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みなさん、こんばんは。今日は妊活と食事についてお話しします。巷には、〇〇が妊娠にいい、〇〇がダイエットにいい、という情報が溢れていますが、食べ物に限らず、情報の取捨選択は本当に難しい。まず第一に、その情報の信憑性自体が疑われる場合があります。例えば、ある栄養素を絶賛し、様々な角度から根拠を示したかのように見えるサイトがあったとしても、一番下に、「でも食べ物から取るのは大変、そんなあなたに、〇〇社の△△サプリ!今なら1ヶ月分無料進呈!」とか書いてあったら、まあ一応ウソではないんでしょ
こんばんは。今日は、月経中に、いわゆる「遺残卵胞」がある場合や、小卵胞数が少ない場合についてお話します。遺残卵胞とは正式な用語ではなく俗語であり、様々な場合があり、1つの状態を示すわけではありません。そして、それぞれについて対応が異なることはすでに何度か解説してきました。(正式な用語ではないため、""あるいは「」で囲ったり、いわゆる、と断り書きをつけたりしています)『「遺残卵胞」(生殖医療解説シリーズ7)』みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズレギュラー編としては第22回となります(トータルでは38編目)。過去ログもぜひご覧ください。さて、今日は受精について解説いたします。受精というと、本当は、減数分裂の起こり方など何回読んでもいまいちよく分からない部分を避けて通れないのですが、生殖医療解説シリーズは実践重視なので、敢えてそこは避けて通り、結局、よく見るあの記号は何を意味するのか、どういう受精結果だと結局どうなのかという
生殖医療解説シリーズのまとめサイトです。定期的に追加あるいは細分類しています。論文紹介というよりも、皆様の診療の指針や解説になるような内容を心がけておりますので、最新記事を常にという方には物足りないかも知れませんが、基本的にはリプロダクションクリニックの標準方針に則ったことを書いておりますので、リプロのやり方を知りたい方にとっても参考になると思います。最近更新が滞りがちですが、迷う局面で重要な内容はほぼ網羅されていますので、ぜひご一読ください。☆が多いものがおすすめの記事となります。
今日は、生殖医療解説シリーズを。いくつか温めている大きなテーマがあって、精子提供、卵子提供、代理母、養子縁組、ただ、テーマが大きい上にセンシティブな内容なので、なかなかパーっと書いてはいアップとはいきません。同じように大きなテーマとして、今日はPGT-Aの基本的な内容について解説していきたいと思います。日本産科婦人科学会での発表にもあったように、PGT-Aは今春から始まった保険適応から除外されたばかりか、先進医療Aでの申請も却下となり、先進医療Bでの認定を目指すことになりました。しかも
排卵してしまったのでしょうか、というのは外来で時々聞かれる質問です。排卵の兆候として皆さまがお感じになるのは、「おりものが増えた」「お腹が痛い」「(排卵誘発中の場合など)お腹の張りがラクになってしまった」などです。では、これらは本当に排卵の兆項なのでしょうか。「おりものが増えた」は、体内のE2(エストロゲン)が増えたことを反映しています。卵胞発育→E2増加→排卵、という流れがありますので、おりものが増えたあと排卵という流れは間違いではありませんが、排卵と直接関連があるわけではなく、あ
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日で第14回です、今夜はFSH調節法後編です。だいぶ引っ張ったので、皆さまのご期待の応えられる記事になったか非常に心配ですが、、、はじまりはじまり。前編では、視床下部下垂体系からの命令を卵巣が受けて働くことをご説明しました。要旨としては、卵巣は、脳の視床下部・下垂体系からの指令(主にFSHの分泌)により働く(卵胞が発育する、E2が分泌される)が、卵巣の働きが悪いと(卵胞発育不良、
