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貴方の胸に小さな痣が有る俺の胸にある痣に似た・・・今迄・・・気が付かなかった・・・それを見たら・・・胸が締め付けられたみたいに心が痛くて・・・思わず目を逸らせた「どうかした?」貴方が優しい眼差しで訊ねる「何でも・・・無いです・・・桜に月って・・・とても綺麗ですね」顔を見たら泣いてしまいそうで空を見上げたまま答えた「二人で観るから、より綺麗に見えるのかも知れないよ」「そうですね・・・一人なら空を見上げない
連絡を入れてからここに来るのに1時間も掛かっていないこの人、本当に社長業をこなしてる?訝しく思えるほどのスピードに呆気に取られてると画伯が隣で可笑しそうに笑う「俺がしてたら、もう20分は早く来るな(笑)」「それって、電話受けた状態でそのまま外に出るって事ですよ?」仕事をしていたらそうはいかないはず「多分そうだよ(笑)」「本当に?」黙ったまま何度も頷くその話題が自分の事だと分かった翔兄否定するどころか思いっきり肯定をする「この人からの電話
屋敷の玄関前まで行くと不機嫌そうな顔をした松本が歩いて来る後ろから綾野君がついてきたこの場合はお見送りってことだな「綾野、先程の件を長に伺ってくれ」「畏まりました」「では、失礼する」「お気を付けてお帰り下さいませ」深々と頭を下げて彼を見送った堂々としてるねぇ・・・流石、筆頭長老家の子息俺の家など傍に寄ることも出来なかった里には身分の差などなかったのに・・・「剛・・・お疲れ様」彼が帰ったのを確かめて声を掛けた「長」思わず人差し指を口に当てた
アンティークショップは緩やかな坂を登り細い道を右に曲がった住宅街の一角にある坂の上に現れる広大な森大袈裟ではなく、沢山の木々に囲まれた森だこの中に古い洋館があると言われても俄かには信じられない財閥と呼ばれた方の屋敷らしい都内に数か所あるって言うから昔のお金持ちって桁違いだったのかな「暑いですね」櫻井さんはかなりの汗かきかも(笑)額に大粒の汗が浮かんでる「拭きますか?」さっきのハンカチを取り出して手渡すと申し訳なさそうな顔をして受け取って額の汗を
智翔旅行社の窓の向こう側には夏の空が広がっているここに戻ってきてからの旅行社はタイムトラベルも宇宙旅行を扱っていない母星にある旅行社の中でも最弱で月に1度、母星の特区である『RAY』への観光客を受け入れ案内するのが主な仕事社長は『RAY』観光に同行する数か月に一回『O国ツアー』を催行する(まだ一度も催行されていないけど・・・)副社長は『母星を再興プロジェクト』の一員の為ゲートの向こうに仕事に行く大概は緋~ちゃんと一緒だつまり・・・社長はかなり暇な様子
祖母の父は櫻井悟どんな人だったかは全く見えてこない仕事熱心で寡黙な人だと言うことだけ画伯と関係があるのは間違いないけどじゃあ、どうして櫻井姓なんだ?そこがどうも腑に落ちないそれに・・・画伯が愛した相手あの絵の相手の正体は誰なんだろう?考えても答えに辿り着けるはずもなく思いっきり髪をクシャクシャっとして起き上がる階段を降りてリビングに行くと祖母が庭先で空を見上げていた「おはよう、祖母ちゃん」窓ガラスを開けて顔を出すと振り向いて笑みを浮かべた「おは
健太君に手を引かれて乗り込む瞬間笑顔なのに目が笑っていないどちらかと言うと・・・強張ってると行った方が正しい高い所が苦手な人にとって観覧車と言うのは相当な恐怖らしい(ここのは大観覧車、かなり高い位置まで行く)飛行機のように外が見えなければそこまで気にならないらしいが観覧車は素通し・・・健太君が言うように空に浮いている感覚になる優しい子だから苦手だと分かると乗りたいと言った事を気にすると思うバレないように、櫻井さんを落ち着かせないと一緒に座れば少しは落ち着く
閉店時間が近付くにつれて胸の高鳴りは増しソワソワしてくる(二人きりだから余計だ)取りあえず動いていたい「掃除した方がいいの?」閉店後に掃除するって言ってたのを思い出す「はい・・・床掃除はいつもさっと済ませています」「じゃあ、床掃除するねさっとでいいの?」「ええ、お願いします」智君はjewelryを金庫に片付けショーケースの上から白布を掛ける作業を始めた「全部金庫に仕舞うの?」「最近は物騒なのでシャッターを閉めても安心でき
