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阿笠邸の近く、人目につかない場所で降り立ち、快斗は本来の姿になるとコナンを抱えて阿笠邸へと向かう。「チワーッ!宅配便です。お届け物です!」声色を変えてインターフォンを押した。出てきたのは、灰原哀だった。「こんばんは。お嬢さん。昨日は大変お世話になりました。」あえてキッドの口調でそう告げると、そのまま上がりこんで、昨日自分が寝かされていた地下室のベッドまでコナンを運んだ。哀はその様子を黙って見つめる。「ありがとな・・・名探偵。お陰で助かったよ。」コナンをベッドに休ませると、快斗は眠
目の前にあるのは燃え盛る業火の壁。その業火の中では、建物の残骸がゆっくりと音を立てて崩れ落ちていく。いつまでも消える事の無いその炎の先に、父の姿を想う。そこに立つのはまだ幼い自分。今から8年前のあの日、父は脱出マジックに失敗して死んでいった。あの日から何度もあの情景を夢に見てはうなされてきた。そして今、17歳に成長した自分が、あの時と同じ様に真っ直ぐ業火の壁を見つめていた。気がつくと、隣で青子が快斗を見つめている。「快斗・・・。」青子が快斗の名前を呼ぶと、その心地良い声の響きに
青子は泣き疲れて、寺井の店のカウンターにうつ伏せて眠り込んでいた。突然青子の携帯電話が鳴り出す。父からの電話の着信。「もしもし。お父さん?快斗は?!」『快斗君は保護したよ。ただ・・・。怪我の具合が酷くてな。全治二カ月で入院が必要だそうだ。』青子の瞳から再び涙の滴が零れ落ちる。『病院には事情を説明しておくから、快斗君についていてあげなさい。』父は病院の名前と連絡先を伝えると、手短に電話を切った。まだまだ父の仕事は終わらないのだろう。青子は寺井に病院の名前と連絡先を伝えた。「青子
快斗は一人メールで指示された高層ビルの入口に立っていた。真新しいオフィスビルの様に見えるが、テナントなどは何も入っていない。このビル全体が組織のアジトなのだとしたら、組織全体はどれほどの規模であるのだろうか?快斗は一瞬後ろを振り返るがすぐに前を向き、そのまま入口に足を踏み入れる。身を隠す必要は無い。自分は敵に呼び出されてここに来たのだから。先ほどの電話の男・・・スネイクの声が広々としたフロアに響き渡る。「待っていたぞ。怪盗キッド!」何十人もの黒服の男達の拳銃が快斗を取り囲む。「
『キス《快青バージョン》』http://ameblo.jp/infinity20021008/entry-12234711063.htmlで青子視点で公開した作品を快斗視点で書いてみました。よろしければお楽しみください。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「なんか腹減ったな。」「そうだね。今日はお父さんも泊まりだし。夕飯何にしようかな?」そう答える青子を見ながらオレは思わず苦笑をもらす。「そうだな・・・。」(ホント・・・高校生男女の会話じゃねぇよな。)『
昼休憩の後、少しだけ教室を抜け出して戻ってくると、いつも隣の席にいるはずの青子の姿が見当たらずに、オレはぐるりと室内を見渡した。やっぱりいない。(どこに行ったんだよ?)もちろん青子には青子の用事があるし24時間ずっと青子のそばにいる事は出来ない。それでも少しでも姿が見当たらないと不安に感じてしまう自分は相当重症だと思う。きっと青子に話したら笑われるに違いない。(そんな情けない事言えるかって・・・。)そこまで考えてまわりに気づかれない様にひとりで微かに苦笑していると、不安気な表情で廊