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「は…え…えっと…」「・・朝起きたら女が隣で寝てたんだ」遥の言葉に私は固まり始めると、彼はブーちゃんを持ち上げ動かし始める。「言わない方がいいんじゃないかって、そのまんまにしとけばいーって思ったんだけど…」彼の言葉に私はその言葉の意味を理解する事が出来ずにいる。『隣で寝てたってどういう事…お姉さんの友達…女の人…』ぐるぐると話していた単語が周り始めると、彼はポンと私の手に触れた。「でも…今までちゃんと話しして来たし。嘘言ったって仕方ねーし…いつか…なにかをきっかけにバレ
濱野京子「withyou」中学・高校入試出題の作家さんの作品です。数多く児童書を書かれている濱野さんの2020年のヤングアダルト作品でした。表紙の雰囲気通り、ボーイミーツガールな恋愛小説です。が、大きな社会問題を題材にした社会派小説、青春小説、成長物語でした。まだ行政の手助けが届かない社会問題“ヤングケアラー”に焦点を当てています。ケアする側、ケアされる側、周りの人、行政のそれぞれの立場やしなければならない事を考えさせられる1冊でした。ヤングケアラー問題に踏み込む最初の1冊として
今日はこの曲Islet,SandoAoi「ときのこえ」中間テストも終わった。新聞配達を終えて学校へバイクで向かう。まだ朝の空気は冷たく、ヘルメットの中に入り込む風が頬を刺す。アクセルを回す指先には、かすかな疲労が残っていた。それでも、不思議と気分は悪くなかった。今日も走れる。それだけで十分だった。登校すると、清水先生が部室前で待っているのは毎日のことだ。「先生おはようございます」「おう藤井」グラウンドには朝露が残り、白く光っている。遠くで野球部が朝練をしてい
『今日はいるんだ…』遥が着替える為に部屋から出て行くと、私はベッドの所にゴロンと横たわっているブーちゃんの姿を見ていた。この間来た時には貸し出し中だと話しておりこの場所にはいなかった。すっと身体を起こしブーちゃんの頭に触れる。「ねぇ。今日は遥ちん機嫌悪いの?」ポンポンと触りながら話し始めると、ブーちゃんは私と視線が合うかの用に目がこっちを見ている。「今日ずっと様子見てたんだけどなぁーんか変なんだよね?知ってる?」ブーちゃんに話しかけたとしてもそんな答えなんて返って来ない事く
BOOKデータベースより「【第30回松本清張賞受賞の傑作連作短編集、待望の文庫化!】ミステリ、青春、SF、ファンタジー、そして恋愛ーー1つの街で巻き起こる、5つの多彩な物語。それぞれの世界は少しずつ重なり、思いもよらぬ結末を引き起こす。すべてを知ることができるのは、読者であるあなただけ!【選考委員選評より】阿部智里5つの同じで異なる世界!その構成に気が付いた時、「正気か」と目を疑った。辻村深月抜群のきらめきに満ちていた「青春小説」パートは見事だった。米澤穂信小説という
椎名誠程、人生を楽しむに長けた作家はいないと思う。ある人は彼を日本のヘミングウェイと呼ぶ。椎名誠を知ったのは小学生だったが教科書だった「岳物語」か映画化された「白い手」だったから忘れてしまったが当時からジョブナイルを感じる作家だった。80年代の椎名氏はもう全盛期で小説、エッセイスト、タレントと幅広く活躍されていた。90年代になると70年代の編集者時代の話が面白くなる。本の雑誌社を立ち上げたり仲間と共同生活を楽しむ(センチな話より体育会系)青春小説が面白かった。1950年代から80年代はなんか
小嶋陽太郎「友情だねって感動してよ」神楽坂を舞台とした短編集です。移築された神社と不思議な“象公園”に迷い込む、年齢も性別も違う主人公達の青春小説になっています。序盤の何本かは中高生が主人公なのですが、終盤の2本はだいぶ大人な内容でした。高校生ぐらいから上の年代におすすめの本です。「甲殻類の言語」表紙のイラストの作品です。高校生の男女3人の捻れた三角関係を描きます。“表の感情”と“裏の思い”のチグハグさが上手いです。何周か廻って相手の思いを深読みするけど、相手も同じぐらい考えて動いて