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズも第21回となります。今夜は、少し大きなテーマで書いてみたいと思います。まずは用語の整理から。受精とは、卵子の中に精子が入り、融合して細胞分裂可能な状況になる(いわゆる正常受精卵になる)ことをいいます。英語では、fertilizationです。これに対して「授精」("てへん"がつく)は、文字通り精子を授けるところまでの作業のことを言います。人工授精は、子宮内に精子を授けるから人工「
ビタミンDと子宮筋腫についての論文を読んだのでご紹介します。子宮筋腫とは・・・子宮筋腫とは、子宮筋層にできる良性の腫瘍で、月経痛や骨盤痛などを引き起こします。がんのように周囲の組織を破壊しながら急激に大きくなったり、多部位に転移したりすることはありませんが、発症すると徐々に大きくなっていきます。子宮筋腫は女性ホルモンの影響を受けて大きくなることが知られており、30歳代以降の女性であれば30~40%で見られるありふれた病気です。しかし、大きくなると日常生活に支障をきたすような強い症状が
今日は、リプロダクションクリニック東京の卵巣刺激についてご紹介いたします。リプロは刺激周期、とお思いの方も多いと思いますが、意外かもしれませんが、低AMH・高FSHの方に対する採卵、低刺激採卵、いわゆる刺激周期(低刺激に対して高刺激ともいう)は、同等の三本柱です。何でもやっている百貨店状態だと逆に専門店的な的な感じを感じられないとお思いと思いますが、低AMHでもふと調子が良い周期も存在し、そういう時は途中からでも刺激周期に切り替えて勝負をかけると良い卵子がたくさん取れることもあります。ある
今日は、主に採卵の周期の1周期前(卵巣刺激開始前)(以下、前周期)には何が一番よいのかについてお話したいと思います。前周期に薬剤を使うかどうかは、各個人の体質に合わせながら計画するクリニックは少数派で、多くのクリニックではクリニックの基本方針によって決まっており、個人の体質で使ったり使わなかったりというよりも、前周期をどうするのかについての基本方針がクリニックごとにあり、それに沿って診療が行われることが多いです。それ自体は特に問題があることではありません。なぜなら、卵巣機能や月経周期が正常で特
みなさん、こんばんは。少しお久しぶりになりますが、今日は、月経中に見えた卵胞を採卵することの是非についてお話してみようと思います。卵巣機能が正常で月経不順がなければ、通常は月経中には育っている卵胞はありません(10mm未満が正常)。月経周期が短い場合(おおむね26日未満の場合)、月経3日目ごろにはすでに11~12mmくらいの卵胞が見えることもありますが、この程度であればあまり大きな問題にはなりません。しかし、月経3日目ごろに、18mm~20数mmの「卵胞のようなもの」が見えることがあります
当院での凍結胚の更新について紹介します当院では胚の凍結日から1年ごとに更新があります。胚の凍結保存月までに書類が届きますので、保存か破棄かをご選択いただきます。*破棄の場合、原則料金は発生しません。引き続き保存をご希望の方は同意書のご提出と、凍結保存料金をお支払いいただくことで1年間胚を保存しておくことが出来ます更新の際に発生する費用は、保険診療と自費診療で患者様が負担する金額が異なります。(2022年4月より凍結胚更新にも保険が適用されるようになりました保険での更新に
リプロダクションクリニック東京公式ブログをご覧いただきましてありがとうございます。当院へまだ通院されていない方もおられると思いますので、メール等でよくご質問いただく内容についてQ&A形式で回答します。①当院は土日祝日も含めて、毎日診療しております当院は、年末年始の数日以外、原則として土、日、祝日も含めて毎日診療しております。曜日による診療制限もありません。お仕事をされている方が通院しやすいように、また、その方にとってのベストの日に診察を行うためです。祝日を除く火~金は、最終予約時刻1
今回ご紹介する論文は多核についてです。多核とは、通常割球の中に1つあるはずの核が2つ以上みられるもののことを指します。主な原因は染色体の不分離によるものとされており、染色体数への異常が考えられます。ちなみに今回ご紹介させていただく2細胞期多核と受精後の多核との違いは2細胞期多核の方は正常な受精を経ていますが、受精後の多核は異常受精によるものです。今回の論文では異数性率、胚発生能、妊娠結果に多核がどのように影響しているかを検討しています。本論文では、296周期でタイムラプ
