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(仕立て終わった着物をとどけるだけなのに、まさかこんなに遅くなるなんて・・・・・・)悠々と輝く月に背中を押されるように、私は春日山城への帰路を急いでいた。(次、帰りが遅くなったら外出禁止令を出すって謙信様に怒られたばかりなのに・・・!)戦国時代にタイムスリップした後・・・・・・佐助くんと再会を果たした私は、彼が忍びとして身を置いている春日山城で、上杉・武田軍の世話役をしながら針子の仕事に勤しんでいた。(夜は暗くて怖いから、通らないことにしてるけど・・・・・・今日は近道しよう・・・・・・)
梅雨の中休み、久しぶりに晴れた春日山城下を幸村と歩く。私は反物の下見をしていたところ、信玄様にお遣いを頼まれた幸村と出くわした。幸村曰く、『やられた・・・』って言ってたけど、こうして会うことができて信玄様に感謝だ。「そういえば、もうすぐ誕生日だね」幸村「あー・・・そうだな。別にめでたくも嬉しくもねーけどな」「またそういうかわいくないことを言う・・・・・・でも、幸村の誕生日って七夕じゃない?素敵よね」幸村「は?どこが?つーか、七夕の何が素敵なんだよ?」「え
信長「駄目だ。貴様がそういう顔をするのは気に食わん。貴様のすべてで俺を愉しませろと言ったはずだ」「今の私には無理です」信長「なぜだ?」「・・・・・・言えません」信長「言え。これは要求ではない、命令だ」(命令・・・・・・)その有無を言わさない響きに、私の中にずっと閉じ込めていた疑問がこぼれ落ちる。「・・・・・・信長様にとって、私ってなんですか」信長「・・・・・・貴様は幸いを運ぶ縁起物で、俺の持ち物だ」「そう、ですか・・・・・・」(わかってた。信長様が私をそばに置くことに、それ以
(ん・・・・・・?)少し息苦しくてまどろみから覚めると、朝だった。重いまぶたを持ち上げた途端、幸村の寝顔が飛び込んでくる。(寝てる時に抱き締めるくせあるよね、幸村って・・・)布団にくるまり、幸村は私を腕に閉じ込め、顔をしかめて眠っている。(何度見ても見飽きないな)幸せな気持ちで、眉間のしわをつつくと・・・幸村「・・・・・・んぁ?」「朝だよ、起きて」幸村「ん・・・・・・ゆう・・・?」険しい顔つきのまま、幸村が瞬きを繰り返す。だんだん焦点が合っていき、真っすぐに私を見つめ、笑顔にな