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【鉱物言葉集】カニエ・ナハ「小石」より石に関する言葉ひと粒の、小石の泣く、あまりに泣くので、私の目が潰れる。カニエ・ナハ「小石」より部分抜粋(『カニエ・ナハ詩集』青土社、p.172)カニエ・ナハさんの「小石」というタイトルの詩。「小石の泣く」。「小石が」ではない。――それがこの詩では、大切なことのように思える。「小石が泣く」なら、擬人化された小石が強く前に出る。「小石の泣く」だと、小石自体の存在感がうすれて石にまとわりついた気配が立ち上がってくる。詩人は、
【鉱物言葉集】田辺聖子『おちくぼ姫』より石に関する言葉…あなたが、ほんとにお姫さまを愛していらっしゃるなら、その証拠に、温石を持ってきてくださいまし。…田辺聖子『おちくぼ姫』より(角川文庫)『おちくぼ姫』は、平安時代の古典『落窪物語』を田辺聖子が現代語訳し、新解釈を加えて再編した作品。継母に虐められる「おちくぼ姫」と右近の少将の恋の物語である。引用は、姫の乳姉妹であり侍女の、阿漕(あこぎ)の言葉。物置へ閉じ込められた姫のところに、継母の策略に乗せられた年老いた
【鉱物言葉集】エミール・ゾラ「シャーブル氏の貝」より石に関する言葉砂の上に横たわる黒っぽい大理石の塊は、さながら打ち上げられた大きな魚のようでもあった。まるで海に突然襲われて、めちゃくちゃに引っかき回された巨石の町とでも言おうか。その町の城壁は打ち砕かれ、塔とう塔は瓦解し、大建造物はことごとく折り重なって倒れている、そんな崩壊した町のような奇観を、この自然の巨岩たちは作り上げていた。エミール・ゾラ「シャーブル氏の貝」より(『オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家』所収、光文社古典新訳
【鉱物言葉集】北園克衛の詩より石に関する言葉NUL私は水晶の球体のなかの緑の猫を眺め。他の水晶の球体のなかの純白の植物を眺め。一本の巻煙草を喫はなかつた。北園克衛『北園克衛全詩集』より(冲積舎、p131)詩人は一服しようと思っていたが、結局吸わなかったらしい。「緑の猫」や「純白の植物」が遊ぶ水晶世界に誘われたのだ。日常から少し離れ、水晶の奥にひらく小宇宙へ。透明な球体は、日常の手触りと幻想のひろがりをそっと並べて見せてくれる。✤✤✤この詩を読んで
【鉱物言葉集】佐藤一斎『言志四録』より石に関する言葉石は重い。だから動かせない。木の根っこは深い。だから引き抜けない。人もまた、簡単に他人に動かされないようにつとめなくてはならない。『言志四録心を磨く言葉エッセンシャル版』(佐藤一斎著/佐藤けんいち編)江戸時代の儒学者・佐藤一斎がまとめた『言志四録』には、学ぶ姿勢や日々の心がまえなどが記されている。西郷隆盛が座右とした書でもあり、時代をこえて読み継がれてきた。この一節ではまわりに流されず、自分の信念を
【鉱物言葉集】ジョルジュ・サンド『愛の妖精』より石に関する言葉ジョルジュ・サンド(画像:WikimediaCommons)「場所がよくないだなんて、あんたがたお金持ちはぜいたくだからよ。(中略)だけど自分の物は何もない人は、神さまにそんなにおねだりしないのよ。行きあたりばったりの石を枕にするんだわ。…」ジョルジュ・サンド『愛の妖精』より(グーテンベルク21電子書籍)『愛の妖精』は、19世紀初頭のフランス農村を舞台にした物語。裕福な農家に生まれた双子の兄弟シルヴィネ
【鉱物言葉集】笙野頼子『おはよう、水晶――おやすみ、水晶』より石に関する言葉おはよう水晶、今日も生きていた。君も、私も。笙野頼子『おはよう、水晶――おやすみ、水晶』より(筑摩書房、p8)この作品は、笙野頼子さんの私小説的エッセイ。語り手が猫と暮らす部屋には水晶がある。それは真っ透明ではなく、内包物やひび、傷のある水晶。水晶は語り手を取り巻く世界や、精神の状態をあらわしてもいる。どちらも水晶右の水晶にはほとんど傷やひびが無い。私も、石に話しかけること
