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こんばんは。早速ですが考えてみたいと思います。まず500hPa高度・渦度解析図の見方を簡単に説明しますと、「500hPa高度」とは、高度が何メートルのところで500hPaの気圧となるかを等高度線で結んで表現しています。実線は60mごと、太実線は300mごとに引かれています。500hPa高度が高い部分は高圧部、逆に低い部分は低圧部となります。一方、「渦度」というのは大気の流れの回転するありさまを数値化して表現した量をいいます。図の網かけ域は反時計回りの回転を示す正渦度域で北半
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第43回試験・専門知識今回は、組織化された積乱雲からもたらされる強い降水を例とした数値予報の精度の向上についての文中にある下線部の正誤を判断する問題です。早速(a)から見ていきます。(a)まず、数値予報の限界の一つとして数値予報モデルの分解能による限界があります。数値予報モデルで予測できる大気現象の水平スケールは格子間隔の4~6倍程度です。すなわち、格子間隔が5kmのメソ数値予報モデル(MSM)であれば、表現可能な大気
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第58回試験・専門知識(a)(気象庁HP:知識・解説>気象情報>記録的短時間大雨情報より)まず初めに、「記録的短時間大雨情報」とは、大雨警報の発表中に、その地域で数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を、観測(地上の雨量計による観測)したり、解析(気象レーダーと地上の雨量計を組み合わせた分析:解析雨量)したりしたときに発表します。(気象庁HP:知識・解説>キキクル(警報の危険度分布)より)この情報は、現
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第57回試験・専門知識今回は、本文を読みながら、下線部の正誤を考えてみることにします。(a)まず、「寒冷低気圧は、偏西風帯のジェット気流がほぼ東西方向に流れているときに形成される。」とありますが、寒冷低気圧(寒冷渦)は、偏西風帯のジェット気流の蛇行が大きくなり、切り離されることによって形成されます。偏西風帯から切り離されるため、移動が遅く、ほぼ停滞したり、反時計回りに回転するように移動することもあります。形成の過程から
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第53回試験・専門知識(a)大規模な地形の効果や熱帯における積乱雲群による凝結熱の放出などによって発生する大規模な大気の波動のことを「ロスビー波」といい、特に停滞性のロスビー波のことを「定常ロスビー波」とよんでいます。(左:気象庁HP「エルニーニョ/ラニーニャ現象とは」より)(右:気象庁HP「海洋の健康診断表」>「総合診断表第2版」>「2.3エルニーニョ現象」より)次に、エルニーニョ現象発生時では
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第57回試験・専門知識(a)と(b)冬型(西高東低型)の気圧配置のとき、大陸からは冷たく乾燥した季節風が日本海に向かって吹き出します。日本海の海面水温は暖流である対馬海流が流れていることから、季節風の温度に比べて高いため、海面から、顕熱と水蒸気の供給が海面に接する下層から進んで、相対的に暖かく湿った空気に変わっていきます。このメカニズムを「気団変質」とよんでいます。海面に接した空気が下層から暖かく湿った空気に変わってき
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・専門知識(a)(気象庁HP:雷ナウキャストとはより)(気象庁HP:雷監視システムより)(気象庁HP:雷監視システムより)「雷ナウキャスト」は、雷の激しさや雷の可能性を1km格子単位で解析し、その1時間後(10分~60分先)までの予測を行うもので、10分毎に更新されています。また「雷監視システム」は、雷により発生する電波を受信し、その位置、発生時刻等の情報を作成するシステムで、全国3
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。(a)平均誤差(ME)とは、実況値から見た、予報値の系統的な偏りを示す指数のことをいいます。具体的には、予報値と実況値との差を求め、そのそれぞれの差を積算したものを予報回数で割ることによって求めることができます。評価については0が最良です。また、求めた値は正の誤差にも負の誤差にもなりますので、その絶対値が大きくなるほど、すなわち0との差が大きくなるほど誤差が大きいことを示します。平均誤差は、初めに書きましたように、予報の
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第14回試験・専門知識今回は、エマグラムを用いて、温度の鉛直分布から接地逆転層の高さ、1000hPaにある空気塊のを持ち上げたときの持ち上げ凝結高度、さらにそこから空気塊を500hPaまで持ち上げたとき、空気塊は周囲の空気と比べて温度が高くなるか低くなるかを判断する、という内容です。今回は、本文を読みながら解答を考えてみます。まず、「この観測所においては、接地逆転層の高さは(a980hPab920hPa)に達して
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識(a)地上気象観測における「天気」とは、雲と大気現象に着目した大気の総合的状態のことをいいます。初めに、本文を読みますと、『層積雲が全天の8割を覆っている場合は、天気は「曇」である。』とあります。十種雲形では、巻雲・巻積雲・巻層雲は上層雲、高積雲・高層雲・乱層雲は中層雲、層積雲・層雲・積雲・積乱雲は下層雲にそれぞれ分類されてます。なお、対流雲である積雲・積乱雲は下層雲に分類されます。本文にあ
