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こんばんは。早速ですが考えてみたいと思います。はじめに、図の凡例に着目しますと、細い実線は乾燥断熱線、点線が湿潤断熱線であることに注意します。その上で大気の静的安定度について確認してみることにします。「一般気象学」のp71にも載っていますが、簡単な図にしてみました。エマグラムを学習されている方はすぐにお分かりかと思いますが、傾きが大きい(寝ている)方が乾燥断熱線、傾きが小さい(立っている)方が湿潤断熱線です。実はこの知識だけで選択肢は絞られてしまいます。したがって
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第39回試験・専門知識はじめに、4地点の鉛直分布の図に描かれている温位、相当温位、飽和相当温位について確認しておきましょう。まず実線で描かれている「温位」とは、ある高度にある空気塊を断熱的に1000hPaの高度に上昇または下降させて揃えたときにとる温度(K)のことをいいます。次に破線で描かれている「相当温位」とは先ほどのある空気塊における温位に、その空気塊に含まれている水蒸気がすべて凝結して、その際に放出された潜熱によ
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・一般知識日常の生活において空気の湿り気を表わす「湿度」という言葉はよく使われていますが、気象学で使われている「相対湿度」とは一般的にこの「湿度」のことを指しています。具体的には、ある空気塊がもつ水蒸気圧の飽和水蒸気圧に対する比で表されます。すなわち、相対湿度=ある空気塊のもつ水蒸気圧/その気温における飽和水蒸気圧×100(%)となります。では次に、「水蒸気圧」や「飽和水蒸気圧」とい
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第58回試験・実技試験2・問2今回は、図6、図8および図1、図5を用い、「」図6(下)の枠を抜き出した解答用紙に前線を記号を付して記入せよ、という内容の作図問題を考えていきます。まず、「図1、図5を用い」というところで、初期時刻の17日21時で図5の850hPa面の気温分布に図1の地上低気圧の中心とその低気圧に伴う前線を重ねたものが上図になります。これによりますと、地上低気圧の中心から延びる寒冷前線は、6℃~12℃
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・一般知識今回は、大気の熱力学から、ある空気塊の飽和水蒸気圧と飽和混合比を基準として、(a)、(b)、(c)の気温や気圧の異なる空気塊との大小関係を問う内容の問題です。早速(a)から見ていきたいと思います。(a)水蒸気圧とは、空気中に含まれている「水蒸気の分圧」のことをいいます。すなわち、気圧=乾燥空気の分圧+水蒸気圧、と考えることができます。この空気中に含まれる水蒸気なんですが、実は上限があり、上限まで空
こんばんは。早速ですが、考えて見たいと思います。第61回試験・実技試験1・問3前回の問題で、ある高度間の気層における温度風と温度移流の関係について触れましたが、問題に入る前にもう少し詳しく、例として第52回試験・実技1・問1(3)を使い、潮岬と館野の850hPa〜500hPaの気層間の温度移流について考えてみます。潮岬と館野の気層間の風の分布を簡単な図にしてみました。潮岬では、850hPaの西北西10ノットの風から500hPaの南20ノットの風へと、高度が高くなるにつれて反時計
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第60回試験・実技試験1今回は、本文を読みながら空欄に入る適切な語句を考えてみます。(第1段落)まず、「地上天気図では、石垣島付近に中心気圧(①)hPaの台風があり、東北東へ16ノットで進んでいる。この台風の24時間後の予報円の大きさは直径(②)海里で、24時間後にこの円内に台風の中心が入る確率は(③)%である。台風の中心付近の最大風速は(④)ノットで、今後24時間以内に最大風速は(⑤)ノットに達すると予想されており、
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第59回試験・実技試験2・問3(2)今回は、図13の輪島における状態曲線(エマグラム)についての最後の問題で、高度690hPaから430hPaにかけての大気の鉛直安定性を見る内容です。高度690hPa~430hPaにかけての大気の鉛直安定性につきましては、この間の温度分布の気温減率、細実線の乾燥断熱線、太実線の湿潤断熱線を比較して考えます。まず、一般気象学p71、図3.13「湿潤大気の静的安定性」の図で一般知識
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第57回試験・実技試験1今回は、日本の東にある高気圧について、図6〜図8を用い、12時間後から36時間後までの移動方向と平均の速さを求めよ、という内容です。まず、日本の東にある高気圧の移動方向と速さにつきましてはその高気圧の中心位置の追跡して求めますので、図6〜図8の各下の地上の予想図を用います。試験本番でもトレーシングペパーが与えられますので、トレーシングペーパーを用いて「H」マークの中心を12時間後、24時間後、36時間後とプロット
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・実技試験2・問4今回は、内之浦とその周辺の大雨により発生するおそれがある災害名を3つ、またそれぞれの災害に対応する警報・注意報を発表する際の発表基準として使用する指数を解答せよ、という問題です。まず初めに、大雨により発生するおそれがある災害名の3つについて考えてみます。大雨により発生するおそれがある災害は、山地ですと「山崩れ」、「崖崩れ」、「土石流」といった「土砂災害」が考えられます。また平地ですと「低い土地へ
