野村克也さんの野球は、華やかなホームランや派手なパフォーマンスで彩られたものではありませんでした。むしろその対極にありました。堅実で、冷静で、理詰めで、そして何より「人を活かす」野球でした。戦後の混乱期に生まれ、無名のテスト生からプロの世界へと入り、やがて三冠王にまで上り詰めたその歩みは、決して順風満帆ではありませんでした。だからこそ彼は知っていたのです。個人の才能だけでは勝ち続けることはできないということを。人は一人では限界があるということを。「打たせて取る。それが、チーム全体で勝つ野球だ。」