【鉱物言葉集】セネカ「母ヘルウィアへのなぐさめ」より石に関する言葉セネカ大理石胸像(マドリード/プラド美術館所蔵)(出典:Jean-PolGRANDMONT,WikimediaCommons,CCBY3.0)過度に身体の言いなりになっている未熟な知性が賛美するもの――たとえば大理石、金と銀の器、磨かれた大きな円卓――は、みな地上の重荷です。セネカ「母ヘルウィアへのなぐさめ」より(『人生の短さについて』所収、光文社古典新訳文庫、p.96)「母ヘルウィアへのなぐさめ」
水晶ってすっっっっっごく面白いんですよ!とても奥深い!まずは色で名前が変わるし、内包物でも名前がそれぞれあるし、形でも名前があります!水晶は王道ですが、勉強すればする程魅力的です軽く有名なものを紹介しますね(説明しだすと止まらなくなるもの…)皆が知る水晶とはまさにこれ!二酸化ケイ素なので酸素とケイ素だけでできています透明感あるものがイメージではよくありますが白いもやがあったりクラックという天然のひびが入っていてそれにさらにレインボーといって割れ面に虹
【鉱物言葉集】ウィリアム・アイリッシュ『黒いカーテン』より石に関する言葉チラッと見ただけだが、その男の印象は、タウンゼンドの心のレンズに、はっきりと映り、現像され、焼き付けられた。全部が、ほんの一瞬の操作だった。上背はないが、がっしりした体格で、濃い眉毛の下に、灰色の目が、瑪瑙のように光っている。冷たい光だった。この顔は、めったに笑ったことがないにちがいない。いったい、だれなんだろう?なぜこちらを凝視しているのか?ウィリアム・アイリッシュ『黒いカーテン』より(グーテンベルク21
【鉱物言葉集】トルストイ「イワン・イリイチの死」より石に関する言葉「ちょうど苦痛が時を追うごとにますますひどくなってきたように、人生全体も時とともにますます悪くなってきた」――そう彼は考えた。ただひとつの明るい点が後ろに、人生の始まりにあり、後は先へ行くほどどんどん暗く、そしてどんどん速くなってきた。「死からの距離の二乗に逆比例するのだ」――イワン・イリイチはふとそう思った。そしてこのどんどん速度を増して落下する石のイメージが、彼の心に深く残った。トルストイ「イワン・イリイチの死」
いつもの結晶片岩かと思いながら拾ったら、部分的に赤くなっているではないですかっ❗洗ったら色が落ちるんじゃないかと思い、念の為、洗浄してみました🧼そしたら、汚れが落ちた分、赤みが強くなった気がしました😊そしてルーペで拡大してみると、、、紅簾石入ってました✨ある意味、自分が探し求めていたものに出会えた感じです😊元々は紅簾石片岩の露頭があったところだったのですが、何年か前に土砂で埋められてしまい今では目視出来ない状態でした。でも破片ならあるんじゃないかと根気よく探していたら見つける事が出
【鉱物言葉集】川端康成「むすめごころ」より石に関する言葉もう皆が帰ってしまって、静かな校庭の藤棚の下を、あなたと私は歩いていた。曇り日の湿った土の上に、二人の小さな靴音だけだった。小石を見つけて、私がちょっと蹴ると、あなたはまたその先でちょっと蹴る。私が蹴る。あなたが蹴る。川端康成「むすめごころ」(『伊豆の踊子』所収、角川文庫)川端康成『むすめごころ』は、咲子と静子のあわいを描いた短編。咲子の静子への思いは、まさに思春期の少女の「むすめごころ」である。彼女は
【宝石・ルース】こはく・アンバーAmberRD琥珀【強蛍光】【メキシコ産】【送料無料】19500楽天市場皆様、こんにちは!今日のブログでは、私が一目惚れした特別な琥珀をご紹介します。それは…【強蛍光】メキシコ産琥珀(アンバー)RDです!この琥珀、ただの琥珀じゃないんです。紫外線ライトを当てると、目を奪われるような鮮やかな蛍光色を放つんですよ。まるで宝石箱を開けた時のような、ときめきを感じました。しかも今なら、特別価格で手に入るチャンス!これは見逃せませんよね。この記
【鉱物言葉集】養老孟司、名越康文『「他人」の壁』より石に関する言葉山へ行って石につまずいて転んだら、「なんでこんなところに石があるんだ」と怒るんです。でも、自然には石があるんですよ、意味なんかなくても。人間の側が気をつけて歩くしかない。(養老孟司の言葉)養老孟司、名越康文『「他人」の壁』より(SB新書、p.11)『「他人」の壁』は、解剖学者の養老孟司と精神科医の名越康文による対談集。引用は養老氏の言葉である。養老氏は、現代社会では「意味のあるもの」にしか価
