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日曜日は朝日歌壇である。今週の歌壇で気になったのは、永田和宏氏選第3席のこの歌である。爪楊枝刺して煙草を吸っている男らをもう見ない路地裏(観音寺市篠原俊則)篠原さんは「もう見ない」と詠んでいるが、そもそもわたしは一度も見たことがない。永田和宏氏は、「いたよなあ、こんな男たち」と評しており、世代の差を感じる。爪楊枝を刺して煙草を吸う、という行為は、高度成長期後に生まれたわたしたちの世代の周りにはもうなかった。以下、知ったふうなことを書
タスカと読む。ふつう読めない。イタリア語でポケットのことだそうだtascaと書く。ポケットみたいな店になりたい、小さくて入りやすいということだろう。住所は文京区千石だが地下鉄茗荷谷駅が近い。このあたり異様に飲食店が増えた。イタリアンが多い。ケーキ屋もある。チャイニーズもある。良質な飲食地区に変わったようだ。ここが太陽のない街だったことはもう誰も知らない。こっそりと氷川下セツルメントという病院の看板がその痕跡を残してはいる。セツルメントとは貧民に無料で治療をした医院の名前
2025.01.26一日一季語着ぶくれ(きぶくれ)【冬―生活―三冬】着膨れし母の両手の小さかり細川洋子三十代で沖に入会した時、若手として舵の会などで一緒だった。青垣の句会にも、一度来られたことがあった。石川啄木の「たはむれに母を背負いてそのあまり軽きに泣きて三歩あゆまず」この短歌を思い出してしまうような句。*沖平成9年2月号⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。【傍題季語】着膨れ(きぶくれ)【季語の説明】冬の寒さをしのぐた
こんばんは。昨日は東京に観劇に出かけてきました。紀伊國屋サザンシアターでこまつ座公演「泣き虫なまいき石川啄木」を鑑賞してきました。こまつ座は井上ひさしを座付き作者とする劇団です。井上ひさしの死後も作品の上演を続けています。私は長きにわたりこまつ座の公演を観てきましたがこの作品は未見で、今回チケットを取ってみました。26歳で亡くなった啄木の短い生涯。その最後の二年間を描いた作品です。啄木の、というより家族の物語ですね。妻、両親、妹、それぞれの激しい
22日(月)の朝日新聞朝刊に、朝日歌壇「番外地」が掲載されていた。朝日歌壇に寄せられた、選に漏れたもののユーモアあるれる秀歌を年に1度紹介する記事である。朝日歌壇は、ボツの歌もレベルが高くて面白い。今回の筆者は春から選者を務める川野里子氏である。最初に挙がっていたのは、この歌。啄木をブタギと読みて嗤われし吾も年老いてじっと手を見る(清水基善)日本語はむずかしい。恥ずかしい漢字の読み間違いは、誰しも経験するもの