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三次創作小話「忘羨その後」(111-4)(寒潭洞にて)「結界は、まだ、破られていない」ウェイインとランジャンは、中へゆっくりと入って行く。刺激しないように。「ウェイイン、陳情は?」「持っていないが、また眠らせてみせるさ」一見、何事も起こっていないように静かだが、水面が微かに振動している。すると、水面は揺れ始め、さざ波が起こり、ゆっくりと陰虎符が浮上し、水面上でぴたりと静止した。ランジャンは文机に琴をのせ、奏で始め、ウェイインは口笛を吹き、誰が主(あるじ)か、分からせようとする
三次創作小話「忘羨その後」(112-4)月日は、流れるように過ぎ、雲深不知処には、穏やかな日々が戻ってきた。梅のつぼみがふくらむ頃、宋ランがようやく、白雪閣に戻ってきた。〜宋ラン殿に、直接詫びを言いたい〜ランジャンの切実な願いを暁シンチェンに伝えると、〜こちらから伺います〜と返信が来た。〜いや、宋ラン殿のお体にさわります。こちらから伺わせて下さい〜数日後に、ウェイインとランジャンは白雪閣を訪れた。門前に、サンランが待ち構えていた。二人を見つけると、満面の笑みで、そそくさと案内を
高校生の頃、彼とはほとんど接点がないと思っていた。大学の時は、凱斗かいとは二年くらいアメリカに留学していて、あまり顔を合わせていない。帰国してからも、生協や学食でたまに見かける程度。同じ授業の時もあったが挨拶程度で、大して話はしなかった。…でもなぜ昔、凱斗に番号を教えていたのかは、彼に言われて思い出す…そう言えばアメリカに行く前、同じクラスだった彼とは少しだけ仲良くしていた時期があった。急にライブに誘われて、一緒に行った事を覚えてる。
突然ですが、小説始めます。日本の食文化を守る音楽ユニット「給食当番」の小説です。どうぞお付き合いください。-----------------小説『給食当番』第1章泥濘(ぬかるみ)の作曲家-----------------頭の中で、不協和音が鳴り止まない。平和島の夜は、湿った潮風と排気ガス、そして行き場のない欲望の残り香で淀んでいた。12月の冷たい雨が、第一京浜のアスファルトを叩く。競艇場から吐き出された男たちが捨てたハズレ舟券が、濡れた路面にへばりつき、無
日本の食文化を守る音楽ユニット「給食当番」の創作小説です。第5章でいよいよあの人が登場しますね。どうぞお付き合いください。-----------------小説『給食当番』第5章籠の中の天才-----------------「違う!音程(ピッチ)は完璧だが、情景が見えない!」都心の一等地にある豪邸のレッスン室。防音壁に囲まれたその部屋は、息が詰まるほど静かだった。有名音楽大学の教授が、指揮棒で譜面台を叩く。部屋の中央に立つ少女、愛