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由依side朝。まぶたの裏に、ふわっとした光が差し込む。それと一緒に、やわらかくてあたたかい布団の中の温度が、肌にじんわり広がってくる。――その“温度”が、自分ひとりのものじゃないことに気づいて、私は、そっと目を開けた。「……っ……」すぐ目の前にあったのは、頬にかかる髪と、寝息の混じる穏やかな吐息、そして――私の腰にまわる、ぴたりと吸いつくような腕。(……夢じゃ、なかったんだ)昨夜のことが、少しずつ、フラッシュバックのように脳裏に蘇る。キスの味、肌に這う指先の熱、身体
あの夜、レストランの前で別れてから、二人の関係は特に変わらなかった。これまで通り、連絡を取り合うこともないし、会うこともない。時間があの夜のまま止まっているようだった。渡邉とは七年の同僚で、その後の二年間はほとんど他人みたいな距離を保ってきた。小林にとって、この状況はいつも通りだった。驚きもしないし、気にすることでもない。こういう関係性には、とっくに慣れている。少なくとも、あの日から二週間が経つまでは。小林がその日仕事を終え、なんとなくスマホを眺めていたとき、海の底に沈んだはずの名
私の理佐ちゃんの続きです理佐side大好きな由依が私を追って高校に入って来てバレー部にも入ってくれた毎日一緒に朝練に行って、部活を終えて帰ってきて、たまにコンビニで買い食いしたりして毎日がすごく幸せ由依はずっと可愛がってる近所の子物心ついた時にはもう隣にいて昔から私にずっとくっついて来る可愛い子気づいたらそんな由依のことを好きになっていて、この関係じゃ収まらないくらい大好きで。お子ちゃまな由依は気づいてくれないんだろうけど。久しぶりに手を繋いだ初登校日、なんだか昔に
集中治療室のガラスの向こう、ベッドに横たわる由依は、まるで静かに眠っているようだった。けれど、心電図の微かな波と、酸素マスクの下でかすかに上下する胸の動きがなければ――その姿は、あまりに現実から乖離して見えた。理佐は、その姿をずっと見つめていた。気づけば、夜が明けようとしていた。“戻ってこないかもしれない”その恐怖が、理佐の中で静かに根を張っていた。(どうして、私は何もできなかったんだろう)愛した人を――ただ、抱きしめていればよかった。守るなんて、そんな大義じゃなくて。
リクエストありがとう🐝──────────────────────────「おはようございます。」「小林さーん、あれ?小林さん?」…またか、3日前から入院している小林由依さん。まだ大学生の女の子。通学中、信号無視の車に轢かれてしまい、わたしのいる病院へ運ばれた。幸い足の骨折だけで済んだけど、打ちどころが悪けりゃ生死を彷徨う可能性もあった。そんな彼女は、きっと…屋上にいる。「小林さん。検診の時間だから、部屋戻ろ」「やだ。行かない!」「なんで?どうしたの?」「…足痛くなっちゃっ
渡邉理佐×小林由依大学パロ理佐side理「ん…」ボリュームを最小にした目覚ましの音で起きて隣の由依を確認する…うん、まだ寝てる今日も成功大好きな由依のためにできることは私がやって最大限尽くしてあげたいから柔らかくて白いほっぺをちょっとだけ撫でてそっと寝室を離れる元々、寝起きはいいほうじゃないむしろ最悪特に一人暮らしの時はひどくて何度も遅刻ギリギリで友達の電話に起こされては電車に駆け込む毎日だったでも、愛おしい彼女のためだったらなぜかパッと目が覚めて。今
結構前から書き途中だったものを書き上げただけなので、リクエストとかではないです。ごめんなさい由依sideお昼過ぎには仕事が終わって家でだらだらと時間を溶かす。理佐が帰ってくるまでにはまだ時間があって、暇だなぁと思いながらスマホを弄ってはみるけど、特にやることもなくてアプリを開いては閉じての繰り返し。時間の無駄だと思い、瞼を落として眠りにつく。どれくらい寝ていただろう目が覚めるとちょうど理佐が帰って来たところだった。「おかえり」「ただいま」そう言った理佐の声は心なしか元気がな