正直浮かれている、そして焦っているどうしてかは分からない多分、俺が歳をとってるからだ珈琲が入るまでの間何度も溜息を溢したその度に上田が苦笑いを浮かべる芳醇な香りが部屋中に広がっていくそんな珈琲豆って有ったっけ?「豆買ってきてくれたの?」「買って来てないですよ兄貴ん家の豆ですよ」「俺が淹れてもこんないい香りしないぞ」嘘を言ってはいけないと窘める様な眼差しを向けると席を立って豆の袋を持ってきた「これに間違いないでしょ?」「家のだ・・・じゃあ
一緒にお昼ご飯を食べようって・・・お客さんに誘われるなんて初めてのことで正直どうしていいのか焦ってる何処に行くんだろう?商店街の喫茶店かなぁ・・・お金そんな持ってない・・・まあ、商店街の喫茶店のランチなら大丈夫だけど「あの・・・お昼どこに行きますか?」クリクリっとした円らな瞳の小説家さんがニッコリ笑って「貴方が行きたいお店とかありますか?」質問を質問で返すのは反則のような気がするそれに・・・お店って言われても食べたい物が見当たらな
スケジュールが消える?何度手帳を見ても空白になってる山の日を入れて5日間のオフ(夏休み)「休みなさいってことじゃない?」翔君は仕事大好き人間だから結構スケジュールを詰める僕はのんびり屋さんだから足して2で割って丁度良いんだけど(笑)「そうだけど・・・休みの予定を立ててもいい?」スケジュール帳が埋まってないと落ち着かないらしいやっぱり『せっかちさん』だ「偶には予定を立てないのもいいんじゃない?」「そう?」ちょっと不服そう・・・た
恋とはいつの間にか堕ちている・・・俺もそうだった、何度上田に言われても恋ではないと言い張ってた自覚するのに時間が掛かる恋も有る気が付いた時あの人の相手が俺であって欲しいそれだけを願う毎日文芸誌の連載は初めてで正直、今までの仕事とは勝手が違う付け焼き刃、その場凌ぎの話を書いていたらすぐさま、打ち切られてしまう世界恋愛小説をという話だったが俺に書けるとは思えない(本物の恋をしていないんだから無理な話)あの人がいつも言ってる身の丈に合ったもの・・・今の自分の想い
大きな大きなお屋敷は子どもたちの探検場所地下への階段を見つけて興味津々で探検に出掛けてハルさんと帰ってきたどうやらハルさんの家と繋がっているらしい扉の前でどうするか悩んでいたらいきなり扉が開いて驚いて大きな声を出したと零治がこっそり教えてくれたハルさんの家のカズさんとマサキさん二人とは大の仲良しになったようだ4人のパワーの前にタジタジっと言った方が正解だなそんな賑やかな日はあっという間いよいよ本番当日の朝相葉君と和也が庭先に機材を運び込んで大きな白いスクリ
妖精君の瞳の色と同じ紙袋が二つ僕たちの目の前に置かれたその中には僕が一目惚れした高価なジュエリーが収まったこれまた、高価なアンティークの小箱が鎮座していた「あの・・・小箱は・・・」「元々この子の箱です天道虫の師匠はとても優しい方だこの子の休める場所を取り上げないで一緒にお持ちになっただから、俺もそうさせて頂きます」「丸型のジュエリーもですか?」櫻井さんが確認するように袋の中を覗き込んだ「こばこもついなんだっちぇねっ、あおちゃん」
夜遅くまで星を眺めてた冬の夜、カフェからの帰り道電車にも乗らずに歩いたその時見上げた夜空と同じ降ってきそうなほど綺麗な星空だ貴方が窓に拘った理由が分かった気がした世界が貴方中心に回り始めたあの日から俺の世界は彩り豊かなものになった歳を重ね、日々の忙しさにかまけてその想いが少しだけ色褪せ忘れてしまいそうになってた(貴方への想いだけは変わらない)そんな俺に、窓から見える景色はどんな絵画よりも勝ると言い切った貴方の想いいつも寄り添ってくれているからこそ余裕をなくさない
