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「快斗・・・苦しいよ・・・。」あの人を連ていった一課の刑事もいなくなり、エレベーターホールに残っていた子ども達もいなくなると、オレの後ろからそう抗議の声が上がった。「あっ・・・、わりぃ。」考えを巡らせる事に集中していたオレは正直言うと背中と壁の間に挟み込む様に隠していた青子の存在を半分忘れかけていて。思わず苦笑いを零しながら青子の手を引いて言った。「もう~~~!!」そう言って青子が子どもみたいな仕草でほっぺたをプクッと膨らませる。こういう表情はホント昔から変わんないよな・・・と、思
「もうこれで検査は終わりだよな。」オレは休憩室へ向かいながらゲッソリと肩を落として呟く。「うん!!頑張ったね、快斗。」まるで小さな子どもに言い聞かせるみたいにニコリと笑い掛けてくる青子にオレは思わず苦笑いを零していた。あれから片づけを済ませた青子と二人で家を出て病院に到着したはいいが、案の定受付を済ませてから最初の医師の診察が始まるまでに数時間以上も待たされ、それからMRIやレントゲン等の検査をして、今ようやく全ての検査を終えて解放されるかと思ったら、結果が出るまで待っている様に・・・と
ギュンターの隣に立った盗一が警部を見つめて言った。「警部殿。この子にチャンスを与えてもらえませんか?」その言葉に一番驚いていたのは、そう言われた張本人であるギュンターだった。その視線に気づいた盗一が穏やかな笑顔でギュンターに笑いかける。「どうして・・・?」言い掛けたギュンターは言葉を詰まらせた。今までずっと快斗を傷つけてきたのは自分で、そんな自分を快斗の父親である盗一がどうして許す事が出来るのかがわからなかった。「よろしいのですか?」そう盗一に問い掛けたのは警部だった。「この男
「そうと決まれば・・・早く行って、さっさと終わらせようぜ。」「最初から素直にそう言ってくれればいいのに・・・。」そう溜息をついて呟く青子に少しだけ苦笑いしながら笑みを向けると、オレは青子の手首に巻かれたブレスレットに気づいて目を細めた。「それ・・・。」視線を感じた青子が左手首を上に上げて微笑む。「うん。快斗からもらった青子の大事な宝物。寝る時と学校に行く時以外はずっとつけてるんだよ。」そう言って笑う青子にオレは微笑して頷く。「もちろん、知ってるよ。でも・・・そっか。もう一年も経
『それでは次のピックアップコーナーです。今日のピックアップは東都水族館です。前面リニューアルの為去年から休業していましたが、本日オープンするとの事で・・・。』朝食を食べる為にいつも通り青子の家のキッチンに置かれたダイニングに座ったオレはが微かに眉を顰めたままテレビ画面を見つめて言った。「やっぱりおかしいよな・・・。」そう呟いたオレの横顔を見ながら青子が首を傾げる。「何が??」問い掛けた青子にオレは上げると、やはり眉を顰めたまま話し始めた。「昨日の大規模停電の原因、いまだに発表され
少し早めですが、快青祭り第7弾です💞次はいよいよ!!という事で、お楽しみいただければ幸いです♪※『アイのシナリオ』シリーズhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5462262より。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ある日の夕食の後、オレはカーテンを開いて窓の外に視線を向ける。そこである事に気づくと、笑みを浮かべて青子を振り返った。「青子、外に出てみないか?」
快青祭り第6弾です💞お楽しみください!!※初版『PRIDEREVOLUTION』シリーズhttps://ameblo.jp/infinity20021008/entry-12219619386.htmlより。現在pixivで公開中の同シリーズとは若干設定が異なります。ご了承下さい。・・・・・・・・・・・・・・・・・・夜中にふと目を覚ますと隣にいるはずの青子がいない事に気づいて、オレは部屋の中を見渡した。「青子?」だがやはり、呼びかける声に応える声はなく、オレは微かに動悸が早
