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堺市博物館の『研究紀要35号』に掲載された「千利休の家業に関する一考察」という論文が面白い。この論文は・利休の家業がなんであったか・利休は魚屋を屋号としていたか・魚屋は「ととや」かという3点について言及した論文です。結論から言うと・利休は納屋(貸倉庫業)を家業としていたことは、財産処分状に「しほ魚座ちん銀百両也」とあり、塩魚(長期保存可能な魚介加工品)を取り扱う座に倉庫を貸していたことが明らかです。・利休が屋号を魚屋としていた一次史料は存在せず、死後六十年以上経ってからの
昨日紹介した裏千家のWebsiteの「一問一答」の「内隅、外隅の使い分けをお教え下さい」という質問を掘り下げたいと思います。以下、裏千家家元の全文を転載します。「風炉台子を基準にそこから派生した点前は主として外隅狙いになります。そうでないものは内隅狙いになります。小習の前八ヶ条の場合は、全ての取り合わせや扱いが定まったものです。後八ヶ条はどちらかというと、はたらきの点前になります。ですから入子点は小間の場合外隅になったりいたします。続き薄茶で炉の場合どうするかというと、広間は内
これは、私の好きな小説『銀河英雄伝説』という作品の名台詞なんですが、ご存知ではない方のために、少し解説をいたします。銀河英雄伝説というのは「スペースオペラ版三国志」ともいわれる銀河を舞台にした仮想戦記小説です。銀河系に誕生した「銀河帝国」と「自由惑星同盟」と「フェザーン自治領」を舞台に、下級貴族に生まれ、のちに皇帝となるラインハルト・フォン・ローエングラム(最初はミューゼル)と、軍人になりたくなかったくせに戦うと負けない魔術師ヤン・ウエンリーの二人を主人公にした物語です。先
一番、間違いが多いのが棚物と水指の組み合わせですね。棚物も、真塗・朱塗を真として、行が柿合塗、溜塗、春慶塗、一閑張、草が木地、運びとなります。※そもそも棚物自体が行の点前であることも忘れてはなりません。昨日の一覧表を見直しながら考えていただければ、大まかにはわかるのですが、規矩として大事なことがあります。焼締は棚に上らずというものです。焼締といってますが、これには焼貫や自然釉も含まれまして、つまり釉薬を掛けて焼いた「施釉陶器」ではないもののことです。
茶道の電熱器といえば「野々田式」というほどメジャーだった野々田。昨年末に廃業なさったそうです。電熱器が使われ始めてから、炭の形の電熱器を生み出したのが創巧・野々田でした。以来、さまざまなバリエーションから電熱風炉まで生み出して、茶道人口の広がりを後押ししてくださった会社でしたが……。時代の流れというか、茶道人口の激減を感じますね。現在はヤマキ電器という会社さんが無段階切替電熱炭などを中心にさまざまなものを作ってくださっているようです。ウチも今のものが
茶道で用いる花には、「禁花」と言われる花があります。一、においの悪い花、また強すぎる花沈丁花、梔子、金木犀、銀木犀。百合なども含まれます。茶室は香を微かに焚きますので、その香りを邪魔するものはよろしくないということですね。二、とげの多いもの・毒のあるものも扱いがむずかしいので避ける現代でいうと棘が多い花といえば「バラ」ですかね。これは「茎に棘があるもの」の意味ですので、注意しましょう。三、名前の悪い花も避けるが、別名をつかって生けることがある。
大寄せとは「大寄せ茶会」の略で、「多数の客を招いて行う茶会」のことです。これに対し、少人数で行う茶会を「小寄せ」と言っています。厳密には定義がないので、人によって指し示す規模が違いますが、私の周りでは「一人の先生が行う小規模な略式茶事」レベルでしょうか。茶事というのは「懐石」があるのが一般的ですが、実は「菓子の茶事」という「懐石がない茶事」もあるんですね。初炭・菓子・濃茶・薄茶を基本とします。正式には「飯後の茶事」といいます。これが略式茶事です。菓子の茶事の
