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中宮定子に呼び出された清少納言がモジモジしていたところ、に定子の兄・藤原伊周がやってきて、兄妹でおしゃれな会話を繰り広げていたのが前回のお話でした。中宮様は白いお召し物を重ね着した上に紅の唐綾を羽織っていらっしゃったわ。それに御髪が掛かっていらしゃる美しさといったら、絵に描いたのは見たことがあったけれど、現実にはこれまで見たことがなかったから、まるで夢の世界にいるような心地がしたの伊周様は女房と話をして冗談をおっしゃるの。女房はそれにお返事するのをちっともきまり悪いとも思わずにお答え
いよいよ大納言伊周につかまる清少納言です。伊周様が女房たちに、「御几帳の後ろにいるのは誰かな」とお聞きになったみたいなの。私について面白おかしく言いたてたのでしょう、伊周様が席を立ってこちらへおいでになるのを、「やっぱりよそへお行きにならないかしら」なんて思っているうちに、とても近くにお座りになってお話しになったわ。私が出仕する以前に聞いていらしたことなんかを、「本当にそうなのかな?」などとおっしゃるけれど、御几帳を隔てて、よそ事のように覗き見申し上げていただけでもきまり悪かっ
さて、中宮様の呼び出しに応じて昼間に出仕した清少納言。ここで、罠にはめられたのではないかという出来事に遭遇します。しばらくして、先払いの大きな声がすると、「関白様が参上なさるみたい」といって、散らかった物を片付けたりするものだから、どうにかして部屋に下がってしまいたいと思うんだけれど、体がすくんでしまって身じろぎもできないから、どうにか少しだけ奥に引っ込んで、でも私ったらさすがに見てみたかったみたいで、御几帳の割れ目から少し覗き込むことにしたの。そうしたら、実は参上なさったのは関
清少納言が初めて中宮定子のもとに出仕したころの回想録です。面白い話ではないのですが、清少納言の生き生きとした筆致の素晴らしさが光ります。三巻本『枕草子』の第177段あたりです。長い章段なので全10回に分けて紹介していきます。中宮様のもとに初めて参上したころ、何となくきまり悪いことばかりが数え切れないほどあって、涙もこぼれそうだったから、いつも夜に参上しては、隠れるように三尺の御几帳の後ろに控えていたの。中宮様は絵なんかを取り出してお見せくださるのだけれど、私は気恥ずかしくて手も差し