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今日はこの曲HimikaAkaneya「SideU-Prod.AmPm」7月の夜気は、湿り気を帯びて重く、開け放した窓から入り込む夜の静寂をより深いものにしていた。ワンルームの部屋を照らす柔らかな暖色の照明の下、純子は息を潜めるようにして、ベッドで深い眠りに落ちている孝也を見つめていた。さきほどまで体育館で行われていた過酷な実験。そして、それ以上に彼を摩耗させている「能力」の行使。看護師として、そして一人の女性として、その疲弊ぶりは誰の目よりも明らかだった。純子は膝をつ
Spectrum-21【Date】秋晴れとなった今日は朝からずっと晴れている。胡潟から留千へと来ているけどずっと青空が広がっていた。「で?どっちにしたんだ?」バスに揺られ始め私の手にはさっき買ったお弁当の袋を持っている。「両方買っちゃった」そう言って答えると両方?!と目を丸くし遥はすぐさま笑い始めていた。「選べなかったのか?」クククと笑いながら彼は話して来ると私は持っていた袋を持ち上げる。「両方って言ってもこっちはお稲荷さん3つ入ったのがあったから変えたよ」「そっか。て
「オートリバース」高崎卓馬1981年4月、中学2年のナオは、福岡から松戸市に転校してきた。人見知りのナオだが、同じ転校生で、目立つタカシナと一緒にいるうち、親友になる。学校には行かず、ゲームセンターで一日を過ごしたり、ナオの部屋で「BOM!」を読んだりする毎日だ。やがて二人は小泉今日子に夢中になり、親衛隊に入り、彼女をベストテンの1位にするための日々が始まる…。ストーリー自体は青春小説の王道で、勿論それなりに面白いが、当時の空気感が懐かしく、あの頃の渋谷は、青山界隈はこんな風だったのだ
「んじゃお疲れ」仕事を終え早番の人達が帰って行くと、俺は手を上げ答えていた。今日は俺と赤石さんそして店長の3人での遅番だ。俺は自分の担当場所の新規商品の棚を作っていた。赤石さんはレジ業務、そして店長は誰かと話しをしているようだった。「神希君ちょっといい?」電話を切り終え店長が俺の名前を呼ぶと俺は店長の所に向かった。「赤石さん、ちょっと裏にいるから何かあったら呼んで」そう言って俺達はバックルームに向かうと、店長はふっと微笑みながら歩いていた。部屋につき椅子に座ると店長は手を差し出
「うっす!」「おはよ」次の日待ち合せ時間より気持ち早めに遥は私の家に来ていた。寝坊もしなかったし寝癖もしっかりチェックした。足下を見て良し!と頷くとドアを閉じ彼の元へと向って行った。今日はこれから夏以来となる留千へと向う事になっている。「朝飯しっかり喰ったか」「当然!ってもしかして食べてない?」自転車に乗り込み走り始めると、私は彼の肩を掴みながら話していた。「今日は喰って来たぞ。珍しく朝飯あったから」「お~珍しいね!」普段彼の家には朝食が用意されていない…だから用意さ
眠れなくて本を開きました。山崎ナオコーラさんの「浮世でランチ」です。あらすじはコチラ明日の私は、誰とごはんを食べるの?――丸山君枝は25歳のOL。何も起こらない日々から旅立ち、日常に戻った君枝が触れた、一瞬の奇跡とは?人と人が関わる意味を問う文藝賞受賞第一作。(河出書房サイトより)14歳と25歳という二つの時代を交互に描き、繊細な主人公・丸山君枝の成長と孤独、人と人との関わりを描く物語。不登校の幼なじみとの青春と、OLとなり退職して旅に出る日常の物語が交錯する青春小説。(
今日はこの曲神崎エルザ「ピルグリム」体育館のフロアには、まだ試合の熱狂の残滓が漂っているようだった。しかし、今の孝也にそれを見届ける余裕はない。「……熱、まだ下がらない」純子の震える声が、静まり返った館内に響いた。孝也の額からは絶え間なく汗が噴き出し、荒い呼気が肺を焼く。データロガーが示す体温は、常軌を逸した数値を叩き出していた。それでも孝也は「大丈夫だ」と強がってみせる。その、自分を顧みない傲慢なまでの優しさが、今の純子には何よりも心苦しかった。「こんなの、異常だよ…
