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部屋には、穏やかな静けさだけが満ちていた。窓の外では、夜風がカーテンをわずかに揺らしている。互いの鼓動だけが、こんなにも近くに聞こえる。テリィはそっとキャンディの頬へ手を添えた。彼女を見つめる青灰色の瞳が、ゆっくりと細められる。「……愛してる、キャンディ」囁くたび、その想いが伝わるように。唇が静かに重なる。何度も、ゆっくりと。急ぐことなく、互いのぬくもりを確かめるような口づけだった。キャンディは目を閉じ、その優しさを受け止める。何度も唇が重なり、離れては耳元へ愛の言葉が囁かれる
夜はすっかり更けていた。窓の外では、ニューヨークの街の灯りが静かに瞬いている。部屋にはもう言葉はなく、穏やかな静けさだけが流れていた。キャンディはテリィの腕の中にいた。彼の胸へ頬を寄せると、規則正しい鼓動が耳に伝わってくる。その音を聞いているだけで、不思議と心が落ち着いた。テリィは彼女の肩を優しく抱き寄せ、そっと金色の髪を撫でる。しばらくして、キャンディが小さく口を開く。「……ねえ、テリィ」「ん」「プロポーズ……とてもうれしかった」その声に、テリィは思わず苦笑した。「……あん
レストランを出ると、五月の夜風が心地よく頬をなでた。店の前でキャサリンとマイケルを見送る。「今日はありがとうございました」「こちらこそ、ごちそうさま」キャサリンは笑顔で手を振った。「キャンディ、ゆっくり休んでね」「はい。キャサリンさん、またお会いしましょう」マイケルも軽く手を挙げる。「テリィ、明後日は遅れるなよ」「それはお前の方がだろ」「そうよ。いつも起きないじゃない」四人で笑い合い、それぞれ車へ向かった。帰り道。マンハッタンの夜景が窓の外を流れていく。昼間の賑わいとは違い
劇場では、新人公演に向けた通し稽古も大詰めを迎えていた。薄曇りの空に春風が吹く。テリィはすでに観客席の片隅に腰を下ろし、スクリプトを膝に置いて、稽古を見つめていた。通し稽古の指揮をとるのは、演出家ハーヴィー。「動きがバラけてる!ダンスに入る前のきっかけ台詞をもっと意識して!」ハーヴィーの声が劇場に響く中、舞台上ではエリスを中心とした若手たちが懸命に演じていた。テリィはふと、スクリプトの端に書き込んだ自分のメモを見つめる。「“心を届ける芝居”は、技術を超えたところに宿る」そのメモ
今日はキャンディの誕生日ですねキャンディ熱が再燃したのは4年程前小学生以来うん十年ぶり(笑)久しぶりに読み返した漫画本その後「小説キャンディキャンディFINALSTORY」の存在を知りました漫画やアニメには描かれていないテリィとのエピソードやテリィの気持ちが言語化されているシーンに喜びを感じましたしキャンディが幸せに暮らしていることは良かったなあと思いましたでも・・・あのひとは誰なの?ブログ主はもちろんテリィ一択です作中のあちこちに散りばめられてあるヒントはテリィを連
「冷めないうちに食べよう」テリィが照れ隠しのように笑うと、キャンディも目元をぬぐって笑顔になった。二人は向かい合ってテーブルにつく。大きな皿によそわれたビーフシチューから、湯気がふわりと立ちのぼる。キャンディはスプーンですくい、一口運んだ。途端に目を丸くする。「うん、おいしい!」もう一口。今度はゆっくり味わうように口へ運ぶ。牛肉はほろりと崩れ、野菜の甘みがじんわりと広がる。長い時間をかけて煮込まれた優しい味だった。「本当においしい……」そう呟くと、嬉しそうにテリィを見つめる。「
11年目のSONNET・終章――EternalCoda――エターナル・コーダ世界大戦の後、1919年に締結されたヴェルサイユ条約によって、厳しい制裁を科せられた敗戦国ドイツ。巨額賠償金、領土縮小、極端な軍備制限――世界恐慌の煽りも受け、屈辱と失業の深刻化の中で不満を募らせていくドイツ国民。ヒトラー率いるナチ党は、それらを覆すと力強く約束することで支持を拡大、再軍事化を開始した。「ゲルマン民族※は一つの帝国に統
長い救護活動を終え、ようやく自宅の扉を開けた。玄関を閉めた瞬間、耳にこびりついていたサイレンや人々の叫び声が、まだ頭の奥でこだまする。静けさが返ってきたはずの家が、むしろ不気味に思えた。マーサが振り返り、小声で「おかえりなさいませ」と言ってくれる。その目に浮かんでいたのは安堵と心配。彼女は眠る子を見守ったまま、気遣うように静かに立ち去った。ここは安全な場所だ。そうわかっているのに、胸の鼓動は荒く、肩は強張ったままだった。寝室へ入ると、ベビーベッドの中で長男が小さな寝息を立てていた。