日本に帰国することを決めた俺達は住む場所を探すところから始めた貴方は俺の実家に遠慮して東京に帰ることを頑なに拒んだ弟が事業を継ぐことになってはいるがまだ、櫻井家の跡取りは俺・・・父は首を縦に振ることはなかった勘当されても良しと思ってた俺を嗜め智君が父と話し合い同居だけは認めてくれた(まさに渋々)俺の知らない取り決めが多いことは後で知った二人で暮らす家は貴方の実家に近いのどかな田園風景が広がる仏蘭西のアトリエに似た景色の場所貴方はそこに有名な建築家に依頼し
いつものようにお八つをかって若智屋の裏木戸に向かう若旦那すっ転ばないように慎重に裏木戸をくぐり抜けるここで気を抜くと躓くこともある縁側に辿り着くまではゆっくりと歩を進めるいつもなら、若旦那が声を掛けるまで顔を上げない若主人が今日は来るのを待っていたかのように縁側で立ち上がって木戸を潜る若旦那を見ていた「翔、待ってたよ」笑みを浮かべて声を掛けられた若旦那驚いて腰を抜かしそうになるどうした?彼奴、どっか具合でも悪いのか?こんな笑顔で迎い入れて貰ったことなど未
大晦日、実家に帰る車の中で携帯が鳴った路肩に停めるまで鳴り続ける音そんな急ぎの用?心当たりがないけど・・・安全を確認して、路肩に停めた「ハイハイ、誰ですかこんな年の瀬に」お小言一つ溢して、携帯画面を見た電話を寄越した主は『アンティークショップ紅玉』さとしに何か有ったのかとドキッとして慌てて画面をタップする「はい、櫻井です」「こんにちは、随分ごゆっくりですね」嫌味をチクリと頂いた「車を運転していたもので随分、長~いコールでしたが急ぎのご
王子たちが滞在することが決まり鮫島家ではてんやわんやの大忙しいくらお忍びだと言ってもO国のプリンス粗相があっては大変と貴方のお父さんと祖父ちゃんが大騒ぎそれを見た貴方があきれた顔をする「祖父ちゃん、父さん普段通りでいいのそのために家に滞在するんだし・・・そもそも、この家は普通じゃないのに・・・」「普通じゃないってどういう意味じゃ?」珍しく祖父ちゃんの顏色が変わる脛に傷を持つ祖父ちゃん貴方の言葉にはとても敏感お父さんもちょっと項垂れてる(過去が過去
俺の想像の斜め上を行く貴方まさか仕事を入れてたなんてそれも俺が同行できるようにの配慮横の物を縦にしたいとあがいてた俺とは違い斜めの道を用意するその柔軟さには驚かされる俺って・・・ほんと猪突猛進・・・どうしても一緒に行きたかったあの場所は・・・辛い思い出も多いからだ・・・貴方がお風呂に入っている時携帯が鳴った画面を見たら鮫島祖父ちゃんだ「もしもし・・・翔です」「こんな時間に悪いな」「いえ、もしかして智君にですか?今、お風呂に入って
元通りに戻すことは出来ない失った時間は取り戻せないだからそれに代わる形を作っていく・・・貴方とお父さん達の間に芽生えた新しい家族の形は、ゆっくり育ち始めたそれは偏にお祖父さんの努力(笑)あの人の存在が蟠りを解かしてくれたことは間違いないと思ってる問題はお母さん・・・確かに和解はしただけど・・・お互いが遠慮してそこから進めないお母さんに新しい家族がありその上、貴方は俺の家で暮らしている遊びに来る事も憚られるだろうなぁ・・・どうにかして交流を持た
若旦那は若主人の申し出通り二枚の浴衣を作って若智屋に届けたお代は夕餉の菜の茄子和也はその請求を受けて駕籠いっぱいの茄子を届けさせた最近は午前中に店に出る若主人昼餉が済むと私室で一休みする庭の木に止まって鳴く蝉の声を聴きながら流れる雲を眺めていると廊下から和也の声「兄さん、浴衣が出来上がってきました」妙に明るい声の和也が襖を開けて入ってきた「浴衣が出来上がってきた?随分、拵えるのが速いねぇ」そりゃ、兄さんの浴衣若旦那がいの一番に拵えるだろう
江戸時代の江戸の町は「武家地」「町人地」「寺社地」と厳格に住む場所が身分によって分けられておりましたその中で、専有面積を一番多く占めていたのは「武家地」全体の7割だと言われております残りの土地を「町人地」「寺社地」が均等に割り当てられておりました人口密度は源氏よりも高かったようですのほほんとした長閑な町を想像していては大違い人で賑わって(ごった返して)いたのが正解となります道行く人の多さに面食らった櫻井辺りをきょろきょろと見回し所謂、お上りさん状態である「大丈夫?