『時間が二人の間に距離を作り、やがてその距離を当たり前のものに変えていった。』かつて一線を越えた二人が、現実に引き離された後、偶然の再会で再び交わる――そんな物語です。「久しぶり」少し迷うような視線を向けられて、しばらくしてから小林はやっとスマホから顔を上げた。軽く眉を上げて返す。「久しぶり、こば」相変わらずの呼び方だ。声も昔と変わらず淡々としていて、ただの癖みたいな軽さ。小林も特に気にするほどでもない。「最近どう?」「まあまあかな。FCの一周年イベン
理佐side俺はずっと後悔している。何故あんな態度を取ったのか。俺に出来ることは…失われた記憶を取り戻すこと。由依「ねぇ、最近の理佐おかしいよ…?」理佐「なにが。」由依「…浮気でもしてるの?」理佐「別に?」由依「……もういい。」どうせ寝る時になれば帰ってくる、そう思っていた。数時間後、1本の電話がかかってきた。出てみると近
数ヶ月前から仲良くなった、同僚の女の子、小林由依ちゃん。年齢は1つ下で、先輩後輩の関係だけど、同じアイドルグループが好きで、それで意気投合した。お互い、由依ちゃん、理佐さんって呼びあって、ほとんど毎日連絡取り合って、たまに電話もして、宅飲みもしたりする。明日は休みだし、ライブの映像を観ながら宅飲みしよう。と言うことで、仕事終わりにそのままふたりでわたしの家に帰る。理「ただいまー」由「お邪魔します」ゆっくりしてて、と声を掛け、軽く部屋着に着替える。由依ちゃんも着れそうなものを探し、よ
渡邉理佐×小林由依社会人パロ----------------------------------------------------理)ただいま返してくれる人は誰もいないこの家寂しいなんて思わないむしろ安心する面倒な大学の人付き合いも、授業も忘れてやっと休める一人の時間…なのに最近は、あなたの柔軟剤の香りが部屋に残っていて私の時間を乱していくだから私は煙草を吸うタバコ臭さで気を紛らわせたくて、、でも、匂いだけじゃない、由)理佐ー?あーけーて!ほら来
渡邉理佐×小林由依大学生パロ由「ん…」カーテンの隙間から漏れる光で目が覚めた隣の理佐はまだ穏やかな寝顔で眠っている整った顔が陽光を受けてさらに綺麗に見えて思わずそっと抱きつく変に心地よい朝だな、なんて呑気に考えていたけどやっぱりおかしく思えて手を伸ばしてスマホで時間を確認する嘘、、由「ねぇ理佐、起きて!」もう家を出なきゃ一限に間に合わない私は午後からだから平気だけど理佐は昨日、明日一限からだって言ってたはず由「ねぇ!」耳元で叫んでも起きなくて心の中で謝りなが
風が少しだけ冷たくなった。夏の終わりを感じさせる、八月の夕暮れ。蝉の鳴き声が遠くから聞こえ、すぐに虫の音がそれを塗り替えていく。あれから、十日が過ぎた。何かが大きく変わったわけじゃない。けれど、私たちの間には確かにひとつの節目が訪れ、そこから流れる空気がやわらかくなった気がしていた。「……一緒に夕ごはん、食べない?」仕事帰り、玄関を開けた瞬間にそう言われて、私は首をかしげた。「え?今日、撮影で疲れてるんじゃないの?」「うん、疲れてる。でも、理佐と食べると回復するかもしれないっ
由依sideオフィスの天井の明かりが、まるで無機質な蛍の群れみたいに滲んで見えた。お昼休憩中のビルの中は、空調の唸る音と微かな話声だけが響いていた、ふと気を抜くと、隣に座る彼女の気配ばかりを探してしまう。理佐先輩社会人になって1年半。何もかも不器用で、緊張してばかりだった私を、静かに、でもちゃんと気づいて引っ張ってくれた人。最初はただの“憧れ”だった。けれど気づけば、先輩の声ひとつ、仕草ひとつが、心の奥に静かに灯る火みたいに、消えないで、消えないでって願ってた。それが、叶っ