ハムレットの夜から、ロンドンは変わった。次の日の朝、新聞売り場には早くから人だかりができ、劇評欄にはまるで申し合わせたように同じ名前が躍っていた。『新たなハムレット』『ブロードウェイのスター、英国を沈黙させる』『王子の再来』『帝王、誕生』オールドウィッチ劇場の前では、前夜の余韻に酔った人々が足を止め、「あの“Tobe”を聞いたか」「いや、“尼寺へ行け”だ」「あんな沈黙は初めてだった」と興奮気味に語り合い、その熱はロンドンの街角から街角へと波のように広がっていった。そして、二週間にわたる
TheTomboyandtheRebelAristocrat妄想日記おてんばちゃんとヤンチャ貴族㉟時の人(1)日の出前の窓のカーテンから差し込む光は、木漏れ日のようなあたたかい光だった。その光に包まれるように、キャンディは目を覚ました。肌と肌が触れ合っているすぐ隣に眠るテリィは、寝息をたてて夢の中。テリィと一緒に眠りについたのは、午前0時を過ぎていたので、テリィがまだ深い眠りの中にいても不思議ではないが、キャンディは眠気を感じなかった。
キャンディ♡キャンディファンサイトこのページは、キャンディキャンディ二次小説「11年目のSONNET」の続編を投稿中です。初見の方は「サイトmap」又は「第1話」からご覧ください♪続編の第1話はこちらから。コメントは承認制の為、反映されるまでにタイムラグがあります。★★★1-7バンっ!!いつものように政治談義をしていた安息日の昼下がり、エグゼクティブルームのドアが、外れんばかりの勢いで開いた。「テリュース!アメリカにいたなら何故シカゴに来ない!」そ
空は、朝から重かった。低く垂れ込めた灰色の雲。霧混じりの風が、エイヴォン川から街へ流れ込んでくる。テリュース・グレアムは、劇場前で足を止めた。王立シェイクスピア劇団。RSC。重厚なゴシック建築の建物は、ブロードウェイとはまるで違う空気を纏っていた。派手な看板はない。スター俳優の巨大ポスターもない。客を煽るような明るい文字もない。ただ、長い年月の中で積み重ねられた“演劇そのもの”の重みだけがあった。入口脇のポスターには、『リア王』『十二夜』『マクベス』『ハムレット』の文字。そのどれもが静
ニューヨーク駅のホームを降りた時、キャンディの胸は期待と緊張でいっぱいだった。たった一通の手紙が、その長い時間を越えて自分をここまで連れてきた。人々の流れに乗りながら改札を抜ける。駅舎の高い天井の下には無数の旅人たちが行き交い、荷物を抱えた人々の声が響いていた。キャンディは小さく深呼吸した。まずはホテルを探そう。荷物を置いて、それから劇場へ向かえばいい。そう考えながら駅舎の出口へ向かう。その時だった。後ろから強い衝撃を受けた。「きゃっ――」身体がよろめく。誰かとぶつかったのだと
ブロードウェイ。ストラスフォード劇団。稽古場の噂は、音もなく広がっていた。最初は、照明係のひとりが言い出した。「……昨日の稽古、観たか?」それだけだった。だが、翌日には、音響室で、舞台袖で、スタッフルームの片隅で、同じ言葉が何度も繰り返されるようになった。「芝居が始まってないのに、テリュースが入ってきた途端、空気が変わるんだ」「台詞を言う前からもうハムレットだ」「あの間が怖い。あんなのはじめてみたよ」照明チーフが、プラン表を指で叩きながら言った。「フォロースポット、正直追いづ
1927年春。二月にキャンディと会い、次はキャンディの誕生日にポニーの家へ行くと話していたが、テリィが数日間もの休暇を取ることが難しくなってきた。何度も予定表を見返した末、諦めるしかないと結論づける。そこで、手紙に、「もし診療所の都合がつくなら、きみがニューヨークへ来ないか」と。休みが取れなければ無理をしなくていい。それも忘れずに書き添える。返事には、まとまった休暇を取れることになったという。到着は奇しくも5月6日、キャンディの誕生日前日だ。午前11時、ニューヨーク・セントラル駅に到着
