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ヒジェさんとソニがめでたくカップルになった翌日。噂が広がるのは早い。ましてや、手裏房の手の中の事だもの。私とヨンが王宮へ出仕している間も、家にはいろんな人が、冷やかしとお祝いにやってきて、大層賑やかだったらしい。王宮では、早々に連絡を受けた様子のドンジュが、門を入った所で待ち構えていて——ドンジュは頬を紅潮させて、私とヨンに駆け寄り、事実確認をすると、「オレっ、今から行って来ていいですか??早退していいですか??ありがとうございます、大護軍!!!」ヨンがいいと言う前に、門を出てその
一旦坤成殿から下がり旅の疲れを落とすようチェ尚宮から勧められウンスは武閣氏宿舎で湯浴みをした用意されていた下着を身につけた時チェ尚宮がウンスに近づき衣を合わせ襟を整えたり乱れを直したり最後に腰帯を綺麗に結んで頷いたあの戯け者ウンスの首筋に仰山痕を残しおってしっかり袷を整えんと吸い付いた痕が見えてしまうわ「よかった着丈もちょうど良いだが少し痩せたか?」「ええ少しだけでもここに帰ってきたらみんな
「〝医仙〟無事帰還の知らせ余も安堵した大護軍チェヨンよまことに大儀であったなんなりと褒美を申せ」宣仁殿で王の前に跪き帰還の挨拶をしたヨンの耳に信じられない王の言葉が聞こえ重臣たちにも動揺が広がった「王様〜大護軍と共に参った女人はまことにあの医仙でございますか?」重臣の一人が問うた「そうじゃ天はこの高麗に再び天人を遣わせてくださったのじゃ」チェ・ヨンの開京到着の喜びは一瞬で消え去りウンス
王様に側室の話をした翌朝。常ならば、王太后様——王様の母上様へ、王様と連れ立って朝のご挨拶に伺うところ……康安殿(カンアンデン)へ王様をお訪ねすると、今朝は既に、朝儀の為に宣仁殿(ソニンデン)へ行かれた後だった。「何と?こんなに早くからご政務に出られただと??」わたくしの代わりに声を上げたチェ尚宮に、留守を預かる内官が、おおいに狼狽えている。「よい、チェ尚宮。王様はお忙しいのだ。王太后様の御座所へ参ろう」「はい…王妃様……」ところが、お訪ねした王太后様は、何やらお顔の色が優れないよ
庭を掃き清める箒を使う音。朝餉の支度をする廚の音。使用人たちの控えめに遣り取りする声。小さく聞こえてくる赤ん坊のぐずる声……ああ…そうだった。昨日から都に…ヨンの家に来たんだったな——チェ家で迎えた朝。慣れねぇ上等の布団で、ぐっすり眠れたんだかどうだか……若干の寝覚めの悪さに、俺は目を開けはしたが、寝転がったままぼんやりしていた。チェ家は、高麗でも指折りの家柄だって、聞いちゃいたけど……どっしり構えた…代々続いてるって感じの、立派な屋敷だ。たぶん、名家にしては使用人の数は多く
王妃様から主治医になる許可を得たウンス今の典医寺のドクターやスタッフはどうなっているのか気になり早速典医寺の見学を希望した王妃はチェ尚宮に案内するよう命じたもののまだまだウンスと話し足りない様子「姉様今夜は夕餉を共に致しましょう妹の我が儘に付き合うてくだされ」ウンスがチェ尚宮を見ると小さく頷いている「わかりました王妃様楽しみにしてますねではまた後ほどゆっくりとお話しましょ」そこへちょうどボヨンとユリが来
早馬として海州を発った同日の夕刻にはジョンフンは開京に入り満月台(マンウォルデ)に着いていた大護軍からの書状を無事王様とチェ尚宮に直接手渡し終えて安堵したジョンフンすぐにでもガインの待つ屋敷に帰ろうとしていたところチェ尚宮から声をかけられた「ヨン殿申し訳ないが半刻後再度康安殿へ参られよ」***呼び出しの理由がわからぬジョンフンは大護軍の書状に何か懸念の報せがあったのか…とすれば徳興君のことかと予測し