(画像はAmazonの商品ページからお借りしています)いろんな言い訳を自分にして本を読んでいません・苦笑昨年読んだ上巻の続きを買って読みました(まぁ買ったの去年ですが)公安警察やキャリア警察官(かって著者自身がそうであった)のことを知れるのは興味深いかったですしストーリーも結構楽しめたその意味では警察小説やミステリまた青春小説としてもエンタメしていましたそれでも私には公安警察の「正義」が鬱陶しいですねマキャベリの言う「目的は手段を正当化する」を拡大
『チア男子!!』著:朝井リョウ発行所:株式会社集英社2013年2月25日第1刷P489大学1年生の橋本一馬は柔道部を辞めチア部を作った。幼なじみの晴希を筆頭にチア部の部員を集める一馬。なんとか希望人数が集まるとまずは文化祭で演技を見てもらう事を目標に日々練習に明け暮れるのだった。映画を先に観ていたんです。でももう何年も前だから話は売る覚えでしたが小説と違うって事は分かりました
今日はこの曲ずっと真夜中でいいのに。「綺羅キラー」体育館の扉を開けた瞬間、むっとする空気が身体を包んだ。初夏特有の湿った熱気。ワックスとゴムの匂い。ボールが床を叩く乾いた音。懐かしい。胸の奥が少し震えた。「お、来たか」喜多が手を挙げる。「無理すんなよ」「おう」軽く手を上げる。まだ完全復帰じゃない。今日は部分合流。紅白戦は五分間だけ。その後は外周サーキット。分かっている。でも、コートに立っている。それだけで十分だった。練習開始前に瞑想のルーティンを入れ
【先行って:】月曜日朝メールがこう入って来ると私は携帯を折り畳みリビングへ向った。昨日会うかどうしようか、一緒に勉強しようかどうしようか連絡すると話していたのだがその連絡が来たのが午後。そして申し訳ないがパスという内容であった。まぁ土曜日に会えた訳だし私も課題などがあったから別に良かったのだが…『なぁーんか変?』朝ご飯を食べテーブルに置かれていたコーヒーを飲む。「姉ちゃんとこ文化祭もう何やるか決めたのか?」「ん…あーまあ。今週から準備始めるってこの間言ってたよ」隣に座っ
「いきなり会えないかってどーしたんだよ」テクテクと俺に向い歩いて来る姿を見るなり俺はベンチから立ち上がった。「ちょっと話ししたくなってな。悪い」そう言って俺は頭をかくと彼は1つ息を吐く。「で?こんな時間に話しっつー位だからなんかあったんか?」「さすが智弛っち…お察しがいいようで…」クッと笑いながら俺はそう答えると彼は溜め息をつく。「ま。ここで話すより俺んちの方がいーだろ。すぐそこだし」「悪ぃな…」そう答えると藍野は振り返り家に行くぞと話して来た。羽琉香を家まで送り届け
今日はこの曲Myuk「愛の唄」「おはよう、孝也」教室のドアが開く音と同時に、聞き慣れた声がした。振り向かなくても分かる。いつも通り、ギリギリの時間に登校してくる足音。少し急ぎ気味の呼吸。「おはよう」短く返す。それ以上の言葉が出てこなかった。視線を合わせることができない。無視しているわけじゃない。むしろ逆だ。意識しすぎている。背中の少し後ろ。空気の温度みたいに、気配が分かる。以前なら気にもしなかった距離なのに、今は妙に神経が引っ張られる。朋美は何も言わな
『なーんか変・・・』ベッドの上に上り壁に寄りかかっている彼の事をチラリと見ると私はテレビ画面を見る。今日会った時から何か様子がおかしい…寝坊したから1時間会うのを遅らせて欲しいというメールが届いていた事もあり反省しているんだろうか。私は流れている作品を観ながらそんな事を考えていた。『お昼を食べている時も…なんか様子がおかしかった』*「はぁー…面白かった…」エンドクレジットが流れ始めると私はほっと一息ついた。彼もまた壁から身体を外しスススと下に降りて来る。い
「あ…あの何でここに」「ん…あー何でだろ?よく覚えてないけど…でも遥君の顔見たら安心しちゃったのかも。エヘへ。」『エヘへじゃねーよ…てか…』「あの…服着て下さい」顔を引きつらせながら俺はこの状況を理解しようとしていた。俺が寝たのが午前2時過ぎ。その後今の目覚ましが鳴るまで全然記憶が残っていない。「あ…あら。服どこにあるんだろ?知ってる?」「・・知らないっすよ」俺はそう言って溜め息をつきながら座ると、彼女は起き上がり辺りを見渡した。傍に服があり着替えを始めると、彼女はベッ
