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このお話は、第31話と第32話のあいだに位置づけた「第31.5話」としてお届けしています。本編の流れの中では語られなかった、テリィの「言いたいことがあったけど、また次にする」という一言の裏側。その言葉に込められていた時間や想いを掘り下げた、補完的なお話になります。本編とあわせてお読みいただけると、あの場面の余韻が、より深く感じていただけるかもしれません。◇テリィがその言葉を飲み込んだのは、理由があった。「また次にする」そう軽く言ったあとも、視線はしばらく天井の星座に向けられてい
TheTomboyandtheRebelAristocrat妄想日記おてんばちゃんとヤンチャ貴族㉟時の人(1)日の出前の窓のカーテンから差し込む光は、木漏れ日のようなあたたかい光だった。その光に包まれるように、キャンディは目を覚ました。肌と肌が触れ合っているすぐ隣に眠るテリィは、寝息をたてて夢の中。テリィと一緒に眠りについたのは、午前0時を過ぎていたので、テリィがまだ深い眠りの中にいても不思議ではないが、キャンディは眠気を感じなかった。
ブロードウェイ。ストラスフォード劇団。稽古場の噂は、音もなく広がっていた。最初は、照明係のひとりが言い出した。「……昨日の稽古、観たか?」それだけだった。だが、翌日には、音響室で、舞台袖で、スタッフルームの片隅で、同じ言葉が何度も繰り返されるようになった。「芝居が始まってないのに、テリュースが入ってきた途端、空気が変わるんだ」「台詞を言う前からもうハムレットだ」「あの間が怖い。あんなのはじめてみたよ」照明チーフが、プラン表を指で叩きながら言った。「フォロースポット、正直追いづ
—ロミオとジュリエットの千穐楽、ケビン&マイケル視点のお話です。──ケビン暗転直前、静まり返った客席に息を潜める。舞台の中央、ロミオがジュリエットの肩を抱く姿が、まるで何かを手放すことへの抗いのように見えた。その指先にこめられた力が、セリフよりも雄弁に物語っている。(…あいつ、本当に何を背負ってんだ?)俺はテリィとチームが違う。だから、この『ロミオとジュリエット』の稽古は横目で見るだけだった。でも、あの稽古場で時折見た、誰にも触れられたくないような険しい横顔……あれは、ただ
このお話は、『俳優テリュースに会いたい』で描かれたキャンディのように、「ファンサをもらってみたい」というコメントから生まれました。そしてついでに、私ロキソも、ちゃっかりテリィにファンサをもらうように描きました(笑)もし「こんなことしてほしいな」というご希望がありましたら、ぜひコメントで教えていただけたらうれしいです。また物語にしていけたらと思っています。……とはいえ。もし、ひとつもコメントがなかったらどうしようと、不安になりつつ😅どなたか、コメントいただけたら、とても喜びます🙏追記
ニューヨークの夏は、街の匂いが濃くなる。果物の甘い香り、土の匂い、焼きたてのパンの熱気。通りには人の声が溢れ、どこを歩いても活気に満ちている。八百屋の店先には、色とりどりの野菜や果物が並んでいた。トマトの赤、レモンの黄色、葉物野菜の深い緑。キャンディはかごを片手に、一つひとつ手に取っては確かめる。今夜の献立を思い浮かべながら、ゆっくりと選んでいく時間が、どこか楽しかった。ふと、店の奥に目がいった。隅のほうに、小さく花が置かれている。雑多にまとめられたそれは、決して特別なものではない。市
テリィがポニー先生たちに、結婚の挨拶のために訪れてから1週間ほど過ぎた二月のある日。食堂には、いつものあたたかな灯りがともり、テーブルには湯気の立つお茶が用意されている。ポニー先生とレイン先生が向かい合って座り、その前にキャンディが少し背筋を伸ばして腰を下ろしていた。「どうしたの、キャンディ。改まって」ポニー先生がやわらかく微笑む。その声に、キャンディは一瞬だけ言葉を選ぶように視線を落とし、それから顔を上げた。「……あの、今日はお願いがあって」「どうしたのです?」レイン先生が穏や