令和6年4月27日(土)・28日(日)、護国寺茶寮にて都民の茶会が開かれます。板橋区茶華道連盟は27日(土)、月窓軒で切田宗順先生がお席持ちです。私は28日(日)、宗澄庵にて杉並区のお手伝い(笑)で、点前の予定です。28日(日)の宗澄庵は諸流席となっていて、皆さんのご存知ない流派の方が点前されるかも知れませんよ!(笑)・都千家小笠原宗誉・日本茶道塾岡田幸造・都流内田宗地ほかにも裏千家の鎌倉彫の方などもいらっしゃいます(まだ全員と顔合わせして
茶道教授の毒吐【ドクハク】vol.11なんで茶道人口が減ってるの?㊤茶道教授の毒吐【ドクハク】始まりました!twitcasting.tv茶道教授の毒吐【ドクハク】vol.11なんで茶道人口が減ってるの?㊦モイ!Androidからキャス配信中-「茶道教授の毒吐【ドクハク】」始まるよ!和に関する雑談をします。着物・歴史・茶道などなど!twitcasting.tv茶道は面白いコンテンツである。しかし、年々物凄い勢いで人口が減少しているのは何故だろうか?私は色々な角度から考察し、様
InstagramやTwiiter、Facebookを見ていると、おかしな着付けが並んでいます。行燈袴で外を歩かせたりするレンタル着物とか恥ずかしいですね(行燈袴は屋内用)。↑これなんか最早七五三ですね。七五三の着付けは子ども用で、子供は大人ほど腰骨が出ておらず、体が柔らかいためするっと抜けてしまうのと、帯が細いですので、前紐の下で結ぶ感じになるんです(一応間をつくって着付けても上がってしまいます。男の子は動きますからねーw)。↑かろうじて隙間がありますが、これでも大
月桑庵で平点前に想定している水指は、六種。・中水指○・平水指○・細水指○・耳付水指○・四方水指○・釣瓶水指○中水指を基準として、扱いの違う基本的な水指六種です。毎月同じ道具で、平点前していても、味気ないでしょう?(笑)ならば、水指を変えて、趣向を少しだけ変えましょう!ということです。5月・中水指6月・耳付水指7月・四方水指8月・釣瓶水指9月・平水指10月・細水指(中置き)11月・中水指12月・釣瓶水指(塗)
月桑茶道教室では、随時お弟子さんを募集しております。■月桑庵の特徴①点前偏重はしない月桑庵のモットーは「主客を大事にする」です。主客というのは「亭主=点前をする人」と「正客=連客の中で一番上座に座る人」のことです。点前偏重というのは、お茶を点てることばかり教えて、お客さんとしての振る舞いとか、道具の由来や掛軸の意味、お菓子の種類と食べ方などを教えないということです。慣れてくれば正客の稽古もできますし、さらには御詰め(末席のお客さん)の稽古もできます♪月桑
宗徧流正伝庵の吉澤先生からお招きいただき、お家元のお宅に伺いました。他流とはいえ家元のお宅に伺うのですから装いもきちんと。普段は茶会に訪問着の母・宗靜先生も「ちゃんとしたほうがいいかしらね?」というので「当然紋付で」と答えましたところ、色無地で行くことにしました。吉澤先生としては子供の会でもあるので、「小紋でもいいわよ」と仰ったそうですが、訪問着でいらっしゃる方もいてびっくりしたとのこと。紋の付いていない訪問着は小紋と同じお洒落着なので、家元宅に伺うのですから「紋の
_/_/_/_/_/_/_/_/「お茶は食事とお酒とお茶が揃ってこそ!」_/_/_/_/_/_/_/_/お茶事に抱くイメージってどんなものがありますか?お茶事ってどんなもの?茶道ってどんなことしてるの?■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□茶道の醍醐味といえば「茶事」。茶事というのは、まず懐石があり、お酒があり、そして最後に濃茶と薄茶をいただくというもの。そう、本来のお
