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「——お寺へ懐妊祈願に?」回診終わりのいつもの女子会。今日は坤成殿(コンソンデン)の東屋で、王妃様と恵妃様との3人会になっている。王妃様が、柔らかな笑みを湛えながら、「はい。このところ体調が良いので、行ってみたいのです。もちろん、遠くまでは行きませぬ。ほど近く良い寺がありますので……行ってもよろしいですか?医仙」ずっと体質改善に取り組んでこられた王妃様。私が高麗へ戻って来てから一度は懐妊されたけど、残念ながら流れてしまって……そのあとだったわ。王様に側室を、と、いじらしいほど頑なに
イムジャに話した通り、程なく興王寺(フンワンサ)周りでの店の営業について、“五つ刻(午後9時頃)まで”と御達が出され、夜通し人で溢れる事は無くなった。寺を警護する兵士の数も平素並みに戻り、まだ落ち着いたとは言えないが、俺も少々息がつけるようになり——季節は既に初夏を迎え、濃い緑に雨も混じる日が続いている。我が家の子ども達は三人三様、有り難い事にみな健やかで……それこそ、イムジャが嬉しそうにボヤく程、元気に育っていた。ある晩、イムジャが溜め息混じりの半笑いで、「子育てって本当に大変ね。も
康安殿(カンアンデン)——取り次ぎの内官が、王様へ俺の来訪を告げた。少し待たされたが、無事に中へ通される。康安殿の中庭。その中程へ据えられた大岩に、主君がこちらへ背中を向けて静かに座っていた。肩は力なく落ち、背中は緩んで丸みを帯び……俺の目に映るその姿に覇気は無く、常より一回りも二回りも小さく見えた。王様をお慰めする……果たして、俺にそんな気遣いが出来るとは思えないが——王様が気落ちされている理由はもちろん、どんなご気性なのかも、分かっているつもりだ。だから何を言っても…どんな言
「あらあら、賑やかね。お酒は足りてるかしら?」「あっ、ははうえ〜!」奥方様がにこやかに客間においでになり、後に続いて酒やら料理やら、女中達が追加を運んで来た。若様が奥方様の側へ寄られ、手を取り、お顔をにこにこと見上げているのが、本当に愛らしい……「はい、十分いただいております、奥方様」「お料理はお口に合うかしら?うちの料理人の腕はなかなかだと思うけど」「ありがとうございます。大層美味しゅうございます」「良かった。チョン先生はお酒がお好きとか。主人も好きなの。今日は存分に相手をしてあ
昨夜、イムジャの胸のつかえを聞いた。解決出来ないにしても、何かしらイムジャの心を軽く出来るものなら……と思って聞いてみたが——あれは、おそらく王様と恵妃様の事だろうな。恵妃様を診察をした折に、何か聞いたのか、気づく事でもあったのか。イムジャの語りから察するに……恵妃様はまこと、王様をお慕いなのだな。かたや王様は、王妃様一筋……最近は恵妃様へのお通いが無いという事まで、聞こえてくる。(トッキの戯言と思っていたが、今までも夫婦の営みは無かったのやも…)恵妃様はそれら全てを容認され、それ
オンを生んでそろそろ2ヶ月。タムとミスに構われて、昼間しっかり起きているオンは、朝までぐっすり眠るようになっていた。(おかげて私も眠れる。有り難いわ…)ただ、冷え込む夜中の授乳は、やっぱり大変……ソニもスンオクも居ないこの家で、出産に子育て……不安は大いにあったけれど、オクヒやサンイ、それから、マンボ姐さんの所から手伝いに来てくれるアジュンマ達に、助けてもらってなんとかやっている。そんな時、往診に来てくれたトギからの助言——(そろそろ母乳はやめて、前の薬に戻そう)私は毎日、トギ特製
「——チェ大護軍」その日の午後。迂達赤(ウダルチ)の兵舎に居た俺は、突如現れた王の側近に驚きつつも、想定内であった事に思い至り——「アン内官…」「王様がお呼びです、大護軍。お手隙でしたら、すぐにも」「承知しました」何事かと騒つく隊士達を無言で鎮めると、俺はアン・ドチの後を付いて兵舎を出た。「実は先程、侍医の回診がありまして。今日は医仙様もご一緒でした。その折、人払いをされて、王様と医仙様お2人でお話を……それで、大護軍をお呼びなのでしょう。詳しい事は分かりませんが、お怒りではないよ
※『永遠に凪ぐ』本編ではなく、ドラマの隙間を妄想するシリーズです。(勝手にシリーズ化😅)今回は『シンイ』17話より。ウンスが徳と結婚すると知ったヨンの苛立ちから……🙇♀️▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎——あの方が結婚?しかも相手は徳興君だと?!馬鹿らしい。そんな事があるものか。ある訳がない。王様達を追い出し、皇宮にのさばる悪鬼。そもそも、己れに毒を盛り苦しませた張本人と、結婚などあるものか。無い。断じて。……それなのに、何