『家族のかたち第一章第38話』に登場する、ヴィクター・ラングフォードの視点から描いたお話、テリィがロンドンを離れ、ブロードウェイ・ストラスフォード劇団に入団して一年目、新人時代のお話。ヴィクターには、こう見えていたというお話です。ざわめきは、すぐには収まらなかった。オーディションが終わったあとも、劇団の空気はどこか落ち着かず、廊下のあちこちで同じ名前が繰り返されていた。ロミオ役:テリュース・グレアム。誰もが、認めざるを得なかった。だが同時に、それをそのまま飲み込めるほど、ここは甘い場
ポニーの家の昼は、にぎやかな笑い声に満ちていた。長いテーブルには、焼きたてのパンとスープ、畑で採れたばかりの野菜が並び、子どもたちの声があちらこちらで弾けている。「テリィお兄ちゃん、これ食べて!」「キャンディ、こっち見て!」次々に飛んでくる声に、テリィは少しだけ肩をすくめながらも、どこか楽しそうに応じていた。キャンディはそんな様子を見て、くすりと笑う。(すっかり人気者ね)食事が終わるころには、テーブルの上も、空気も、満ち足りたあたたかさで包まれていた。そして、午後。少しだけ日差しが
TheTomboyandtheRebelAristocrat妄想日記おてんばちゃんとヤンチャ貴族覚書⑥AI画像時を刻んだ魅力と美しさ先月から、この妄想日記ブログのヘッダーに設定しているピアノ🎹を弾くテリィ風のAI画像ですChatGPT、Grokにて生成。ヘッダーに設定しているのは、20才代後半のテリィ風ですが時を刻んだ魅力あふれる年代別のテリィ風も生成してありますまずは、ヘッダーと今回のカバー画像の20才
『家族のかたち第一章第38話』に登場する、ヴィクター・ラングフォードの視点から描いたお話、テリィがロンドンを離れ、ブロードウェイ・ストラスフォード劇団に入団して一年目、新人時代のお話。『リア王』は、静かな余韻を残したまま幕を下ろした。その数日後、劇団内に新たな発表がなされた。ホリデーシーズン公演『ロミオとジュリエット』。その主役、ロミオ役は公開オーディションで決定する。ざわめきが走るのは当然だった。だが、同時に、別の“気配”も流れていた。ロミオ役には、すでに三人の候補が挙げられて
『家族のかたち第一章第38話』に登場する、ヴィクター・ラングフォードの視点から描いたお話、テリィがロンドンを離れ、ブロードウェイ・ストラスフォード劇団に入団して一年目、新人時代のお話。次のシーズンの演目が『リア王』と発表されたとき、劇団の空気はわずかにざわめいた。重厚で格式の高い古典。その中でもフランス王という役は、出番こそ多くはないものの、舞台全体の品格を左右する重要な存在。若手にはやや重く、主役級には軽い。だからこそ、その中間にいる俳優たちにとっては、自らの位置を一段押し上げるため
時差の関係で、キャンディ・キャンディ・ファンサイトに上がったものが、今日14日に私の所にフィードされて来た投稿達。「FelizDíaInternacionaldelBeso!国際キスデーおめでとう!」だそうですよ。テリィ・ファンはこちらがいいですかね?Credit:CandyyTerryunamorverdaderoのBobbyJenkinsさんあの悲劇の階段が、もしこうなっていたら…アルバート・ファンには、こちらかしら?どなたの
夏の光は、容赦なく降り注いでいた。村のホテルを出たときには、まだやわらかさを残していた空気も、歩き出してしばらくすると、じわじわと熱を帯びてくる。舗装されていない道は、ところどころに小さな石や草が顔を出し、踏みしめるたびに、かすかな土の匂いが立ちのぼった。ポニーの家までは、ほんの一キロ少し。けれど、その距離が、今日はやけにゆっくりと感じられた。少し前を歩くキャンディが、軽やかにスキップするように足を運んでいる。その後ろ姿を、テリィは無言のまま見つめていた。「……」自分でも、わかっ
TheTomboyandtheRebelAristocrat妄想日記おてんばちゃんとヤンチャ貴族㉞ローズと紅茶の祝宴(3)『僕は……婚約しました。』と、キャンディとテリィの結婚式後の祝宴の場で、アルバートは告白した。キャンディはアルバートから、キャンディとテリィの祝宴が行われるティールームのハーバー・ビスケットで、アルバート自身の報告をさせてもらえないかと相談されていた。断る理由はないため、キ