【鉱物言葉集】若山牧水の鉱物に関する言葉聞き馴れては虫もどこやら鉱物の音するごとし、もはや冬なり若山牧水(『決定版若山牧水全集』千歳出版)10月の終わり。虫の声がすっかり遠のき、夜の空気がひんやりとしてきた。若山牧水のこの一首は、晩秋から冬へと移ろう季節を、しみじみと感じさせる歌である。夏の暑さと、賑やかだった虫の声が鎮まり、かわりに「鉱物の音」が聞こえる。その静寂のなかに、硬質で冷たい鉱物の響きを牧水は感じとっていたのだろう。「鉱物の音」に、思わず耳を澄ませ
【鉱物言葉集】D.H.ロレンス『チャタレイ夫人の恋人』より石に関する言葉製鋼工が鉄という元素に仕える霊であるのと同じように、彼らは炭素に仕えている。(略)石炭と鉄と土の霊である。炭素、鉄、珪素という元素から生まれた生き物、元素の霊なのだ。そんな彼らには鉱物に備わる冷たくて不思議な美しさがあり、石炭の輝き、鉄の重さと青さと強さ、そしてガラスの透明さが宿っているように見えた。D.H.ロレンス『チャタレイ夫人の恋人』より(光文社古典新訳文庫、p.261)1920年代のイギリスが舞台とな
元素に興味が出た我が子にくまんは『【小学3年生】元素の世界へ!子供が夢中になった【こども元素ずかん】レビュー』たまたま、オススメで流れてきた進研ゼミ公式Vティーチャーなるり先生の『ナルリカ・マッドサイエンス』ちょっと、『うっせぇわ』みたいで、にくまんが好きそうだなぁと…ameblo.jpもれなく鉱物も好きですアニメで『瑠璃の宝石』を見た、にくまんが国立科学博物館に行って、一番長くいるのは日本館3階の鉱物コーナーです(日本館は建物が素敵なのですが、階段移動なので、正直キツい)いつの
【鉱物言葉集】ラフカディオ・ハーン「かけひき」より石に関する言葉「今から、おまえの首を斬る。それ、おまえの目の前に飛び石があるだろう。首が身体から離れたら、あの飛び石に噛みついてみよ。もしもおまえの怨霊の力でそれだけのことができるなら、怖がる者もおるやも知れぬ……あの石に噛みついてみるか?」「噛みつくとも!」と男は大いに怒って、叫んだ――「噛みついてやる――噛みついてやる――」ラフカディオ・ハーン「かけひき」(『怪談』所収、光文社古典新訳文庫、p.40)罪を犯した男が、砂地に飛
【鉱物言葉集】坪石さをり『鉱物女子のときめき生活キラキラ鉱物に魅せられて』より石に関する言葉石を!!石を飾ってもいいですか!?坪石さをり『鉱物女子のときめき生活キラキラ鉱物に魅せられて』より(日本文芸社)幼いころから鉱物を愛する坪石さをりさんのコミックエッセイ。鉱物への愛が時に暴走し、周囲に呆れられる様子がユーモラスに描かれている。そのなかには、自身の結婚披露宴の各テーブルに、自前の鉱物を飾ったエピソードもある。テーブルを彩った鉱物のなかには、砂漠のバ
📚本日のしおり👤登場人物・めるこ(筆者):鉱物図鑑愛読者。癒しと“ええ感じ”を求めて石の世界へ旅立った母。・先生(幼なじみ):漫画家。石とパワーと金運を愛する人。・イチ(5歳児):本日はミニSLと科学館クエスト中。・父ちゃん:母不在でのイチとのおでかけに不安を感じ、ばあちゃんを召喚。現在パーティ構成:父ちゃん+ばあちゃん+イチ。おみやげへのリアクションに注目?🗺めるこの石クエスト・ログ・ひさびさの先生とお出かけ!目指すは「石ふしぎ大発見展」・キラキラ×人だかりの
【鉱物言葉集】ヘルマン・ヘッセの石に関する言葉道端の石ころを見て思う。この石は私よりもずっと強いのだ。すっくと立つ樹を見て思う。この樹は私よりもはるかに長生きするのだ。人ははかない。いつか私は樹の根になり、土になり、石になる。そうしたら、私はもう紙にたくさんの言葉を綴る必要がなくなる。鞄に歯医者の領収書を入れることもなくなる。偉ぶった役人たちに国籍証明書の件でいろいろ面倒なことを言われることもなくなる。私はさまざまなものに変転し、救われつつやがて消えていくのだ。
【鉱物言葉集】蛙坂須美『こどもの頃のこわい話きみのわるい話』より石に関する言葉手渡されたのは、パンパンに膨れ上がったビニール袋である。中身の大半はビー玉大の小石で、そのどれもが黄色い絵の具を塗りたくられていた。ビニール袋の底からは一枚のDVDが出てきた。蛙坂須美「北見先生のDVD」より(『こどもの頃のこわい話きみのわるい話』所収、竹書房怪談文庫p.73)体験者への取材をもとに書かれた怪談集より。隼雄さんがある日家の玄関を開けると、見知らぬ女が立って
