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本日より3日間に渡りまして、以前書いた『俳優テリュースに会いたい』から派生したお話を全3話でお届けいたします。これらのお話は、コメントをくださった皆さまに、物語へ登場していただくという内容になっておりまして、✨コメントをくださった皆さまの「テリィにこんなファンサをしてもらいたい!」というコメントを参考にしまして、それを実際に物語にしました☺️もし、本当にこんなファンイベントがあったら、きっと会場は大騒ぎだったんだろうなぁと思いながら、楽しく書かせていただきました☆テリィ、マイケル、ケビン
会場の熱気は、もはや天井を突き抜けそうだった。スタッフの声に、客席がまたざわめく。「――412番さん、どうぞ!」呼ばれた女性は、胸の前で両手を握りしめながら舞台へ上がってきた。少し緊張した声。「う、後ろからそっと抱きしめてもらって……耳元で囁いてほしいです!」「おぉ〜!」客席がどよめく。ケビンが楽しそうに身を乗り出した。「続くねぇ、ハグ系が!みんなテリィに抱きしめてほしいんだね!」「そりゃそうだろ」マイケルが笑う。「じゃあ、シチュエーションは俺が考える!」彼は勢いよく前へ
スザナの葬儀が終わった翌日。マーロウ邸は、音を吸い込んだように静まり返っていた。両親は、娘の面影が残るこの屋敷に留まることに耐えられなかったのだろう。葬儀が終わると同時に、使用人を伴ってフロリダの別荘へと発っていった。結果として、この広すぎる屋敷に残されたのは、テリュースひとりだった。与えられていた2階の客間で、彼は自分の私物を小さなトランクに詰めていた。ずっと、この屋敷へのテリュースの滞在の名目は「婚約者」だったが、その扱いは最後まで曖昧なままだった。今後についての話もなければ、引き止
【I】If(もしも、という名の記憶)夜の灯りは、どこか遠かった。窓の外に広がるニューヨークの街は、無数の光を抱えながらも、今のキャンディにはどこか現実味を失って見えていた。ガラス越しの景色は静かで、まるで別の世界のように遠い。ふと、思う。それは、考えなくてもいいはずのことだった。今が満たされていることを知っているからこそ、触れてはいけないもののようにも思える。それでも、静かな夜は、記憶を呼び起こす。セントポール学院の、あの日。いつもと違う空気。ほんのわずかな違和感。もし、あの
【H】HushedGoodbye(声にならない別れ)クリスマスの街は、冬の冷たい空気の中でもやけに温かく見える。通りには人があふれ、笑い声や呼び声が重なり、まるで街そのものが浮き立っているようだった。マデリーンは、その中をひとりで歩いていた。特別な目的があったわけではない。ただ年の瀬の空気に押されるように、なんとなく街へ出てきただけだった。そのときだった。視界の端に、見覚えのある背中が映った。思わず足が止まる。人混みの中でも、それははっきりとわかった。テリュース・グレアム。あの頃
決勝前の稽古は、スキャンダル記事とは裏腹に緊迫した雰囲気の中進んでいた。劇団のホールは、前方に幹部や演出家、俳優たち座り、それ以外は静まり返っていた。稽古だというのに、客席全体を覆う空気は本番さながらの緊張感を帯びている。舞台中央には長椅子と、ジュリエット役を務める若い女優が立っていた。「では……テリュース・グレアムから」演出家の声が響くと、舞台袖の照明だけが二人を浮かび上がらせた。ジュリエット役の女優が細い肩越しに見せる微笑み――その輪郭が、キャンディと重なる。「ロミオ、もしあな
『Nowcracksanobleheart.Goodnight,sweetprince,Andflightsofangelssingtheetothyrest.』「おやすみ、やさしき王子よ。天使たちの歌が、あなたを安らぎへ導きますように」ホレイショーの声は、低く、祈りのように静かな空気の中へとほどけていった。ストラスフォード劇団。『ハムレット』公演初日。最後の台詞が、空気の中にわずかに残ったままゆっくりと幕がおりると、客席はしばらく沈黙した。
