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お屋敷に着いて母親と互いの無事を確認した少年は先刻まで隣にいた智さまとの絶対的な距離を思い知らされた。大野家中では。男も女も皆が智さまに夢中で今までのお武家さまへの印象を変えざるを得ないほどに愛されるご主人さまであった。少年は寂しさを覚えた。まずふたりきりになどなれない。多くの家来を抱え多くの案件を抱え次々とお目通りを望まれて智さまは忙しくされていた。雅「和くん。困ったことがあったら、なんでも言ってね」少年と母親の世話係になったという相葉氏がとても親切にしてく
少年は下田の町へと一気に駆け下りた。どんなことを聞いたとしても母さんは母さんだ。生み育ててくれた母親をとても見殺しにはできなかった。自分が踊り子として姿を現すことで母親を救えるのならその後にどんな境遇が待っていようともそうするべきだと考えた。いや、そうするより他に考えられなかった。それに。少年にはとても受け入れ難かった。病気の時には看病をしてくれて母親自身はロクに食べなくても少ない食べ物をいつでも与えてくれた。生活の為に仕方なく踊り子としてお座敷に出たときには
☆*:.。.o(≧第二章≦)o.。.:*☆〜下田〜江戸の大野下屋敷に仕える者にとってはシケがおさまるのを待っての船出だった。健脚なご主人のことだ。とっくに着いていたであろうに何処で足止めを喰らったのか。幕府から用意された下田の屋敷には台所を守るものが既に控えており愛すべき主人の為に風呂の用意も飯の支度もすっかり整っているというのに肝心の主人の姿がない。先に着いた大野家中は皆心配していた。家中でも一番の若頭である翔が主人を守る忍びの潤の報告を今か今かと待ち構
大宮妄想小説ですBL要素含みますパラレルですsideN服を脱がされるのは恥ずかしい。でもじわじわと脱がされる方がもっと恥ずかしかった。だってさ、智くんの視線が絡まるように注がれて……。先程の俺を見つめる智くんの表情を思い出すだけで、更に心臓がバクバクした。智くん、昨日から妖艶さが増し増しじゃない?艶やかな流し目とか、あんな色気ムンムンに見つめられたら俺の心臓もたないって。だから今の状況にはちょっとホッとしてる。智くんが俺の後ろで頭を洗ってくれているんだ
大宮妄想小説ですBL要素含みますパラレルですsideN智くんが俺をじっと見つめてるから、ガレット・デ・ロワの中から出てくるフェーブを隠す事も出来なくて。「これがフェーブですか?」俺のガレット・デ・ロワから出てきたフェーブを見て、智くんは目を輝かせた。「うん、これがフェーブだよ。俺、王様決定だね」俺の方に入っていたフェーブは四葉のクローバーだった。お風呂の事は気になるけど、でもやっぱりフェーブが入っていると嬉しいもので、顔が綻ぶ。そんな俺に智くんが王冠を被せてくれた。「和
大宮妄想小説ですBL要素含みますパラレルですsideN楽しそうな智くんを見たら、やっぱりこのままワクワクしたまま楽しんでほしいなって思っちゃって。「そうだね、俺が王様になるとも限らないからね。王様になったらどうしようって、ちょっとドキドキしちゃうじゃない」そう言っていた。お風呂は、冗談かもしれないから、とりあえず後から何とかしよう。なんて思っていたら、智くんにぎゅうぎゅう抱き締められる。「ちょっ、智くん、どうしたの?」今までの会話の流れで、抱き締められる要素なんて全く無か
大宮妄想小説ですBL要素含みますパラレルですsideO素早く唇を重ねて、逃げるようにすぐに離れていこうとするから、俺は和の頭をぐいっと引き寄せて深く重ねた。歯列を割って舌をなかに滑らせて。口内を味わい、そして和と甘やかに舌を絡め合わせていく。もっとと求めるうちに、段々と深くなっていき。いつの間にか二人とも頭に載せた王冠が落ちてしまっていた。それに気づかない程、互いに夢中になって貪りあっていたんだ。「んっ、ふ、ぁ」甘い吐息が漏れて和がとろとろに蕩
なんだ。大人の男女で睦みあっているのか。こんなところで動物的に交わらなくても温泉宿まであと少しなものを・・・・・・いや。男も女も。宿代をケチったのかもしれない。なんて。無粋なことを思っていたら最中の女と目が合った。驚いたことに、女は。誘うような目線を投げてきた。・・・生理的嫌悪感・・・女には、困らないんだ。黙って通り過ぎようとした時さっきのカタクリの花のところに裸足で立っているひとりの少年に気付いた。和「・・・・・」家出少年だろうか。粗末な身なりをしている