福木はる「ピーチとチョコレート」元小学校教諭による児童書・ヤングアダルト作品です。思春期の女の子の悩みを切り取った快作でした。タイトルと表紙に惹かれて購入しました。中高生から20代に特に読んで欲しいおすすめ作品です。沖縄の中2の少女・萌々と友人達とクラスメイト・莉愛達が思春期の悩みを乗り越えていく成長物語です。萌々は太めでビジュアルに自信のない中2女子です。親の離婚や転校などもあり、クラスから浮かないために本音を隠して生きています。莉愛はハーフ(ミックス)の中2女子です。親の離婚・再婚
今日はこの曲NOMELONNOLEMON「シーグラス」純子の部屋は、前に来たときよりもずっと整っていた。カーテンは洗われたばかりで、初夏の風を含んでふわりと揺れている。窓から入る光は少し強くなっていて、季節が確かに進んでいることを感じさせた。研究室での出来事の余韻が、まだ二人の間に残っていた。静かな沈黙なのに、どこか特別な時間の続きのような空気。「タカ?」純子が、少し遠慮がちに口を開く。「あなたの能力って……どんなことができるの?」孝也は少し考えてから答えた。「そ
『あった!超ラッキーかも♪』十数本あるうちの最後の1本、それを今借りようとしている。先日レンタルスタートとなった事もあり話題作品の為か全部空っぽになっている。まさか!と思いながら棚を見ていくと最後の1本が残っていた。ラッキーだと思いながらそれを引き抜く。もし明日来ていたら全てレンタル中になっていたかもしれない。他にも何かあるのかと店を歩き始める。『おっ!これ見ようと思って見れなかった奴!』他の場所を歩いていると見はぐっていた作品にも出くわす事が出来た。『今日の俺の運勢最高!』
何故か?かなり前に図書館に予約していた本書評を読んだのか?フォローしているブロガーさんの記事か?きっかけを覚えていないのだけど、まぁ、意表をつかれたタイトルに惹かれたのかもしれません。『成瀬は天下を取りにいく』はまだ読んでいないので、著者由来ではないと思うのですが。こちらの本も読んでみなくてはと思っています。宮島未奈さんそれいけ!平安部画像はお借りしました。小学館の公式サイトもあります。ご関心のある方はこちらにどうぞ。高校生たちの青春劇なのですが、
「うまくないんか?」「え…」向いに座っている彼の姿を見るなり、私は瞬きをする。「全然喰ってねーし」そう言われ私は手に持っていたドーナツに視線を落とすとまだ2口程しか食べていないドーナツの存在に改めて気付かされた。遥が忘れもんと言ってレジの所へ向って行った。何を忘れたのかと思ったらもう1本のスプーンとお手拭きであった。最初意味が解らなかったがどうやら私の分のスプーンらしい。「こっちも早く喰わんと溶けちまうぞ」そう言われテーブルに置かれているメロンソーダのフロート。丸いバニ
金曜日…『今週は運勢悪いのかも…』ガックリと肩を落としゴミ箱を持ち上げると私はみんなに挨拶をし教室を出て行った。1週間の掃除当番のうち2日間もゴミ捨ての当番になるなんて今まで経験がなかった。運が悪いと思いながら歩き始める。どうやら他のクラスも授業が終り掃除などが始っていうようであったが、まだ遥の姿は見えていなかった。今日も重いゴミ箱を運び焼却炉に到着した。扉を開き次々とゴミを捨てて行く。ある程度数が減るとそのままゴミ箱を持ち上げ勢いよくゴミを捨てて行く。後ろには他の学年
今日はこの曲MAISONdes「ダブル・プッシュ・オフ」車が通るたび、令和大学へ向かう並木道に反響する音がやけに澄んでいた。タイヤがアスファルトを擦る低い振動。遠くで自転車のブレーキが鳴る甲高い音。研究棟の窓が閉まる乾いた衝撃音。純子はその一つ一つに、孝也の視線がわずかに動くのを見逃さなかった。耳が拾っている。世界を、普通よりも細かく。隣を歩く彼の横顔は落ち着いているのに、どこか遠い。同じ場所を歩いているのに、見ている世界の層が違う気がした。令和大学医学部
