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グリザイユという手法が水彩画にも蔓延して久しい。一見、経験の浅い人には、明暗・バルールでとらえるのに便利な方法のように思えるかもしれないが…。本来のグリザイユは、フレスコや油彩のモノクローム(セピアなど)で簡素に描いたもののことを言っていたようだ。要するにデッサンの絵具版と言えるかもしれない。でもちょっと考えればわかるだろう?鉛筆でしっかりデッサンをして明暗を作っておいて、その上に淡彩で色を置いていくとそれなりに“サマ”になるとは思うが、いつでも鉛っぽい同じ
5月・6月で予定しておりました第4期水彩静物基礎講座は、都合により(入塾希望者のための)無料体験講座に変更させていただきます。第1回目は、明日5月7日(火)9:30~12:00場所;横浜画塾アクセス;横浜市営地下鉄センター南駅から徒歩4分横浜市都筑区茅ケ崎中央40-3グランクレールセンター南1F横浜画塾TEL:045-942-7331明日の予約はいりません。お手持ちの水彩用具、水彩紙をお持ちになってください。お待ちしています
絵を描く時に、ネガとポジを意識して描いているだろうか?私は、透明水彩絵具で絵を描く時は、このネガとポジを使い分けることがとても重要だと思っている。輪郭線を描いて“中身”を塗っていくだけ(ポジティブ・ペインティング)だと絵が単純になってしまいがち。子供の時からの習慣で、輪郭を描いて中を塗っていくことが当たり前になっているのだから無理もない。日本の美術教育の弊害の一つと言えるかもしれない。透明水彩絵の具では明るいところは描けないので、暗い色で塗り残すしかない。
先日、ある生徒さんから『モチーフを見てもイメージが浮かばないんですが…。』という相談があった。この画像は記事の内容とは直接関係ありません。もともと、絵は『描きたいから描く。』ものだよね?描きたい景色、描きたい花、描きたい人・・・まず、動機(モチベーション)が先にあって、描きたいという気持ちに従って描くものだと思う。でも、なかなかそこまでモチベーションを高めて描くというのは難しいものだ。まして、教室などで描く場合は、すでにモチーフは与
毎月、第2・第4水曜日の午前・午後、第1・第3水曜日の午後は風景デモンストレーションデー。今回は、ベネチア・ブラーノ島の民家と洗濯物。前から光が当たる"全光(順光)”で描いてみよう。ブラーノ島はカラフルな街並みで有名な漁師の島。黒猫(ガット・ネーロ)というシーフードレストランは漁師のオーナー自ら漁に出て捕った魚を調理して出す、おしゃれでおいしい思い出のレストラン。Googleストリートビューではこの辺り。私が現地で撮った写真。ピンクの家は白く塗り直したのか
ただ均等に詰め込んだり、描きすぎて全部同じになったり、小さい筆でずっとチョコチョコ描き続けたりしがちな人を見かける。水彩画では、画面全体を意識し事前に(対比効果を活かして)構成を吟味しておくことが必要だ。明vs.暗主役vs.脇役前vs.後粗vs.密暖色vs.寒色ハードエッジvs.ソフトエッジ立体vs.平面多層vs.単層明vs.暗濃いvs.薄い広いvs.狭い・・
《QUESTION》この坂道の消失点はどこ?《ANSWER》水平な道の消失点は目の高さにあるが、坂道の消失点は目の高さにはない。上り坂は上図のようになる。なので、《QUESTION》の写真に消失点を描きこむと下図のようになる。緑の線が平たんな道だとしたら、赤い線(上り坂)の消失点は緑の消失点のはるか上になる。例えば複雑な坂