快青祭り第5弾(((o(*゚▽゚*)o)))快青小説を9/7まで毎日一本のペースで投稿させていただき、9/8の黒羽の日にまとめてpixivにアップさせていただきたいなと思っています。あと少し!!最後に新作入れたい!!書けるかな??お楽しみいただければ幸いです。よろしくお願い致します。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・青子は空を仰いだ。晴れ渡る空には薄く雲が広がり、視界の端に映る桜の木はあっという間に新緑の葉を茂
快青祭り第4弾(((o(*゚▽゚*)o)))快青小説を9/7まで毎日一本のペースで投稿させていただき、9/8の黒羽の日にまとめてpixivにアップさせていただきたいなと思っています。基本的に計画性ないので上手くいくかどうか・・・微妙ですが(;'∀')💦お楽しみいただければ幸いです。よろしくお願い致します。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・真実を知りたいそれがそれだけがただ一つの願いその為に大切な君に嘘
快青祭り第3弾(((o(*゚▽゚*)o)))♡『Makeawish』奇跡は起こるかな!?(;'∀')現在pixivで非公開の原作設定の快青小説を5回に分けて投稿させていただき、最後にまとめてpixivにアップさせていただきます。お楽しみいただければ幸いです。よろしくお願い致します。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「快斗っ!見てみて!お月様、綺麗だよ〜!!!」青子が窓の外を見ながら手招きするので、快斗は
という事で、快青祭り第2弾(((o(*゚▽゚*)o)))♡現在pixivで非公開の原作設定の快青小説を5回に分けて投稿させていただき、最後にまとめてpixivにアップさせていただきます。お楽しみいただければ幸いです。よろしくお願い致します。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「あついっ!!」七月も三分の一を消化して、あとは夏休みを指折り数えて待つばかりとなったある日の事。青子は自分の席でうなだれる様にしてうつ伏せ
9月は青子ちゃんの誕生月♡という事で、快青祭り(((o(*゚▽゚*)o)))💞新作じゃなくてゴメンナサイ!!現在pixivで非公開の原作設定の快青小説を5回に分けて投稿させていただき、最後にまとめてpixivにアップさせていただきます。お楽しみいただければ幸いです。よろしくお願い致します。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・※原作に因んだお話です。固く引き結ばれた唇。いつものハイテンションとは裏腹に黙り込
「青子姉ちゃん、こっちだよ。」寺井さんに病院まで送ってもらって、それから救急の入口まで歩いていくと、コナン君が青子を出迎えてくれた。「コナン君。」呼び掛けた青子にコナン君が切なげに微笑む。「警部は現場の片づけが忙しいから。僕が病室まで案内するよ。」そう言って青子に背中を向けたコナン君が、歩き出そうとして一瞬だけ立ち止まり青子を振り返る。「コナン君?」「ゴメンね、青子姉ちゃん。」本当に掠れそうなくらいに小さな声でそう言って、コナン君はすぐにまた前を向いてゆっくりと歩き始める。
『青子のそばにいて。何があっても・・・絶対に、離れないで。いなくなったりしないで。』オレは身動きが取れない車のトランクの中でふと、あの時の事を思い出していた。青子と星空の下で交わした約束。必ず守るから・・・と。そばにいるから・・・と、青子に伝えたあの日の事を。あの日、警部が待ってるから・・・と急いで家へと帰ったオレ達だが、結局警部は仕事で帰れず、オレと青子は二人で夕飯を食べる事になった。その時に、オレは青子に初めて『これから』の事を伝えた。組織に狙われている現状とそれにより
俺はあいつが店を出ていなくなった後で、すれ違いざまに一瞬だけあいつが見せた表情に思いを馳せて。そんな深刻さとはまるで無縁な無邪気に笑い合う蘭と園子を眺めていた。その時だった。店の外から甲高い音を立てて車が急停止する音が聞こえてきた。「何?今の音・・・。」「事故かなぁ、こわいね。」そう言って顔を見合わせる蘭と園子の声を聞きながらすぐに店の外へと飛び出していくと、背後で「コナン君!!」と慌てて声を上げる蘭の声が聞こえてきた。先ほど外に出ていったあいつと数カ月前に怪盗キッドを狙っ
