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今回の考察は、ファイナルには全く触れられていない「空白の10年」を扱っています。つまりほぼ妄想です。くだらぬものに付き合わせて、申し訳ありません皆さんのお考えと違うところも多々あると思いますが、一意見としてご覧ください手紙を隠したスザナファイナルで初めて追加された、スザナが手紙を隠していたエピソード。漫画のスザナはどうだったか?テリィは不注意で手紙を落とし、それをスザナが拾います。拾ったから渡す、という普通の展開でした。つまり、漫画版スザナは
手紙に前文がある?この手紙は一部に過ぎない、という見方もあるようです。通常、手紙は『キャンディへ』であり、一行あけて「変わりはないか」の本文に入ります。しかしテリィの手紙は「キャンディ」「変わりはないか?」の二文が連続し、まるで全体の一部を抜粋したかのような入り方になっています。向って左がテリィからの手紙・右がアルバートさんからの手紙ファイナルに登場する手紙は「一行空ける形式」を守っているので、このテリィの手紙は例外です。・・・という事は、ここにも原作者の意図があるので
★★★6-6夕食会も終わり大御所たちが引き上げたタイミングで、イライザの金切り声が長い廊下に響いた。「あなたたちが何と言おうと、私は騙されないわよっ!」部屋に戻ろうとしていたキャンディとテリィの足は、階段を数段上った所でピタリと止まった。「――どうぞご勝手に」まだ言い足りないのかと内心舌を打ちつつテリィが振り向くと、イライザの三白眼がキラリと光った。「キャンディ、あんたって本当に卑しい泥棒猫ね。スザナが死んで傷心極まるテリィの心の隙間に押し入るなんて、図々しいったらないわ!」「イラ
💛前回までのあらすじ代役の依頼を受け、急遽渡英することになったテリィ。テリィの説得に応じる形でキャンディも海を渡り、イギリスでの新生活が始まった。新しい劇団では、テリィは妻と死別したばかりとまことしやかに囁かれていた。プライバシーに触れてはいけないと気遣う団員達をよそに、テリィのハムレット公演は無事大成功を収め、二か月間の幕を閉じた。その後の打ち上げパーティで、テリィが「再婚」していたことを知った劇団員は混乱したが、裏で何を囁かれていたかなど知らないテリィとキャンディは、無邪気にダンスを楽しん
★★★7-13「フンギャー・・フグッ・・オンギャー」どこかで泣き声がする。車内を見渡すと、いつの間にか混雑し始めていた。都市が近いからなのか、夕刻の一時的な混雑なのかは分からない。通路にも人が立ち始め、押し出されるように赤ん坊を抱いた若い夫婦がキャンディの直ぐ横に立った。「あの、この席をどうぞ」即座に立ちあがったキャンディは、テリィに肘で合図を送り通路へ出た。「え・・いいんですか?」「赤ちゃん、お腹が空いているのかしら?・・立ったままじゃ無理でしょ?どうぞ」奥に座った若い母親
★★★5-9生徒の追撃をかわすなど、学院の森を知り尽くした問題児二人には造作もないことだ。逃走の途中懐かしい音楽館を臨みながら、それぞれが待ち合わせ場所であるにせポニーの丘へ向かう。「キャンディいるか?」後から丘に登ってきたテリィが声を掛けると、木の後ろに隠れていたキャンディが姿を現した。「ここよ。どうしたの?遅かったわね」「ついでに厩を見てきたんだ。どうなったかと思って」「厩?・・懐かしいわね。それで、まだあった?」「ああ。立つ鳥跡を濁さず、には程遠いな。まるで夜逃げしたみた
