ブログ記事5,466件
「あの…店長、コレ食べてみてもらえますか?」「ん?デニッシュ・オ・フロマージュか…」ジェジュンが差し出したのは、丸く焼いたデニッシュ生地の真ん中にたっぷりチーズが詰まったパン。フランスの定番のパンだ。サクリと歯ごたえのある生地、もっちりと出てくる濃厚なチーズの風合い、軽くかかった粉砂糖が良いアクセントだ。だがチーズが違う。香りが強くてクリーミーなのに後味がすっきりして…これは…?「ヤギのチーズで作ってみました」「ヤギのチーズで?」店長はパンを一口かぶると、スッと目を
ユノの家に来て一か月半、ようやくギプスが外れた。チャンミンが丁寧にギプスを切ってはずす。「あ~やっととれた。痒かったんだぁ」「まだサポーターは外さない事、松葉杖も使う事、リハビリも頑張って」「はい!」「じゃあ一緒にリハビリ頑張ってみましょう。まずは足首をゆっくり回して」「はい…イテテ…」「痛みがない程度にゆっくりと…。次は上下、左右も…」ユノは畑仕事にも行かないで、ジェジュンの様子を座って見守っている。「無理すんなよ」「うん…ちょっと痛いけど、平気」「次は床に置
朝病院に行くと、部屋に小さな鉢植えが届けられていた。白く小さな花ノースポールが鉢植えいっぱいに咲き、こんもりと白い毬のようで可愛らしい。白い花びらが真ん中の黄色を引き立たせ、まるで小さな太陽のようで、見ているだけで元気が出そうだ。差出人はユノで、先日のお詫びに、と書かれていた。「わぁ…可愛い~」ノースポールは、公園でもよく見かける親しみのある可愛い花だが、それがユノの人柄と重なって微笑ましかった。ちょろちょろと水をやると、小さな花達が笑っているように見え、ジェジュンは微笑んだ
ジェジュンは、鳥の声で目を覚ました。窓の向こうから、かすかに土と草の匂いが流れ込んでくる。カーテンの隙間から差し込む朝日は、くっきりと影を作り「朝」を知らせる。熱は下がったようで、自分で起き上がることが出来た。頭がぼーっとするがベッドから起き上がり、そっとレースのカーテンをめくる。降り注ぐ朝陽、風に揺れる緑、庭の向こうに広がる山の稜線。ログハウスの周りには、スミレやニリンソウが、朝露をまとって小さく揺れていた。壁に手をつき外に出ると、ひんやりした空気が肌を撫でる。深く息を
今日は村に下りる日だったが、少し寝坊してしまった。昨日熱い夜を過ごしたのだから仕方がない。それでもユノとジェジュンは、いつものようにチーズや野菜をたんまり持って山を下りた。チーズや野菜を店に卸し、村人たちと挨拶がてら話をしていると、ユノが言った。「工具と農機を見たいから行ってくる」「うん。気を付けて」ジェジュンも食材や食器を見て回りながら、村をぶらぶらと歩いていた。ふと、雑貨屋に古いデジカメがあるのが目についた。スマホを持たない生活をして数か月、スマホがあればあの山の
「本当にありがとうございました!助かりました!」「いいって事よ。そんなに荷物もなかったし。んじゃトラック返してくるわ」シンドンさんがトラックを借りて引っ越しを手伝ってくれた。新居は雑居ビルの屋根部屋で、夏は暑く冬は寒い。だが部屋の前に縁台があり、日当たりもいい。何より高台にあるため街が一望でき、見晴らしが素晴らしかった。ヒチョル先生もシンドンさんも、本当に良くしてくれる。チャンミン先生が言った「ジェジュン、あなたは一人ではありませんよ」その言葉が身に染みる。ずっとソウルで