春のニューヨークは、まだ冬の名残をわずかに残しながらも、確かに季節を進めていた。やわらかな陽射しが街を包み、通りを行き交う人々の足取りもどこか軽い。公園には色とりどりの屋台が並び、フリーマーケットは朝から賑わっていた。古いレコードや雑貨、手作りの焼き菓子。どこからともなくコーヒーの香りが漂い、子どもたちの笑い声が風に乗る。その喧騒の中に、ひときわ明るく弾む声があった。「こちら、まだありますよ!温かいうちにどうぞ」キャンディだった。白いエプロンの上に赤十字の印。手際よくカップを並べな
『家族のかたち第一章第38話』に登場する、ヴィクター・ラングフォードの視点から描いたお話です。午後の稽古場には、ひと仕事終えたあとの緩やかな空気が漂っていた。本稽古を終えた俳優たちは、それぞれの役割を終えて散っていく。舞台に立つ者と、そうでない者。その差は、この場所でははっきりと存在していたが、だからといって誰もそれを言葉にすることはない。ただ、流れの中で、それぞれが自分の位置に戻っていくだけだった。ヴィクター・ラングフォードも、その流れの中にいた。彼は二年目。ようやく端役がつき始
MalloryQuinn作、キャンディキャディ海外2次小説「EndlessLove(終わりなき愛)」を読み終えました。長いお話なので、ついに「その7」まで来てしまいました。最終回までです。WhatifCandyandTerryhadmetontheTitanic?もしキャンディとテリーがタイタニック号で出会っていたら?(google日本語訳)EndlessLoveChapter1,acandycandyfanfic|FanFiction
先日の『お知らせ』の記事のコメントへの返信をこちらでさせてもらいます。いつもあたたかいコメントを本当にありがとうございます。毎日読んでくださっていたこと、そしてこうして優しいお言葉をいただけたことに、胸がいっぱいです。とても励みになっています。これまで毎日投稿を続けてこられたのは、読んでくださる皆さまの存在があったからこそでした。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。これからは少しペースをゆるめて、不定期での更新にはなりますが、その分ひとつひとつのお話を大切に、じっくり綴っていけたらと思って
夜のペントハウス。窓辺にランプが灯り、外の喧騒は遠くなっていた。テリィは息子を胸に抱き、ゆっくりと揺らしていた。まだ生後九か月ほどの小さな体。すやすやと眠りにつこうとする顔を見下ろす彼の表情は、舞台上では決して見せないほど柔らかい。キャンディはその横で毛布を整えながら、思わず笑みを零した。「あなた、ほんとうに上手ね。私よりも寝かしつけが早いんじゃない?」「ならば、特技の欄に“寝かしつけ”と書こう」得意げに囁く声に、キャンディは頬を緩めた。赤ん坊がふわっと小さな手を伸ばし、父のシャツ
MalloryQuinn作、キャンディキャディ海外2次小説「EndlessLove(終わりなき愛)」を読み終えました。長いお話なので、ついに「その6」まで来てしまいました。WhatifCandyandTerryhadmetontheTitanic?もしキャンディとテリーがタイタニック号で出会っていたら?(google日本語訳)EndlessLoveChapter1,acandycandyfanfic|FanFiction37章で完
これまで、テリィとキャンディの創作物語をほぼ定期的に投稿し、たくさんの方に読んでいただけたこと、心より感謝しておりますこれまで公開してきたお話は、ストックしていたものを中心に、修正や加筆を加えながら綴ってきました。ですが、そのストックもひと区切りとなり、明日以降は新たに書き下ろしたお話をお届けする形になります。この先のお話は、物語の構想自体はあるものの、一から書き進める必要があり、思うように筆が進んでいない状況です。そのため、これまでのように毎日投稿を続けることが難しくなってしまいました
朝の光の中、草の匂いを感じながら歩いていくと、ジミーがちょうど外にいた。「あれ、キャンディ?」「テリィが、ここにいるかと思って」ジミーは苦笑した。「ちゃんとホテルまで送ったよ。だいぶ飲んでたけどね」その言葉に、キャンディは少しだけほっとする。「そう」「行くなら、送るよ」「ええ、お願い」ジミーの車に乗り込みながら、キャンディは小さく息をついた。安心と、少しの呆れと、ほんの少しの可笑しさ。きっと今ごろ、まだ眠っている。そんな姿が、自然と目に浮かんだ。ホテルの廊下は、昼前の静け