★★★4-11代役テリュース・グレアム!彗星のごとく現る!二種類のハムレットを演じ分ける確かな演技力公演は順調に日程をこなして行った。雑誌の劇評は新生RSCと称し、代役テリュース・グレアムを『イングランドの新星』とほめたたえた。月がかわり、主演俳優を生活面で支える妻としての緊張感にも次第に慣れ始めたある日のことだ。その夜テリィは、いつもの時間になっても帰ってこなかった。ブロロロロ・・キャンディがウトウトしかけた時、エンジン音が聞こえた。玄関に迎えに出ると、おぼつかな
※このお話は、本編エピローグの冒頭の一文をピックアップした物語です。本編を未読でも読めるようになっています。前回のスピンオフ業火の劇場の1ヶ月後の出来事です。★登場人物・・・アルフレッドテリィのアメリカ時代からの旧友(劇団員)。ややぽっちゃり体型。どんな人物だったか知りたい方は、5章アルフレッドの告白をご覧ください。アルフレッドの独白11年目のSONNETスピンオフ★★★焦げ臭さの残る黒い地面とは対称的に、透き通るエイボン川は淀みなく、抜ける
★★★7-10閑散としたプラットホームのベンチに座り、乗り換え列車を待っていた時の事だ。「印象派の巨匠もびっくりだな。マーチン先生にこんな才能があるとは」マーチン先生が昔描いたというアルバートの似顔絵に、テリィはしきりに感心していた。「傑作でしょ?これも宝石箱に収めようと思って」キャンディはマーチン先生から餞別に貰った知恵の輪をポケットから取り出した。「・・宝石箱に何を入れても構わないとは言ったけど、このままだと単なるガラクタ入れになりそうだな。・・しかし、なんだって君たちはアルバー
★★★8-9手紙を隠したスザナ・・――誰かを心底、愛してしまったら、きれいな気持ちのままではいられない―自分のエゴイズムに負けてしまったスザナ。そんな自分の罪の深さをスザナは知っていた。きっとつらかったに違いない。そう、私達以上に・・。「・・何も知らなかった・・、私――」蒸気で曇った窓に手をあて、キャンディは建物と建物の隙間からわずかに見える空を見上げた。今にも雪が降り出しそうなよどんだ空。――わたしはテリュースの心がどこを向いているか知っていました。テリィがあなたのこと
★★★8-4「愛の言葉をねだられることも、俺を試すような会話も幾度となく繰り返されたが、俺は応えた。言葉やキスでスザナの気持ちが落ち着くなら、こんなたやすいことはな・・・――キャンディ・・?」・・・ダーリン、まだお休みにならないの・・?マイアミのホテルで聞いたスザナの声がふと蘇り、キャンディは殆ど無意識に、ギュッと目を閉じ、固く結んだ手を胸にあてていた。覚悟していたとはいえ、テリィの口から他の女性との生活が・・――スザナとの生活が語られると、まるで一枚ずつ写真を見せられているよう
★★★7-14人もまばらなピッツバーグ行の夜行列車。出発時間が遅いためか、乗客達は席に着くなり次々と眠りについていく。「やっぱり君が窓側に座ってくれ。どうも落ち着かない」キャンディはなぜこの期に及んでテリィがそんなことを言うのか見当がついた。「あなたって意外と単純なのね。さっきの若い夫婦を見てそう思ったんでしょ?」キャンディがにたりと笑うとテリィはぐっと口をつぐんだので、図星だったようだ。(・・この列車なら大丈夫そうね・・熟年の男性ばっかりだわ)「君も寝ていいよ。俺はこれを読みた
キャンディの「今」をろくに調べもせずに出したようなテリィの手紙の文面。短いながらもテリィらしさ全開の文面は、突っ込みどころ満載です。再現度100%の全文に登場してもらいましょう。キャンディ変わりはないか?……あれから一年たった。一年たったら君に連絡しようと心に決めていたが、迷いながら、さらに半年がすぎてしまった。思い切って投函する。――ぼくは何も変わっていない。この手紙が届くかどうかわからないが、どうしてもそれだけは伝えておきたかった。T・G書いたのはいつ?