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・専門知識今回は、台風の一般的な特徴について述べた文の正誤を判断する内容の問題です。早速(a)から見ていきます。(a)まず初めは、台風の中心付近の気温について、「一般気象学」p237図8.29「1964年10月1日、飛行機観測によるハリケーン・ヒルダ(Hilda)の気温偏差の鉛直断面図」を見ながら考えてみます。図によりますと、台風の中心付近は、海面高度から対流圏界面付近まで周囲の大気より気温が高い特徴が見
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)まず初めに、「高解像度降水ナウキャスト」は気象庁が気象レーダー観測のデータを利用して、250m解像度で降水の短時間予報を行う予測のことです。この「ナウキャスト」とは現在起こっている気象状況をすぐに把握し、それに基づいて少し先の予測するという意味があります。気象庁は全国に20か所の気象ドップラーレーダーを設置して、日本全国のレーダー雨量観測を行っています。このドップラーレーダー観測網は、局地
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・専門知識(a)本文にあります通り、梅雨前線を維持している水蒸気輸送には、一方では、インド洋からチベット高原の南側を流れる湿った南西風(インドモンスーン)が梅雨前線に流れ込んでおり、もう一方では、太平洋高気圧の縁辺の沿って湿った南風が梅雨前線に流れ込んでいます。これら2つの湿った空気の流れによって大量の水蒸気が輸送されることにより梅雨前線が維持されています。したがって、本文の内容は正しいということになります。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・専門知識今回は、数値予報から、メソモデルおよび局地モデルについて述べた文中の下線部の正誤を判断する内容の問題です。本題に入る前に、数値予報モデルの概要を簡単に触れておきたいと思います。(気象庁HP:気象に関する数値予報モデルの種類より)(気象庁HP:メソモデル・局地モデルの領域(左図)と、メソモデルの地形(右上図)と局地モデルの地形(右下図)より)気象庁では、予報の目的に応じて複数の数
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第59回試験・専門知識(a)(気象庁HP:知識・解説>気象衛星・気象観測>ウィンドプロファイラ「データの見方の例前線の通過」より)上図の2015年5月12日の市来(鹿児島県)のウィンドプロファイラの観測と12時の地上天気図の例を使って考えてみます。12時の地上天気図では薩摩半島にある市来はすでに寒冷前線が通過した後であることがわかります。そこで、寒冷前線が市来をいつ通過したのか、ウィンドプロファイラの観測で見てみますと、
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第59回試験・専門知識(a)「その地点の気圧(現地気圧)」は、その場所よりも上にある空気柱の重さに等しく、標高が高いところほど気圧が低くなります。もし、現地気圧のまま天気図を解析しようとしますと、その標高が高いところで常に低気圧になってしまうことが起きてしまいます。このため、気圧は本文にあります通り、その地点の気圧(現地気圧)と気温の値および気圧計の平均海面からの高さを静力学平衡の式と気体の状態方程式に基づいた換算式に代
こんばんは。早速ですが考えてみたいと思います。(a)客観解析は解析値の第一推定値、すなわち前回の計算によって得られた予報値を新たに得られた観測データによって修正する処理です。したがって用いられるのは「前回の計算によって得られた予報値」であり、気候を表現する気象統計である「気候値」は用いません。数値予報では、このように客観解析で得られた解析値から重力波ノイズを除去して初期値化を行い、その初期値から数値計算を行なって予報値を求めて、その予報値はまた新たな観測データによ
こんばんは。明日(6日)は第47回試験の合格発表ということですが、「てるてる風雲録」ではよく試験問題を採りあげて書いていることもありますので、「合格しましたぁー!!」など、嬉しい便りがたくさん来たらいいなぁ~。なんて思いながら問題を考えてみたいと思います。レーダーエコー合成図を見て850hPa相当温位の図を見るのか、逆に850hPa相当温位の図を見てレーダーエコー合成図を見てどれとどれが対応しているのか、大きく2通りのアプローチのしかたがありますが、ここでは、僕が受験時代からやり
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)数値予報モデルは、本文にありますように、予報領域に応じたモデルに用いる時間間隔(ステップ:「タイムステップ」・「積分時間間隔」ともいいます。)ごとに大気の状態の計算を繰り返して将来の状態を予測するという構造になっています。気象庁の現業における数値予報モデルの仕様では、全球モデル(格子間隔20km)で400秒(6分40秒)、メソモデル(格子間隔5km)で20秒となっています。したがって、下線部
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)まず本文では、日本海北部の低気圧に伴う雲域について、「中心付近には中下層の雲渦がみられ、その北側にはバルジ状の厚い雲域がある。」とあります。文の後半にある「バルジ状の厚い雲域」が存在していることから、日本海北部の低気圧は発達期またはそれ以降の閉塞期(最盛期)のいずれかに絞られてきます。さらに、今度は水蒸気画像に着目しますとわかりやすいのですが、低気圧の中心に向かってその後面から暗域が入り込ん