【【再掲】】2025.12.11【再々掲】2026.2.20【再掲】2026.6.2【再掲】2026.7.26【再掲】2026.8.9ブログ内に《アメンバー限定記事》を設けております。一部の物語や少し深いお話など、ここでしか読めない内容や、ここで発表したい内容などを、不定期になってしまいますが、少しずつ綴っています。☝️そこで、アメンバー申請をしてくださる方にお願いがございます。ぜひぜひ『ひとことコメントを添えて』アメンバー申請をしてくださいませんか。
キャンディの言葉が途切れた時、部屋の中には静かな余韻だけが残っていた。テリィはゆっくりと手を伸ばした。そしてもう一度、キャンディを抱き寄せる。今度は先ほどとは違った。迷いもなければ、不安もない。失うことを恐れて手を伸ばせなかったものとも違う、もっと深いものでもっとしっかりとその存在を確かめるように抱きしめた。キャンディもそっと腕を回す。テリィの胸へ頬を寄せた。伝わってくる鼓動が心地よい。力強くて、温かい。その鼓動を聞いているだけで、長い旅の終わりに辿り着いたような気持ちになった。
国王と王太后の退席を合図に、大広間の奥の扉が開かれた。侍従たちの案内のもと、列席者たちは隣接する迎賓室へと順に進み、宮殿の夜は次の歓談のひとときへと移っていった。高い天井から吊るされた幾つものシャンデリアは変わらぬ光を降り注いでいたが、張りつめていた空気は少しずつほどけ、弦楽四重奏の穏やかな調べに重なるように、グラスの触れ合う澄んだ音や人々の談笑が、夜の宮殿へ再び華やぎを取り戻していた。それでも、その夜の視線が集まる先は一つしかなかった。王自らその名を呼び、グランチェスターの名を公に認めた
ニューイヤーから数日後。ロンドンはめずらしく深い雪に包まれ、街は静まり返っていた。学校は休校。いつもなら忙しく行き交う通りも、今日は白い息と雪の音だけが支配している。タウンハウスの庭も、一夜にして別世界になっていた。生垣の上にも、石畳の小径にも、ふわりとやわらかな雪が積もっている。「もう行っていい?」「まだ口の中がいっぱいだろ」朝食を終えるやいなや、オリヴァーとオスカーは椅子から飛び降り、窓の外を見てそわそわしていた。その様子に、テリィは苦笑しながらコートを手に取る。「よし、庭
8月に久しぶりに子供時代の友人に会った際、キャンディキャンディの漫画だけは持っていると聞いて、子供時代に仲間が少なくあまり聞くことができなかったあの質問を今更に投げてみた、そう、やってみたかったのです「誰が好きだった?テリィ?」「そうねえ、テリィはないねだれだっけ、名前忘れたけどあの兄弟の性格のいいほうの・・・」「ああ、ステアね」テリィ推しの自分ですが、好きな男性に順番につけるとすると1テリィ2アンソニー3ステアなぜアルバートさんがいないのか理由
ロンドンでの最後の公演を終え、ニューヨークへ戻ってから数ヶ月が過ぎていた。SMTでの一年は、テリィの人生を大きく変えた。『ロミオとジュリエット』は成功を収め、劇評家たちはこぞって彼の名を取り上げた。ニューヨークへ戻った今も、その余韻はまだ街のあちこちに残っている。だが、華やかな喝采とは裏腹に、テリィの日常は驚くほど静かだった。新しく借りたペントハウスもそうだった。以前暮らしていた安いアパートとは比べものにならない広さだったが、引っ越して間もない室内にはまだ開けられていない箱がいくつも
ポニーの家の大きく開け放たれた窓からは、焼きたてのクッキーの甘い匂いが午後の風に乗って流れ、丸いテーブルには、湯気の立つ紅茶が静かに並べられている。そのテーブルを囲むように座っているのは、キャンディ、アニー、そしてパティの三人。それぞれが別々の場所で新しい時間を生き始めてから、以前のようにただ他愛もない話をしながら笑い合う時間は、いつの間にか少なくなっていた。だからこそ、こうして三人だけでゆっくり顔を合わせる午後が、たまらなく懐かしく感じられるのだ。ポニーの家の窓を揺らす風も、遠くから聞
昼休憩。午前中の稽古を終えたテリィは、自分の楽屋へ戻っていた。ほどなくしてマイケルも顔を出す。「今日は疲れるな」「そうだな、通しはやっぱり体力使う」そんな他愛もない話をしていると、廊下から勢いよく足音が近づいてきた。「おーい!」ドアが勢いよく開く。「いたいた!」現れたのはケビン、片手には、一冊の雑誌。「お前ら、見たか?」「何をだ?」ケビンは得意げな笑みを浮かべると、雑誌をひらひらと振った。「今月の『BroadwayMonthly』だよ!」マイケルが苦笑する。「劇評か?