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・実技試験1・問4今回は、前問の問4(1)の強雨域の形状の特徴に関連して、図10の気象衛星赤外画像では雲域で見たところ形状にやや違いがみられ、上層雲の幅が強雨域よりも広くなっていることについて、強雨域の雲の上端が到達する高さに着目して、上層雲の幅が広がる理由を述べよ、という問題です。(気象庁HP:積乱雲ってどんな雲?より)まず、赤外画像では、気象衛星で観測された地球放射を輝度温度に変換させ、輝
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第57回試験・実技試験2・問2今回は、36時間後の28日21時に南西諸島付近で発生すると予想される低気圧の発生に至る過程について述べた文の穴埋め問題です。早速、本文を読みながら考えていきます。(第1段落)「27日9時に日本海中部にある低気圧の中心から南西にのびる前線は、(①)には鹿児島付近に進み、その後南西諸島付近に南下する。」とあります。初期時刻の27日9時(図1)に日本海中部にある低気圧から南西にのびる寒冷前線およ
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第58回試験・実技試験2・問3(2)前回の①の問題において、地点アと地点イのそれぞれの風速から図9を使って推算した波高の値は、地点ア:1.8m、地点イ:2.6mということでした。今度は図10から実線および破線で0.5mごとに引かれている両地点における波高の予想を読み取ってみますと、地点アは3m、地点イは2.5mと読み取ることができます。したがって、この両地点のうち、波高の予想と①で求めた推算値との差が大きいのは地点アとい
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第10回試験・一般知識(受験時代のノートより)(a)地衡風とは気圧傾度力とコリオリ力が釣り合っているときに吹く風のことをいいます。すなわち、気圧傾度力をPn、コリオリ力はコリオリパラメータ×風速で表されますので、コリオリパラメータをf、風速をVとしますと、Pn=fV…(1)で表すことができます。(1)式において左辺のPnが変化しますと、この等式を維持するためには右辺のコリオリ力も同じ割合で変化することに
こんばんは。早速ですが考えてみたいと思います。(a)本文の、「気象庁の気象ドップラーレーダーは,パルス状に発射した電波が,降水粒子によって反射(後方散乱)されるときの周波数の偏移を測定することにより,」の部分は正しいのですが、その後の文も内容が合っているだろうと思って、うっかり読み流してしまうと、「正」にして引っかかってしまいます。1台の測器で上空の風の3次元速度ベクトルの各成分を観測するのはウィンドプロファイラーです。「3次元速度ベクトルの各成分」とは、風を東西・南北・
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第58回試験・専門知識初めに、図の夏のモンスーン期(6月〜9月)の200hPa及び850hPaの流線関数の平年値の読み方から簡単に触れておきますと、各図の下の凡例に着目しますと、青色が濃くなるほど負の値で反時計回りの流れ、北半球では低気圧性循環(南半球では高気圧性循環)が強くなり、逆に赤色が濃くなるほど正の値で時計回りの流れ、北半球では高気圧制循環(南半球では低気圧性循環)が強くなることを示しています。(a)これを踏まえてチベット
こんばんは。早速ですが考えてみたいと思います。(1)雲域Aでは、可視画像で白く、赤外画像で暗灰色となっていることから、雲頂温度が高い、すなわち地上の温度に近いということですので、下層の雲であることがわかります。可視画像をもう一度よく見ますと、雲の状態が一様に広がっているという感じではなくて少し凹凸があるように見えます。また、Aの領域の少し外側にあたる、図1の東京で観測されている十種雲形に着目しますと、積雲と層積雲の共存となっていることから、層積雲であることが推定され
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・実技試験2・問2今回の問題は、初期時刻(29日21時)に黄海にある地上低気圧とその500hPaにおける低気圧の中心を結ぶ軸が、その後24時間後にかけて、対応関係と地上低気圧の盛衰がどう変化していくかについて述べた(a)~(c)の文のうち正しいのはどれか、ということで見ていきます。まず、(a)は、「低気圧の中心を結んだ軸は最初傾いていたが、鉛直方向に変化し、地上低気圧は衰弱する。」とありますが、図1の地上低気
こんばんは。早速ですが次の問題を考えてみたいと思います。(3)図9(左下)は図9(上)の3時間後、12時のレーダーエコー合成図で、北海道の西海上の帯状エコーが南下してきて、小樽と寿都(すっつ)に近づいてきているという状況です。①帯状エコーの南下速度を、東経141.0°と東経140.2°についてそれぞれ1km/h刻みで求めなさい、という問題です。まず、図9(上)にトレーシングペーパーを重ねて、東経141.0°と東経140.2°それぞれを、帯状エコーの北縁のところに印
こんばんは。早速ですが考えてみたいと思います。(1)簡単にいいますと、初期時刻以外の予想される台風またはその台風から変わると予想される温帯低気圧の中心を×印でプロットし、実線で結んで、日時も記入しなさい。ということです。まず、12時間後と24時間後の予想位置は図1の予報円から求めることになります。なお、問4(1)で求めたのは24時間後の実況の位置ですので、それをプロットするのではなくて、予想の位置ですので、予報円の中心をプロットします。36時間後と48時