「ベストの時に治療したいんです」と、外来でよく言われる。もちろん医師もそのつもりで治療を提供しているが、時としてこれがなかなか難しい。そもそも、治療は予想通り行くものなのか。例えば人工授精。今まで4回やったが結果出ず、今回5回目の人工授精、ところが、今まであんなによかった精液所見が今回は全くいいところなし、内膜も今一つ、今回はだめかな・・・と言っていたら妊娠ということが時々ある。もちろん、データ上は、精液所見が良い方が人工授精の妊娠率も良いのは間違いないとしても、たまたま何かの運命の
もうまもなく44歳になります。いつまで不妊治療をやるのかわかりません。いつか不妊治療をやめて子供のいない人生を歩めるのか。そうなる未来は暗く悲しい人生にしか思えず、子供を完全に諦めたとしても子供がいない事を頻繁に考えて泣いて過ごすと思います。きっと人生が終わるまでずっと。いつか生殖医療が大きく発展してもっと妊娠率が上がったとしても、その時に私は年齢的に治療不可能になっているでしょう。暗くなりましたが、治療ができる今を大切にしたいと思います。
皆さんこんばんは。よくある質問は、生殖医療解説シリーズ番外編に分類していましたが、独立したテーマとして書いていきたいと思います。Q7)採卵周期中に出血がありました。生理でしょうか、大丈夫でしょうかA7)採卵周期中の出血は、①ホルモン剤の筋肉注射(プロギノンデポー、ペラニンデポー)を打ったあと②エストロゲン製剤を使っていたがやめた③卵胞がなかなか育たないまま2週間以上たったのいずれかであることが多いのですが、そもそも卵巣と子宮は別臓器であり、卵巣とは別の子宮からの出血は、全て、
先日オンラインで行われたヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)の発表で注目したい演題がありましたので紹介します。Smoothendoplasmicreticulumclustersinoocytesinfluencepronuclearbehaviourandmorphokineticsatearly-cleavagestagebuthavenonegativeimpactonembryonicandpregnancyoutcomes(卵子の滑面
2024年1月6~7日、東京・赤阪で第29回日本臨床エンブリオロジスト学会が開催されました。この学会は胚培養士(エンブリオロジスト)が中心になって行われる国内唯一の学会です。初日は胚培養士の技術・知識向上のためのワークショップとセミナー、2日目は学術集会が行われました。ワークショップには当院の胚培養士が講師として招かれ、11名の受講者の方々にPGT-Aバイオプシーの実技講習を行い、また、自施設で新規にPGT-Aを開始する際の注意点等をお伝えしました。過去の記事(着床前診断に必
昨日に続いてこんばんは。前編はこちらホルモン補充周期と自然周期の凍結胚移植はどちらが妊娠率が高いかさて、昨日は、実は結論を出さないまま、その方に合った治療方針を選択するべきだ、とだけ書いて、結論を書いておりません。やや題名を変えて、結局どうしたらよいのか、ということについて、それぞれのメリット・デメリットをもとに考えてみましょう。①ホルモン補充周期・利点、得意ポイント卵胞発育や排卵日を一切気にしなくてよい(何しろ排卵しない!)黄体機能不全を気にしなくてよい日程
先日(2021年2月15日)に関西テレビの「報道ランナー」で、“不妊退職”が『働く女性の4人に1人』不妊治療の『保険適用』を前に課題はというテーマで放送されました特集の制作にあたり、英ウィメンズクリニックで取材が行われました。(写真は関西テレビ報道ランナーのWebサイトより)放送された内容につきましては、関西テレビ報道ランナー・特集のWebサイトに詳しく掲載されています。動画もご覧いただけますので、放送を見逃された方もご興味がありましたらぜひご覧くださ