「桃子に連れられて初めて知ったんだけどな…あれから全然来れなくてでもやっぱいつ喰ってもうまいわ」桃子ちゃんのお父さんが営んでいる洋食屋さん…お店自体は随分昔からあったから知っていたし何度か来た事もあった。でもまさかこんな話しが出て来るとは夢にも思わずちょっとビックリする。並んでいると順番が来てお店の中に入って行く。オムライスが有名なお店だけどもちろん他にも色んな物がメニューとしてはある。私もここを訪れるのは久しぶりという事もありオムライスを頼もうかと思っ
「お待たせ…」自転車を片付け彼の前に再び立つと彼は乗ってと言って自転車にまたぎ出す。「どっか店行くか?」「・・任せる」別にどこかに行きたいという訳じゃない。一緒にいられるならどこでもかまわなかった。自転車の後ろに乗り彼がペダルをこぎ出す。どこに行くのか決めていない事もあり彼が意とする所へ連れて行ってもらうだけだった。「寒いか?」「大丈夫だよ」10月も半ばになって来ている事もあり風が幾分か冷たく感じる。でもまだコートやマフラーが必要な時期じゃない。自転車に乗っているには
由緒ある下町・浅草が舞台の青春小説。【あらすじ】主人公の西沢智太(28歳)は、日本最古の遊園地🎢花やしきでアトラクションスタッフとしてバイトをしている。コピーライターを目指して広告代理店に就職したが、配置された部署が営業で自分の志望に合わず、辞めてしまう。志半ばで夢が潰えてしまい、前に進めず立ち止まっていたが、亡くなった大好きだったじいちゃんが働いていたという浅草の花やしきで働くなかで、パン作りが得意な金井理亜(26歳)、役者志望で劇団員の宍戸鈴衣(24歳)、小説家を目指す玉木正也(35
長かった文化祭も終りを迎えた。「なんかあっという間だったよね」「これで大っきいイベントはもう終りかぁー」帰り道、放課後みんなで集まりスタイルでお茶して帰ると私達はホームに向い歩き始めた。あれから恵摩ちゃんやお姉さん達と別れるとすぐさま教室に入りホームルームとなっていた。恵摩ちゃんと話したりあちこち見たりするのは面白かったのだが…『私が同じ歳の頃だったら間違いなく狙ってたかもまぁそれは関係ないか…』皇田さんと名乗る女の人は蓮美さんのお友達
【本文】『涙の音、聞こえたんですが』は、「人の涙の音が聞こえる」という少し不思議な能力を持つ少女・美音の成長を描いた青春ラブストーリーです。本作の魅力は、能力バトルでも劇的な展開でもなく、「人との距離感」に徹底的にフォーカスしている点にあります。主人公の美音は、中学一年生。彼女は他人の涙を“音”として感じ取ってしまうため、人の感情に踏み込みすぎることを避け、あえて孤立を選んでいます。この設定がまず秀逸で、「優しさ」と「防御」が表裏一体であることをうまく表現していま
こんにちは、ゴールデンウィークで旅仲間たちもベトナムやフィリピンへ飛びましたが🛫🇻🇳🇵🇭、僕は暦通りですわ〜😆そして休みの日も何も予定が無いそれはともかくとして、昨日から始まったアルファポリスのライト文芸大賞に「DJウコンちゃん」をエントリーしました🙂主人公の故郷を佐賀県に設定した以外は、ほぼ八割がた実話の切なく悲しい中編小説ですが、読みやすいようにライトに書いてみました✍️下のコンテンツから入っていただけます。お気に入り登録やいいね❗️や投票をしていただくとポイントされ、順位が上がり
今日はこの曲博衣こより「シアワセ√コヨリニウム」令和大学の体育館。天井の高い空間の片隅で、一人の部員が足首を抱えてうずくまった。練習は一時中断され、長谷部教授の指示で純子が駆け寄る。彼女は手慣れた動作で救急キットを広げた。「少し冷たいわよ、我慢してね」純子の柔らかな、しかし芯の通った声が、張り詰めた空気をわずかに和らげる。テープが肌に密着するかすかな音。彼女の指先は迷いなく動き、不安定になった足首を的確に固定していく。その姿をエアロバイクの上で見つめていた孝也は、胸の
みんながマッサージを終え次の場所へ行こうと歩き始める。恵摩ちゃんはお母さんと一緒に話しながら歩いていた。「なぁさっきの何なんだ?」隣を歩く彼がふと私に問いかけて来る。【さっき】それは恵摩ちゃんが話した言葉である。「んー…私も良く解らないんだけど」彼女は何を伝えたかったのかいまいち掴めない。いずれにしても前を歩いている2番目のお姉さんの友達…その人に注意しろという話しなんだろうか?廊下を歩きながらどのクラスが何をしているのか見ている。時折中に入り買物やゲームをしながら時間を過ご