私が、今使っている筆をご紹介します。弘法筆を選ばず…なんて達人の域には程遠いですから、この筆がないと描けない線やタッチというのは間違いなくあります。私自身はあまり筆にこだわる方ではないと思っていましたが、長年いろいろ使ってみてふと気が付くと、未だに完璧なセットに至っていません。たぶん、これからも固定化することはないと思います。なぜなら、私自身の気分も腕も作風もどんどん変わっていく以上、その都度筆も変わっていくでしょう。今日のブラシケースの中に入っている筆のライ
年に4回のペースでやっている広尾アートアカデミーの一日ワークショップを行った。テーマは、①新緑の森(10:00~13:00)と②煌めく海(14:00~17:00)の二講座。①新緑の森ファーストウォッシュは、鮮やかな黄緑を下地として敷いておく。乾いたら次に暗いところ(中間トーン)を入れていく。この時明るい幹は塗り残しながら…。細部、暗部を入れて完成。"ForestBathing"51cm×36cm
とても大事なことなので何度でも。バルール(トーナルバリュー)について再度確認のため、過去の記事を再掲しておこう。欧米(特にアメリカ)の作家はとても重視している見方(スキル)の一つ。【関連記事】バルールについて《まとめ》実際にアトリエではこういう形で描いてもらった“ニュートラルチント一色で静物を描いてみよう!”※持ち合わせがなければインディゴ、ペインズグレー、セピアなど、彩度が低く比較的暗い色なら可モチーフをスマホで撮ってモノクロ
某都道府県知事の"学歴詐称”問題が再燃している。"肩書”に異常に価値を見出す国民には、学歴や経歴が説得力を持つからと言って、噓をついたり勝手に利用するのはアウト。どんな世界でもそれは同じ。絵描きなら絵で勝負すべきだろう。太い幹があってこその枝葉(えだは)だと思う。その作者の姿勢、絵に対する真摯な立ち向かい方があってこそ滲み出る表現にこそ説得力が生じるし、それを見抜く審美眼こそが価値を持つんじゃないのか。それらを軽視し、表面的な技法や“見せ方”ばかり
『質感は反射率で90%決まる』「質感がうまく出せない」という方がいる。私は「質感は反射率」と答えている。異論もあるかとは思うが、私はあえて“反射率”で質感は表わせると断言する。金属器は磨くと鏡のよう。周りがいいろいろ映っている。ガラスは映りこみと後ろのもの(透明感)が両方見える。海や湖の水面もゆがんだ鏡と考えれば、空が映っているわけだから、ベースにはグラデーションがあるはずだ。水面(ぬれた路面も)には空や建物や船がそのまま映り込んでいる。な
まず最初に断っておきたいのは、私は、塾生の皆さんや文化センターなどのワークショップ受講者の方々を“弟子”と思ったことは一度もない。強いて言えば“同好の友”であり“ライバル”なんだと思っている。“笠井の弟子”はこの世にはいないということ。なので、私の名前を"営利目的”で無断使用する人がいたら、"ニセモノ”認定する。さて、その上で、“教える”ということや“学ぶ”ということについて思うことを以前書き留めておいたので再掲したいと思う。次の3つが大事
今日は、NHK文化センター青山教室でワークショップ。チェスキークルムロフの朝靄の貯水池をモチーフにして、空気の可視化を意識した雰囲気のある景色を演出してみよう。Googleストリートビューではこの辺り私が現地で撮った写真。赤枠でキャプチャーした。《StepbyStep》鉛筆下描きは最小限度。”ぬり絵”のための線画ではない。ファーストウォッシュで全体の空気感を大まかにつかんでおく。徐々に暗部細部を入れ遠
毎月第2・第4火曜日は、午前・午後のWデモンストレーションデー。午前の部、デモンストレーション作品午後の部デモンストレーション作品《午前の部》ラトビア、リーガの中心に立つ聖ペテロ教会のファサードを"陰影追跡”効果によって光を感じさせる表現にチャレンジしてみよう。Googleストリートビューではこの辺り。私が現地で撮った写真。《StepbyStep》ファサード中心に塗り残し個所の確認をしておく。