【鉱物言葉集】西條八十の詩「石」より石に関する言葉石の眠ねむりは深くして、花落つれども、ただ、しづか、石の眠は昏(くら)くして、雨ぬらせども、ただ沈黙(しじま)。西條八十「石」部分抜粋(『書物の王国6鉱物』所収、p.174)この詩を読むと、私は石を手のひらにのせ、じっと眺めたくなる。何があっても石はびくともしない。まさに泰然自若。騒がず、ただ静かに横たわっている。その静けさが心地良く、また、頼もしくも感じられるのは、日々、ちょっとしたことで心を揺らされるか
【鉱物言葉集】エミール・ゾラ「ナンタス」より石に関する言葉彼はただ手始めにパンを望んでいただけだった。このバリで生きていくのに必要な最低限のものを、これから石をひとつひとつ積み上げていくためのささやかな場所を。エミール・ゾラ「ナンタス」より(『オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家』所収、光文社古典新訳文庫、p.54)物語の舞台は、19世紀末のパリ。主人公のナンタスは、いつかのし上がってみせる、という強い意志を持つ青年である。引用は、パンを買う金も無くなり、雨
【鉱物言葉集】日野啓三「石の花」より石に関する言葉「石の花なんて言ったって、死んだ石ころじゃないかとおっしゃっるのですか。まあ、そんなことを。結晶もすくすくと成長するのでございますよ。」日野啓三「石の花」より(『書物の王国6鉱物』p.139)鉱物の結晶を「石の花」と呼び、育てる夫婦の物語。東京の西の山地にある家。その庭の花壇で咲くのは、水晶、方解石、石膏、重晶石、黄玉、石墨、黄鉄鉱、方鉛鉱、孔雀石、黒雲母……など様々な鉱物たち。ふたりは試行錯誤しながら、それ
全国でイベントがある鉱物(宝石等)展示会に行ってきました。そのほかに占いのコーナーや手作りの物のイベントもやっていて盛況で人の数がすごい。鉱物好きな人ってたくさんいらっしゃるんですね。買わないで見るだけでしたが見てるとなんだか気になった物ほしくなって少し散財してしまいました。いつも見ても足を止めないのになんだかその場に動けなくなってしまった場所がありました。自分の名前を墨で書いてくれる場所だったんです。1枚書いてもらうと1000円だったので私と孫の名前を書いて
【鉱物言葉集】マンディアルグ『石の女』より石に関する言葉紫水晶の晶洞(アメジストジオード)「学者のあいだで《晶洞》と名づけられている石・・・・・・どれ、とっくり眺めてみるとしよう。」そう言ってストーヴのついそばで暖かくほてった、大理石のナイト・テーブルの上にその丸い石を置いた。アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ『石の女』より(『書物の王国鉱物』所収、p.60)「石も張り裂けるほどの凍てつきようだ」――そんな言葉が駆けめぐるほど寒い冬のある日のこと。主人公パスカル・ベ
【鉱物言葉集】ボードレール『パリの憂鬱』より石に関する言葉家具は長々と伸びて、憔悴し、悩ましげな形をしている。夢見る風情をしており、植物や鉱物と同じように夢遊病的な生命を授かっているかのようだ。ボードレール「二重の部屋」より(『パリの憂鬱』渡辺邦彦訳みすず書房p.13)ボードレール『パリの憂鬱』に収められている「二重の部屋」からの引用。家具が、まるで植物や鉱物のように、生き物的に感じられるという夢のような部屋にボードレールはいた。しかし、このあと突如ノックの音が
【鉱物言葉集】梶井基次郎『器楽的幻覚』より石に関する言葉それは演奏者の右手が高いピッチのピアニッシモに細かく触れているときだった。人びとは一斉に息を殺してその微妙な音に絶え入っていた。ふとその完全な窒息に眼覚めたとき、愕然と私はしたのだ。「なんという不思議だろうこの石化は?今なら、あの白い手がたとえあの上で殺人を演じても、誰一人叫び出そうとはしないだろう」梶井基次郎『器楽的幻覚』より(『檸檬』所収、千歳古典名作文庫、p.148)『器楽的幻覚』は、梶井基次郎のエッセイ風の小説。