「それじゃ恵摩ちゃんはこっち座って」遥が廊下で待ってると話すと私達は教室の中へと入って行った。教室には入った物のまだすぐさま出来る訳ではない。順を待ち先に空いたのを恵摩ちゃんに譲ると3人は立ちながら何か話しをしていた。「お姉ちゃんみんな座ってすごいね」ずらりと並んだ人達そして機械に足を入れまったりしている。「そうだね。あ、恵摩ちゃんは特別仕様にするね。ちょっと待ってて」彼女にあの機械を与えた所で別になんにもならない事は解っている。私は担当する子に声を掛けると足湯とちょっとした
今日はこの曲ポルカドットスティングレイ「ヒミツ」エアロバイクのペダルが、一定の重みとともに空気を切り裂く。藤井孝也はアイマスクが作り出す深い暗闇の中で、自身の鼓動を静かに数えていた。心拍計が示す数値は140bpm。瞑想によって精神を凪の状態に保った後、肉体にはあえて激しい運動負荷をかける。この「静」と「動」の極端なギャップこそが、彼の眠れる脳を呼び覚ます鍵だった。(呼吸を静かに、もっと深く。肺の隅々まで酸素を送り込め……)視界を奪われた世界では、聴覚が異常なほどに研ぎ澄まされる
「えっ!それじゃ先輩来てるの?」「うん。うちのクラス見終わった後適当に見てるって」昼、みんなで集合し昼を喰い出そうとしていた。今日は久しぶりに全員さらにはのっちも加わり総勢9人の大所帯になっている。杏ちゃんの言葉に姐さんはそう答えているとみんなが席につこうとしていた。「なんか向こうが随分遠くなった気がするな…」青依が1番端にいる秉ちゃんに向い、お~いと声をかける。そろそろこの人数にも限界が来ているんじゃないかとふと思った。今日は席替え無しでそれぞれの相手が向いに座っている。
「それじゃねー」「また後でな」5人は映画を観る為にそのまま列に並び始める。そして俺達3人は昇降口へと向い歩き始めていた。「ねえ、来る事聞いてた?」「いや…知らん」「・・・俺他見て回ってていいか?」姐さんに連絡がついたと話して来たが、のっちは少し青ざめていた。今外で待っている人…それは姐さんの元彼である緑院先輩だと話す。「黒枝さんの元彼に会うだなんて無茶過ぎるし…」「確かにちょっとね」「んー…」のっちはどこか他の所に行きたいと話して来る。まあその気持ち解らないでもない
西條奈加「よろずを引くものお蔦さんの神楽坂日記」高校入試に出題のある作家さんの作品です。時代小説、SF小説が多い作者の、ミステリー連作短編シリーズ作品の4冊目となっています。ミステリーといっても、殺人の無い“日常の謎ミステリー”です。トリックや暴力表現が苦手な人にもおすすめの作品です。シリーズが進むにつれて、ミステリーというよりも人情噺がメインとなっているので、本作も入試に出題されたら良いのにと思う1冊です。東京・神楽坂の顔役の元芸妓で銀幕女優のお蔦さんのところには、よく事件が寄
今日はこの曲yama「マジカルシンドローム」令和大学、長谷部研究室。扉を開けると、いつものように薬品の匂いとコンピューターの熱気が混ざり合った独特の空気が孝也を迎え入れた。「あら、今日はジャージ姿なのね?」デスクで資料を整理していた白衣の女子研究生が、顔を上げて孝也に問いかける。彼女の視線は、孝也の着慣れた群青色のジャージに向けられていた。「……試合だったんです。そのまま来たので」「ふーん。あなたの能力が見られるいい機会かもね。今度はこっそり見に行こうかな?」彼女は悪
文化祭最終日…「今日も挨拶立ってもらっていーかー?」ホームルームを終えスタートの準備を始めていると委員の奴が話して来た。「今日もか?ってか2人ともすげー嫌な顔してんだけど…」そう言って傍にいたのっちや結城さんの姿を見る。「頼むっ!今日初めて見る客もいるだろうし」「だってよー。どうだー?」俺はそう言って2人に声を掛けると嫌な顔をしながらも仕方ないと手を上げる。「悪ぃな」暗幕が閉じられ教室が暗くなって行く。電気を付け椅子も綺麗に並び終えるといよいよスタートの合図となった。
