青山二郎のようなひとをひと口で言い表すのは何とも難しいものです、普通に言えば骨董家、美術家、美術評論家、いやいや貧した時分には何ともいかがわしい器を提げて田舎の素封家を歩き廻ったと言いますからそうすると下ぶれしてきます。ただ明日の支払いにも事欠くようなときにも(少なくともひとの前にあっては)一片の悲壮感も見せず(それがとってつけた余裕ではなく)何か泰然と人生の苦味をまるで盃に浮かべるようにしみじみ手のなかに乗せているような人柄で卑しさは微塵もありません。生業については宇野千代が語っていた話が的を