皆さま、おはようございます暑いですね~。梅雨明け目前今年の夏は海水浴や外遊び(野球観戦も)したいと思っていますさて、4月から毎週木曜のみ、新しい先生がお越しいただいていますご紹介させていただきます池永晃大(いけながあきひろ)先生です「池永」・・・そうです、院長先生の息子さんです慈恵医大をご卒業の後に「東京慈恵医大産婦人科」現在は「恵愛生殖医療医院」にて診療をされております。当院は木曜日のみですが、タイミングでお目にかかれる方もいらっしゃると思います
今年も早いもので既に1ヶ月半経ちました。治療成績に関しては、年明けも昨年同様に高い妊娠率を継続しています。さて今最大の問題は、排卵誘発剤や黄体補充に必要なホルモン剤などの供給不足です。保険化によって使用量が増えたことが一因となっていることに加えて、海外での医薬品供給の完全ストップなど、一つの製品が供給されなくなると他の製品にまでしわ寄せが生じ出荷制限や出荷停止になってしまいます。今までであれば、薬が欠品するなどは日本では考えられないことと思っておりました。特にHMG(卵胞刺激作用のある
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日で第19回となります。番外編はあったものの本編としては1か月ぶりです。お待たせいたしました。さて、不妊治療(妊娠治療)の最終目的は妊娠成立ではなく、「無事のご出産」です。もちろん、妊娠成立が一定のゴールになることは間違いありませんが、元気な赤ちゃんが生まれて、初めて本当のゴールになります。そのために大切なのは、まず第一に妊娠成立が大前提ですが、もちろん、その後妊娠が継続でき
sERCがみられる卵子の着床の可能性についての論文を読みました。sERCとは、卵子の中にある滑面小胞体のことで、液体を含んだ袋のようなものです。sERCが現れるのは受精前で、受精後は大体が消えてしまいます。これが受精後の分割に影響があるのではないかとされています。この論文では、sERCの陽性群(sERC有り)と陰性群(sERC無し)によって着床率に違いがあるのかどうか調べていました。対象は743周期、媒性方法はすべて顕微授精でした。検討では、7609個の卵
体外受精と言えば今や胚盤胞移植が主流です。私自身も若い患者様で多くの卵子が採れる場合は、胚盤胞単一胚移植を標準的に実施します。ここにも書きましたように、多くの卵子が採れる患者様という但し書きが付きます。それでは、近年どうして”胚盤胞単一胚移植”が標準的方法になったと思われますか?その理由は、日本産科婦人科学会が”移植胚の個数は原則として1個とする”とガイドラインに書かれているからなのです。海外では年齢に応じて3個から4個まで許容されるのですが、日本では女性年齢にかかわらす、1個を原則とし
皆さん、こんにちは!春の訪れを感じさせられる暖かさになりつつありますが、季節の変わり目こそ体調を崩しやすいのでお気を付けください!さて、最近気づいたのですが、胚培養士が常に持っているものを皆さんはあまり知らないと思うのでご紹介します。それがこれ、「マウスピース」です。胚培養士の持っているマウスピースは、先端にガラスでできたピペットを付けて空気を吸い吐きすることでピペット内の圧力を変化させ、受精卵や胚を培養液とともに移動させて別の容器に移し替えるために使用します。
最近、採卵困難症例につづけて遭遇することがありました。他院で「卵巣の位置が悪いから採卵できません」といわれ、採卵を半ばあきらめていた患者様です。確かに一方の卵巣の位置は経腟超音波から遠い位置にあり、もう一方は子宮の真後ろで、いくらお腹から押しても、子宮の脇の方には動きませんでした。私は、遠い方の卵巣は、卵巣が動いて遠方に逃げないよう、スピードをつけて卵巣を穿刺しました。子宮の裏の卵巣については、子宮自体を貫通して卵胞を穿刺しました。このような方法で多くの卵子を取ることができました。
妊娠前の女性の飲料摂取と体外受精結果に関する論文を読みましたので、ご紹介します。この論文は、2014年から2016年までの間に体外受精を行った340人の女性を対象に卵巣刺激を開始した日、又は、採卵日に日頃摂取している飲み物の種類や頻度について質問し、採卵数、成熟卵数、受精卵数、良好胚数、hCG陽性、臨床妊娠率、出産率について調査したものです。質問結果から、フィルターコーヒー、インスタントコーヒー、エスプレッソ、カフェイン抜きコーヒー、カプチーノ、ハーブティー、カフェイン入り紅茶、チョ