Spectrum-20【負けない気持ち】『月曜、留千に行くの忘れてないよな?』少し困った表情を続け彼が最後に話して来た言葉。明後日のお休みの日、遥と留千に行き再びあのプラネタリウムに行こうという話しである。あれから李輝と連絡なんてついたんだろうか。そんな事は全然話していなかった事もあり解らないんだけど…少し肌寒くなって来たここ数日、まだコスモスは咲いているんだろうか。帰り道遥と話しをしながら帰って来た。明日恵摩ちゃんが学校に来るという話しを聞きちょっと驚いたけど素直
「それじゃまたねー」「気をつけてね!」それぞれの駅で別れ、胡潟に到着するとのんさんと改札の所で別れた。「羽琉香にはあの事は話してあるんだ…」「言ったのか?」「ああ…」「そっか…言ったんだ」藍野と話しをしていた際明日来る人について話しをしていた。「恵摩ちゃんが見れるクラスあるかなぁ…あ。やっぱりあれ?遥のクラスのも見てもらうの?」何も知らない彼女はいつものように話しをしている。「・・・」「ちょっと!!」ポンとバックで背中を叩かれると俺はビックリして隣を見る。「
今日はこの曲asmi「こっち向いてほい」館内に響き渡る第3試合の喧騒。バッシュが床を叩く音と、観客のどよめきが入り混じる熱気の中、清水監督の野太い号令が栄城高校が陣取る一角に響いた。「よし、外に集合だ!撤収するぞ、忘れ物はないか、確認しろ!」その声に弾かれるように、孝也は立ち上がった。コートを見つめていた鋭い眼差しを緩め、淀みない動作でスポーツバッグに荷物をまとめていく。周囲の部員たちが一斉に動き出し、スタンドには遠征特有の慌ただしい空気が流れ始めた。一息ついた孝也は、よう
長かった1日もこれでおしまい…遊びに来てくれたみんなは楽しんでってくれたんだろうか。時間になりみんなが先に帰って行くと俺達は各自教室へと向って行く。今日のクラスの様子はどうだったんだろうか。*適当に椅子に座り先生が来るのを待っていた。周りでは同じようにお喋りをしながらみんながそれぞれ買った物を見せ合っている。『豚と悪魔…』みんなと合流する前に雪夜達と遊んでいた際買った小さなミニチュア…1000歩譲って豚は良かったと思うにしてもこの悪魔は…「黄坂お前何渋い顔してんだよ」
「今日から入った赤石さんです。宜しくね」朝のミーティングの際店長の隣に立っていた人…その人はよくうちのお店に買物に来ていた女性だった。ミーティングを終え解散となると俺は掃除の続きをする為に箒を持ち外に向かおうとした。今日は年始最初のオープンとそして福袋がある事から俺が外に出ると何人かのお客が開店を待っていた。『雑貨屋に朝早くからありがたい…』洋服などの福袋で開店前から並んでいるという光景は実際観た事があったしすごいと感じていたけど、うちのお店のように雑貨中心で置いてあるお店に対
「やっぱり3日間もやるとなると気合が違うねっ!」姐さんを探しにのっちがいなくなっている間、俺達は次の所へと向っていた。途中係になる人達もいたりして一旦バラバラとなる。後でまたみんなで合流!と話すと俺は羽琉香と一緒に雪夜達を連れて歩いていた。「私1回だけ西高の文化祭行った事あるけど、西高って結構マニアックなイメージだったな」「え~そう?マニアック…なのかな」「あ。あれだよ1年生の時だから2年前だけど」4人で歩きながら2年生の階を回っていた。羽琉香は桃子とお喋りをしながら歩い
今日はこの曲ポルカドットスティングレイ「パンドラボックス」夏の県立体育館の観客席は、まるでサウナのような熱気に包まれていた。コート上で繰り広げられる死闘が観客の興奮を煽っている。その喧騒から少し離れた一角に、異様なほど統率の取れた集団が陣取っていた。栄城高校バスケットボール部。かつての弱小校の面影はどこにもない。今や部員数は四十名を超え、その青いジャージがスタンドの一部を塗りつぶしている。強豪校の仲間入りを果たした彼らは、勝つための「組織」を作り上げていた。その最前線に
「珀ちゃん?!」「珀美?!」「乃逢君今の…」みんなが目を丸くしぽかんとした表情をしている。私はこの場所でそんな事言わなくてもと思いながら顔を引きつらせた。「おっ…おおおおお!!!!!」唖然とする中黄坂君が突然声を上げ始める。「のっち!!今なんつった」「なんてって…彼女…」「姫、マジでのっち王子になったのか?」「え…あー」「ちょっと遥いきなり何?」羽琉香が不思議そうな顔をして話し掛けると、黄坂君はアハハと笑い始める。「アハハ!そっか!そっか!」「・・黄坂君。笑い事じ