数日後の午後、診療所に一束の新聞が届いた。町の雑貨屋が、まとめて仕入れている地方紙だ。マーチン医師が無造作に机の端へ置いたそれを、キャンディは何気なく受け取り、待合室のラックにしまおうとした。――そのときだった。視界の端に、写真が入り込んだ。一瞬。本当に、ほんの一瞬。黒い見出し。舞台照明の下に立つ、よく知った横顔。《テリュース・グレアム、『ハムレット』、今季最高の評価》《劇団を背負う主演俳優は、今年もブロードウェイの顔に》キャンディの指が、止まった。(……だめ)そう思ったの
長い救護活動を終え、ようやく自宅の扉を開けた。玄関を閉めた瞬間、耳にこびりついていたサイレンや人々の叫び声が、まだ頭の奥でこだまする。静けさが返ってきたはずの家が、むしろ不気味に思えた。マーサが振り返り、小声で「おかえりなさいませ」と言ってくれる。その目に浮かんでいたのは安堵と心配。彼女は眠る子を見守ったまま、気遣うように静かに立ち去った。ここは安全な場所だ。そうわかっているのに、胸の鼓動は荒く、肩は強張ったままだった。寝室へ入ると、ベビーベッドの中で長男が小さな寝息を立てていた。
この人の動画を楽しみに観ているのですが、どうしても、セントポール学院の音楽室で、一人でピアノを弾いているテリィと重なってしまいます。私だけかしらね?でも、夢を与えてくれるピアニストさん。素敵な演奏。キャンディも木の上からうっとり聴いている絵が目に浮かびます。ロキソさんの「キャンディ・キャンディ2次小説」の中に、テリィが「ショパン」を舞台で演じるお話があって、彼が自分でピアノを演奏するのですが、その場面と、Justusさんの演奏が、私的に脳内で重なるんですよね。動画
――会場の熱気は、まだ少しも冷めていなかった。テリィが時計を渡した余韻に、客席は完全に沸き立っている。「次、誰!?」「もう無理、心臓がもたない!」そんな声があちこちから飛ぶ中、ケビンが大げさに胸を押さえた。「おいおい、これ以上テリィがファンサしたら、俺たちの仕事なくなるぞ」マイケルが肩をすくめると、客席から笑いが起きる。さらに進行され、スタッフが次の番号を読み上げた。「――315番さん、どうぞ!」一人の女性が、おそるおそる舞台へ上がる。緊張しているのが、遠目にもわかった。スタッフに促さ
おはようございます、こんにちは、こんばんは…皆さまはどの時間でこの記事を読まれていますか?ご無沙汰しております、ロキソです。これからスピンオフという形で、本編になければならなかったけど、後から創作したお話をいくつかご紹介したいと思います。最初のお話の設定はテリィがロックスタウンからニューヨークに戻り、再入団してはじめて手にした端役を観たスザナのお話です。次からはスザナの仕事のお話です。見切り発車のため、今後修正ありきですが、拙い話をご覧いただければと思います。ちなみに、私からの要望な
「そうですか、村のホテルに…」ポニー先生が言った。夕暮れどきの玄関先、少し肌涼しくなった風が木々を揺らしている。「ええ、急にお邪魔してすみませんでした」テリィは帽子を持ち直し、丁寧に頭を下げた。「でも、それなら…せめて夕食だけでも一緒に食べていってくださいな」レイン先生がすかさず声をかけた。「ね?キャンディもそう思うでしょう?」「はい!ね!テリィいいわよね!」テリィのその栗色の前髪の奥の青い瞳に、あたたかさが宿る。「じゃあ…甘えさせてもらおうかな」それだけで、家の中が一気に華
初めてハムレットを演じる本稽古が続いていた頃。ある日の稽古後、テリィは珍しく控え室でソファにもたれ込んでいた。「…寒気がする」ケビンがドアを開けて入ってきた瞬間、それを聞いて目を丸くした。「なに!?おまえが!?風邪ひくとかあんのかよ!?」「別に、ひいたとは言ってない。ひきかけてる、ってだけだ」「いやいや、充分やばいだろ。あした立てなくなったらどうすんだよ!」すると、後ろからマイケルが呑気に言った。「おばあちゃんの薬草ドリンク、いるか?」「何それ。怪しい響きしかしないんだけど
──ハムレット公演・特別企画、前日。冬のストラスフォード第三劇場。こけら落としを明日に控え、劇場のロビーは静けさを帯びていた。照明や衣装の最終確認、裏方の動きは慌ただしいものの、俳優たちの稽古はすでに昼過ぎで切り上げられ、テリィも控え室で台詞の最終確認を終えたところだった。その頃、劇場の正面ロビーでは、ひとりの青年が受付のカウンター越しに何度も頭を下げていた。手袋を握りしめ、つま先を落ち着きなく動かしながら、何かを伝えようとしている。けれど、受付係は首を横に振るばかりだった。「申し