★★★5-6髪を結んだその姿に一瞬別人かと思ったが、その声と威圧感は先日のハムレットそのもの。「な、なんでお前がいきなり登場するんだよっ、、!」テリィに高い位置から見下され、ジャスティンは思わずたじろいだ。「悪いね、ここは私有地だ。・・気づかずに入ってくるネズミがたまにいるが」「私有地?」一瞬意味が分からなかった。この森は公園の予定地か何かと思って深く考えたことはなかったからだ。(・・ここが敷地だとでも?)貴族の圧倒的な財力を目の当たりにし、思わず喉がゴクリと鳴る。「テリィ、
★★★2-17「―・・キャンディ、俺・・イギリスへ行くんだ」「・・え、また?この前行ったばかりよね?随分頻繁にあるのね」「・・いや、公演じゃなくて、――いや、公演だな。・・実は昨日でストラスフォード劇団を退団したんだ。今度イギリスの劇団で芝居をすることになった」突然の告白に、キャンディは一気に混乱する。「・・・イギリスに、帰るって・・言っているの・・?そうなの!?」頷くようなテリィの動作に、キャンディはショックを隠し切れない。「どうして!?どうして今になって・・。こんなにアメリカで
★★★5-14「今度は最終日に観たりしないわ。何度でも観られる様に・・!」キャンディはそう言って、公演の前盤に『ロミオとジュリエット』の観劇に訪れた。しかし観劇を終えたキャンディの表情は暗く、帰りの車中小さな声でつぶやいた。「お芝居はすごく良かったけど、もう見ない・・」家に着くとテリィはキャンディの誤解を解くべく、説得にあたった。「嫉妬するなよ、あれは演技だって」すねているように見えるキャンディを半ばからかうような、真剣みのない口調。「別にキスシーンなんか気にしてないわっ」キ
★★★7-4「ただいまー!」ぎしぎし鳴る古い木の扉を思いっきり開いて、キャンディは全員に聞こえる様に大声を上げた。奥からジミィと子供たちが飛び出してくる。ジミィはキャンディを見るや否やタックルに近い状態で飛びついた。「ひどいよ、親分!!黙って遠い所に行っちまって!!」半べそで恨みつらみを捲くし立てる。「ごめん、ごめん、ジミィ、、、本当にごめんねっ」少し遅れてポニー先生とレイン先生が小走りでやってくる。その様子を一歩下がったところからテリィは見ていた。(親分・・?)その斬新な
★★★5-11翌朝、劇場の駐車場にとめた車の中で、ジャスティンは大きなあくびをしていた。旧友から渡された切り抜きに一晩かけて目を通したが、かえってテリィの株が上がっただけだ。――イギリス公演・大成功を収める!スザナ・マーロウと年内に結婚かスザナ重病!?事故の後遺症か。結婚式延期テリュース・海外公演キャンセルし献身看護悲運のジュリエット・スザナ愛するロミオ・テリュースに抱かれ永眠未入籍はテリュースへの愛憔悴テリューススザナの葬儀に無言の参列
★★★7-3「テリィ、あなたさっきからバレバレじゃない。せめて伊達メガネでもかけたら?」キャンディはテリィに帽子をかぶせ、包帯でも巻くようにぐるぐると青いマフラーをまきつける。「メガネは動きが制限される。いやだね」「制限って何よ。木登りの邪魔だとでも言いたいの!?」キャンディは腰に手をあて鼻息を荒くした。テリィはキャンディの膨らんでいる頬に片手を添え、「例えばこういう時・・」と言って、自分のマフラーを人差し指でわずかに下ろし、キャンディの低い鼻に自分の鼻をゆっくりと近づける。キャン
★★★7-5「皆がお昼寝している間に、ポニーの丘に散歩に行かない?」そろそろお疲れかしら?と思ったキャンディは、三時のお茶が済んだ頃テリィを誘った。キャンディの好意を即座に察し、「いいよ」と答えると、テリィは一冊の本を手に取った。「・・この木?君が木登りの練習をしたっていうのは」テリィは大きなナラの木を見上げた。全ての葉が落ちた今の季節、空に高く突きだす煙突のようだ。「そうよ。お父さんの木って呼んでいるの」「へえ、お母さんの木もあるのかい?」辺りを見回すテリィに、キャンディはそん
★★★7-11「のどが渇いちゃった。次の列車まで時間もあるし、この町を少し散策しない?」キャンディの提案で、行きずりの町に降りてみることにした。大きくも小さくもない町。二人とも声には出さなかったが、その町はロックスタウンにどことなく似ていた。「ん~、しあわせ・・・」「さっき喉が渇いたって言ってなかったか?この寒さの中でよくそんなものが食えるな」アイスクリームを頬張るキャンディに、テリィはあきれ眼だ。「テリィも食べる?間接キッスできるわよ?」「冗談。君とそんなことをするぐらいなら、
★★★6-2「本当に結婚したのね。キャンディおめでとう!!」二人きりになったアニーは、緊張が解けたようにいつものやわらかな笑顔を向けた。四階にあるコーンウェル家専用の応接間での事だ。気の置けない女同士の会話がとめどなく続く中、不意にアニーがキャンディの手を見て気が付いた。「結婚指輪は?」「あるわよ。でも役者とイギリス男子は指輪がNGなんですって。テリィがしないから私もしないの」あっけらかんとした口調でキャンディは答える。「テリィはしていたように見えたけど?」さす