五月の柔らかな陽射しが、ニューヨークの街を照らしていた。キッチンには、じっくり煮込まれたビーフシチューの香りが広がっている。鍋の中では、牛肉と野菜が静かに湯気を立て、ことことと心地よい音を響かせていた。木べらをゆっくりと動かしながら、テリィは小さく息をつく。「……難しいな」その独り言は、ビーフシチューのことではなかった。二か月ほど前。二月の終わり、シカゴでキャンディと過ごした帰り道。駅で別れ、一人ニューヨークへ戻る列車の中で、テリィは決めていた。――次に会えたら、結婚を申し込もう
テリィ12歳のとき。厩の空気は、春の夜の冷たさと、張りつめた緊張で満ちていた。吐く息がわずかに白く浮かび、馬たちの蹄が藁を踏む音が響く。ランタンの灯が揺れ、母馬の荒い息遣いを映し出している。その傍らに、まだ少年の面影を残すテリィが立っていた。父に伴われ、初めて仔馬の誕生に立ち会う。少年の胸は高鳴り、指先は汗ばんでいた。「次に生まれる馬は、お前のものだ」そう告げられたときの父の声が、今も耳に残っている。めったに心を開かない父が、自分に託した言葉。それは幼い心に、誇りと責任を同時
★★★1-4テリィを浮上させられる人物は世界にただ一人。「とりあえずさ、家族に手紙を書きなよ」キノコが生えてきそうな暗い男にカールは提案した。「・・知ってるだろ?イギリス行きの船はUボートに撃沈されている」「でも、全てじゃない。10通書けば何通かは届くさ」船舶に頼っている郵便事情が、戦時下でスムーズにいくとは限らなかったが、アメリカにいてできることは、これくらいしかなかった。「あんたに手紙が来てるよ!」朗報は秋の終わりに届いた。「キャンディか!?」はやる
昨日発生した熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。被災地の皆様の安全と一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。国内災害義援金・海外救援金へのご寄付|寄付する|日本赤十字社www.jrc.or.jp※29日9時現在、今回の地震による口座はまだ開設されておりません。今後の情報をご確認ください。★★★1-3「イギリスの法律に従う義務はあるが、この現状下では強制力はない。徴兵に応じるかどうかは任意・・だそうだ」数日後、アルフレッド宅
この物語はナルシストでイケメンと自負しているニールが女性に必ずフラれるお約束の物語です番外編俺様の俺様による俺様のためのバレンタイン?ニールのホテル咲乱棒(サクランボウ🍒)のオフィスではざわついていた。「今日はやけに女子がいつもにもまして騒がしいじゃないか。」「ボス、今日はバレンタインで女性から告白しても良い日ということでしてそれで賑わっております。」「そうだったのか。」ニールはなんでもない振りをしていたが実はチョコを今か今かと待ちわびていた。しかし自分はラガン家のあととり長男で
イギリスから帰国したテリュース・グレアム。彼を取り巻く空気は、変わっていた。新聞が騒ぎ立てるものはないが、彼を取り巻く人々の間では、確かに小さな変化が起きていた。それは、彼へ向けられる女性たちの視線だった。これまでも彼は女性たちの憧れの的ではあった。だが渡英前の会見で、スザナとの長年の関係を否定したことで、多くの女性に希望を持たせた。ある夜、劇団を長年支援しているスポンサー主催のレセプションが開かれた。会場は、劇場街から少し離れたホテルの大広間だった。高い天井にはシャンデリアが輝き、壁際
仕事終わりにテレビ見て、また地震のニュースに驚きました。被害がひどくなりませんように。訪問ありがとうございます😊子育て終わりのアラカンです。春夏秋はガーデニングメイン、冬は弘前の暮らしの四方山話を書いてます。弘前公園の桜に魅せられて、転勤族⇒Iターン移住しました。行ってきました動き出す浮世絵展https://share.google/GV1bRYOkMQ1269l8W青森丨動き出す浮世絵展|UkiyoeImmersiveArtExhibition立体映像空間で浮