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33【本文】十六日。今日の夜さつかた、京へ上る。ついでに見れば、山崎の小櫃の絵も、曲りの大路の方も変はらざりけり。「売り人の心をぞ知らぬ」とぞいふなる。かくて京へ行くに、島坂にて、人、饗応したり。かならずしもあるまじきわざなり。発ちて行きし時よりは、来る時ぞ人はとかくありける。これにも返り事す。夜になして、京には、入らむと思へば、急ぎしもせぬほどに、月出でぬ。桂川、月の明きにぞわたる。人々のいはく、「この川、飛鳥川にあらねば、淵瀬さらに変はらざりけ
こんにちは。江東区猿江にある学習塾、ほっとすぺーすかたつむりの代表、金子潤(かねこじゅん)です。古文がわからない!どうやって読めばいいのか、どうやって訳せばいいのかさっぱりわからない!そんな時には助動詞をチェック!助動詞の意味や接続を確認しながら、古文の有名な作品の冒頭だけを読んでいきます!今回は『土佐日記とさにっき』です。男もすなる日記といふものを女もしてみむとて
12【本文】十四日。暁より雨降れば、同じところに泊まれり。船君、節忌す。精進物なければ、午時より後に、楫取の昨日釣りたりし鯛に、銭なければ、米をとりかけて、落ちられぬ。かかること、なほありぬ。楫取、また鯛持て来たり。米、酒、しばしばくる。楫取、気色悪しからず。十五日。今日、小豆粥煮ず。口惜しく、なほ日の悪しければ、ゐざるほどにぞ、今日、二十日あまり経ぬる。いたづらに日を経れば、人々、海を眺めつつぞある。女の童のいへる、立てば立つゐればまた
17【本文】四、みやこへと思ふ道のはるけさ二十二日。昨夜の泊より、異泊を追ひて行く。はるかに山見ゆ。年九つばかりなる男の童、年よりは幼くぞある。この童、船を漕ぐまにまに、山も行くと見ゆるを見て、あやしきこと、歌をぞよめる。その歌、漕ぎて行く船にて見ればあしひきの山さへ行くを松は知らずやとぞいへる。幼き童の言にては、似つかはし。今日、海荒げにて、磯に雪降り、波の花咲けり。ある人のよめる、波とのみひとつに聞けど色見れば雪と花とにまがひけ