今回は小川に映り込む紅葉のシーンを演出しながら描いてみよう。横浜画塾から歩いて15分、心行寺前あたりの遊歩道の木陰に流れる小川に映り込む青空と紅葉。時々木々の隙間から差し込む陽射しが気持ちいい。Googleストリートビューでは遊歩道には入れないようだ。私が現地で撮った写真。《StepbyStep》鉛筆下描きは最小限度。ファーストウォッシュで一気に下地を入れておく。下地を活かしながら中間トーン・細部へと進め、暗い部分は後か
毎月第4金曜日は、午前・午後通して渋谷ファッションアンドアート専門学校の公開講座。今回のテーマ、“空気の可視化”を意識して、大気を感じる雰囲気のある風景を描いてみよう。午前の部デモンストレーション作品午後の部デモンストレーション作品《午前の部》イタリア、パルマの市立公園の木樹を輪郭をボカし、空気を可視化して雰囲気を演出してみた。Googleストリートビューではこの辺り。公園の中はストリートビューがここまでしか入れない。
毎月第2・第4火曜日は、午前・午後のWデモンストレーションデー。午前の部、デモンストレーション作品午後の部デモンストレーション作品《午後の部》濃霧の中、ベネチアのマルコポーロ空港に向かう船中からの景色を“空気の可視化”を活かして描いてみよう。Googleストリートビューではこの辺り。私が現地で撮った写真。当日はひどい濃霧で飛行機が飛べるのかさえ分からない状況で空港に向かった。構図の確認。ファー
静物基礎コースの受講者を募集しています。5月7日(火)より第1・第3火曜日で4回(6月末まで)の予定。3月に一度募集告知しましたが、その後横浜画塾展(教室展)や私の個展が続き、留守がちだったり、準備で煩雑だったり、スマホを紛失したりで告知・受付ができていませんでした。そんな事情もあってか、まだ少数のお申込みしかいただけていませんので再度お伝えします。++++++++++++++++++++++++++++++++++第4期募集中毎月第1・第3火曜日の午前の開催
毎月第4金曜日は、午前・午後通して渋谷ファッションアンドアート専門学校の公開講座。今回のテーマ、“空気の可視化”を意識して、大気を感じる雰囲気のある風景を描いてみよう。午前の部デモンストレーション作品午後の部デモンストレーション作品《午後の部》ベネチアの水上タクシーは何度も描いているが、当然ながらその都度自分自身の気分が変わり、着目点、技法なども変わってくる。今日は“空気の可視化”を意識しつつ、朝焼けの光や空気感にフォーカス
毎年個展を行うにあたり、“なぜ個展をするのか”についての再確認している。いつものことだが、備忘録としてここに記しておこう。私にとっての個展の意義(目的)とは■晒してなんぼ(自分へ)観ていただいてこそ次への方向性が見えてくる。観ていただいてこそ自分が“何者”なのかはっきりする。■塾長、絵描きやってます(塾生、水彩ファンへ)塾生や水彩ファンに作品と絵描きとしての活動を見ていただく。■元気にやってます(お世話になった方々へ)
油彩画と水彩画とはうら・おもて透明水彩画は、基本的には白い絵の具を使わない。透明なので紙の白が透けて見えるわけだから、その効果をうまく利用しながら描いていくことになる。染物といっしょで、一度暗くなると明るい絵具を塗っても明るくできないと言うこと。消せないし隠せない。だから、工程や見方・考え方が油彩画とは逆になることがとても多い。そこが難しいし、面白い。以下、2011年5月14日の記事『自然を怖れる心』から引用*********透明水彩絵の具が
木曜総合コースは外に出て新緑のスケッチ。横浜画塾のあるセンター南駅から画塾と反対側(仲町台方面)に徒歩20分、新緑の遊歩道の先に大原みねみち公園がある。Googleストリートビューではこの辺り。ストリートビューでは池の周辺を一周できないようだ。数年前は雑草だらけの荒れた印象だったが今はとても綺麗に整備されスケッチポイントとしてもコンパクトながらバリエーションがあって面白い。皆さん、それぞれ好きな場所に陣取って爽やかな風と光の中でスケッチを堪能。