茶室のひとつに「台目席」というものがあります。この台目席というのは「台目畳」を点前座とした茶席のことで、小間の一種です。台目席は「台目+○畳」という単位で表され、一畳台目、二畳台目、三畳台目、四畳台目などと呼びます。台目がつくと必ず小間の扱いで、棚物は用いません。なんで棚物を用いないか?というとそれは台目の成り立ちに関わりがあります。台目畳は本畳(京間)の四分の三ほどの大きさと言われますが、実際には「台子の大きさを取り除いた畳」のことです。つまり
本日は八十八夜。雑節の一つで、日本独自の暦です。立春を起算日として八十八日目にあたります。「八十八夜の別れ霜」などといわれるように、遅霜が発生する時期でもありまして、農家に対して注意を喚起するためにこの雑節が作られました。茶道では初茶摘みとしても有名で「夏も近づく八十八夜~♪」の歌(タイトルも『茶摘み』です)が有名です。この日に積んだ茶は上等なものとされ、茶摘みを祝った茶事なども行われます。この日に積まれた茶葉は碾茶にされたのち、茶壺(古くは葉茶壺といいました)に詰められて
四つ椀というのは元来・飯碗・汁椀・平椀・壺椀の四種類を指します。飯椀と汁椀は両椀とも呼ばれます。当り前ですが、飯椀は御飯、汁椀は味噌汁を入れるものです。では、平椀と壺椀は?平椀は現代でいう煮物椀のことです。浅めの大振りな塗椀で、「かつら筋」と呼ばれる加飾が身に施されています。かつら筋は大根などの桂剝きの要領で削るからこその名だと思われます。ちなみに桂剝きは能の鬘帯(鬘の上に細い布を巻いて後ろに垂らすことをかつら巻といい、その布を鬘帯という)から出てい
【道歌】長建水吹貫駅鈴竹無節柄をば通せよそれが規矩なり道舜七種建水の内、槍鞘【やりのさや】、棒先【ぼうのさき】、箪瓢【たんぴょう】の三種を長建水といいます。七種建水の話はこちらから。長建水には吹貫蓋置または駅鈴蓋置、竹の無節蓋置を用い、柄杓の柄に通して運び出します。このとき柄杓は差通しを用いるとする書物と、そうではない書物とがあります。吹貫蓋置とは、輪蓋置の中でも背の低いもののことです。輪蓋置の仲間ですが、竹の無節蓋置同様、長建水にしか用いません。ま
最近、宗靜先生が「私も稽古付けてもらおう!」ということが増えました。弟子たちが次々と美味しいお茶を点てられるようになったことや、論理的かつ無駄のない所作を教えていることに常日頃から「私も最初からこう習いたかった」と思うようになったそうです。ただ、私の教え方は厳しいです。それは「厳しくなければ身につかない」からです。厳しいといっても暴言を吐くとかではなく、「違う」と言い募るということでして、出来るまで言い続けます。やり直しは基本、本人が望まない限り要望しま
茶道を、さまざまな理由で辞めてしまった人、離れてしまった人がいます。経済的な問題。距離的な問題。家庭的な問題。人間関係的な問題。そして【流儀を強制される問題】。正直にいいますと、上の4つについては「どうしようもない」と私は考えます。それは、それぞれが、乗り越えるべき問題だからです。経済的にどうにもならないなら、収入を増やすか、支出を見直すかで、月謝を捻出すべきです。月5~1万円というのは、そんなに高額でしょうか。私にはちょっと分か
水屋見舞いっていつからお菓子になったのでしょうか。#水屋見舞#茶道#茶の湯#本来は次第の拝見のための見料—曲斎@都流/『数寄の長者〜竹馬之友篇〜』第二章執筆中(@darkpent)September20,2023というTweetに対してええ…😰茶券方式が一般化してからですかね?—🐟小花菜緑子(@inouesakana)September20,2023というお返事をいただきました。確かに、茶券方式になってから、水屋に伺って、次第の拝見をする