「それじゃ・・・行こうか?」そう言って青子の手を取り歩き出そうとしたオレに青子が笑顔で頷いた。その時だった。黒塗りのワゴン車が目の前の大通りの何百メートルも先から猛スピードで爆走してくるのに気づいたオレは、青子を背後へと隠して段々と近づいてくるその影に眉を顰める。そして、車内の人影がハッキリと目視できるまで近づいてきたところで、オレは運転席でハンドルを握る男と視線がぶつかり合うのを感じて、狙われてるのは間違いなくオレだという事を確信すると青子の手を引いて走り出した。すぐに歩道の奥へ
「夏休み・・・か。」シャッターで閉じられたままの窓を横目で見つめて、オレはベッドで体を起こしたまま呟く。「快斗・・・?」そう、隣に座り呼び掛けてきた青子の声に微かに顔を上げると何も言わずフッと苦笑いを漏らした。太陽の光さえ差し込む事のないその部屋の中で、オレは青子と二人きり。本来ならば高校二年生の夏休み。その持て余すくらい長い時間を散々謳歌していていたはずなのだが・・・。今のオレは・・・。そしてオレ達は、自分達の家に帰る事すら出来ずにいる。怪盗キッドの正体が組織にバレて
「青子、大丈夫か?」夏休み真っ只中の東京駅。しかもその中でも今の時期一番旅行客が多い新幹線の駅のホームで人波に押し流されそうになる青子の手を取りオレは顔を覗き込む。「うん・・・。ありがと、快斗。」「どういたしまして。もう少しだからしっかり手ぇ握ってろよ?」そう言ってオレは青子の荷物をついでに肩に掛けてから青子の手を握り直して立ち上がると、後ろにいる警部と顔を見合わせて再び歩き始めた。そうして到着した新幹線で入口の扉が開くのを待ってから中に入ると、あらかじめ警部が予約してくれた座席
「快斗~、ここだよ。」放課後、恵子から教えてもらったというパワーストーンの店の前に到着すると、青子は嬉しそうにいつもより一オクターブくらい高く聞こえそうな弾んだ声で数歩後ろを歩くオレを呼んだ。オレはその声を聞きながら先に入口の扉をくぐった青子の背中を見て苦笑をもらす。それから店の前に到着したオレも自動ドアをくぐると、既に店内の散策を始めている青子の姿を後ろから追った。店の中には天然石で作られたブレスレットやペンダント、携帯ストラップに荒く削られた原石等がとても彩り鮮やかに並べられていて。
「名探偵。」呼び掛けたオレに、目の前に座る名探偵が顔を上げる。深夜の阿笠邸。夏休みが始まって一週間。花火に誘われたオレと青子はいつもの様にそのまま博士の家で泊まる事になり。そしてやはりいつも通り子ども達と一緒になって散々はしゃいで遊び疲れた青子は、オレの膝の上で眠っていた。オレの言いたい事を察したのか、名探偵が微かに目を細めてオレに笑い掛ける。「ちょうど今頃・・・だよな。」「ああ・・・。」その言葉にオレは頷く。「夏休み始まって一週間後の花火の後・・・だからな。」そう
目の前で燃え盛る業火の壁を見つめていた。炎の中では親父をのみ込んでいったあの建物の残骸が音を立てて崩れ落ちていく。いつまでも消える事の無いその炎の先に親父の姿を思う。実際に親父が事故死したあの時、オレはあの場所にはいなかった。ただテレビ画面を通して、親父の最期の瞬間まで変わらないポーカーフェイスを見ていただけで。それでも親父が死んだ直後から何度も繰り返し見ているこの夢の中でオレは目の前に燃え盛る炎を、涙を流す事も取り乱す事もなく、ただただ黙って見つめていて・・・。十七歳になった今、や
「青子。」快斗が呼び掛ける声に青子が顔を上げる。「これからきっと・・・今まで以上に大変な事があると思う。」快斗は改めてこれからの組織との闘いを思いながら青子を見つめた。「だけど、必ず青子を守るから・・・。だから、そばにいて欲しい。」そう言って快斗が差し出した掌を青子が迷わず取って強く握り締める。その繋がれた指先に笑みを零すと、快斗は青子の手を引き寄せて腕の中に抱き締めた。「愛してる、青子。」耳元で囁かれたその声に青子は瞳を潤ませて頷くと快斗の首筋に腕を回して頬を寄せた。快斗はそ