パンデミックが始まって約4年半、世界はすでに元通り動きだしてはいるが、私は、昨年11月にベトナム(ハノイ、ハロン湾)を実施しただけで欧米諸国への旅行は実現していない。すでに欧米では、パンデミックなどなかったかのように“フツウ”の生活に戻っているものの、ロシア上空回避、インフレ、円安、中東情勢不安、・・・以前に比べ、われわれ日本人にとって海外旅行のハードルは格段に上がっている。何とかリスクを最小限に抑えて旅行に出かけるプランは出来ないものかなぁ。ロシア上空
時間と労力をかけた結果、描き過ぎてつぶしてしまうことが往々にしてあると思う。労多くして、成果なし…。´д`;このブログでも何度も書いたが、透明水彩画は、筆数(ふでかず)=“描き込み”ではないので、時間や手数をかければいいってものではないと思っている。省エネ、最大出力!少ない手数・筆数で最大の効果を生み出すことができれば、色は濁らず、切れ(鮮度)のいい魅力的な絵になるだろう。時代にもマッチしてるしね。(^_^)v改めて見てみて
当塾で、この“考え方”の浸透でとても理解が進んだようなので、確認の意味も込めて再度アップしておこう。私なりの独断で透明水彩画の技術的重点ポイントを5つに絞ってまとめてみた。もちろん、これら技法以前に、水彩画に対しての情熱と明解な完成イメージ(ゴール)を持つことが大前提であることは言うまでもない。1.プロセス透明水彩画の場合、手順は重要だ。透明水彩絵の具は明るい色を暗い色の上には乗せずらい絵の具。だから、それぞれの場所の明るい色を先にウォッシュ(平塗
風景に人物(点景)を入れるのはもう普通の事になってきた。日本の水彩画も変わってきたようだ。※過去何度もアップしているが、確認の意味で再掲しておく。風景の中に人物を入れると、ライブ感が一気に現れる。人物のいない風景もいいが、どこを描いても全く人がいないというのも不自然だよね。ただ、基本的な理屈を知っていないと人物(点景)はせっかくの絵を台無しにしてしまうこともある。水平線は目の高さ。と言われても『???』という方も多いと思う。まずはここが理解で
毎月第2金曜日はNHK文化センター青山教室でワークショップ。今日は、新緑が美しい季節ということで、画塾近くの大原みねみち公園の写真を下に、鮮やかな新緑を初夏の日差しと爽やかな空気感とともに描いてみよう。大原みねみち公園Googleストリートビューではこの辺り。私が現地で撮った写真。《StepbyStep》鉛筆下描きは最小限度。ファーストウォッシュはそれぞれのベースとなる色をしっかりと入れておく。徐々に
Foreveryoung-AudraMae-SonsofAnarchyこの曲はボブ・ディランの“フォーヴァ―ヤング”をアカペラで歌っている。ハーレーに乗って走っているのは決して若くはない“ワル”のおっさんたち。未だに大人になれないおっさんたちを、憂いをにじませながらしみじみと応援するかのようなこの曲と映像が以前から好きだった。"Foreveryoung"直訳すれば『いつまでも若く』という意味だが、この曲はボブ・ディランが子供が生まれた時に子供のために
新緑の美しい季節。この新鮮な緑を、“鮮度”に注目して描くためのコツ。これは、透明水彩画のついて重要な要素と考えている。『“色の三要素”は聞いたことあるが、“色の四要素”は知らないなぁ』という人がほとんど・・・というか全員そうだろう。なぜなら、私が勝手に作ったから。(笑)一般的に色の三要素とは、色相(色合い)・彩度(鮮やかさ)・明度(明るさ)のことを言うが、水彩画に限って言えば、もう一つ、“鮮度”という重要な要素があると思っている。