「そんじゃまたな。波井野さんもありがと」「またねー!」波井野さんからもらったお土産を持ち上げ花星君は手を振ると自転車にまたがり帰って行った。私達も振り返り駅の中へと入って行く。あれから少しお喋りをし家に帰ることとなる。駅の中に入り改札を抜けようと歩いていると、波井野さんは私達の隣を歩いていた。「しかしあれだね!今まで気付かなかったんだけどさ」そう言い始め彼女は私達の事を見る。「黄坂君と赤峯さんてなんか似てるんだね」「似てる?似てるのは背の高さくらいだろ」彼女の言葉に
吉川結衣「放送室はタイムマシンにならない」高校生で作家デビューした作者の2作目です。ミステリー仕立ての青春小説です。若々しい剥き出しの言葉が、初々しい爽やかさを感じる作品でした。直接的ですが、決して荒くない優しさ溢れる文章で“高校時代”を描いています。学生にも、大人にもおすすめの作品です。放送委員会に吸収予定の“放送部”1年生・円佳と、放送委員で演劇部の1年生・颯哉が主人公です。放送室の奥から見つかった「放送室をタイムマシンにする方法」を巡る謎解きと、颯哉の過去との邂逅が重なり合います
Spectrum-14【ターゲット】「あれ?みんなは?」ゴミ箱を抱え3組の教室前に辿り着くと廊下で待っている遥の姿だけがあった。「お前来んのおせーから帰った」そう言われ早く置いて来いと言われると私は唇を尖らせ教室へと入って行く。所定位置にゴミ箱を起きバックを置くと教室を出て行った。『・・あ』教室を出て行くとさっき一緒に戻って来ていた花星君がその場所にいた。「お。来たか」「みんな先に帰られちゃったみたいだな」花星君が私に向いそう言って来ると私はコクリと頷く。「んーじゃ帰
今日はこの曲心世紀「うそ鳴き」金曜日の朝。病院へ向かう道の空気が、いつもより軽く感じた。夏の匂いが漂い始め、少しだけ柔らかい風。胸の中はぽかぽかしている。(明日だ…)それだけで、足取りが弾む。テスト期間の最終日。ようやく終わる。そして土曜日は、ちゃんと休みを入れた。(タカが会いに来てくれる)その事実が、胸の奥で小さく光っている。何度も、何度も思い出す。電話の声。「土曜、行くから」受話器越しの低い声。あの一言だけで、数日分の疲れが消えた気がした。ナース
「そーちゃんが珀美ちゃんの事追いつめるからお昼来なくなっちゃったじゃん」「うっ…そんなに責めんなよ。そんなつもりで言ったんじゃねーんだけど…」珀美と久しぶりにお昼を食べた日、ちょっとした事がきっかけでその空気が重くなっていた。あれから数日が過ぎたけど彼女はあれから私達の前に現れる事がない。「あんま気にしなくてもいーんじゃないか?またそのうちフラッと来るだろ。秉ちゃんみたいにさ」「僕はフラッとは来ませんよ。ちゃんと断りを入れてですね」「例えで言ってんだってばよ」秉ちゃんの言
「花星君も合コンなんか行くんだ。」ゴホッッ!!グッッ!!昼休み外でお昼を広げると私は一口おにぎりをほうばりそう話す。私の言葉に彼は突然咳き込むと私はその様子を見ていた。「な…なんだよいきなり」「なんだよって花星君もそういう付き合いするんだって思ったから。行って来たんでしょ。カラオケ」私はそう言ってもう一口おにぎりを食べると彼は息を整える。「なに。黄坂から話し聞いたのか?」「ううん。他の人から…」「・・・合コンというか、カラオケ到着したら合コンだったって解っただけだ
小説家になろうで小説を書いているのですが、いくつかの作品でAIによる実写画像の挿絵をつけていました。ですが、利用規約改定でAI画像の実写に関しては掲載できなくなりました。もし、画像付きの作品をご覧になれたい方がいらっしゃいましたら。noteの方で、ご覧ください。(作品の内容はかわりません。挿絵画像があるかないかです)noteで掲載している作品。「約束の木の下で」シリーズ。夕凪島(小豆島がモデル)を舞台にした、青春恋愛。淡く切ない初恋の物語。以下リンクです。(順序は掲載順
今日はこの曲Myuk「愛の唄」中間テスト初日。朝の教室は、いつもより声が少なかった。椅子を引く音、筆箱を開く小さな金属音、紙をめくる気配。全体が薄い緊張の膜に包まれている。孝也は席につき、机の上にシャーペンを揃えた。深呼吸をひとつ。ポケットから小さなケースを取り出し、耳栓を指でつまむ。お守りのような存在。これを着けると、自分の身を守るとともに世界が整理される。耳に押し込むと、音が遠のき、自分の内側だけがくっきりと浮かび上がる。問題用紙が配られた。チャイムが鳴り