しばらくして顔を上げた快斗はギュンターの事を思い出して目の前の青子に言った。「青子、さっき下に金髪の男がいたんだけど・・・気づいたか?」「うん。」問い掛ける快斗に青子が頷きながら不思議そうな顔で快斗を見上げる。そんな青子を見つめたまま快斗は落ち着いた声で言った。「あの男が・・・前に話したスパイダーだよ。」そう告げた快斗の予想通りに、その瞬間青子の表情が一転して青ざめる。それは無理もない事だった。青子は二度もあのスパイダーに大切な記憶を奪われている。その事を改めて思いながら、
青子の手を引いて階段を上っていった快斗は、最上部までくると目の前の扉を開き足を踏み入れた。そして強く青子の手を引くとドアノブを引き寄せるのと同時に、そのまま閉まる扉に青子の背中を押しつける様にしてその唇を塞ぐ。「青子・・・。」時折微かに顔を上げ青子の名前を呼んでは、快斗が背中を抱き寄せて再び唇を重ねる。「快斗・・・。」そうして幾度も名前を呼ぶその声はとても甘く切ない響きを宿していて、快斗の首筋に腕を回す青子の頬に涙の雫が伝った。「ずっと・・・こうしたかったんだ。」夜の闇の静寂に
「青子お姉ちゃん。こいつを・・・休ませてあげて。」それからしばらくして、とても静かに落ち着いた声でコナンが口にしたその言葉に、青子と快斗が顔を上げる。「コナン君・・・。」「たぶん・・・ほとんどまともに寝てないはずだよ。」そう言ってコナンは溜息混じりに呟くと、快斗の顔を横目で見ながら目を細めた。「だよな?」念を押す様に問いかけたコナンに快斗が何も言わずに苦笑いを零す。全十三件の予告に大阪ベルツリーでのプロジェクションマッピングのプログラム。それだけでも大変な仕事量のはずな
博士の黄色いビートルが中森邸の前に到着すると、ギュンターは博士に「ありがとう。」と声を掛けてから外に出た。その姿に、後部座席に座っていたコナンと快斗は目を丸くして顔を見合わせる。「まるで別人だな。」そう呟いた快斗にコナンは苦笑をもらしながら顔を見上げて言った。「お前もな。自覚はないんだろうけど。」コナンはそう言ってギュンターの背中を見つめる快斗の横顔を見ながら、あの杯戸シティホテルの屋上で初めて出会った時の事を思い出していた。それから、あの公園に快斗が空から墜ちてきた時の事も。
『名探偵、聞いてるだろ!?サクラサクホテル最上階のスイートルーム3011号室!!至急突入してくれって警部に伝えてくれ!!それと、こいつを抱えてて長く飛べねぇから、東都タワー前まで迎えを頼む!!』コナンは盗聴機から聞こえてくる快斗の声に頷くと、その場ですぐに携帯を取り出して中森警部に快斗の伝言を伝えた。それから東都タワーへと向かい、そこで既に本来の姿に戻ってスパイダーと二人で待っていた快斗との合流を果たし、素早く快斗とスパイダーを車に乗せると、そのまま青子と盗一が待つ中森邸へと向かった。車
「Nightmareisalwaysbyyourside・・・。怪盗キッド、いや・・・黒羽快斗君。」軽やかなその声と共に入口の扉がゆっくりと開き足音を立てずに歩み寄る人物の姿に、快斗の背筋は一瞬で凍りついた。変装マスクの下で額から冷たい嫌な汗が噴き出すのを自覚しながら、快斗は何も言わずにその男の顔をじっと見つめる。はっきりいって、今この状況で最もこの場にいて欲しくない人物がそこにはいた。なぜか人の秘め事や隠し事を瞬時に見破る力を持ち、また幻術・催眠術という力により一瞬で人を幻
「おい、オメー今何して・・・。」深夜、ちょうど日付が変わる頃鳴り出した探偵バッジに条件反射で素早く手を伸ばし、コナンは応答ボタンを押して小声で呼び掛ける。『・・・・。』「応答なし・・・通信は出来ない状況という事だな。」呼び掛けに快斗が応答しないのを確認すると、コナンは起動したままスリープ状態にしてあるパソコンを操作して素早く発信機の信号の確認を始める。そうしてイヤホンを耳に掛けて盗聴機の音声が聞き取れる様になったところでもう一度モニタに視線を移した。発信機の信号は都内に入ったところで
『まだ見つからんのか!?怪盗キッドは!!』快斗はワゴン車の中で座りながら、超小型イヤホンから聞こえてくる盗聴機の音声に耳を澄ましていた。盗聴機を仕掛けた相手は、先ほど部屋に押し込んできたあの袴姿の組織の幹部。あの男が同乗している部下に喚き散らす声が煩いくらいにイヤホンの中で響き渡る。(すげぇ八つ当たり・・・。)そう声に出さずに呟きながら思わず接続を切ってしまおうかとも思うのだが、そういう訳にもいかない。組織が『あの仕掛け』に気づくのをこの耳で確認するまでは・・・。そう思い快斗は