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・一般知識(a)本文では、「成層圏から中間圏の北極周辺は低気圧になり、北半球高緯度では西風が卓越している。」とあります。そこで、一般気象学p254の図9.3「1月における帯状平均東西風の緯度高度分布」に着目しますと、1月、すなわち北半球の寒候期においては、「成層圏から中間圏」とありますので、高度約50km付近の成層圏界面付近の風に着目しますと、西風が卓越していることがわかります。この高度付近における大気の
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第53回試験・一般知識気象業務法施行規則第12条の2法17条第1項の規定により許可を受けた者は、予報業務を行つた場合は、事業所ごとに次に掲げる事項を記録し、かつ、その記録を二年間保存しなければならない。一予報事項の内容及び発表の時刻二予報事項(地震動、火山現象及び津波の予報事項を除く。)に係る現象の予想を行つた気象予報士の氏名三気象庁の警報事項の利用者への伝達の状況(当該許可を受けた予報業務の目的及び範囲に
こんばんは。早速ですが考えてみたいと思います。問題文そのものはサラッと書かれていますが、この問題を解くためには温位・相当温位・湿球温位についての理解と、頭の中でエマグラムを使って空気塊を操作しながら考えることができる必要があります。まず、温位・相当温位・湿球温位について整理してみたいと思います。温位とは、ある未飽和の空気塊を1000hPaまで乾燥断熱線に沿って下降または上昇させ、1000hPa面にそろえたときに示す温度のことをいいます。(受験時代のノートより)
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第59回試験・実技試験2今回は、図2の強風帯と灰色の実線で描かれているトラフについて、12時間後と24時間後の予想位置を5280mの等高度線との交点の経度で解答せよ、という内容の問題です。第59回試験を受験された方におかれましては、今回のトラフ解析は難しく感じた方がいらっしゃるかもしれません。まず、問1(3)②のおさらいになりますが、初期時刻の日本海中部および対馬海峡の低気圧のいずれも、12時間後から24時間後にかけての発達
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・実技試験2・問3今回は、前問の下線部の(ア)を観測した地点について、「(⑥10時20分)に風向が大きく変わって風速が増大し、ほぼ同時に(⑦気温)の下降、(⑧海面気圧)の上昇、降水が観測された。」がシアーラインの通過を表わす特徴であることに基づき、他の(イ)、(ウ)を観測した地点においてシアーラインが通過した時刻を10分刻みで解答せよ、という内容です。まずは、(イ)から見てみます。風から着目しますと、風向が大
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第61回試験・実技試験1・問3今回は、図9において、15時〜18時頃にかけて見られる高度0.7kmと1kmの間の鉛直シアーと最も関連しているものを、問題文の下枠にあるア〜エの中から一つ選択せよ、という内容で考えてみます。まず、実際に図9を見ますと、この時間帯において、高度0.7kmの風向が概ね東風であり、高度1kmでは南東〜南南東となっており、顕著な鉛直シアーが見られます。ここで、一般知識の大気の力学の復習になりますが、鉛
こんばんは。今回は、図11の、18日6時~18時における平戸、下関、浜田の気象要素の時系列図を使い、平戸と下関を寒冷前線が通過した時刻を解答し、さらにそのように答えた理由を述べよ、という内容の問題です。寒冷前線の通過について、風向・海面気圧・気温のどの部分に着目するのかなどについて、次回一緒に考えてみたいと思います。第58回試験・実技試験問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。3日分の考察編は次回更新の予定です。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第59回試験・実技試験・問4今回は、本文を読みながら、空欄に入る語句や数値を考えてみたいと思います。まず、「図12によると、地上付近の相当温位はシアーライン(▲の位置)の東側のほうが西側より(①)く、シアーライン付近で相当温位の水平傾度が大きい。」とあります。①では、図12における鉛直方向の等相当温位線を読み取って、▲で表されているシアーラインの位置に対して東西どちら側が高いかということですが、シアーラインの西側では等相当温位線が集
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識(a)まずはじめに、北日本では平年より気温がどうだったか。北日本付近に着目しますと、オホーツク海からカムチャッカ半島付近へ等高度線が大きく蛇行していることがわかります。これは偏西風の流れが南北に大きく蛇行しており、この図が7月上旬の旬平均の天気図であることから、このような現象が1週間前後かそれ以上続いたことを表わしています。この現象のことを「ブロッキング」または、「ブロッキング現象」とよんでいます。そしてこの大
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第59回試験・実技試験1・問4今回は、図13の土砂災害に危険度分布(キキクル)を用いてこのような状況になった時に、東京都八王子市及び神奈川県相模原市に対して、土砂災害を対象に発表される防災情報について、下の枠内から全て選び、記号で答えよ、という内容の問題です。(気象庁HP:知識・解説>土砂災害警戒情報・土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)より)まず初めに、八王子市から見てみます。八王子市では、東側の一部に黄色で色分