浄蓮の滝で渇きを潤し汗と泥で汚れてしまった軀を浄め男と少年は流れに沿って少し下った。智「ほう・・・これは見事な・・・」渓流傍には一面に白いわさびの花が今を盛りに咲き誇っていた。わさび沢である。青年「幕府の御方か?」不意に声を掛けられて驚いたものの男は大野と名乗り挨拶をした。智「江戸から下田への道中です」青年「私は瓜中万ニ*と申します。長州藩の吉田松蔭が伊豆で名乗ったとされる名前。下田からペリーの黒船に乗り込んで渡米しようと試みたものの失敗に終わる。幕府のお役人さまは
大宮妄想小説ですBL要素含みますパラレルですsideO朝食を食べ終えたら、和がガレット・デ・ロワを切り分けてくれることになった。確かフェーブっていう小さい陶器の置物が入っていたら新しい年を幸運に過ごせるんだよな?どこに入っているんだろうって見つめていたら、和が迷いなく二切れだけ切り分けて皿に取り、そのうちの一切れを俺にくれた。「フェーブが入っていたら、新しい年も幸せになれるし、今日は王様にもなれるよ」よくよく見たら、その切り分けた部分だけ、模様が少し違っていて。ああ、そうか、
大宮BL妄想物語。*閲覧注意*O.sideかずと向かい合って夕食の懐石料理を食べている。俺は魚介がメイン。かずのメインは肉料理だ。かずが食べれそうな魚料理を分け合う…「別のメイン料理を頼むとお得だね~♪」なんていいながら…幸せそうに食べている。可愛いな…可愛いくてしょうがない。かずの虜となっている俺触れたくて…触れたくて…たまらない。。病気だ(笑)しょうがない……向かいにいるかずの浴衣姿がエロいんだからでも、中にシャツを着てるんだよ。さんざんヤッて浴衣
(和)ビールはいつしかなくなってふたり同時にお腹がキュルキュル鳴った。智「何か作るよ」和「手伝うね」僕らは半裸のままふたり狭いキッチンに並んだ。和「・・・薬味かな?」智「うん」葱、生姜、茗荷、大葉火を通してオクラ、錦糸卵、なめこさらに胡麻、山葵、海苔・・・素麺をさっと湯掻き薬味と出汁を入れてふたり・・・小さなちゃぶ台に素麺を並べて隣同士に並んで食べた。ビールをもうひと缶あけて・・・半分こ。食べ終わり洗い物をしているとすぐ後ろに大野さんが立った。息が・・・
大宮妄想小説ですBL要素含みますパラレルですsideO「あっ、そういえば翔くんに電話しないと」少し遅れて出社するとは言っていたけど。ここまで遅いとは思っていないだろう。「あ、雅紀くんに寝過ごして降りられなかったって途中でメールしました」「和さん、途中で起きたの?」「すみません、メールして安心したら私もまた睡魔に襲われてしまって」失敗しましたと両手を合わせて謝る和さんに、それは俺も寝てたから全然謝らなくて良いよと言う。和さんも眠たかったんだなと思い、休む事を伝えようと翔くん
第一章はこちらから『お部屋の和1』(雅)俺の友達。高二の修学旅行からちょっと変なの。聞いてくれる?そいつとは、同じ帰宅部で。毎朝同じ総武線に乗って。帰りもだいたい同じ黄色い電車で。とにかくゲー…ameblo.jp第二章はこちらから『愛の釣り人1』(愛の釣り人)智「大根おろし、おかわりください」女将「今日の大根おろし、どうですか?」智「美味いです。この大根おろし最高っす。薬味は断然辛い方が好きです」女将…ameblo.jp第三章はこちらから『不屈の魂1』物語の始まりはこちらから《第
妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。*このお話の中にはアイドルグループが出てきますが、智以外は嵐さんのメンバーとは無関係の空想の産物ですのでご了承ください******ここは・・・何処・・・ですか?ゆっくりと瞼を開けたその男は、見覚えのない天井の景色に訝しむように眉を顰めた。「え・・・え?」寝心地の良いベッド、良い香りがするリネン類。ゆっくりと休息できるようにとオレンジ色の間接照明で照らされた室内には、
(愛の釣り人)ゴールデンウィークで混んでいたけれどなんとか予約の取れた五目船午前便。和のお父さんと夜明け前から乗船した。大阪南港から出た船は淡路島、小豆島を眺めながら瀬戸内海を西に高松沖まで進んだ。まだ朝日が昇りはじめたばかりなのにお父さんの背中には哀愁が漂っていた。俺たちは黙々と竿を準備した。鯛のスポットに到着して隣同志、竿を並べた。タイラバ(擬似餌、ルアー)は光を受けて七色に輝きながら碧い海へと沈んでいく。やはり俺たちは、しばらく無言でいた。海も静かで細波が