タムが生まれて、あっという間に半年が過ぎた。首もしっかり座ったし、離乳食もそろそろ始めようかという頃。私も、以前と同じく週3とはいかないまでも、10日に一度くらいは、王妃様の診察の為に出仕するようになっていたんだけど……実はまだ、王妃様にも王様にも、タムをお見せ出来ていなくて——お2人は、生まれたらすぐにでも会いたい、とおっしゃってくださっていたけど、臣下の子どもだもの、その為だけに参内するのも……そんな身内みたいに気安くは出来ないし。かと言って、お2人にウチ(チェ家)へ来てもらう訳にも
白州の宿を出て半刻礼成江まで来ると対岸に鎧姿の一軍が見えた船で渡し一行はいよいよ開京の隣り開豊(ケプン)まで着いた「大護軍ユ医員私はここまでと致しますまたマンボのところで会いましょう」ウォンジョンは一行から外れて行ったここから満月台(マンウォルデ)まではわずか五里休憩を挟んでもあと二刻足らずで到着するだろうヨンの姿を見つけた武将が片膝をつくと軍の兵らも一斉に跪いた「高麗禁軍鷹揚軍護軍アン・ジェ鴨緑江一
迂達赤兵舎に戻ったヨン予想通り若い迂達赤らはヨンを見るや何か言いたそうなニヤついた顔を見せた「なんだ」「はい先ほど奥方様がお越しでした」「ああ」「噂ではなく実際にとてもお美しい方だと事実確認できました」ヨンはふっと薄く笑った「そうか」「とても明るいお方でした」「ああ」「とてもよい香りをされていました」「なに?!なぜそんなことがわかるのだ」「奥方様が通られた後の残り
手裏房宿から急ぎ王宮に戻ったヨンはアン・ジェを迂達赤兵舎に呼び迂達赤幹部らも集めると賛成事と徳興君義州郡守との黒い繋がり悪事の証拠となる書簡と証人を確保したことを知らせたまた監門衛でウンスに関する中傷が広まっており王宮に入るのを阻まれたこと凱旋で襲撃した賊を手引きした女を間もなくチェ尚宮が連行し秘密裏に牢へ入れることその際死んだことにしている賊の男に面通しさせることを告げた「どこに手下が潜んでおるかわからぬ故決して隊員にも口外するな
典医寺に運んだウンスをヨンは自分で着替えさせようとした「馬鹿者!ここは屋敷ではないのだぞ少しは大護軍の体面を考えろ!」チェ尚宮は心配するヨンを追い立てユリと共にウンスを着替えさせようとしたが…あの阿呆め吸い付ついた痕がまだ残っておるわ首筋や胸元に薄っすら残った赤い情交の痕が目に入ると火鉢の手配を言い訳にユリを退室させたあの馬鹿者はまったくこんなところにまで吸い付きおってまるで盛りのついた獣ではないかこれほどあちこちに印を付けねば安心できぬのかいや
ヨンからの熱烈な口づけにうっとり溶ろけて身を預けるウンスをがっちり抱きしめそのまま寝台に引き込もうとしたヨンだがそんな思惑に気付かぬウンスは口づけの合間にヨンに訊いた「ねえヨンア夕餉は食べたの?」「いいえまだですが…夕餉よりイムジャが欲しい」「もうバカねマンボ姐さんがたくさん届けてくれてるのよ」ウンスの気が夕餉に向いてしまい内心ヨンは舌打ちしながら尋ねた「イムジャは腹が減っておるのですか?」「私はもう
マンボ姐とペクを連れて賛成事キム家の裏口に着いたイルファ「そんなに緊張しなくても大丈夫だよイルファさん騙すんじゃない本当のことを教えてやるだけさイルファさんは合図だけ送ってくれたらいいよ」「そうだよイルファさんうちらが勝手に喋るからイルファさんは頷いてるだけであとは自分の荷物をまとめてくれてたらいいんだよ」***昨夜急遽チェ家の離れへと移り住むことになったイルファこれまでの使用人部屋とは雲泥
……よく寝た。すぅ、と糸で引かれるように、何の苦もなく瞼を開けると、「目が覚めましたか?ご気分は?」薄闇の中。僅かな蝋燭の灯りだけで本を読んでいたヨンが、それをさっと閉じて、私の顔を覗き込んだ。特に身じろぎもせず、目を開けただけなのに……本当にこの人は気配に聡い。それをそのまま口にすると、「貴女だからです」なんて甘いセリフ……ふふ。「ごめん。ちょっとのつもりだったのに、寝入っちゃった。今何刻?ヒジェさんは?」「亥の刻(午後10時)くらいかと。ヒジェはしばらく都に居るそうで、その間、