ポニーの家の教会は、春のあいだずっと人の手に包まれていた。屋根の一部には雨漏りがあり、古いガラスには細かなひびが入り、長年使われてきた椅子は脚がわずかにがたついていた。教会へ続く道も、ところどころ土が削られ、雨のたびにぬかるむ。7月7日。その日を迎えるために、村の人々はそれぞれの手で教会を整えていた。誰かに命じられたわけではなく、誰もが自然と動いていた。キャンディの結婚式だからと。そんな中に、ひとり見慣れない青年が混じっていた。背が高く、どこか都会的で、それでいて作業着が不思議と似合って
ニューヨークの午後は、静かに時間が流れていた。ペントハウスの大きな窓から差し込む光が、床に長く伸びている。街のざわめきは遠く、部屋の中にはほとんど音がない。キャンディは、今はひとり、ポニーの家から戻った数日後、長い休暇の合間に、テリィは所用で劇団へ出かけている。「今日は早く帰れるから」そう言って出ていったのは午前。もうすぐ帰ってくるはずの時間だった。キャンディは時計を見る。それから、窓の外を見る。また時計を見る。どうも落ち着かない。「……もうそろそろよね」ぽつりと呟く。そ
翌日になっても、その新聞はキャンディの手の中にあった。朝の手伝いをひととおり終えたあと、彼女はそのまま自分の部屋へと戻った。外は、一面の雪だった。窓の外には、白く塗りつぶされた世界が広がっている。ポニーの丘も、湖のほとりも、すべてが深い雪に覆われていて、足を踏み入れることは難しい。湖へ行ければ、風の中で少しは心をほどけたかもしれない。けれど今は、それすら叶わなかった。キャンディは、静かに扉を閉めた。部屋の中は、しんとしたあたたかさに包まれている。ストーブの火が小さく揺れ、時折、薪が
TheTomboyandtheRebelAristocrat妄想日記おてんばちゃんとヤンチャ貴族㉝ローズと紅茶の祝宴(2)キャンディの誕生日に、チャペル・オブ・ローズライトで結婚式を挙げたキャンディとテリィ。式のあと2人は、キャンディのアルバイト先のティールームである、ハーバー・ビスケットでパーティーを開いていた。窓の外は、すっかり淡いピンクと淡い紫のグラデーションに変わり、そんなやわらかな光の中で、祝宴に満たされたひとときがハーバー・ビス
朝の光が、ペントハウスのキッチンにゆっくりと差し込んでいた。窓の外ではニューヨークの街が目を覚まし始めている。キャンディはコンロの前に立ち、フライパンに卵を流し入れている。じゅ、と小さな音がして、柔らかな香りが広がる。鼻歌が、自然にこぼれていた。気分のままの旋律。誰に聞かせるわけでもない、朝の習慣のようなもの。その背後に、気配がした。「もうすぐできるわ」振り向かずに言う。「ん?テリィ?」そう言った瞬間、背中に腕が回った。ふわりと抱き寄せられる。「テリィ、危ないわよ」少しだけ困
その記事を読んだとき、キャンディはしばらく息をすることさえ忘れていた。冬のさなか、村の空気は凍り、時折寒風吹く寒い季節。窓の外の木々には数日前に降った雪がのこっていた。そんな午後、診療所から戻ったキャンディは、応接室のテーブルに置かれていた新聞を何気なく手に取った。いつものように町から届いた数日遅れの新聞だった。大きな出来事があるたびに、少し遅れてこの小さな村にも届く。だから彼の名前を目にすることも、もう珍しいことではなかった。けれど、その日の紙面は違った。見出しを見た瞬間、指先が止まる
夏の陽射しが、畑一面に降り注いでいた。背の高いとうもろこしが風に揺れ、ざわざわと乾いた葉音を立てている。結婚式の披露宴で振る舞うため、村では収穫が急ピッチで進められていた。けれど人手が足りず、畑のあちこちから忙しない声が上がっている。「人手がもう少しあればな……」その言葉を聞いて、テリィは自然と顔を上げた。「足りないなら、手伝いますよ」あまりにもさらりと言われたその一言に、その場にいた男たちは思わず顔を見合わせた。大都会ニューヨークから来た男。そんな彼が、とうもろこしの収穫を?