ハルさんと話していて気が付いた瞳の色が蒼くない・・・纏う空気も少し淋し気なんだ・・・俺たちが逢った彼ではなく俺たちと同じ時代を生きている蒼さん「最初の曲は貴方でいいんだよね?」今回の音楽会、10曲の歌を謳う最初のオープニングはコーラス謳うパートも少ない楽譜には俺の名前が書かれていた「ええ・・・最初の曲は俺だけどうまく合わせられるかなぁ・・・主旋律を謳う人が此処には居ないと聞いたんですが」「ああ、それはそうらしい交響楽団が来てくれるけ
大きな野望があるわけではない貴方が思う存分仕事が出来る環境それを作るのが俺の役目世界に羽ばたく貴方をバックアップしたいそれが俺の夢でもある「翔君、夕食まで時間が有るから部屋で休みなさいって」庭の散歩を終えて戻ってきた貴方がニッコリ笑う「この広間で休むって事?」正直、ここまで広いと休めないよ(笑)「ううん、二階の客間を使って良いって祖父ちゃんも昼寝するってはしゃぎ過ぎだよね(笑)」「貴方が来てくれたからもの凄く嬉しいんだと思う」たぶんお
ポーセラーツで使用する工房に楽しげな声が響く・・・祖父ちゃんが居た頃は・・・楽しげに話すってあまりなかった工房の外に出れば凄く優しい人だったけど工房の中では厳しい先生で頑固な陶芸作家だったお弟子さんも真剣に学んでるからいつもピリピリした空気が流れてただからほんわかした空気が凄く新鮮に感じる「体験教室って言うのは楽しんでやるものなんだそうでないと初めてみようって思う人が居なくなる」大ちゃんが嬉しそうに笑ってポーセラーツの転写紙を湯に浸してるさと
3人で朝食を取った後二宮君は劇団での打ち合わせに智君は相葉君の店の手伝いに出掛けた「店には出なくていい」と、相葉君から言われても「人手は多い方がいいから」って貴方らしい返事で煙に巻いてるらしく通し稽古に入るまでは店の仕事を続けるらしい俺は事務所で仕事を開始松本はドラマの撮影が入ってる台詞が有る役を頂けるようになりそこそこ顏も売れてきたそれでも、駆け出しの役者送迎は特別な時以外は一人で現場に向かう今日の予定の確認をして出かける準備を始めたところに携帯が鳴る
友達の家に遊びに行く事は学生の頃なら結構あったけど社会人になって初めてで正直、戸惑ってしまった櫻井さんのお母さん、お店で会っただけで殆ど話してもいない本当に僕に逢いたい?どうも信じられないんだけど・・・それでも、お断りするのも失礼だから少しお話したら帰らせて頂けばいいかな櫻井さんの家は想像通り都内でも有数な高級住宅街の一角にあった駅前の和菓子屋さんでお土産を買って歩き出す「駅から歩いて5,6分です」「緑が豊かな場所ですね」「それ以外何もないです
アラームが鳴り、起きた!横を見ると、翔くんがまだ、夢の中!起こすのが可哀想、、、なんて、言ってられない!起こそう!身体を揺すりながら、起きてー!朝だぞー!んー、もう?起きるか!「翔くん、先に、行って!」「?」「いいから、行って!」俺だって、男だ!バサッ布団を勢いよくまくった。「だろうと思った!俺だって、ほら!」「翔くん(///ω///)おいら、顔洗ってくる」恥ずかしがらなくていいのに!若いっていいな!俺も、顔を洗い、仕事に行く準備をした。朝食は、店で食べ
紅玉のドアを開けたらさとし君が腕の中に飛び込んできた熱烈な歓迎を受けて思わずデレデレの顔になる「おにいちゃんいらっしゃい!」「遅くなってごめんね」「ううん・・・ゆっくりおやすみするのもだいじなんだっちぇ」「誰が言ってたの?」「おおちゃん!」大ちゃんが言いそうな言葉だ・・・「何の御用か聞いてる?」「うんとねえ・・・おいら・・・こんかいはちーふじゃないの」「チーフじゃない?」旅行社の分室・・・イベントが始ま