「みなさんお忙しい中集まっていただいてありがとうございますこれから王妃様の〝妊活〟つまり妊娠活動を支援するうえでみなさんのお力をお借りしたくて来ていただきました私は王妃様の主治医になったユ・ウンスですまだまだ不慣れで未熟者ですどうかみなさんの御力をお貸しくださいよろしくお願いします」ウンスが挨拶するとジンとジミンが好意的に頷いたもののアン内官は自分が何故呼ばれたかわかっておらず心配そうな顔をした王妃が懐妊しないなら側室を娶れ
真珠の微熱82【トクが彼女を狙っている】スリバンから連絡がきたときにウンスは自ら囮になると言った。いつ仕掛けられるのかを待ってるよりも余程良いと渋るチェ・ヨンを説き伏せる。発信機の付いたピアスをつけ、わざと隙を作るように人気の少ない場所を歩き向こうから仕掛けてくるように動き公安の幹部だけがウンスの行動を把握していた。そこへまんまとトクが嵌る。予想外だったのは攫ってきて直ぐにコトに及ぼうとした事屋敷を掌握する前に寝室に入られるとは思わなんだ。焦ったチェ・ヨンの
ウンスが起きるとすでにヨンの姿はなく卓の上に手拭いと水桶があった身繕いしテマンを呼ぶと握り飯と青菜の水沈菜の朝餉を運んできてくれた「テマン君ありがとう」お礼を言うとテマンが何か言いたそうにもじもじしているので促すと「あのぅユ医員オ、オイラをテマン君と呼ぶのはやめてください」「えっどうして?」「オ、オイラ君をつけられるような身分じゃないから」「あ〜そういうことね!この時代
「左政丞(チャジョンスン)。よう来てくれた。此の所、体調が優れなかったと聞いたが……具合はどうだ?」「恐れ入ります、王妃様。歳のせいでしょう。何事も今までのようにはゆきませず……今日は何とか出て参りました」坤成殿(コンソンデン)にて、わしは…イ・ジェヒョンは、王妃様の御前で頭を垂れていた。朝儀の後、宣仁殿(ソニンデン)を出た所で、内官から“王妃様が内々にお召しである”と、耳打ちされた。「……いかな御用か?」「そこまでは伺っておりません。チェ尚宮様より、大監(テガム)お1人でお出でいただ
明日未明から兵の出発式があるためヨンは早めに典医寺の離れに帰ってきた「イムジャ戻りました」ヒョジュとジウォンもウンスに挨拶するとそれぞれ帰って行きヨンと二人になったウンスヨンはすぐにウンスを抱きしめようと近づいてきたが「今お茶を淹れるわね貴方は手を洗ってちょうだい」ウンスは誤魔化して竈の方へ行ってしまったので少し拍子抜けしたヨン翌朝の出発式で着用する鎧一式と鬼剣を寝台のそばに置くとウンスに言われた通り
あれ程きつかった悪阻が、嘘のように落ち着いて……私は、戻ってきた食欲と闘う日々を送っていた。もともと、スンオクやソニの作ってくれるご飯は美味しい。王妃様や叔母様からいただくお菓子も美味しいし、マンボ姐さんの差し入れもとびっきりで。何より、私が食べられるようになったのを、ヨンが喜んで喜んで……毎日のようにお土産片手に帰ってくるから——「ヤバイわ……」「やばい?」チェ家でのランチタイム。横で給仕をしてくれているソニが、小首を傾げている。ソニはとても好奇心旺盛で、私がつい漏らす天界語にいつ
ヒジェ達が待つ客間の目前、何やら楽しそうな声が聞こえてきた。「——どうだ。ここまで来れるか?……おーっ、えらいぞ、タムァ」「あ〜うー」「坊ちゃまったら。ヒジェさんにすっかり懐かれて」「昔っから動物と子どもには好かれんだよ、俺ぁ」「まぁ、ふふふ。テマンもそうよね」「動物はともかく、おれ、子どもと遊ぶの好きだから」タムを囲んでか……賑やかな様子が伺えて、俺はゆっくりと扉を開けた。「——よぅ、医仙はどうだ?」部屋の中へ入ると、大きな体躯を折り曲げて胡座をかいたヒジェが、腹這いのタム
医仙がヨンの元へ戻って来てくれて、婚儀も無事に終わり……度を越す程、仲睦まじい姿を目にしてきた故、じきに良い知らせを聞けるだろう……とは、思っていた。いたが、まさかこのように早くとは……私は、つい緩んでしまう己れの顔を、何とか戻す、また緩む、を繰り返していた。あの日、いち早く知らせを持ってきたテマンに、思わず少々の駄賃を握らせ、私は小躍りする勢いで王妃様のもとへ向かうも……すぐにその足を止めた。懐妊したのは、うちの嫁だけなのだ——王妃様とウンスが、共に“妊活”とやらを始めたのはこの春の