【F】FarewellandForward(別れ、そして前へ)夕暮れの光が、やわらかく村を包み込んでいた。昼の名残をわずかに残した風が、草を揺らし、道の土の匂いを運んでくる。ポニーの家へと続く道は、かつての面影を残しながらも、今はきれいに整えられていた。村の人々の手によって直された石畳は、どこか誇らしげに光を受けている。キャンディは、その道をゆっくりと歩いていた。ひとつひとつを確かめるように、足を運ぶ。ここで走り回ったこと。ここで笑ったこと。ここで泣いたこと。どれもが、あたりま
ニューヨークの夏は重かった。蒸した空気が肌にまとわりつき、ビルの谷間に溜まった熱気が、ゆっくりと人の心を削っていく。午前7時。ストラスフォード劇団の裏口に、ひときわ背の高い青年が姿を現した。テリュース・グレアム。かつてロミオ役を務め、そして舞台を潰した男。「…よく来たな」重たい鉄の扉を開けてくれたのは、道具係のファロンだった。短く、太い腕。かすれた声でそれだけ言って、ファロンは中に戻っていった。歓迎されているとは思っていない。でも、拒まれなかったことが、いまは十分だった。再入
ニューヨーク郊外の高級住宅街。レンガ造りの瀟洒な建物の最上階にあるペントハウスが、テリィとキャンディの新しい住まいだった。1924年7月の朝。窓を開けると、夏の陽射しが白く輝き、街路樹の葉がざわめく音が涼しげに届いていた。ポニーの家では朝から子どもたちの声で賑やかだったが、ここは驚くほど静かだ。その静けさを破るように、ドアのベルが鳴る。「おはようございます、キャンディスさん」やって来たのは、テリィが以前より雇っていた通いの家政婦マーサ・グリーン。ふくよかで柔らかな笑顔の女性だ。毎日
【【再掲】】2025.12.11【再々掲】2026.2.20このたび、ブログ内にアメンバー限定記事を設けることにしました。一部の物語や少し深いお話など、ここでしか読めない内容をゆっくり綴っていく予定です。☝️アメンバー申請をしてくださる方は、ぜひ『ひとことコメントを添えて』ください。(例:好きな作品や、印象に残っている場面、感想など)※コメントはどの記事からでも構いません。どんなふうに物語を感じてくださっているのか、その声を少しだけ聞かせていただけたらと思っていま
【G】GIFT(小さな贈り物)二月のマンハッタンは、夜になるといっそう冷え込み、劇場を出た瞬間、吐いた息が白くほどけた。ブロードウェイの灯りは今日も眩しく、通りには人が行き交い、劇場帰りの観客たちの笑い声が風に乗って流れていく。稽古を終えたテリィは、コートの襟を軽く立てながら駐車場まで歩いていた。今日キャンディは、診療所のボランティアの日だった。疲れているだろうなと思う。そう思いながら歩いているうち、ふと足が止まった。通りの向こうにある高級食料品店。舞台関係者や富裕層がよく利用する店で
1929年1月下旬の午後。外は冬の冷たい風が吹き抜けていた。曇天に覆われたブロードウェイの街並みには、前夜の雪がところどころに残り、道端の排気にまみれて灰色に変わっている。稽古場の窓ガラスも白く曇り、息を吐けばすぐに曇りが広がった。その稽古場に、いつになく多くの俳優とスタッフが集まっていた。長机を円形に並べ、その周りに椅子を置き、全員が台本を手にして座っている。空気は重く、誰もが落ち着かない様子だった。理由はひとつ――今日は《コリオレイナス》の初めての全員読み合わせの日であり、そして劇団
キャンディは、その場に立ち尽くしていた。声も出ず、足も動かない。ただ、風に揺れる草の匂いと、西の空に傾いた夕陽だけが、現実を知らせていた。長く伸びた影が、一歩ずつ、そこにいる人の輪郭を浮かび上がらせていく。それはまるで、夢が形を取っていくようだった。雑誌の見出しで目を引くあの名前。舞台の評判とともに語られる俳優、テリュース・グレアム。けれど今、シロツメクサの丘に立つその人は、どんなに大人びていようと、間違いなく彼女の知る“テリィ”だった。あの頃と変わらぬ、やわらかな眼差し。ただ、彼