★★★5-3「セカンドフォリオはここにあったのか」テリィは書棚にあったシェークスピア全集の中の一冊を取り出した。「うちにあるものと同じ?」「いや、発行年度が違う。この全集はファーストフォリオの次に古いんだ」テリィが『マクベス』を流し読みしていると、執事の押す車いすに乗って公爵が部屋に入ってきた。部屋は一気に張りつめた空気に入れ替わる。公爵はすぐさま人払いし、三人だけが部屋に残った。数年ぶりの親子の対面。キャンディには自分の心拍音がやけに大きく感じられた。――グランチェスター公爵
★★★1-13母親からもたらされた情報に勇気づけられたとはいえ、実際に手紙を出すまでには、ニか月間のイギリス公演を挟まなければならなかった。このタイミングでの渡英は当初もどかしく感じたが、これもまた運命と言うのか、イギリスでは数々の予想外の出会いがテリュースを待っていた。それらに突き動かされるように、イギリスの劇団、RSC―ロイヤル・シェークスピア劇団と電撃的な移籍契約を交わすことになったのは、自分でも全く想定外の出来事だった。帰国後テリュースは直ぐにキャンディに手紙を書いた。移籍の時
★★★4-15一緒に住んで分かったことがある。テリィはかなりの読書家だ。帰宅が早い日は、夕食が済むなりカウチで読書に耽っている。「ふぁぁぁ~、・・おやすみなさい。先に休むわね」「あ、ごめん、もうこんな時間か。直ぐ行くよ、部屋で待ってろ」仕事と家事で疲労困憊のキャンディは、『直ぐ』を一秒も待てない方が多かった。雨の休演日は、ひねもす書斎に籠っていることもあるテリィ。先週は古語辞典を片手に難読そうな古書と格闘していたが、青天の今日はそんなことは無さそうだ。「テリィー!テリィー
いつも閲覧、いいね、コメントありがとうございます!描く励みになっています🥰妄想編(大人になった二人)再会間もないテリィは、時々不機嫌そうに黙り込むことがある。過去の過ちを思い出し、自分のことを責め、キャンディを幸せにできるだろうか不安になる。そんな繊細で傷つきやすいテリィをまるっと包み込み、罪悪感と不安を取り除いてあげるよう尽すキャンディ。過去の過ちはあなただけのせいではないと。私が先にあなたにさよならを告げたのよ、私もあなたを傷つけたのよと。キャンディ生誕祭なので
★★★7-12キャンディは移動中も気遣いは忘れなかった。「あなたが窓側に行くべきよ!通路側じゃ顔を見られちゃうわ」「レディが窓側に行くべきだ。通路側じゃ誰かに襲われた時、守れない」「想像力が飛躍し過ぎよ。襲われたりしないわっ」「よく言うよ、イギリスへ着いた途端暴漢に襲われただろ?ジャスティンから聞いたぞ」「襲われたのはジャスティンの方!私は暴漢を襲った方よ」事実を聞いたテリィは呆気にとられ、思わず額に手をあてた。「・・君が襲うのは、俺だけにしてほしいな・・」結局座席の譲り合いは
これって引っ掛け?ファイナルは推理小説ではないので、素直に読むのが一番だと思っています。しかし「こんなあからさまな文は、かえって怪しい。引っ掛けにちがいない」と疑ってしまう人も少なくありません。どの部分が怪しいのか(笑)抜き出してみます。Aファンにとって引っ掛けと感じる部分①本棚にあるシェークスピア全集②エイボン川の町に住んでいる③スザナの死④テリィから手紙シェークスピア全集があるからってテリィとは限らない。どこの家にもあるよ。エイボン川は世界中にある。ス
★★★2-16暖かな陽の光が部屋いっぱいに広がっている。目を開けた時、一瞬自分がどこにいるのか分からなかったが、バスタオルの上に置かれた小さなメモを見て、キャンディは昨夜の記憶をゆっくり手繰り寄せた。バスルームは部屋を出て左だよテリィの字―・・ここはテリィの家だ。(・・そうか、この家に着いた途端眠っちゃったのね・・)キャンディは体に掛っていた毛布を脇に寄せ、「・・テリィ・・?」小さな声で呼んだ。静寂が広がるリビングに、人の気配はない。「―・・二階で寝ているのかしら・・?」低い
★★★5-16ジャスティンは、テリィより一足早く帰宅の途につき病院の前に車を停めた。今日中に片を付けると言っていたテリィのことが、やはり気がかりだったのだ。喧嘩の原因がスザナに似ているオリビアへの嫉妬なら、外野が説明した方が説得力も増すだろう。(・・おれもマキューシオが板についてきたぜ)マキューシオはロミオの恋の良き相談相手、いつもロミオを励ましている役柄だ。ジャスティンは病院の裏手に回り”裏口”を探したが、高い鉄製の柵で仕切られ、それらしき出入り口は見当たらない。「何だよっ、裏手