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。(a)図Aの500hPa高度・偏差の予想図では平年偏差についての情報を読み取ることになります。平年偏差とは平年値からの差を意味し、図の白い領域は等圧面高度が平年値を上回る領域で「正偏差域」、また、陰影部の領域は平年値を下回る領域で「負偏差域」といいます。正偏差域は平年値よりも等圧面高度が高いということで、高温傾向を示し、負偏差域は平年値よりも等圧面高度が低いということですので低温傾向を示しています。これを踏まえて、本文を
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。(a)本文の前半に、「東海地方に温帯低気圧に変わりつつある台風」とあります。ということは、温帯低気圧に変わりつつあるんだけど、台風の構造がまだ維持されているということですから、500hPa気温の予想で見られるその特徴に暖気核が見られるはずです。それではその暖気核が東海地方付近にありそうな図はどれか、3つの図を見比べますと、Wマークが東海地方付近にあって-3℃の等温線が取り囲んでいることから、アの図に見られることがわかります。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第52回試験・専門知識今回の問題では、天気図は添付されていませんが、問題の冒頭に「2月のある日」とあることから寒気場における対流雲が主題になっていることが読み取れます。それでは、(a)から順に見ていきましょう。(a)大陸からの強い寒気が相対的に暖かい海上に流れ込みますと、大気下層において鉛直安定度が小さくなり、海面から水蒸気と顕熱が供給されて対流がおこることによって筋状雲が発生します。領域Aに着目しますと、筋状雲は北西‐南東の走
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識(a)本文にありますラジオゾンデのような高層気象観測に用いる観測機器や雨量計や温度計といった地上気象観測に用いる観測機器の運用によって得られた観測値が仮に格子点の値と地理的に直近にある、あるいは一致していても、観測値がそのまま解析値になるとは限りません。これは、観測値に誤差が含まれている可能性があることや、観測値が局地的な気象状態を示している可能性があるためです。したがって、「精度が高いため」とする本文の内容
こんばんは。早速ですが考えてみたいと思います。第37回試験までの過去問題では、簡単のため、雪の比重を0.1、すなわち、1cmの降雪量が1mmの降水量に相当するものとして換算させる問題が出題されていましたが、実際は地上の気温によって雪の密度が異なってくるため、厳密に正確ではありません。同じ降水量でも地上気温が低いほど密度が小さく乾いた雪となるため、降雪量が多くなります。この場合は降雪や一度積もった雪が風で吹き上げられる地ふぶきによって、視界不良による交通障害が考えられま
こんばんは。ここで3月7日分のバックビルディング型の帯状降水域《第51回試験・問9》(考察編)の投稿について、お詫びをさせていただきます。下線部(b)の「高度にかかわらず」についてです。降水セルによって作り出される冷気外出流とそれに向かって吹く下層風との両者が収束することによって上昇流が生じ、新たに積乱雲が発生してそれを動かす中層風と先ほどの下層風がほぼ平行になる場合に「バックビルディング型」が形成されます。したがって「高度にかかわらず」が対流圏の気層全体のことを指すと考えます
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第58回試験・専門知識(美浜のウィンドプロファイラ2019.02.04「美浜のウィンドプロファイラへゆく」より)ウィンドプロファイラは波長22cmの電波を鉛直および東西南北の4方向を天頂から約10°傾けた計5方向へ発射し、大気の乱れ(乱流による大気屈折率の不均一)や降水粒子によって散乱されて戻ってくるときの電波の周波数偏移を測定することによって上空の風向・風速や上昇流・下降流の鉛直速度を観測する装置です。次
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第60回試験・専門知識まず、地点A、地点B、地点Cそれぞれの測定結果から、表1および表2に基づいて水蒸気圧および相対湿度を求めてみます。(地点A)気温が20℃であることから、表1より飽和水蒸気圧は23.4hPa、電気式湿度計の測定結果が70%ですので、求める水蒸気圧は、23.4×0.7=16,38(hPa)となります。(地点B)露点計による測定結果より、露点温度は15℃であることから、表1より、水蒸気圧は17.
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第58回試験・専門知識(a)冬にシベリア付近に現れるシベリア高気圧は、ユーラシア大陸北部において主として放射冷却によって形成される対流圏の下層1000〜2000m程度の背の低い寒冷な空気で満たされた高気圧です。したがって、本文の内容は誤りということになります。(b)春や秋に日本付近を西から東に移動する移動性高気圧は、高気圧の中心付近より東側では、下降気流により雲が発生しにくく晴天となりますが、西側に入りますと、南から暖かく湿った
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。(気象庁HP「竜巻等に関連する段階的な情報の発表」より)(気象庁HP「竜巻発生確度ナウキャスト」より)(気象庁HP「竜巻注意情報の発表例」より)(a)竜巻注意情報は、気象ドップラーレーダーなどによる観測から、「激しい突風が発生する可能性のある状況」と判断された場合に発表されます。具体的には、竜巻発生確度ナウキャストで発生確度2が現れた地域に発表されるほか、目撃情報が得られて竜巻等が発生するおそれが高ま