禅語の「春水満四澤」は東晋末から南朝宋の詩人・陶淵明が詠んだ『四時』の第一句(起句)です。春水満四澤しゅんすいしたくにみつ夏雲多奇峰かうんきほうにおおし秋月揚明輝しゅうげつめいきをあげ冬嶺秀孤松とうれいこしょうにひいず春水とは春の雪解け水のことで、四澤とは四方にある沢ーーすなわち、あらゆる沢のこと。つまり、春になって雪解け水があちこちの沢を満たし、川に水が溢れんばかりに流れている美しい情景を詠んだ句です。禅語的には、春のおおらかな水の流れが大地を潤し、五穀豊穣をもたらす様
堀内宗完横物軸曳舟自画賛株式会社すいぎょく園お茶,茶道具セット,甘茶,ダイエット茶,岐阜茶,抹茶アイスの通販サイト【すいぎょく園】です。様々な茶道具を始めとして、元祖抹茶アイスや健康茶、各種商品を取り揃えております。堀内宗完横物軸曳舟自画賛www.suigyoku.co.jp画像はお借りしましたm(__)m曳舟とは現在では地名だけがのこっていますが、もともとは「舟曳き」という職業であり、それに従事する人たちのことでもありました。水路に浮かべた船を水
テレビドラマとかでお茶会のシーンがあると必ずというほど言われる「結構なお点前で」という台詞。ぶっちゃけて言えば、お茶会で聞いたことがありません。明らかに慣れてない人とか、習っていなさそうな方が言う場面はありますが、その時場に流れる「コレジャナイ」感がなんとも言えませんね(笑)莫迦にしている訳ではなく、なんでこの台詞が有名になっちゃったのか?と心と表情で溜息ついている訳です。亭主「お加減は如何でしょうか?」正客「大変結構でございます」これが最も多く聞かれる受け
よく、茶道を習われていない方から、茶道のイメージは「黙ってなきゃいけないんでしょ?」とか「ずーっと正坐してなきゃいけないんでしょ?」と言われるのですが、これは「本来無い」ルールなんですよね。小声ならしゃべっていいし、なんならしゃべらない正客とかのときは別の人が話さないと亭主が困る訳ですし、正坐するのは菓子と抹茶を頂くときだけでOKなんですね。では、なんでこうなったんでしょう?一つにはテレビのステレオタイプ的な撮影も一つの原因でしょう。亭主と正客の言葉を拾いた
炉を切るのは切ればいいのだ……と思っていましたが、建築の知識、畳の知識、そして、道具の知識とがキチンと整理されていないと大事になるというのが、今回の顛末だと思います。まず、炉を切るには、床下がどれほどあるのか?を確認する必要があるので、覗き穴というか、炉壇分だけを切っていただきました。とりあえず、炉壇だけ入れて、後から炉壇受けをつけよう(電熱器だし)ぐらいの考えだったんです。すったもんだの挙句、野々田の組立式炉壇受けと組立式炉壇を購入。炉壇サイズに穴を切っていただきました。
作務衣で呈茶、作務衣でお茶会へ……という人がいます。原則としてNGです。それなら洋服のお洒落着の方がかなりマシです。一部、風格のある方が着ていても誰も何も言わないというケース(言えないというか、あまりに自然で誰も文句がつけられない)がありますが、そういう特別な方を除いて、絶対にやってはいけないことであったりします。それは何故かといいますと、作務衣は「作業着」だからなんです。作務衣はもともとお寺で作務――すなわち禅宗での修行の1つである日常業務(掃除や薪割りな
この言葉の意味ご存知ですか?これを「男は厨房に入るべきではない」と考えているとしたら大間違いなんです。この言葉の元になった修辞は「君子、庖厨を遠ざくる也」という『孟子』にある言葉です。この「君子、庖厨を遠ざくる也」というのは全文を記載すると君子之於禽獸也、見其生、不忍見其死、聞其聲、不忍食其肉、是以君子遠庖廚也「君子が禽獣(鳥や獣)が生きているところをみると、その声を聞いて殺すのに忍びなく、またその肉を食べることを忍びなく思うので、これをもって君子というの