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扉の前には、すでに数人の使用人が集まっていた。扉が少し開いている。「ウィリアム様……」使用人のひとりが顔を上げたが、その表情は今にも泣き出しそうに見えた。厳格なアードレー家の使用人がそんな顔をするのは珍しいことだった。キャンディがその隙間をすり抜けるようにして部屋へ入ると、そこには、大おばさまがいた。ベッドに横たえられた顔は、青白いというより、夕刻の光の中で蝋のように生気がなく見えた。唇の色も薄い。キャンディの心臓はぎゅっと縮む。だが、次の瞬間に身体が勝手に動き出した。
レイクウッドからの帰りの汽車は、夕暮れの中を走っていた。窓の外には、柔らかな茜色の光に包まれた草原が流れていく。けれど、その美しさは今のキャンディの心には何ひとつ届かなかった。膝の上でぎゅっと握りしめた両手が冷たい。さっきから、胸の奥がざわざわと落ち着かず、息をするたびに、何かがひっかかるような感覚が続いていた。……聞いてしまった。ただ、それだけのことなのに、それだけで世界の見え方か変わってしまった。アンソニーの薔薇園。スイートキャンディ。そこで偶然耳にしたあの少年と母親の会話。「ウィ
こんにちは🩷とってもとっても遅くなってしまいましたが、永遠のジュリエットvol.39をお届けします。↓永遠のジュリエットvol.39〈キャンディキャンディ二次小説〉|キャンディキャンディ二次小説『永遠のジュリエット』「遅かったのね、テリィ」真夜中をかなり過ぎた頃。チャリティーパーティーから戻ったテリュースがマーロウ邸のガレージに車www.candycandy.site前回から長いことあいてしまったので、前のお話も貼り付けておきます🩷↓永遠のジュリエットvol.38〈キャンデ