俺と社長の内緒の事情。Situation2BL要素含みます———数ヶ月前———「え!?うち(会社)の開発技術部?」和也「無理………………かな」夏の暑さも落ち着いた昼下がりの午後。珈琲の香が漂う喫茶店のテラス席は程よく木陰になっていて吹き抜ける風は少しばかり秋の気配が漂っていてそんなテラス席から見える風景は何故だか俺とは掛け離れた世界に見えた。多くのサラリーマンが昼食を終えて時計やスマホを見ながら急ぎ足で会社に戻る………………それだけの風景なのに。和也「あ、翔ちゃんは時間大丈夫
(智)演奏の準備は着々と進んでいた。ピアノに座る二宮さんの側にさっきのお嬢さんがウロウロするのが・・・・・・・なんだろう。面白く、ない。二宮さんのお世話を甲斐甲斐しくするのが・・・・・・・・なんだろう。ムカつく。・・・・・・・・さっきまでのワクワクやドキドキは嫌な感情にとって代わり俺はボジョレーヌーボーをがぶ飲みしてお代わりをもらった。二杯目を一気に飲んでもう一杯、と思ったところで
俺と社長の内緒の事情。Situation4BL要素含みますテラス席に少し強い風が吹きつけて俺の前髪が乱れたのを翔ちゃんがそっと直すかのように優しく撫でる。翔「にのどうかした?LINEの内容なら簡単に読んで把握してきたけど違う事で何かあった?」和也「あ、うん…………ほら、いつもの電話」翔「あ、…………なるほど。また何か言われたの?」和也「同じだよ、いつもと」翔「まあ、昔からにのの叔母さんは心配性だからね。あ、今度俺が一緒に行って話してあげようか?にのだって遊んでるわけじゃないんだし
大宮妄想小説ですBL要素含みますパラレルですsideN父さんはああ言ってくれたけど。智くんの将来の事を考えたら、やっぱり俺の気持ちは伝えるべきではないって思うんだ。そんな事を考えながら雪かきをしていた。「二宮さん?何かありました?」「えっ、何もないよ」「何か、元気がないから」そう言って心配そうに眉を寄せて難しい顔してる。「ふふっ、ここ、皺寄ってる。格好良い顔が台無しよ」眉間の皺を撫でながら言うと、智くんは目元を少し赤くした。平静を装っているけど照れてる。可愛い。
それからの約二年は智のバイオリン🎻を和が支えた。和は音楽院で伴奏者の仕事を得た。和がオーケストラの一員になることを夢見ていた和の母親は落胆したが和は頑として譲らなくなっていた。朝、共に音楽院へ行って夕方、共に薔薇の家へ帰る毎日。智はバイオリン🎻を弾くために筋トレから始めなくてはいけなかった。腕の力、指の力、それらが戻ってくると元々の天賦の才能が黙っていなかった。智はその年の最優秀奏者に選ばれた。休みの日には、和と智はリヨン駅にバイオリンやチェロを弾きに出掛けた。パリ
(お部屋の和)18歳の誕生日。父さんと母さんが天麩羅ではなく唐揚げをあげている。普通の、普通の、家庭料理。ポテトサラダに、ポタージュ付き。「今年はハンバーグじゃないんだね」そう。毎年毎年、誕生日はハンバーグだった。誕生日じゃなくても。週に二回はハンバーグだった。「たまには唐揚げも良いだろう」「ケーキ🎂も手作りかい」「今の季節、いちごがもう輸入もので果物屋さんのオススメをのせました」果物盛り合わせ。メロンとチェリーものってる。・・・美味し。なんだかんだ。爺ちゃ
(潤)飛び交う怒号。まるで無秩序な人々の動き。そして茹だる暑さ・・・空調さえ機能していなかった。この場を統制するマネージャーは何処だ?俺たちは安全靴に三本の線が入った部長クラスを探した。なんてことだ・・・その人は隅っこで項垂れていた。製造部長「もう・・・無理だ・・・」和「何が起こっているか教えてください」製造部長「アメリカ向けに輸出するARS2022の製造が遅れていて稼働率を上げようとしたら・・・1と2のラインで不具合が多発した。基盤が足りなくなってしまった」
(智)俺の部屋よりも高層階の二宮さんの部屋。心なしか、いい匂いがする。ドキドキしながらソファーに座った。奥にベッドがあって・・・見ないようにしたけれどドキドキが止まらない。和「はい。かんぱーい」ワインだ。おしゃれだなぁ・・・和「グラスはホテルのを借りただけだよ?ボジョレーは貰ったものだし。さあ、食べよう!」智「いただきます」その折詰にはインドネシアの料理がところ狭しとぎゅうぎゅうに入っていた。和「ちょっと辛いね?」よくわかんない。味なんか、本当によくわかんなかっ
(お部屋の和)誕生日までのカウントダウンをお守りのようにしてこの逢えない40日をそれなりに頑張っていた。学校にもちゃんと行ったし定期テストも受けたし厳しい指導付きバイトも続けていたし。松兄「おつかれさん」女将「次は20日の金曜日ね」和「はい。よろしくお願いします」念の為。明日6月17日から3日間。お休みをもらった。ちょうど学校もテスト休みだからまるまるお休み。だけど。智さんからは「京都においで」とも「東京へ行くよ」とも言われていない。例のカウントダウンは「