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⸻1.幸田露伴と幸田文──血のつながりを超えた「技の継承」🪢幸田文(こうだ・あや、1904–1990)は、明治を代表する文豪・幸田露伴(こうだ・ろはん、1867–1947)の娘である。彼女は随筆家、小説家として広く知られているが、その文学の根幹には、幼い頃から露伴に叩き込まれた「生活技術=生き方の作法」がある。これは単なる家事や礼儀作法ではなく、「どのように世界と向き合い、身体を使い、時間を使うか」といった深い哲学に通じている。露伴は単に「書く人」ではなく、生活そのものを芸術とみなした人
前回、「ネット民」という言葉について考えながら、私はある昔の出来事を思い出していた。それは、大学院時代の、今思い返しても恥ずかしく、しかしとても大切な記憶だ。まだ、二十歳そこそこの頃、大学院の「文芸史」の授業に参加していたときのことだ。担当教授は、詩人としても著名な方で、たいへん穏やかな先生だった。温厚な先生を中心に、様々な専門コースから自由に集まった少人数の受講生たちが、毎週、和気あいあいと発表や議論を重ねていたのだが……。ある時、僕は「アイヌ文学」について研究発表す