す。既に子ども達はコースターに乗り込んでいて、ここで引き返すわけにはいかなかった。快斗は青子の手を握り返して言った。「青子、とにかく降りてから話をしよう。」快斗の言葉に青子はなぜか泣き
青子は泣き疲れて、寺井の店のカウンターにうつ伏せて眠り込んでいた。突然青子の携帯電話が鳴り出す。父からの電話の着信。「もしもし。お父さん?快斗は?!」『快斗君は保護したよ。ただ・・・。怪我の具合が酷くてな。全治二カ月で入院が必要だそうだ。』青子の瞳から再び涙の滴が零れ落ちる。『病院には事情を説明しておくから、快斗君についていてあげなさい。』父は病院の名前と連絡先を伝えると、手短に電話を切った。まだまだ父の仕事は終わらないのだろう。青子は寺井に病院の名前と連絡先を伝えた。「青子
昼休憩の後、少しだけ教室を抜け出して戻ってくると、いつも隣の席にいるはずの青子の姿が見当たらずに、オレはぐるりと室内を見渡した。やっぱりいない。(どこに行ったんだよ?)もちろん青子には青子の用事があるし24時間ずっと青子のそばにいる事は出来ない。それでも少しでも姿が見当たらないと不安に感じてしまう自分は相当重症だと思う。きっと青子に話したら笑われるに違いない。(そんな情けない事言えるかって・・・。)そこまで考えてまわりに気づかれない様にひとりで微かに苦笑していると、不安気な表情で廊
夕食後オレのスマートフォンがポンと着信音を響かせる。オレはすぐに気づいてロック画面を解除してから届いたメッセージを確認すると、少しだけ目を見開いて、それから微かに苦笑をもらした。(またかよ・・・。)そう心の中で呟いた俺に隣にいた蘭が問い掛ける。「どうしたの?コナン君。」そう、テーブルの上を片付けながらたずねてくる蘭に、オレは子どもらしい口調で少しだけ首を傾げて言った。「うん、快斗お兄ちゃんが風邪引いて熱出して寝込んじゃったんだって。今青子姉ちゃんから連絡があったんだ。」「そ
カタカタカタカタ・・・。静かな部屋に無機質な音だけが不規則に響く。快斗はフッと手を止めると、そこで頬杖をついて目の前にあるノートパソコンのディスプレイを最上部からくまなく文字を追っていく。表示されているのは、明日盗みに入る博物館の見取り図と、仕掛けや逃走経路をまとめた計画案。「獲物はビッグジュエル、ブラックスターサファイア『騎士の光』」そのブラックスターサファイアの画像を見つめて、それからそのまさに狙った様な宝石の名前に思わず苦笑をもらした。「選んだのはオレじゃないからな。」そう
『キス《快青バージョン》』http://ameblo.jp/infinity20021008/entry-12234711063.htmlで青子視点で公開した作品を快斗視点で書いてみました。よろしければお楽しみください。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「なんか腹減ったな。」「そうだね。今日はお父さんも泊まりだし。夕飯何にしようかな?」そう答える青子を見ながらオレは思わず苦笑をもらす。「そうだな・・・。」(ホント・・・高校生男女の会話じゃねぇよな。)『
快斗は一人メールで指示された高層ビルの入口に立っていた。真新しいオフィスビルの様に見えるが、テナントなどは何も入っていない。このビル全体が組織のアジトなのだとしたら、組織全体はどれほどの規模であるのだろうか?快斗は一瞬後ろを振り返るがすぐに前を向き、そのまま入口に足を踏み入れる。身を隠す必要は無い。自分は敵に呼び出されてここに来たのだから。先ほどの電話の男・・・スネイクの声が広々としたフロアに響き渡る。「待っていたぞ。怪盗キッド!」何十人もの黒服の男達の拳銃が快斗を取り囲む。「
いつも通りの習慣で休日の朝、青子の作った朝食を食べる為に中森家の扉を開いた快斗。だが玄関に入ってもキッチンにも居間にも人の気配がない事を不思議に思いまわりを見渡した。休日だからといって青子がいつまでもベッドから起きてこない事は絶対にないし、警部が仕事なら尚更青子は起きて警部の出発の時間に合わせて食事の支度をしているはずだった。「青子?」快斗は青子を呼びながら玄関で靴を脱いで中に入る。すると、テーブルには朝食を済ませた食器が一人分だけ置かれていてそのままになっていた。快斗はすぐ
昼食の後、昼寝をする為に屋上へと向かったオレは給水塔の上に上がりそこで横になりながら目を閉じて、天から降り注ぐ太陽の光を浴びながら初夏の風を感じていた。そんな時だった。鉄の重たい扉を開く音が聞こえた後、数人の足音が聞こえて、オレは気配を消したままその声に耳を傾けていた。チラリと下を覗いてみると、隣のクラスの男子数人のグループだった。(ふーん・・・。)心の中でそう呟きながらあくびを一つもらした。まあ、別に公共の場所だし、誰が来てもおかしくはない。そう思いながらオレがもう一度目を閉