「私に向けても何か言っていただきたかったですが…」カンファレンスがお開きになるとチャン・ジンが少し拗ねたような口調でウンスに話しかけた「やだわジン先生からかわないでください私がカンファレンスで自由に話せるのは何かあればジン先生が助け舟を出したり軌道修正してちゃんと導いてくださるってわかってるからですそれに私が話したことなんて先生はとっくにご存知のことばかりだったでしょう?」「とんでもありませんとても勉強に
今のアン家の客間には、ちょっと不思議な光景が広がっていた。アン家の2人の子どもと、友人夫婦であるヨンと私。家族ではない4人が、一見まるで家族のように、和気藹々とお茶とお菓子を楽しんでいるのだから。途中、女中さんが来てくれて、お茶を入れ替えたり、子ども達の世話をしてくれたりしたけど、当の主人夫婦は、まだ寝室から戻って来ていなかった。——いいんだけど。そう仕向けたのは私なんだから。ミンジュもウクも可愛いし、お茶もお菓子も美味しいし。ここを出たらヨンは出仕だから、それまで少しでも一緒にいら
〝奥方のところに行かないで〟本当の心の叫びははっきりと言えなかったウンスそれでもヨンア困らせてごめんねでもありがとう貴方にとって約束という言葉がとても重いってこと私わかってるだからその約束してくれた気持ちだけで私しあわせよ「ヨンアありがとう!でももし約束を破ったらきつ〜いお仕置きするからね!」ウンスは少し戯けながら嬉しそうに微笑んでまたヨンに口づけたイムジャの仕置きがどんなものかちぃと興味はあるがイムジャを裏切ることはできぬヨンも応え
「——よう。来たか」安州の軍営に到着した俺は、すこぶる歓迎されていない出迎えを受けていた。カン・ヒジェ。相変わらずの無愛想、その上、安州軍の中でも“歩く野人”と揶揄されるほど、血の気の多い男だ。「久しぶりだな。ヒジェ」「中央から誰が来るかと思ったら……お前だったかよ」「積もる話は後だ。手裏房からのつなぎは?」俺とヒジェの遣り取りに、目を瞬くトクマンを従えて、俺は兵舎の中に歩を進める。別に俺は積もってねぇっ!後ろからヒジェが、吐き捨てるように被せて言った。「チェ護軍!お待ちし
私とヨンの婚礼の日は、綺麗に晴れ渡った空が、何処までも高く青く……清々しい日になった。叔母様の配慮(?)のおかげで、しっかり眠れた私は、朝からお風呂を使わせてもらい、ソニの手で、少しずつ花嫁に仕上がっていく。いつも以上に念入りな化粧と結髪。スンオクが仕立て直してくれた、お母様譲りの花嫁衣装。ダイエットも間に合って、私は三国一の花嫁に——「……て、聞いた事あるけど、三国ってどこかしら……」「?何かおっしゃいましたか?奥様」心の声のつもりが、漏れていたらしい……ソニが手を止めて、私の
日も暮れて、松明が赤々と揺れる軍営。その外れの林の入り口に、大男がどっかりと腰を下ろしていた。俺の姿を認めると、ヒジェはおもむろに立ち上がり、「——ちょっと待ってろ」俺が口を開くよりも早く、そう言って踵を返す。しばらく待つと、酒瓶をぶら下げて戻って来て、飯椀を盃代わりと、俺に差し出した。「……素面じゃ話も出来ねぇ。なぁ、そうだろ?」俺の椀に並々と酒を注ぎ、己れの椀も満たすと、ヒジェは一気に干した。「ぷはぁーーーっ…うめぇ」どんな時でも酒は酒だな。うめぇわ。大きな身体に似つ
真珠の微熱新婚旅行編7キャミソール一枚しか着ていない背中に厚い胸板がぴったりと張り付く太い腕は腰を通り越し柔い腹の前に置かれ腕枕された方の腕の肘から先は華奢な身体に巻き付くように絡んでいる。「うーん・・重い・・」カーテンの隙間から白い光の筋が部屋の中に朝を連れてくる。ふと目覚めたウンスの身体には、何時もより力の入ったチェ・ヨンの腕が鎖で巻き付くようにがっちりと絡んでいた。もぞもぞと身動ぎながら逞しい腕の中でくるりと向きを変え愛しい男の懐に滑らかな頬をく