火災が鎮圧されたという報せが広まり、乗客たちのざわめきは次第に収まっていった。しかし、安堵が胸に満ちることはなかった。外は深夜の闇。風が強まり、波が高くなる。船体は急な進路変更のため不自然に傾き、時折、大きなきしみを上げて震えた。「どこに向かっているの……?」誰かが不安げに呟いた。船の位置は不明。通信は途絶。救難信号も出せない。その沈黙こそが、何より恐ろしかった。キャンディは、泣きながら母親にしがみつく幼い女の子の頬を拭った。「大丈夫。あなたはひとりじゃないわ」そう言いながら
8月に久しぶりに子供時代の友人に会った際、キャンディキャンディの漫画だけは持っていると聞いて、子供時代に仲間が少なくあまり聞くことができなかったあの質問を今更に投げてみた、そう、やってみたかったのです「誰が好きだった?テリィ?」「そうねえ、テリィはないねだれだっけ、名前忘れたけどあの兄弟の性格のいいほうの・・・」「ああ、ステアね」テリィ推しの自分ですが、好きな男性に順番につけるとすると1テリィ2アンソニー3ステアなぜアルバートさんがいないのか理由
『キャンディ♡キャンディ』と同時期の作品『ベルサイユのばら』ベルばらとの初コンタクトは、何度目かのアニメ再放送の時でした。あまりに面白くて録画し、キャンディよりリピートしたと断言できますなごや〇様、教えてくださりありがとうございます♡劇場版が公開されたのはちょうど1年前になりますね。あの大作を、どうやって2時間以内にまとめるのか、とにかく気になり観に行きました※気になるの、そこです結局のところミュージカル調でスッ飛ばし強引に収めた感は否めませんが
窓の外は、うっすらと雪が舞っていた。暖炉の前のソファに並んだ二人の間には、紅茶の香りと新聞のインクの匂いがふわりと漂っている。「ねぇ、これ見て!」キャンディが広げた新聞を、興奮気味にテリィの膝に押しやった。「“演技の幅は驚くほどで、観客を笑わせ、そして息を呑ませる”だって!こんなに褒められていて凄いわ!」「そうか?」わざと淡々と返すテリィに、キャンディは半分呆れ顔。「そうか?じゃないわよ。ほら、ここにも――『新たな顔を見せた舞台人テリュース・グレアム』って。これ、額に入れて飾った
孤児院の食堂に、昼食の香ばしいパンとスープの匂いが満ちていた。キャンディは袖をまくり、手早くスープ皿を並べながら、いつものように子どもたちと笑い合っている。「キャンディ先生!今日はお肉が多いよ!」「ふふ、そうよ。今日は特別。残さず食べてね。」そのやり取りを、入り口から一人の女性が静かに見つめていた。白いブラウスに赤十字のエンブレムが刺繍された腕章。涼しげな瞳に、確かな観察の色を宿している。「お手伝い、終わったら少しお話をよろしいかしら?」昼食後、食器を片づけ終えたキャンディに、女性
テリィが14才を過ぎたころの話……。朝。鐘の音が、寄宿舎にこだまする。石壁に反響するその響きは、目覚めというより、牢獄の合図のように思えた。テリィはベッドから体を起こし、乱れた髪をかき上げる。制服に袖を通し、ネクタイを緩めたまま廊下に出ると、すでに真面目な級友たちは整列を終えていた。監督生の目が冷ややかに光る。(今日も同じだ、昨日と変わらない一日が始まる)◇午前:歴史古代から近代までの年号と王の系譜が黒板に並ぶ。教師は重々しい声で問いかけた。「1688年の“名誉革命”で即位
お久しぶりです~年末のご挨拶から雲隠れ状態でしたm(_"_)m今日はキャンディのお誕生日ですから~ジャジャジャジャーン・・・と。重い腰を持ち上げました3月頃、FinalStoryを読んでて、というか、毎回読んでるとついつい笑ってしまう場面がありまして。それがこちら眉毛ぴくぴく♪アニーが引き取られる日、泣きべそなアニーを笑わせる図(笑)そして次はこれ悲しみ吹き飛ばせ体操♪鏡に向かってぴょこぴょこやってると、何が悲しかったのか忘れて笑っ
ある日の昼すぎのことだった。ふだんなら稽古場にいるはずのテリィが、珍しく早く帰ってきた。玄関の扉が開く音にキャンディが顔を上げると、立っていた彼の顔色は明らかに悪い。「……どうしたの?」駆け寄ると、テリィは短く咳き込みながら答えた。「喉が痛むし、寒気がする……どうやら無理をしたらしい」キャンディは眉をひそめ、迷わず彼を寝室へ導いた。靴を脱がせ、外套を椅子に掛け、額に手を当てる。熱感がはっきりと伝わってきた。「ベッドに横になって。今すぐ診てあげるわ」キャンディは木箱から水銀体温